April 08 [Tue], 2008, 4:00
ある日のこと...
私よりも大きな女の人二人と見知らぬ男の人が寮へやってきた。
先生は広場で遊んでいた私を笑顔で呼んだ。
「圭ちゃん良かったわね!お父さんが迎えに来てくれたのよ。」
...お父さん?って何?
 
 「大きくなったな圭...ほら、行くよ。」
...何処に行くの?誰?
「お姉さん達も一緒で良かったわね。」
...お姉さん?

私は何処かに行くんだってことが分かり泣きじゃくった...
「嫌だ!どこもいかない!!ここに居る〜」

そんな声は届くわけもなくお父さんの車に乗せられ寮を後にした。

数時間後、3階建てのマンションの一室に辿り着く...
嗅ぎなれない匂いで落ち着かない。
3LDKの家。
そわそわと動き回る私に女の人が声を掛ける..
「お前はここに座っとれ」
言われるままに座ってると皆が部屋に集まって自己紹介を始めた。

「お前のお父さん、一番上のお姉ちゃん・春、真ん中の美智、一番下の圭...
やっと家族が揃ったな。」
...家族って何?
突然のことで理解できないけど一つだけ何となく分かったことは寮へは帰れないってことだけ。
怖い...怖い...怖い...

家族が揃ったのに何で怖いと思ったのかはその時の空気で察したのかも知れない...



SAKURA 

January 23 [Wed], 2008, 9:43
最も幼い頃の記憶...

どこかの【○○寮】という施設に居た..4・5才の頃だと思う。
そこでは先生と呼ばれる年配の女性達と数十人の子供が共には共に生活をしていた。

子供達は一つの部屋で毎日お昼寝をさせられた。そんな時、中々寝れない私は壁の溝を指でなぞって遊んでいた。
たまに先生は子供達がちゃんと寝ているか様子を見にやって来る。
それまで起きてた奴は大概寝たふりをするんだけど、私は壁をひたすらなぞってる...
その様子に気付いた先生は私に声を掛けた。
「何で寝ないのか」と聞かれる。
生意気に「寝たくないから寝ないんだ」と答える。
生意気だな。でも、甘えたかっただけなんだ...誰かに。

たまの夕方、大広間で数十人の子達が取り囲む真ん中で踊りの稽古をしていた。
扇子の持ち方が違うだとか肩の抜きがどうの、回り方が汚いだとか注意されながらも踊る..ひたすら踊る...
お稽古の時に必ず観るビデオがあった。
 「ほら、圭ちゃんのお姉ちゃんは上手く踊れているでしょう?」
...お姉ちゃん?誰?
姉妹って存在の意味なんてちっとも分からなかった。
ここ(寮)では私のお姉ちゃんという人はちょっとした有名人だった。
 「圭ちゃんのお姉ちゃんもここ(寮)に居たのよ。」
...会ったこともない人のことを色々言われても分からない。
お稽古がない時にはテレビを見せてもらった。
始めて覚えた歌は赤銅鈴の助。

ある日、歯医者へ行く事になり寮の表に出ることになった。
先生とお出掛けするのがとても嬉しくて、自分には特別な日だった。
きっと小さい子は歯医者なんて大嫌いなんだろうけど、楽しかった..
寮の皆とは違うんだって。
歯医者からの帰り道、ほとんどと言っていいくらい寮の表に出ることはないから見慣れない景色がどれも新鮮だった...
息をするのがもったいなく感じてゆっくり息をした。
寮の敷地へ戻ってきた時に気付いた。
敷地から建物へ向かう途中に大きな木があり、綺麗な花びらが舞い降りてくる。
舞い落ちる花びらと大きな木に見とれていた私に先生が教えてくれた...
 「圭ちゃん、この木はね桜の木っていうのよ。」
...【桜の木】
とても柔らかい花びらを何枚も拾ってポケットに入れた。後で皆に一枚ずつあげよう...

先生と一緒に子供数人がお風呂に入るのが日課で、記憶にあるのは大きなお風呂場とグリーンの湯船、あと先生の垂れたおっぱい。
自分のおっぱいと比べてはホッとしていた。
 「圭ちゃんも大人になったらこうなるんだからね。」
笑いながらそう言われ恐怖を感じていた覚えがある。
大人になった今の自分でさえその心配はなさそうなんだけどね;

寮での日々は楽しくて嬉しくて温かかった...
まるで初めて温かさを知ったかのように。

でも、そんな日々は続かなかった。
私には帰る場所があったから......





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