ボックス席の平和 

December 22 [Sat], 2007, 20:42
3人と1台の旅は
ずっと続くと
思っていた。



ボックス席の平和



戦後80年。
忌々しい戦争から80年。
メンドくさい80年だった。
教会兵に追われ、ほとんどの仲間が殺された。
同い年だった子、戦友、そして私を本当の娘のようにしてくれた
かつての上官、ユド。
悲しい現実。

「凛、どうしたの?」
『ぇ、ぁー、なんでもない。』
「ホントに大丈夫?」
『大丈夫。』

今は、キーリとハーヴェイ、兵長と汽車で旅をしている。
私は、汽車のボックス席の進行方向の反対側。
キーリの隣。
ハーヴェイの前の席。

『キーリ・・・ハーヴェイ、兵長。』
「なに?」
「なんだ。」
「・・・なに?」
『呼んだだけ。』
「なんだぁ・・・。」

ハーヴェイは露骨にいやな顔をして、明後日の方向に目線をやった。
キーリは意外な驚いたような顔をしている。
ラジオからはゲリラ局のロックが
このボックス席だけに聞こえるように
平和に流れていた。

□Sunshine・・・4 

December 09 [Sun], 2007, 16:43
「今日は皆さんにお知らせがあります」

朝のHR。担任の教師が一日の予定を告げる。
私はぽかぽか太陽が暖かな窓際で船を漕いでいた。
担任の声は右から左へ。お昼はどうしようかな、なんて早くも考えていた…その時。

「〜…の代理の先生です」
「?」




                                           扉を開け教室に踏み入れた、



「Hey students,」         



                                             長身で、綺麗な顔立ちの、



「I'm glad to meet you!」 



                                                右目を眼帯で覆った、



「半年間、宜しくな」  



                                                     その、ひとは。



 



 



                   



                      『after a long time』





素早く動いた口は、明らかに私に向けられたもの。
隠すことなく晒したあのうつくしい眼帯が、日の光を受けて綺羅綺羅、耀いていた。

□Sunshine・・・3 

December 09 [Sun], 2007, 16:41
「あ、あい、」
「Ha?」


「…あいらいくゆー、おーるざべたーふぉー、ゆあふぉるつ…っ! 」


「…お前………、それ、」
「…〜;」
「…発音目ッ茶苦茶!」

伊達さんはくつくつと破顔している。私はほっと溜め息を吐いた。
(良かった…恥ずかしかったけど)
英文の内容は兎も角(だって直すだけの英語力無いんだもの)、伊達さんに笑ってもらえたから。

「Ah…嬉しい事言ってくれるじゃねえか?」

意味は解ってるよな。隻眼の左眼がぎらり、眼光を増した気がする。

「いや、その」
「手本みせてやるよ…」
「っあ、」


"I love you all the better for your faults,too."


耳に吹き込まれる低い声に、ぞくぞく。
背筋が粟立つ感覚がする。

「…次からはこうやれよ?」
「え、あの、伊達さ」
「Hey!休憩は終わりだ。凛、textを開きな」
「は、はひっ!?」


その日だった。
伊達さんは別れ際、こう、告げた。

「凛、悪ィな。もう此所で英語教えてやれねぇ」
「…そう、ですか…」

いつか、そんな日も来るだろうと思っていた。伊達さんにも色々あるだろうし、私を今まで教えてくれたのもただの気紛れ、だろうし。
それでもとても、有り難かった。そして凄く、楽しかった。

「Sorry...」
「いえ!…I was very glad. 」
「Oh.言うようになったじゃねェか」

柔らかく笑って、伊達さんの骨張った大きな手が、頭に伸びる。くしゃりと撫でられながら、少し。
少しだけ、涙が出た。

□Sunshine・・・2 

December 09 [Sun], 2007, 16:39
「伊達さんっ!」
「遅ェぞ凛」

相変わらずミスドの一角。隅っこの方で伊達さんは待っていた。

「始めるか…今日は何処だ?」
「えと、接続詞、です」
「Okay.noteを開きな」


あの日「全くもって分かりません…」と涙ながらに告白した私に、伊達さんは目を丸くして溜め息を吐いて。

「Understand!分かるまで教えてやろうじゃねえの」

そう言って微笑んでくれた。
以来、ことあるごとに伊達さんはこのミスドで英語を教えてくれる。その理由は…聞いてもいつも濁されてしまう。
伊達政宗、という名前以外知らないけれど、伊達さんは決して悪い人じゃない…筈。
(だって、)
ちらっと、気付かれないように、こっそり。伊達さんの横顔を盗み見る。

すっと通った鼻筋。
薄く吊上がった唇。
切れ長で涼しい眼。

(はぁ…溜め息が出るよ)
何処をどう取ったって、紛れもない美形さんなのだ。隣りに座っているのが私なんて、甚だしく似合わない。
事実、店内の女の人達の目はちらちらとこちらを見てる。伊達さんはそれを嫌がって、店の奥を選んで座ってるのかもしれない。

最初はそりゃあ、警戒もした。強請りたかりか、ナンパかとも思った。
でも、こんな子供をナンパしなくても逆ナンされてそうな美形さんだし、身に着けているのも良く分からないけど高級そうなものばかり。
(ただ物好きなだけか…)
不安は拭えなかったけど、本気で切羽詰まっていた私はそう思って素直に習うことにしたのだ。


「…で、ココは……おい凛?聞いてんのか?」
「Σっひゃい!?」
「ったく仕方ねえな…ちょっと休むか?」
「お、お願いします…」


まさか伊達さんに見とれてましたなんて言えないから、私は適当にお茶を濁した。


「伊達さんって…」
「An?」
「鬼太郎みたい」
「ブッ!?何だよそりゃあ…」

そう言うと、飲んでいたコーヒーに噎せながら伊達さんは目を白黒させた。

「だって片っぽ、目隠してるじゃないですか?」

右目、と自分も同じように髪を目に掛けると、Aaと納得したように頷いた。
伊達さんの右目は、長い前髪でしっかり覆われてしまっているのだ。なんとなし、その下が知りたいのは単なる好奇心。

「見てェのか」
「…ちょっとだけ」
「Hmm...」

うずうずとした視線を向けると、伊達さんは顎に手をやり考え込む素振りを見せる。

「別に隠してる訳じゃねェからな…いいぜ」

驚くんじゃねぇぞ?悪戯っぽく笑う。
ちょいちょいと長い指に招かれるまま顔を寄せると、伊達さんは垂らされた厚い前髪をさらりとかき上げてみせた。

「…わ、」

黒くて円い、凝った細工のされた眼帯がそこに、あった。
(きれい、)
何よりもそう思った。伊達さんに似合ってる。

「さ、触ってもいいですか…?」
「An?…あぁ、構わねェけど」

少し驚いたように、けれど許可されたので、その目を覆うものに恐る恐る触れてみる。
ごつごつした細工。何で出来ているのか、その表面は冷たかった。

「…お前、気味悪くねェの?」
「え、眼帯がですか?私もものもらい出来た時しましたけど」
「あっそう…」

拍子抜けした声をさして気にも止めず、するすると指先を滑らせていると、不意に髪が降ろされた。

「あっ」
「見せモンじゃねえよ」
「ちぇー…綺麗だったのに」

すると隻眼がはた、と瞬いた。

「綺麗?」
「うん。伊達さんに良く似合ってます。何で隠しちゃうんですか?」
「………この下、な」
「はい?」

穴空いてんだよ。

言われた事が良く分からず首を傾けると、腕が伸びて来て私の手を掴んだ。
誘われるままに指を取られ、再びその眼帯に、触れる。
その覆う、眼窩に、差し込まれる。

「っ!?」
「 Do you undrestand ? 」

そこに在る筈の眼球は無く、乾いた空間に、指が触れた。
解ったか、と笑う顔が何だか、悲しかった。

「…う、分かり、ました…」
「気味悪ィだろ」
「そんな!」
「無理すんなって」
「無理してないっ!その…っ」
「別に気味悪がられても怒んねェって。慣れてるし」
「っ…だから、」

自嘲気味に笑う顔は痛々しく、何か慰めてあげたいのだけど。
(ああ、ああ、言い言葉が見つからない!)
困って落とした目線の先に、それは、
(…あった!)

■Sunshine・・・1 

December 09 [Sun], 2007, 16:37
「お…終わんない……」



絶望的なページ数に、思わずそう漏れた。



もう何回目のおかわりだろう、ミスドのカフェオレを啜りながら問題集を睨む。何杯飲んでも無料なのはいいが、そろそろ飽きてきた。店員さんも呆れたのか回ってこないし、これ飲んだら諦めて店を出よう。そう思っていた。
自慢にもならないけど、私は英語が大の苦手。

不可算名詞?
二重否定?
仮定法過去!?

(くそくらえ!)

私には眠くなる魔法の呪文にしか見えないよ!

「はぁ...」

本日十何度目かの溜め息を吐いた時、隣りの席ががたりと鳴った。
店を見回せば殆どの席は埋まっていて、私の参考書やノートが隣りまで侵蝕しているのに気付いて慌てて片付けた。

「あ、すみません…」

もう潮時だろう。家でやろうかな…。
考えながら問題集を閉じようとすると、隣りから伸びた手がそれを阻んだ。


「Stop.」


(え!?)

それは骨張った大きな手。元を辿れば、綺麗な男の人が居た。
そう言えば、この人も私と同じ位居座ってたっけ…。

「諦めんなよhoney」
「は、はにー…?」
「分かんねぇンだろ?」

その人は長い指でとんとんと問題集を叩く。何がなんだか分からないながら私が頷けば、彼は満足そうににやりと笑んだ。

「だったら教えてやるよ」





■Sunshine・・・1



それが始まりだった。

嘘だった 

September 02 [Sun], 2007, 16:10
キィキィと鳴く声で目が覚めた、まだ朝は早く少し冷たい空気と静寂が満ちている。

キィ、ともう一鳴きした鷹は肩に止まり嘴を頬に擦り寄せた。

その足から紙を取り外す、広げてみればたった一言。


『生きて戻る』


うん、と頷く、そしてそのまま文を抱き締めた。


「……………っ」


キィ、と不満げに鳴いた鷹に苦笑が浮かぶ。

すぐに餌を用意してやればゆっくりとゆっくりと食べ始めた。


「政宗、元気かなぁ……?」


呟く。

政宗は出陣したきり帰ってこない、ただ文を出せば必ず返してくれている。

それが政宗と私を結ぶただ一つの線だった。

まだ残る月を見上げる、薄く残った月に政宗と共に輝くものを見て少し笑った。

ゆっくりと目を瞑る、何かが頬を伝うのを気付かないふりをして。


「政宗……、」


呟けばまだ残っていた鷹が飛び立つ、その姿に慌てて料紙を用意した。

筆に墨を含ませ、ゆっくりとまた一言だけ書く。


『おかえりが言いたい』


鷹は片足を突き出し、文を付けるのを待ち続けている。

文を足に結び終わり、また一つ餌を与える。

キィ、と満足げに鳴いた鷹を見送り、そのままズルズルと座り込んだ。


「…う……」


本当は、知っていた。

これが優しい優しい偽りだと。

薄れゆく意識の中で一つの文を握り抱き締める、その時バサバサと羽音が聞こえた。

顔を上げれば見慣れた鷹がいて、けれどどこか違っていて。

完全に意識が消える前に違和感の原因に気付く。

あの鷹は、最後にきた鷹は、右目を怪我していた。


「――………」


ふと、優しい体温が体を包んだ気がした。










政宗様の御正室、梨麻様からの文が帰らない、違和感を覚えて屋敷に急いで戻ってみれば梨麻様は壁に寄り掛かり眠っていた。

その隣には鷹が羽を休めていて。


「……梨麻、様」


近寄っても何も反応がない、そして胸に抱かれている文を見れば、懐かしい字が踊っていた。


『文送ってくんな、騒がずに待ってろ、必ず迎えに行ってやるから有り難く思え』


苦笑が浮かぶ。

自分の主、政宗様が唯一自分で書いた、最後の文。

辺りには何枚も文が散っている、そのどれもが亡くなってから書いた文。

唯一の文を抱いた梨麻様は、笑んでいた。





嘘だった

いつだってあなたは    1 

August 23 [Thu], 2007, 17:04
こんな日がくると思ってもいなかった。
だってあなたは、天下無敵の奥州筆頭でしょ?



                   いつだってあなたは



あたしは、奥州筆頭伊達政宗の妻。悠里。つい1年前、嫁いできたのだ。
天下統一まであと少し。政宗さんのライバル、真田幸村を倒せばいいだけだ。
そして今日はその武田へ出陣の日。もう、戻ってこないかもしれないという思いと天下を統一なされて帰ってくるという想いが交差している。

「行ってくる。my honny.」
『行ってらっしゃいませ。』

私は、まともに政宗さんの顔が見れなかった。今までも戦には行って帰ってきた。だけど、戦のたびに私の心は暗くなる。政宗さんが帰ってくるまでの間、過ごし方がわからなくなる。
私は、気がつかなかったが政宗さんは馬の上から私を見ていた。今にも泣き出しそうな私の顔を。

「そんなにlonelyか?all right!!必ず戻ってくる。」
『っ!政宗さんっ!!絶対ですよ!!絶対帰ってきてくださいね!!!』
「Haha!!of coruse!!」

政宗さんは、泣きながらしゃべってる私に笑いながら髪をくしゃくしゃにして戦場に行ってしまったのだった。まだ、このときは起こりうる出来事など知らずに。

2ヶ月しても帰ってこない私は不信感を覚えた。城の皆は数週間前から遽しい。私がなにか聞こうとするとだいたいは口ごもるのだ。

『あの!!な「小十郎様がいらっしゃったぞ!!!」・・!?!?』

今度こそと思い、重臣に口を開きかけたとき、何者かが叫び皆そこにかけよる。私も声が聞こえたほうへ全速力でかけよった。

『っ!!!!ぅ・・そ・・・』

そこに駆け寄ったすべての人が息を呑んだ。あの、あの剣の達人が大怪我をおっていたのだ。いつ死んでもおかしくはなかった。むしろ生きているほうがおかしかった。

『はやく!!早く!!救護を回して!!』
「・・り・・ま・・・・」
『喋らないで!!!』
「ゆう・・りさ・・ま・・・」
『喋らないでっていってるでしょ!』
「まさ・・・むね・・さ・・まの・・・ゆくえ・・・・が・・わ・・・かりま・・・せん・・・」
『えっ?』

時間が止まったかと思った。
そんなまさか、政宗さんの行方がわからない・・・・?

あの日。あの時。この場所で。 

August 21 [Tue], 2007, 14:49
嗚呼、何故。

辛い、苦しい、悲しい、助けて。



あの日。あの時。この場所で。




私の家は代々伊達家を主人としてきた。

現在の当主、伊達政宗様にもだ。

私の父は、政宗様の側近であり軍師でもある片倉小十郎景綱である。

そのせいだろうか。

私と政宗様は幼馴染であった。

小さいときはよく遊んだ。

しかし、政宗様は漢学や仏教など学んでいた。

その教養のよさに政宗様とお話をしていても

たまについていけないときがあった。

その悔しさから父上に頼んだ。

『私も、勉強をしてみたい』と。

父は快く受け入れてくれた。

私が勉強を始めてのは、まだ8つのときだった。

しかし政宗様が勉強をなされたのは5つのときである。

私は、政宗様のことが好きになっていたのである。

勉強すれば政宗様とたくさんお話できる。

そう思っていたのかもしれない。

しかし、政宗様は12歳で結婚してしまった。

私も12歳の頃だ。

お相手は、愛姫という1つ年下の女の子だった。

泣き出しそうだった。

泣きたかった。

大声で。

怒鳴り散らして。

泣きたかった。

そんな私にかまわず父は喜んだ。

母も何も知らなかった。

私の父でしょう。

私の母でしょう。

何故、気がついてくれないの。

その日の夜はずっと父から教えてもらった笛を吹いていた。

泣きながら。

今は、19歳。

私も、政宗様も。

あの日のことを考えると

苦しくて、辛くて。

だから今、政宗様に愛情表現します。

私の手にはキラリ光るものを持って。

精一杯、愛情表現します。

場所は大広間。

あなたとあの子が結婚した場所。

気がついてくれるでしょうか。

あの日から、私の人生が壊れたことを。

わかってくれるでしょうか。

私の気持ちを。

もし、成功したら私も政宗様と共に逝きます。

そうしたら、ずっと一緒ですから。

愛してます。

―政宗様。

今 は も う い な い 君 へ。 

March 16 [Fri], 2007, 17:19
誰か嘘だと言ってよ。

ねぇ、お願い。


『今 は も う い な い 君 へ。』


愛しいあなたの声を

聴くことはできない。

ギュッと抱きしめてもらうことさえも。

数刻前まではいつでもできたのに。

彼からもらったスカイブルーの『指輪』

プレゼントは今思えばこれだけだったよね。

今もはめているよ。2番目に大切なものだから。

1番は、もちろんあなただよ。

あなたがいることであたしはどんなに勇気づけられたでしょう。

あなたがいることであたしはどんなに強くなれたでしょう。

あたしは、あなたにとって大切な人でしたか。

今 は も う い な い 君 へ。

初めの挨拶 

March 11 [Sun], 2007, 19:48
初めまして!!
「水空 雫」です「水空」って書いて「みなそら」と読みますこれからよろしくお願いします
「ブログで小説」ですから読みにくいときもあると思いますがそこらへんはご了承頂けると大変嬉しく思います。
それでは、今日はここまで初めの挨拶としていただきます。
P R
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初めましてここは小説置き場です。趣味は、音楽鑑賞と漫画を読むことです。(決してオタクだはありませんよ?)
水空は別のところで「雫石」と名乗ってブログしております。そのブログではここ(小説置き場)のことは内緒にしております。
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