楽天がなぜ中国で敗退したのか 

June 10 [Sun], 2012, 0:18
【蔡成平/『中国経済新聞』平成24年5月15日第3版に掲載】



日本最大のネットショッピングサイトの楽天は、5月末にパイドゥ(百度)と合資で開設したショッピングモールサイト「楽酷天」を閉鎖すると公表した。これは楽天が中国市場進出で大敗を喫したことを意味している。楽天が中国で敗れた原因は、中国のeコマース業界競争が熾烈を極めていることにあると分析されている。

データによれば、2011年中国のオンライン取引額は8兆元(約100兆円)近くにのぼるが、中国全体で小売品の総額が占める割合はたった3%にすぎない。市場基盤が整備されていない前提でも、中国のeコマースは大きな発展の余地を残している。2011年末現在、中国のeコマース商は15万社を超え、競争は日々激化している。しかし「楽酷天」の失敗はさらに奥が深いもので、その原因を振り返る必要がある。



業界関係者によると、「楽酷天」は成立から現在まで、パイドゥと楽天の折り合いが悪く、常に経営不振やトップ交替というマイナスの情報が伝わってきたという。

2010年設立時に、両社は共同で5,000万ドル出資し、持株はパイドゥが49%、楽天が51%だった。ビジネスモデルは基本的に日本の楽天と同じ方法で、出店者から直接出店リース費とコンサルティングサービス費、広告費用等を受け取るというものだった。京東、淘宝(タオパオ)、凡客(VANCL)、といった中国ベースのeコマース商が突然新しい勢力となってきたなか、楽酷天の市場はなんとか満足できるものだったが、成立2年にしてすでに1億元以上の欠損となっていた。

しかし他の電子商に比較すれば、この欠損は大きいとは言えない。実際、楽天とパイドゥは共に実力があり、楽酷天が中国で敗退した原因は資金面によるものではない。鍵は楽天のローカリゼーションの途中で管理にすれ違いが生じたことにある。さらに楽天側は、電子商は中国式のやり方をすべきでないと考え、市場戦略は保守的であった。



設立したてのころ、楽天は中村晃一氏を楽酷天兼中国楽天のCEOに任命した。中村氏は就任後、日本から管理職を一部連れてくると述べた。事情を知る者によると、楽天は強気に出すぎて楽酷天の管理職を基本的に日本人とし、更に一気に10名のトップ監査役を日本から派遣したという。またこの日本側の運営陣は中国市場を理解しておらず、日本側の管理権が強すぎて管理チェーンが長くなり、その結果ローカリゼーションの権限が制約され、独りよがりの態度でパイドゥ側はやりきれなくなったという。楽酷天のCMOがパイドゥ側の人間であることを除けば、CEO、COO、CTOといった管理職はすべて楽天側の人間で占められていた。表面上は仲が良さそうだが、パイドゥと楽天がコントロール権を争うなかで、深刻な内紛が生じ、プラットフォーム運営の質に影響してきた。

楽天のやり方は日本企業の一貫した社風には適していたのだろう。自動車、電器といった伝統業界では、日系企業がグローバル化した今でもこのような社風をよく見かける。これらの伝統的領域では日系企業は依然として競争の上で優位を誇っている。しかし、電子商、インターネットと言った新興の領域では、すでに時代に合わなくなってきている。報道によれば、中村氏就任後2カ月足らずのうちに、パイドゥは会社内部で楽天プロジェクトの専門責任者であった旭陽氏(パイドゥ市場とコマース拡張副総裁)を米国に派遣し、現場を離れたところで学習させている。この時すでに楽酷天はパイドゥ内部の有力な支持者を失っていたのだ。



去年年末以降、双方のすれ違いは日々深まり、楽天は楽酷天の単独経営を開始した。改編後パイドゥとの関連性を明らかにせず、サイト名も従来の「百度楽天」から「楽酷天商城―日本ナンバーワンのネットモール」に変え、ロゴからも百度の字をはずしてしまった。百付宝の支払いページもなくなった。

パイドゥ側はこれに対して、楽酷天に対する資金とキャッシュフローの支持を停止し、致命的な打撃を与えた。Alexaがランク入りしたことから、楽酷天のランクは大きく下降し、昨年末の5000位前後から一気に10万位近くにまで下がった。楽酷天から撤退した企業によると、すでに楽酷天から資金面の支持を得ることは難しく、基本的に楽酷天が中国で成長する見込みは望めなくなったという。



中国長江商学院項兵院長は筆者の取材を受けた際、「日本企業は、日本自体の力に頼るのでビジネスの可能性に希望がない。日本の国内市場だけでは、10年、15年後、企業は亡びていくだろう。中国市場は最高の救いの手だが、日本企業は中国のビジネスを理解していないところに難がある。提携先はプラットフォームを一から探す必要がある」と述べた。プラットフォームを探す際、相手国の事情に心を開かなければ、日本企業はただつまづくばかりだろう。これこそがまさに楽酷天が中国で敗退した理由である。

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