第22話 「涙の思い」 

September 26 [Wed], 2012, 12:38
第22話 「涙の思い」




私は故郷の王国に来ていた。

軍服を身にまとうリクと出会い、

国王に会うために、

仮の場所へと向かう…。


・リク・
「ここが…仮の場所です…。」


あれから、数時間という時が経った。

リクに案内されて来た。

王国とは全く違った。

一つの町が…

そこにはあった…。

しかもそれは、

以前訪れた『死の町』だった。


・あさな・
「うそ…仮の場所って、死の町のことだったの…?」


・リク・
「外の人達からは、そう呼ばれています。」


死の町なんかに、

国王は本当にいるのだろうか…。


・リク・
「国王様はこちらにおられますよ」


リクに案内され、そのまま付いて行く。


・シリウス・
「あれっ…あさなちゃんじゃないか!!」


・あさな・
「し、シリウスさん!また配達に?」


・シリウス・
「あぁ、まあな!」


元気そうにしていて、

よかった〜

シリウスさんの顔をみて、

少し警戒心が解けた。


・リク・
「こっちですよ〜!」


・あさな・
「あ、今行きます!!それじゃ、シリウスさん…」


・シリウス・
「また、人探しか?」


・あさな・
「まあ、そんなとこです…。では、失礼します!」


シリウスさんに一礼し、リクのもとへと向かう。


・リク・
「お知り合いの方ですか?」


・あさな・
「うん、まあね〜」


会えてよかった…

少しどんよりしていた私の心は、解れた…

シリウスさんに、感謝、感謝!!


しばらくして、

国王がいると思われる家に着いた。

小さなお城みたい…

やっぱり、国王だもんねぇ…。

そりゃあ、普通の民家になんか住んでたら、色んな人に怒られるよね…。


リクと同じ軍服を着た人達が、

門番としてか、出入り口にいる。


・門番の男・
「お、リクじゃねぇか!」


リクのことを知っているのか、リクに近づいてきた。


・リク・
「どうも、こんにちわです!今日は、国王様にお客様をお連れ致しました。」


・門番の男・
「へぇ…国王様にお客ねぇ〜。めずらしいなぁ…んま、通って結構!」


門番の男は、

私のことを見るなり、すぐに通してくれた。


リクに案内されるまま、

国王が使っている部屋の前に着いた。

ガチャリ…

と、ドアを開けて、入っていく…。


・リク・
「どうぞ、お入り下さい。」


中に入って行くと、

国王と思われる男が、

椅子に腰を掛けていた。


・国王・
「あぁ…あなたがお客さんですか…。」


・あさな・
「初めまして…。」


・リク・
「それでは、私はこれにて失礼致します。」


国王に一礼をして、

リクは部屋を出て行った。


・あさな・
「随分と、警戒心が薄いんですね…。」


・国王・
「もう、私は生きたくないのだ…。この方が、逆に落ち着くのでな…。」


国王は心の病に罹っていると聞いたが、そうは見えなかった…。


・国王・
「私は、最愛の妻とたった一人の娘を失った…。こんな人生など、もう充分じゃよ…。今まで普通に過ごしていた者達は、この町が変わって行ってから、出て行ってしまった…。」


・あさな・
「でも、それは自業自得ですよね…?」


・国王・
「あぁ、それは分かっているのだよ…。」


・あさな・
「分かっているのなら、どうして変えたいと思わないのですか!?変えようと動かないのですか!?」


国王は黙ってしまった…。

本当は変えなければならない。

それは分かっているはず…。

なのに、国王は動かない…


・国王・
「私には、もう…国王としている資格がない…。」


・ワタル・
「国王様、以前仰られていた薬をお持ち致しました。」


この声は、お父様…であろうか?


お父様は中に入り、

国王に持って来たものを渡した。

その包みを国王が開いた。

その中には、毒薬が入っていた。

薬草に詳しい私にとって、

それが強力なものだと、

すぐに分かった。


・国王・
「あぁ…ありがとう…。これで楽になれる…。」


・ワタル・
「はい…。」


国王は、そばにあった水を持って、

その中に先ほどの毒薬を入れた。

『パシッ…』

っと、コップを叩いた音と

『パリンッ…』

っと、コップが割れる音……


・あさな・
「何が楽になれる、よ!!

ふざけんじゃないわよ!

私は…ずっと…

あなたに会いたかったのに…。

あなたはそうして死ねていいかもしれない。

でもね……

その後に残される者の気持ちは、

あんたが一番よく知っているでしょう!?

あんたがイヤと言うほど、

死にたいと思うほど、

苦しく辛いものだって知っているでしょう!?

どうして……

どうしてよ……

何でみんな置いて行くのよ…。

何で私だけなの…

どうしてよ!!」


国王もお父様も、ただ黙って聴いていた。

だが、次第に国王の瞳からは、涙が溢れていった。


・あさな・
「泣きたいのはこっちよ…

もし私が国民だったら、

あんたが立ち直ってくれるのを待つわ!」


ガラスの割れる音に、

大勢の人たちが中へ入ってくる。


・ルーク・
「一体何の騒ぎだ!」


ルークだけじゃない、

シリウスさんやナイル…

その他にも、大勢の人がそこにいた。


・あさな・
「うるさい、あんた達は黙ってろ!!」



私の言葉に、

その場にいる者達は、静まった。


・あさな・
「自分が今一番分かってるくせに、

あんたの娘が、同じ痛みを…

同じ苦しみを…

胸に抱いてもいいの!?

それでいて、親であるあんたは、

平気でいられるの!?

そんなこと、親であるあんたがすることじゃない!

自身が無いからなによ!!

それならそれで、誰かに助けを求めればいいじゃない!!

あんたが自分で言ったでしょ?!

『私には、もう…国王としている資格がない…』

そう言ったのは誰よ!!

国王じゃないんなら、

国王である前にあんたは人でしょ!!

人として考えるぐらい、したらどうなの!?

失った、失ったって…

あんた自身が探そうとしてないじゃない!!

まだあんたの娘は、

『行方不明』ってだけで

生きているかもしれないのに!

自分で自分の

希望の根を摘んでどうするの!?

そんなの、

娘である…私が……

許すはず…ないじゃない…」


・国王・
「え………」


・あさな・
「離れ離れになったのは、

とっくの昔だけど、

それでも、記憶が無くたって

心のどこかに存在していたものを、

私の生きる希望であったものを、

あんたの勝手なその思いで、

消さないでよ!!

勝手なことしないでよ!!

私の人生を狂わせる気なの?!

ずっと…

この世界に来てから…

育ての両親が火焙りで殺されたり…

色んな…思い出したくもないことを

思い出して……

苦しくて苦しくて仕方が無かった…

でもね、私には……

『本当の両親がいる』

って言う、ほんの僅かな希望だってあったの!

それを勝手に無くされたら、

見知らぬこの世界で、

私はどうしたらいいのよ!!!」


涙でボロボロになりながらも、

私は今のこの思いを伝える…

死んでほしくなんかない…。

生きてほしいから、伝えないと…

今の、私の、この思いを…!!


・あさな・
「っ……はぁ…はぁ…はぁ……。

私が今、あんたに…

国王様に…

パパに伝えたいのは、

死んでなんかほしくない!!!

それだけだよぅ………。

どんなことがあっても…

どんな理由があっても…

どんなに辛くて苦しくて死にたくても!

絶対に、勝手に死なないで!!!


言い終えて、少しだけ…

ほっとした…。

不謹慎ではあるけれど、

でもね……

ちゃんと思っていることを言えて、

嬉しかったんだ…

ただそれだけでも、

私にとっては、大切だったから…

これでいい…これで…。


・国王・
「お前…まさか…

あさな…なのか?」


・あさな・
「うん!」




一杯泣いて、一杯笑って…

この時は本当に嬉しかったな…。

私はもう、

元には戻れないと思う。

それでも、必死になって

生きたら、勝てるかな?

勝てたら…

また、笑えるかな…?

今の私には、

許されないことであったとしても…

いつかは、

そうできる日が来るといいな…

そうすれば………

今度こそ!

大切な家族と…

何よりも大切で

何にも変えられない時間を…

過ごせるのにな…。


『そんな日が…

早いうちに、訪れますように…』

っと、願いを込めて…

私は永遠に待つ…。


たとえ、パパがその時にいなくても…

時人なのだ…

時を遡ればいいだけの話し…。


だから、お願い………

私の…生きる希望を…

摘み取らないで……


心の底から、そう願います。








次回に続く・・・
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いつもパソコンもやってるけど・・・。

最近つまんないから、ブログやってみる事にした。(^O^)アハハハ
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