更新します。 

April 10 [Tue], 2012, 12:33
忙しくてノベログが4ヶ月も滞っています。もうすぐ復帰します。

第43話「B型ブルース」・4/4 ―角を矯めて牛を殺す― 

December 14 [Wed], 2011, 23:59
「現れたな、シュシュトリアン!」と弾圧仮面。
「いよー!シュシュトリアン!いつ見ても、お美しい!」と英三郎。
「ご疲れ様です。またしても、バカな野郎が現れました」と荒木。
「しかも、オンナにフラレた腹いせに、B型を根絶やしにしようとしています」と加納。
「まあ、アタマはあんまり良さそうじゃないので、それほど歯応えはないと思いますが、僕らも取材がありますので、できるだけ撮影しやすいように、戦ってください」と篠山。

「古人曰く、角を矯めて牛を殺す」雪子。
「角を矯めて牛を殺す」月子、花子。

「えー、これは、牛の曲がった角を直そうとして、様々に手を加えているうちに、頭蓋骨に良くない影響が出て、牛を殺してしまうことから来ているんですね。これが転じて、少々の欠点を無理やり直そうとすると、かえって全体的にダメになってしまうという例えに使われます。瑣末な枝葉末節にこだわるよりも、肝心な根本を損なうようなことがないようにという戒めなんですね」と、牛の恰好をして、自分で曲がった角を真っ直ぐにしようとして、角を折ってしまうフライドチキン男。

「弾圧仮面。あなたは、人の個性に対して、これは良い、これはダメと、勝手な解釈や基準で、自分に都合の良い価値観を押し付けているだけです。だから、つまらない部分にばかり目がいってしまい、長所を理解できず、揚げ足取りばかりしてしまうんです。あまつさえ、気に入らないB型の人たちを根絶やしにするなど言語道断。覚悟しなさい」と雪子。

「うるさい、シュシュトリアン。そもそも、B型のやつらは、自分たちを個性的と錯覚し、ルール無視をさも当たり前のように肯定するところがあるんだよ。そういう罪の意識の無さが、世の中の乱れを生む一因になっているのさ。そんな奴らをのさばらせておいたら、勘違い人間が世の中を支配するようになる。だから、悪い芽は今のうちに摘み取っておくのさ」と弾圧仮面。

「あんたって、ほんとバカね。血液型で人間の善悪がわかるわけないじゃないの」と花子。
「そーよ。ゴリラにも血液型があって、マウンテンゴリラはA型で、ローランドゴリラはB型よ。あなたの理屈なら、ローランドゴリラ全員が、ルール無視の勘違い野郎ってことになるわよ。そんなわけないじゃない。ローランドゴリラに謝りなさいよ」と月子。

「ならば、マウンテンゴリラのほうが、ローランドゴリラより几帳面なはず。それだけのことだ。私の考えに間違いはない。じゃまをするな、シュシュトリアン!」と弾圧仮面。
「ならば、私たちは血液型D型を弾圧します。覚悟!!」と雪子。
(「サーッ」と掛け声とともに、ここで主題歌が流れる。一気に戦闘モードに)

「これでもくらえ!」と弾圧ガススプレーを取り出し、あちこちに噴霧するが、雪子たちは巧みに避け、弾圧ガスがムダに充満していく。
「うう、これでは私自身が弾圧されてしまう」と、口を押さえながら、崎山卓也の背後にまわり首に腕を回し、自殺ガススプレーの噴霧口を崎山卓也の顔にむけ「動くな、シュシュトリアン!崎山卓也の命が惜しければ、大人しくしろ」と、崎山卓也を人質にとる弾圧仮面。
「ひ、卑怯よ!」と、動きを止めてしまう雪子、月子、花子。

「大丈夫だシュシュトリアン!自殺ガスなどB型には通用しない」と英三郎。
「そうです。例えば借金苦で自殺するくらいだったら、B型は平気で借金を踏み倒します」と荒木。
「それ以前に、死ぬほど悩まないのがB型です」と加納。
「試しに、B型の崎山卓也さんに自殺ガスを噴霧してみろ。一切効かないのが分かるさ」篠山。

「なにー、そんなことは無い!」と、自殺ガスを崎山卓也に噴霧する弾圧仮面。
「ああ、死ぬくらいに、美味いものが食いたい!」と、違う意味で死にたがる崎山卓也。
「く、クソー!これだからB型はイヤなんだよ」と弾圧仮面。
「今よ!」と、雪子、月子、花子は一体化し、「今度は弾圧されなさい!」と、弾圧仮面にシュシュファイナルをお見舞いし、独裁者が民衆を弾圧している政情不安な某国に吹き飛ばしてしまった。

「いやー、荒木くんたちも、なかなかいい記事を書くねえ」と、相変わらず新聞片手に朝食を摂っている英三郎だが、手にしている新聞には「血液型B型の探偵がお手柄!!シュシュトリアンと協力して代議士の命を守る」という見出しの記事が掲載されている。
「な、これでB型って、優秀であることがわかったろ」と鼻高々の英三郎。

「なに言ってんのよ。この記事読むと、弾圧仮面の武器がたまたま通用しなかっただけじゃない」と花子。
「それがB型が優秀である証拠さ。ここで一曲、♪B型は〜B型は〜OやAよりマシ〜♪って、B型ブルースさ。もちろんABよりもね」と英三郎。
「ホント、B型って世話ないわ」と呆れる恵。頷く雪子、月子、花子であった。
(第43話終了)

予告編(主題歌のインストゥルメンタルのBGMが流れている)
「私たちが知っている童話って、実は生々しい事実が隠されているのよね」と月子。
「そうよ。その教訓を、子供たちに分かりやすく、抵抗無く教えるために、毒気を抜いてアレンジしているのよ」雪子。
「でも、そういう話には妖怪がつき物なのよね。また、変なのが出てくるのよ。次回『恐怖!童話の真実』。お楽しみに!」と花子。

第43話「B型ブルース」・3/4 ―完全無欠のD型血液― 

December 13 [Tue], 2011, 23:59
「な、何者だ、きさま」と、弾圧仮面の姿に驚く崎山卓也。
「フフ、俺様は、お前のようなインチキ政治家を徹底的に追い詰める弾圧仮面さ」と、弾圧仮面。
「なにー、弾圧仮面だと。こちらがお前を弾圧してやる。SPのみなさん、こいつを弾圧してください」と、SPに助けを求める崎山卓也。

「小うるさい蝿どもは、この弾圧ガスでイチコロさ」と、懐から「弾圧ガス」とかかれたスプレー缶を取り出し、SPたちに一気に吹き付ける。
 すると、SPたちは、「うう、打ちひしがれるぅぅぅ」と、気持ちが弾圧され、戦意喪失となり、うずくまってしまった。
「あわわわわあ……」と、SPが制圧され、おびえまくる崎山卓也。
「お前のような、B型のルール逸脱野郎などは、生かしておいては世のため、人のためにはならん。ここであっさりと死んでもらおう」と、今度は「自殺ガス」と書かれたスプレーを取り出し、弾圧に力尽きて、自ら命を絶ちたくなるような気持ちにさせるガスを噴霧しようとし始めた。

「待てい、弾圧仮面。お前の思うようにはさせん!!!」と、弾圧仮面の背後に立ちはだかる英三郎。
「ナンだ、お前は?」と弾圧仮面。
「血液型B型の人間を根絶やしにするなどという大それた計画をもっている弾圧仮面。私も血液型B型であり、後ろに控えている若い新聞記者もB型だ。しかし、決して他人や社会に迷惑をかけてはいない。それなのに、血液型だけで人格そのものを否定するという考え方は絶対に許すことは出来ない。お前の悪事を白日の下に晒してやる」と英三郎。

「そうだ。よくもB型をバカにしたな。芸術家にB型は多いんだぞ」と荒木。
「B型の総理大臣といえば、田中角栄さんや竹下登さんさ。だれにも思いつかない発想ができたのはB型だからさ」と加納。
「有名人にだって、長島茂雄、清原和博、野茂英雄、イチロー、野村克也、北島康介、高倉 健、森繁久弥、明石家さんま、松本人志などなど、あげればきりがないくらいいるんだよ」と篠山。

「うるさい。所詮、たまたまそういう例があるというだけだ。それに、B型だけが悪いわけではない。A型もO型もAB型も、すべてダメさ。完璧なのは、このオレさまのD型だけさ」と弾圧仮面。
「なにー?D型だと?D型なんて血液型、聞いたことないぞ」と英三郎。
「それは、このオレ様だけが持つことはできる究極の血液型だからさ」と弾圧仮面。

 平成5年当時、仲間のC型仮面が現れ、人間の血液型をC型に変えて、社会を混乱させようとした。
しかし、本当はA型であるにも拘らず、血液型で人格を決め付けられることを嫌うO型のふりをした雪子にだまされ、雪子をC型に変えることに失敗している。
 あまつさえ、自分自身はC型ではなく、血液型をC型に変えるスタンプを雪子たちに押され、文字通りC型の血液型になり、自滅してしまったという哀れな仲間の姿がある。
 この反省にのっとり、弾圧仮面は、完璧な血液型であるD型を内臓しているのだという。

「じゃあ、D型の特徴を言ってみろよ」と荒木。
「どの血液型とも、相性が最悪なんじゃねーの」と加納。
「あ、ひょっとして、血液型占いで、女の子が誰も相手にしてくれなかったんで、その腹いせに弾圧しているんだろう。オマエの魂胆は見え見えさ」と篠山。
「そうか、お前の目的は、血液型占いで女の子にフラレた逆恨みか。当たり前だ。D型なんて血液型は、お前一人だし、誰も相手にしてくれないことは分かりそうなもんじゃないか」と英三郎。

「えーい、うるさい!特にB型のオンナは最悪だ。B型のオンナは、揃いも揃って面食いで、顔さえよければ他の部分が悪くても、簡単に許してしまうような、薄っぺらいオンナの集まりさ。これというのも、B型という血液型が呪われているからだ。一刻も早く根絶やしにしなければ、この国は滅びる。えーい、覚悟しろ」と叫びながら、「弾圧ガス」を噴霧し始めた弾圧仮面。

 弾圧仮面が英三郎たちに攻撃を仕掛ける寸前、雪子、月子、花子は現場に到着。
 そして、物陰に身を潜め、「雪!」「月!」「花!」のアクション。「シュシュトリアン!」と3つの携帯電話を合わせ、琵琶の音とともにシュシュトリアンに変身。

「乙女盛りに命をかけて」と雪子。
「風に逆らう三姉妹」と月子。
「花と散ろうか咲かせよか」と花子。
「有言実行シスターズ、シュシュトリアン」と、決めのポーズ。弾圧仮面の前に現れる三姉妹。
(続く)

第43話「B型ブルース」・2/4 ―B型を弾圧するだと!?― 

December 12 [Mon], 2011, 23:59
 英三郎は、総理大臣候補といわれる大物政治家・崎山卓也が、美人コンパニオンと浮気をしている現場を押さえるため、2人がしっぽりやっているホテルの裏口近くの物陰に身を隠し様子を窺っている。

 しかし、その対抗面の物陰に、花子の小学生時代の同級生で、現在はそれぞれが違う媒体で新聞記者として活躍している荒木・加納・篠山の3人が潜んでいた。
「おいおい、きみたち、こんなところで何をやってるんだ?」と、3人を見つけ声をかける英三郎。

「あ、おじさん、おじさんこそこんなところで何をやってるんですか」と荒木。
「いや、それは守秘義務で言えないな」と英三郎。
「でも、崎山卓也の浮気現場を、奥さんからの依頼かなにかで、押さえにきているんじゃないですか」と加納。
「そういう、君たちこそ、誰を追っているんだ」と英三郎。
「他ならぬおじさんだから言っちゃうけど、僕たちは弾圧仮面を追っているんだ」と篠山。
「弾圧仮面??」と、素っ頓狂な声を上げる英三郎。

 荒木たちの話によれば、弾圧仮面とは、あらゆるものを、自分の好き嫌いで弾圧するという、非常にわがままな怪人で、自分では正義の味方の一人だと思っている。
 そして、国民の代表でありながら、不倫を繰り返しているようなインチキ政治家を徹底的に弾圧し、国を良くしようとしている。
 その見せしめとして、崎山卓也の浮気現場を押さえ、コテンパンに伸してやろうと計画しているのだという。

「なるほど。それなら、ある意味、世直しにもなっているし、良い怪人なのではないかな?」と英三郎。
「ところが、それだけじゃ済まず、弾圧仮面は『浮気をするようなやつは、社会性の希薄なB型野郎しかいないに違いない』と勝手に決め付け、血液型B型の人ばかりを狙って、弾圧しているのです。崎山卓也はB型なんです」と荒木。
「なに??B型を狙い撃ちして弾圧だと!!!???」と、一瞬にして気色ばんだ英三郎。

「それだけじゃありません。B型のようないいかげんな血液型の人間は、この世から抹殺すべきであるとして、『B型根絶やし計画』を練っているのです」と加納。
「なーにー!!??B型を根絶やしにするだと。許せん!私は実はB型なんだ。そんな理不尽なやつをのさばらせておいたら、血液型B型の名折れだ!」と英三郎。

「実は、僕たち3人もB型なんです。だから、弾圧仮面の悪事を押さえて、マスコミで散々叩いて、社会的に抹殺してやろうと思っているんですよ」と篠山。
「よーし、わかった。私も弾圧仮面退治に協力しよう。みんなで力を合わせて、B型の優秀性を世に知らしめよう」と英三郎。
「僕たちB型は、どんな弾圧にも屈しないぞ!おーーー!!」とシュプレヒコールをあげる荒木・加納・篠山。

「出て来ましたよ」と、崎山卓也が、ホテルの裏口を利用し、浮気相手の美人コンパニオンといっしょにでで、横付けしてあるクルマに乗り込もうとしていた。
 この現場は、探偵としての仕事であるため、隠しカメラでバシバシ撮影する英三郎であるが、そこに「ワーーハッハハハハハ」という笑い声とともに、頭に大きく「D」の字をあしらった黒服、黒マント姿の、弾圧仮面が現れた。

 一方、飛鳥学園大学付属高校の職員室では、昼休みの休憩時間を利用して、雪子、月子、花子が、血液型相性占いに夢中になっている。
「では、私とみなさんの相性も占ってください。オトリッ!」の声とともに、易者に扮装したフライドチキン男が現れる。
「なんで、アンタと私たちの相性なんか占わなければいけないのよ!」と花子。
「だいたい、あなたに血液型なんてあるの?」と月子。

「実は、緊急指令なんです。英三郎さんに危機が迫っているのです」とフライドチキン男。
「ええ?お父さんに??」と、素っ頓狂な声をあげる雪子、月子、花子。
 血液型B型の人物だけを狙い撃ちする弾圧仮面が、英三郎をはじめB型の人間を狙っているとフライドチキン男が告げるが、
「まあ、B型って、そういう運命なのかもね」と花子。
「そうそう。これまでいろいろルールをかき乱してきたバチがあたったのよね」と月子。

「でも、弾圧仮面は、おおざっぱなO型や、二重人格のAB型、頭の固いA型も、順次弾圧していく予定なんです」とフライドチキン男。
「なんですって。それじゃすべての血液型を根絶やしにするってことじゃない」と月子。
「そもそも、弾圧仮面自身の血液型は、何型なのよ」と雪子。
「実は、弾圧仮面の血液型はD型なんです」とフライドチキン男。
「ええ?D型???」と、またしても素っ頓狂な声をあげる雪子、月子、花子。
(続く)

第43話「B型ブルース」・1/4 ―典型的なB型― 

December 11 [Sun], 2011, 23:59
 東京都練馬区七面町の山吹家の朝は、いつもの洋食メニューの朝食ではじまる。
 長姉の雪子、次姉の月子、末妹の花子の三姉妹は、飛鳥学園大学付属高校で、雪子が古文、月子が音楽、花子が体育を担当する教師であるが、その正体は、酉年の平和と幸福を守る有言実行三姉妹シュシュトリアンなのである。

「しかし、毎度毎度、本当に新聞を読みながら朝ごはんを食べる癖は直らないわよね」と、三姉妹の母・恵は、同じく父の英三郎の朝食の姿勢にあきれる。
 英三郎は、刑事として警察に奉職していたが、定年退職し、自宅を事務所に、浮気調査専門の山吹探偵事務所を設立し、日夜不倫という悪と闘っていると、本人は言う。
「こうしたほうが時間の節約になるんだよ。片手が空くように、洋食メニューの朝食にしているんだから。人が見ているわけじゃないし、固いこと言うなよ」と英三郎。

「でも、前から思っていたんだけど、お父さんって、典型的なB型よね」と花子。
「そうそう、そのマイペースで、おおざっぱで、ルールを無視するところなんか、B型そのものよ」と月子。
「失礼なこと言うなよ。まるで血液型B型は、ダメ人間ばかりみたいに聞こえるじゃないか。B型は独創的な発想が持ち味なんだよ」と英三郎。

 確かに、英三郎は典型的なB型であった。
 刑事時代も、証拠固めや、調書などでは、非常にアバウトで、さまざまな問題を引き起こした。
 平成5年当時も、花子に「夕食のおかずは、大好物の銀鱈の煮付けにするから」という誘惑に乗り、怪人大相撲に関する捜査情報を、あっさり喋ったりしている。
 その反面、意外な視点から事件を追及し、誰も予想できなかった犯人像を割り出して、事件を解決することもあった。
 また、パンダ男の打魂棒で、花子と中身が入れ替わっても、ほとんど気にすることなく、むしろ花子の体を利用し、「研究」と称し、銭湯の女湯に侵入している。

「我が家って、お母さんと私がA型、月子がAB型、花子がO型と、すべての血液型が揃っているのよね」と雪子。
「でも、A型とB型って合わないっていうじゃない。なんで、お母さんは、お父さんと結婚したの?」と花子。

「何いってんのよ。血液型で結婚相手を選ばないわよ。昔のお父さんは、超カッコよかったんだから。ねー、お父さん」と、ウインクする恵。
「そうだよ。母さんだって、お前たちが束になったってかなわないくらい、超セクシー系だったんだよ。なー、母さん」と、恵を見つめる英三郎。
 要するに、まずは見た目で選んだということである。

「でも、B型って、まずはルールを軽んじるところがあるわよね」と花子。
「物事に縛られないって、言ってほしいね。それに、おおざっぱなO型さんには言われたくないし」と英三郎、
「でも、人と変わっているとは、よく言われるはずよ」と月子。
「何いってんの。二重人格のAB型さんのほうが、はるかに変わっているのではないでしょうか」と英三郎。
「ま、とにかく、往々にしてずぼらよね」と雪子。
「杓子定規で、頭の固いA型に比べれば、発想に柔軟性があるといってほしいな」と英三郎。

「ほらほら、お父さんもアンタたちも、くだらないこと言ってないで、早く仕事にいきなさい」と恵に追い立てられる雪子、月子、花子、英三郎。
「じゃあ、母さん、行ってくるから」と、英三郎は出て行こうとするが、
「ほら、ズボンのチャックが開いているわよ」と恵に指摘される。
 その様子を呆れながらみている雪子、月子、花子。

「でも、血液型と性格には科学的関連性がないため、性格判断などはできないって言われているわよね」と、飛鳥学園大学付属高校の通学路を歩く雪子。
「そうかな。私、当たっていると思うわ。だって、お母さんと雪子お姉ちゃんは、それなりに几帳面で、やっぱA型だなって思うもん」と月子。
「そうそう、月子おねえちゃんの、何考えているんだかわかんない性格も、AB型のなせる業ね」と花子。
「確かにね。花子が部屋中散らかし放題のずぼらな性格なのも、まさにO型そのものだわ」と月子。

 一方、「ったく、B型B型って、寄ってたかって人のことをバカにして。ホントに腹立つなあ」と、ブツブツ言いながら、浮気調査の対象が潜伏しているホテルに向かう英三郎。
 そんな英三郎は、自分がB型であることを、むしろ誇りにさえ思っている。
「よーし、こうなったら、B型がいかに優秀であるかを、娘たちにしっかり分からせよう」と、英三郎は強く決意する。
(続く)

第42話「理想の花婿大作戦」・5/5 ―頭の上の蝿を追え― 

December 10 [Sat], 2011, 23:59
「あ、シュシュトリアンさま、いつの間に?」と、アテネと電話をしながら、シュシュトリアンに気付く門跡。
「なんなのよ、アンタたち?」と妖怪世話焼きバアア。
「ああ、本当に…」とデビ郎。
「このたびは…」と、おじゃ麻呂。
「申し訳ありませんでした」と源米。

「古人曰く、頭の上の蝿を追え」雪子。
「頭の上の蝿を追え」月子、花子。

「えー、これは、他人に世話をやくよりも、まず自分自身のことを、ちゃんとしなさいということなんですね。他人の頭の上を飛んでいる蝿を気にするより、まず自分の頭の上を飛び回る蝿を追い払えということに例えて言っているのですね」と、蝿の大群に襲われ、追い払っても追い払っても、蝿の山に押しつぶされそうになるフライドチキン男。

「妖怪世話焼きバアア。恋の要らんおせっかいなどやくヒマがあったら、普通に結婚相談所にでも勤務して、出会いをマッチングすればいいはず。にも拘わらず、キューピッドさまに化けて、面白おかしく男女をくっつけるなどというのは、ただの自己満足、遊びに過ぎません。今すぐ、術を解きなさい」と雪子。

「バカなこと言うんじゃないの、小娘が! 日本には昔から、お見合いという合理的なシステムがあって、年頃の男女がいれば、まわりが上手くまとめて、なんとかしたものなのよ。それが上手くいってたの。しかし、今の世の中、やれ合コンだ、出会い系サイトだとかいって、簡単に引っ付いたり別れたりと、地に足がついていないのよ。だから、私がひと肌もふた肌も脱ごうとしたのよ」と妖怪世話焼きバアア。

「何言ってんのよ。好きでもない相手と無理やりくっつけられるほうが迷惑よ」と花子。
「そーよ。明治時代まで、結婚式当日に始めて花婿の顔をみて、あまりにもブサイクすぎて、唖然とした花嫁なんてたくさんいるのよ。これじゃ結婚の名を借りた人身売買よ。仲人なんて自分の自己顕示欲を満たすために、適当に男女をくっつけているだけにすぎないのよ。いまどき流行らないわ」と月子。

「そうだ。よりによって女子高生とくっつけるとは何事だ」とデビ郎。
「同じく。高橋○ョージと三○美佳じゃないんだから。職質されたらどうしてくれるんですか」と源米。
「麿なんか、デビ郎殿とややこしい関係になるでおじゃる」と、おじゃ麻呂。

「あ、あそこにいた!キャー、ステキ!!」と、デビ郎の姿を発見し、嬉々として走ってくる、よう子。
「あ、ステキな白衣姿!」と、源米を見つけ、同様に走ってくる、みゆき。
「いたわ!あのお公家さん。逃がさないわよ、ウッフン」と、獲物を狙うような怪しげな目で、おじゃ麻呂を見つめ、走ってくるバラリラン。

「うわー。にげましょう!」とデビ郎。
「もうかんべんしてください!」と源米。
「反省しているでおじゃる!」と、おじゃ麻呂。
 まるで、アメリカのドタバタ喜劇のように、追いつ追われつする6人。

「私がせっかく取り持ってあげたに、なんてもったいないことを…」と妖怪世話焼きバアア。
「何を言っているのです。あなたの妖術のせいで、ああなったのです。もう許しません」と雪子。
(「サーッ」と掛け声とともに、ここで主題歌が流れる。一気に戦闘モードに)

「これでもくらいなさい!」と、あれこれ口出しをする口を、くちばしのように尖らせ、鋭く突いてくる妖怪世話焼きバアア。しかし、巧みに攻撃をかわす雪子、月子、花子。
「そうですか。妖怪世話焼きバアアを封じ込めるには、一番聞きたくない言葉が、呪文になるんですね。わかりました」と、アテネにアドバイスをもらい、携帯電話を切る門跡。
「ババアの一番嫌いな言葉…、なんだろうな?」と思案をし始めた門跡。

 一方、妖怪世話焼きバアアとの戦いは、激しさを増す。
「ならば、これならどうよ」と、口から嫁姑の仲のように、気苦労が重くのしかかるような毒ガスを吐き出す。
「うっ、吸っちゃだめよ。一気に暗い気持ちになるから」と、月子、花子に注意をうながす雪子。

「あ、この言葉がいい呪文になる!」と、ひらめいた門跡。そして「こら、妖怪世話焼きバアア。『しょせん、息子は嫁の味方さ。しょせん、息子は嫁の味方さ。しょせん、息子は嫁の味方さ。しょせん…』」と、繰り返し姑の心がささくれる言葉を呪文としてぶつける。
「うう、や、やめて〜。あんな嫁にだまされちゃダメよ。だから、お母さんがいうとおりの相手と結婚すればよかったのよおおお」と、耳を押さえながらうずくまる妖怪世話焼きバアア。
「今よ」という雪子の声とともに、雪子、月子、花子は一体化し、シュシュファイナルを妖怪世話焼きバアアにお見舞いする。「ウギャー」という断末魔の悲鳴とともに、門跡がもっている古文書のなかに、封じ込められてしまった。

「じゃ、父さんも母さんも、出かけてくるから。晩御飯は適当にな」と、リビングでまったりしている雪子、月子、花子にいう英三郎。
「どうせ、デビ郎と、おじゃ麻呂と、源米と、カラオケにいくんでしょ」と花子。
「そうなのよ。だけど、あのコたち、なんだか落ち込んでいるから、慰めてあげるのよ」と恵。
「おまえたちが、何かイジワルでもしたのか」と英三郎。
「何もしていないわよ」と雪子。
「そうそう。彼氏でもなんでもないんだし、ねー」と、雪子、花子と相槌を打つ月子。

「あーら、もったいない。私が若ければ、3人まとめて付き合っちゃうわ」と恵。
「こらこら、母さん。娘の彼氏をつかまえて、はしたないことを言うもんじゃないよ。ワーハハハハ」と英三郎。
「あらヤダ。お父さんったら、やきもち焼いてんの?ホーホホホホ」と恵。
 そそくさと、家を出て行く英三郎と恵を、冷ややかな目で追う雪子、月子、花子。

「なんか、デビ郎たちに、余計なこと、言いそうなんだけど」と花子。
「泣き落としで、だまされて、私たちに余計なこと仕出かすわよ」と月子。
「あーあ。まさに妖怪世話焼きジジイとバアアの最強コンビね」と、ぐったりする雪子。
(第42話終了)


予告編(主題歌のインストゥルメンタルのBGMが流れている)
「うちの家族の血液型は、4種類、すべてあるのよ。私はリーダーの資質溢れるO型よ」と花子。
「私は、合理的なAB型」と月子。
「私とお母さんは、几帳面なA型なんだけど、うちで超マイペースなお父さんがB型なのよ。そのB型コンプレックスが、またしてもヘンな妖怪を呼び寄せてしまうのよね。次回『B型ブルース』。お楽しみに!」と雪子。

第42話「理想の花婿大作戦」・4/5 ―ただの世話焼きのおせっかい― 

December 09 [Fri], 2011, 23:59
「では、キューピッドさまに、景気良く、恋の矢で、憧れの女性たちのハートを射抜いていただきましょう」と門跡。
「お願いしますよ」とデビ郎。
「まさに、神にもすがる思いでおじゃる」と、おじゃ麻呂。
「科学を超越したお力を、とくと拝見いたします」と源米。

「では、ご期待に応えて、3人分まとめて射掛けてみちぇまちゅ」と、キューピッドは、本来なら一本一本射掛けるはずなのだが、おだてられてその気になり、芸のあるところを見せようと、3本まとめて一斉に射掛けた。
 3本の矢は、雪子、月子、花子にむかって、光の矢のように進むはずなのだが、横着してまとめて打ったため、思いっきり軌道が逸れた。

「あらー、失敗しちゃったでちゅ」とキューピッド。
「ええ?失敗って、いったい誰のハートを射抜いたんですか?」と門跡。
「まず、デビ郎さんの矢は、あのコでちゅ」と、キューピッドが指差す先には、なんと広瀬よう子がいる。
「げっ、よう子ちゃんに刺さったの?」とデビ郎。
「ああ、雄介くんもいいけれど、シルクハットにマントの紳士が、モーレツに恋しいわ」と、みるみるうちにの様子がおかしくなるよう子。
「なんてことを。女子高校生の彼女なんて、法律に抵触するじゃないですか」とデビ郎。

「えー、続きまちて、源米さんの矢は、あのコに刺さりまちた」と、キューピッドが指差す先には、白鳥みゆきがいる。
「ああ、バッテリーを背負った白衣の男の人に、モーレツに会いたいわ」と、よう子同様に、様子がおかしくなるみゆき。
「みゆきちゃんは、花子さんが顧問をしている女子体操部の女子生徒ですよ。私も援交予備軍になってしまうじゃないですか」と源米。

「最後に、おじゃ麻呂さんの矢は、あの方に刺さりまちた」と、指差すキューピッド。
「まさか、麿の相手も、女子高生ではおじゃらぬよね」と、おじゃ麻呂。
「ああ、デビ郎もいいけれど、立ち烏帽子に狩衣のお公家さんが、モーレツに恋しいわ」と、バラリランがセクシーに身もだえはじめてしまった。
「これじゃ、デビ郎殿と、三角関係に陥ってしまうでおじゃろうが……」と、おじゃ麻呂。
「ムッシュおじゃ麻呂。私たちは、もうとっくに別れていますので、なんならお付き合いしてあげてください」と、厄介払いができると思ったデビ郎。

「いやー、申し訳ないでちゅ。最近出会い系サイトが盛んになってしまって、私の仕事も減ってちまい、弓矢の腕も落ちてちまったんでちゅよ」と、他人事のようなキューピッド。
「冗談じゃないでおじゃる。どうにかしてほしいでおじゃるよ」と、キューピッドに詰め寄るおじゃ麻呂。

「大丈夫でちゅ。この縁切りの矢を打てば、元に戻りまちゅよ」とキューピッド。
「ちょっと待ってください。弓矢の腕が落ちた状態で、その縁切りの矢を射掛けて、もしマドモアゼル雪子に命中したら、私とマドモワゼル雪子の縁が切れてしまうではないですか」とデビ郎。
「そうです。ヘタに射掛けて、花子さんと別れることになるなんてまっぴらです」と源米。
「月子姫と縁切りになるなんて、まさに、泣きっ面に蜂でおじゃる」と、おじゃ麻呂。

「では、良い解決方法を、アテネさまに聞いてみましょう。(おもむろに携帯電話を取り出し、メモリーで呼び出し)、あ、アテネさま。ご無沙汰しています、門跡です。実は、キューピッドさまがですね……え、キューピッドさまは、自分の隣で仮○ライダーを観てる?んなバカな、じゃあ、ここにいるのは誰?」と門跡。
「ホーホホホ、ようやく気が付いたようね。私は、頼まれもしないのに、お見合いを世話するクソババアの想念が凝り固まって生まれた妖怪世話焼きバアアよ」と、キューピッドの姿から、口うるさそうな壮年のオバサン姿の正体を現す。

「え?私が、呼び出す呪文を間違えて、キューピッドさまに化けた妖怪を呼び出した?」と、携帯でアテネに諭され、あわてて古文書を読み返す門跡。
「ちょっと、あなたたち、いい加減にしなさい!」と、デビ郎、おじゃ麻呂、源米の背後に立ち、きつい視線をおくる雪子、月子、花子。
「あ…」とデビ郎。「いや…」と、おじゃ麻呂。「これは…」と源米。
そして、門跡に悟られないように、「雪!」「月!」「花!」のアクション。「シュシュトリアン!」と3つの携帯電話を合わせ、琵琶の音とともにシュシュトリアンに変身。

「乙女盛りに命をかけて」と雪子。
「風に逆らう三姉妹」と月子。
「花と散ろうか咲かせよか」と花子。
「有言実行シスターズ、シュシュトリアン」と、決めのポーズ。妖怪世話焼きバアアの前に現れる三姉妹。
(続く)

第42話「理想の花婿大作戦」・3/5 ―縁結びの第一人者登場!― 

December 08 [Thu], 2011, 23:59
「あ、来たでおじゃるよ」と、明日香学園大学付属高校の通学路の物陰から声を発するおじゃ麻呂。
 そこには、おじゃ麻呂だけでなく、デビ郎、源米、門跡も、団子のように固まっている。
 その視線の先には、雪子、月子、花子が歩いてくる。朝の登校している様子をうかがっているのである。

 シルクハットにマント(デビ郎)、立ち烏帽子に狩衣(おじゃ麻呂)、白衣に背中のバッテリー(源米)、トレジャーハンターのような探検隊の制服(門跡)姿の、オッサン4人が、物陰に隠れて、学生の登校風景を見つめているのは、あまりにも異様である。
 変態コスプレ集団が、女子高生を狙っているようにも見られるが、声をかけられると「あ、バラエティ番組の撮影なんです。いま、隠しカメラで遠方から撮影していますので、恐れ入りますが、離れていただけますか」と、飲み屋で使う言い訳と同じようなフレーズで、人払いしている。

「なーるほど、あの三姉妹が、みなさんのお目当てなんですね。こりゃ、夢中になるのも無理はないくらいの美形だなあ」と、雪子たちを見て感心する門跡。
 以前シュシュトリアンには会っている(第37話)が、雪子、月子、花子の正体が、シュシュトリアンであることを知らないのである。
「ちょっと、博士。へんな興味を持たないでほしいでおじゃるよ。特に、月子姫には」と、釘を刺すおじゃ麻呂。

「しかし、ムッシュ門跡。先日見せていただいた、理想の相手を映し出す水晶玉なんですが、ホントに正しく機能しているんでしょうかね」と、雪子が映らず、元カノのバラリランが映ったことに、納得がいかないデビ郎。
「もちろん。然るべき人が心をこめてお作りなった、由緒正しい水晶玉です」と門跡。
「その、然るべき人って誰ですか?」と源米。
「アテネさまです」と門跡。
「ええ?アテネさま??」と、素っ頓狂な声をあげるデビ郎、おじゃ麻呂、源米。

「アテネさまって、オリンポス12神の一人の、戦いの女神ですよね」とデビ郎。
「恋愛や縁結びの女神さまではないでおじゃるよね。まとめるよりも、ある意味、ぶち壊すほうが得意そうでおじゃるよね」と、おじゃ麻呂。
「要するに、畑違いなのではないでしょうか」と源米。

「いえいえ。アテネさまは、男嫌いで通っているので、その分、冷静に客観的に、異性を見極めることができるのです」と門跡。アテネを呼び出した本人であるだけに(第37話参照)、アテネ関連の情報はたくさん持っている。
 これは、美の女神・ヴィーナスに対する対抗心が、こういうアイテムを作り上げたといっても過言ではない。
「ヴィーナスの奴って、すぐ全裸になるでしょ。あれって反則よ」というのがアテネの言い分で、あの美しさのまま、すぐ裸になるため、神々だけはもちろん、人間においても、ヴィーナスファンが多いのは、当然なのである。
 しかし、アテネにしてみれば、見た目の美しさでいったら、ヴィーナスにまったくひけをとらないと自負しているが、それにも拘わらず、“全裸攻撃”などという反則技を使われては、おおよそ勝ち目がないため、いっつもおいしいところをヴィーナスに持っていかれていたのである。

「ああいうエロに走る風潮をなくし、恋愛は冷静に客観的に相手を見つめるべき」とアテネは主張し、自分がいかに公正無私に異性の是非を判断できるか、それを証明するために、あの水晶玉を作ったのである。
「ですから、いわば信頼のブランドなんです。マニュアルの裏表紙にも、『恋にお悩みのみなさん、この水晶玉を推奨するわ。ホーホホホ、いいのよ笑って』と書いてあります」と門跡。

「しかし、ムッシュ門跡。それは、あくまで理論上の相性であるとおっしゃっていましたよね」とデビ郎。
「そう、理論は理論、実践は実践でおじゃるよ」と、おじゃ麻呂。
「本当に愛する人は、方程式などでは導き出せないんですよ」と源米。
「分かっています、分かっています。そのために、今回は、縁結びの第一人者にご登場いただきます。この方です!」と、門跡が手を差し伸べる先に、一陣の光とともに、人影が浮かんでくる。

 そこには、背中に羽を生やし、弓矢をもった全裸の男の赤ちゃんが浮かんでいる。
「おお、あなたは!」とデビ郎。
「まぎれもない!縁結びの第一人者である!」と、おじゃ麻呂。
「キューピッドさまではないですか!」と源米。

「門跡博士からお窺いちまちた。みなちゃまの願いを叶えるべく、この恋の矢で、見事にお嬢様たちのハートを、射抜いてご覧にいれまちゅ」と、赤ちゃん言葉のキューピッド。
「その前に、せめて下半身ぐらいは隠してください」と、パンツを差し出す門跡。
(続く)

第42話「理想の花婿大作戦」・2/5 ―男(おのこ)もすなる恋占い― 

December 07 [Wed], 2011, 23:59
「ムッシュ門跡。博士のお力で、私たちの願いをかなえてください」とデビ郎。
「博士のお知恵にすがれば、必ずや満願成就となるでおじゃりましょう」と、おじゃ麻呂。
「もはや、科学の力では手に負えないんです」と源米。

「お三人のお気持ちは、痛いほど、わかりました。私でお役に立てるのであれば、全力であたります」と、国立考古学研究所主任研究員の門跡三郎(もんぜきさぶろう)博士。
 考古学の第一人者であり、地球挺身隊の開発部長である石橋圭子部長とは、幼馴染である(第37話参照)。細身で、天然ウエーブの髪に口ひげを蓄えており、アメリカのホットドッグ屋のオヤジが、白衣を着たような格好である。

 デビ郎と、おじゃ麻呂と、源米は、それぞれが恋い焦がれている雪子、月子、花子と、なんとか添い遂げるように、あらゆる手段を講じている。今回は、門跡が持っている考古学の学術品のなかに、恋が成就するアイテムが、たくさんあるというのを聞きつけ、雪子、月子、花子と結ばれることを願って、恋の悩みの相談に来たのである

 まず、門跡は、大きく、そして妖艶な輝きを示す水晶玉を取り出す
「この水晶玉には、理論上、あくまで理論上なのですが、みなさんにふさわしいとされる理想の相手を映し出します。さっそく、やってみましょう」と門跡。
「ならば、わたくしから、お願いします」とデビ郎。

「では、行きますよ」と、水晶玉に怪しげな呪文を唱える門跡。
 そして、ほのかな光を発し、徐々に一人の女性を映し出す。
「出ました!この女性が理想の相手です」と門跡。
 水晶玉には、デビ郎の元カノのバラリラン(第36話参照)が、ウインクして微笑んでいた。

「…………」と、愕然として、動けなくなってしまったデビ郎。
「いやー、モテる男はつらいでおじゃるな」と、笑いをかみ殺しているおじゃ麻呂。
「やっぱり、元々運命の人だったんですよ。この際、収まるところに収まるしかないかもしれませんね」と、他人事の源米。

「では、次に源米さん、まいりましょう」と、水晶玉に呪文をぶつける門跡。
 水晶玉には、石橋部長が、投げキッスをして、映っていた。
「…………」と、デビ郎同様に、フリーズした源米。
「わーーっははっははは。これ、バシ子(石橋部長のこと)じゃないですか。いや〜、源米さんとバシ子がねぇ…。そーか、そーか、いや〜、お似合いだと思いますよ。わーーっははっ」と、相当面白がっている門跡。
「やっぱり、あの時の出会い(第24話、第33話参照)は、運命の出会いだったんでしょうなあ」と、したり顔で微笑むデビ郎。
「なんといっても、“白衣の騎士”でおじゃるからなあ。ピンチを助けてくれる男(おのこ)に、おなごは弱いでおじゃるからなあ」と、恋の一般論を適当に展開するおじゃ麻呂。

「では、最後に、おじゃ麻呂さん」と、水晶玉に呪文をぶつける門跡。
「ホーホホホ、麿の場合、お二人と違って、身辺は極めてきれいでおじゃるから、なんの問題もなく、月子姫が映るでおじゃるよ。ホーホホホ」と、勝ち誇ったような態度のおじゃ麻呂。
 しかし、水晶玉に映ったのは、月子ではなく、母・恵が、髪をかきあげ、セクシーポーズで流し目をおくっていた。

 おじゃ麻呂は、フリーズするどころか、ギャグマンガのなかで見られる卒倒シーンのように、足を真上にあげて、倒れた。
「いやー、まさか、熟女キラーとは。しかし、意外な人が登場しましたね」と、笑いをこらえて、小鼻が膨らみっぱなしのデビ郎。
「お願いしますよ、フリ(デビ郎)・フリ(源米)・オチ(おじゃ麻呂)と、コントをやっているワケじゃないんですから」と、恵の登場で、なかなかうまいオチがついたと、感心している源米。

 しかし、デビ郎も、おじゃ麻呂も、源米も、「ひょっとしたら…」という結果(デビ郎と源米)と、あまりにも突拍子もない結果(おじゃ麻呂)に、打ちひしがれてしまった。
「なーに、みなさん。これはあくまで、理論上ふさわしいとされる理想の相手でありまして、この人以外に結婚相手はいない、なんてことはないんです」と門跡。
「当たり前でおじゃる。恵さんには英三郎さんという伴侶がいるのに、なんで人の妻を私が…。しかも、オバハン…、ありえない…」と、おじゃ麻呂。

「そこで、とっておきの手を実行に移します」と門跡。
「とっておきの手?」とデビ郎。
「なーに、単純ですよ。要するに、縁結びの神様を呼び出せばいいんです」と門跡。
「それ!それを先に言って下さい」と源米。
「ホント、もう、神におすがりするしか手はないでおじゃる」と、おじゃ麻呂。
(続く)

第42話「理想の花婿大作戦」・1/5 ―あんな“息子”がほしい― 

December 06 [Tue], 2011, 23:59
 飛鳥学園大学付属高校の古文教師・山吹雪子、音楽教師・山吹月子、体育教師・山吹花子は、長姉の雪子、次姉の月子、末妹の花子の三姉妹であるが、その正体は、酉年の平和と幸福を願う有言実行三姉妹シュシュトリアンである。

 三姉妹には、それぞれに私設ボディーガードがいる。
 雪子には、愛する雪子を守るために天使に戻ることを止め、「あなただけの天使になります」と誓って雪子のボディーガードになった悪魔・デビ郎がいる(第9話、第18話、第30話、第36話参照)。
 黒のタキシードにマント、シルクハットに白い手袋。ダイヤモンドの握りを組み込んだステッキを小脇に抱え、『悪○くん』に出てくるメ○ィストそっくりの出で立ちであるが、谷○章介を若くしたようなイケメンでもある。

 月子には、千年もの間、月子に出会うためにこの世をさまよい、愛する月子のボディーガードになった幽霊剣士・おじゃ麻呂がいる(第12話、第21話、第30話、第39話参照)。
 立ち烏帽子に、狩衣をまとい、破邪の剣という太刀を携えた公家の剣士で、堺○人を若くしたような、笑顔が印象的なイケメンである。現代風のメイクを意識しており、白塗りとお歯黒は施してはいない。「気持ち悪い!」と、月子に嫌われたくないからである

 花子には、思い込みで妖怪退治をしてきたことを、花子にビンタ一発で諭され、同時に一目ぼれしてしまい、愛する花子のボディガードになった科学仙人・平賀源米がいる(第15話、第24話、第30話、第33話)。
 ヨレヨレの白衣を着た研究者の姿をしているが、沢村○樹似のイケメンでもある。寝癖頭に無精ヒゲ、両手には光線銃らしきものを携え、背中にはバッテリーを思わせる装置をリュックサックのように背負っている。

「ねえ、知っている?デビ郎と、おじゃ麻呂と、源米の3人で、しょっちゅう飲み歩いていること」と雪子。
「知っているわよ。この間も、駅前の居酒屋に、3人がいるのを見たもん」と花子。
「しかも、あのカッコで飲んでいるのよ。コスプレマニアにしか見えないわ」と月子。

 3人が飲むときは、いつもの恰好のままである。
 当然、周りは訝しい視線をおくるが、「あ、そこで、バラエティの撮影をやってまして、その衣装のまま、飲みにきちゃったんですよ」と説明するもんだから、ああそうなのかと、周りは納得してしまう。
 コスプレしたイケメン3人が飲んでいるため、それほど有名ではないものの、芸能人に違いないと、サインを求められることもある。

 そんな、デビ郎と、おじゃ麻呂と、源米は、意外にも実に仲が良い。
 まず、それぞれの“お目当て”が違うので、恋のライバルになりえることがない。
 さらに、“お目当て”の他の姉妹にも、好印象を与えておくことにも余念がない。
 それは、「デビ郎ってステキよ」「おじゃ麻呂っていい男ね」「源米ってカッコいいわ」と、それぞれの“お目当て”に対してアシストしてくれることが期待しているからである。その連携についても、デビ郎と、おじゃ麻呂と、源米は、常に相談を繰り返している。

「しかもね。うちのお父さんとお母さんにも接近して、ゴマを擂っているのよ」と月子。
「今日も、お父さんとお母さんを交えて、駅前のカラオケボックスに行ってるわ」と花子。
「5人して、いったいどんな歌を歌っているのよ」と雪子。
 デビ郎は意外にも演歌、おじゃ麻呂は意外にも洋楽、源米はオタクらしくアニソンを専らとしているが、雪子たちの父・英三郎と母・恵を交えて歌うときは、昭和歌謡が主体となる。GSやフォークソング、ムード歌謡などを、みんなで熱唱しているのである。

「ほらほら。ウワサをすれば、帰ってきたわ…」と、ほろ酔い加減で帰宅した英三郎と恵の様子を見た花子。
「いやー、デビ郎くんも、おじゃ麻呂くんも、源米くんも、実に爽やかな好青年だな〜」と、上機嫌の英三郎。
「それに3人ともイケメンよね。あの3人が、一日も早く、私たちの“息子”になってくれることを願っているわ」と、こちらも上機嫌な恵。
「はぁぁぁ?息子ーーー????」と、きつい調子で声を張り上げる雪子、月子、花子。

「お前たちも、年頃だし、あんなステキな彼氏がいるんだから、決断するときかもしれないなあ。あのコスプレが玉に瑕だけどな」と英三郎。
「ちょっと、お父さん。彼氏なんかじゃないんですけど」と雪子。
「やだ、照れなくてもいいじゃない。ホント、私が若かったら、3人まとめて付き合っちゃうわ。ホホホホ」と恵。
「別に、照れてなんかいないわよ。まったくもう、洗脳されちゃって」と月子。
「いやー、お前たちにはもったいないくらいの良い男だよ。それじゃ、おやすみ」と、寝室に上がる英三郎と恵。
「アイツら、いったい、お父さんたちに何を吹き込んだのかしら。後で、とっちめてやるわ」と花子。頷く雪子、月子。
(続く)
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テレビ局、プロダクション、制作会社、スポンサー関係のみなさま。こんな感じで、平成29年の酉年に本当の『シュシュトリアン・リターンズ』をつくってもらえませんでしょうか。そんな願いをこめてノベリングします。
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