「栄えある未来と輝かしい過去に手を振って、堕ちていこう」

2011年02月27日(日) 22時30分
──傷つき倒れ、それでもなお、穢れを知ろうとしない貴方の魂こそ、この祭壇に捧げるに相応しい。
──そして今度こそ思い知るがいい。世界には絶望しかないのだと。


 正常な時間軸から切り離された混沌の戦場で、今、一つの戦いに終止符が打たれた。
 まさに乾坤一擲、全身全霊を込めて放たれた一撃が、光の矢と化して悪しき魂の鼓動を貫き穿つ。

「…………ッ」

 魔術師は声も無く衝撃に背を仰け反らせながら、呼気と共に大量の血を吐き散らす。
 色素を失った長い髪を赤い華が彩るが、美貌の騎士は気にも留めず、ただ鋭い表情を崩さぬまま、宿敵の最期を見守っていた。

 悠久の時を超え再び憎い男の胸板を貫いた剣は、戦いの最中、酷使によって急速にその奇跡の力を減じつつあったが、それでも最後まで主の期待に応えてくれた。
 恐らく自らの命もそう遠からず燃え尽きるであろう事を感じながらも、剣を握る騎士の心に迷いは無く、ただ静かな達成感に満ちていた。

 この世で生きる寄る辺の全てを失ってから幾年月、ただ、己から何もかもを奪った魔術師を屠る事のみを使命として存在してきた彼にとって、迎えたこの瞬間こそ約束された祝福の時であった。

 ──あとはもう何も望むまい。
 ──ただ、この男を地獄へと連れて行けるなら。

 騎士の緊張に引き締められた口元が穏やかな微笑みを形作ろうとした。その時。

「…………ふふふ、やっと……つかまえたぁ……」

 血塗られた唇がそれより早く不穏な気配を伴って、弧を描いた。

「ちょろちょろと逃げ回るからぁ……苦労したんですよぉ……貴方は本当につれないから……だから好きなんですけどね……っくっくっ」

 魔術師が大きく腕を広げる。
 ずるずると、自らより深く己の血肉を抉りながら、見るものを凍りつかせる歓喜の笑みを浮かべ、動けぬままでいる騎士へと近づき──抱き留める。
 騎士の背を冷たいものが走り抜けた。

「相変わらず細いなぁ……ちゃあんと食べてます?
 ふふ、でももう良いんですよ……これからはずぅっと一緒にいて、貴方を守ってあげますから……」

 魔術師の言葉とただならぬ気配に騎士が身を強張らせたその時。
 突如、バラバラと音を立てながら紙片が二人を取り囲むように舞い踊った。

 そして、魔術師が耳元で囁く言葉がこの世ならざるものを呼び寄せる術式であり、紙片が魔力を文字として刻み込まれた魔道書であると気付くまでの数秒が、騎士にとっては命取りとなった。

 魔術師を中心に足元を走りぬけた光が複雑な図形を描き、円陣を形成する。
 確信した勝利が一転、捕らわれの身となった事に焦りを覚えつつも、彼に対処する術は既に無く。
 ふいに、鼻腔をついた腐臭に騎士が眉を寄せた次の刹那、魔術師の身体が勢いよく内側から爆ぜ割れた。

「…………ッ!!!」

 怖気の走るような破裂音の後、血煙と共に魔術師の内から飛び出してきたものは、千切れた肉片と──異形の怪異であった。

◆◆◆

……いつぞやにリクエストを頂いていたプレジルin聖杯戦争、バッドエンド風味な小説。なんだかとってもニトロプ○ス、というか漂うウロ○チ臭。

良い子のヤプログで書けるのはここまで。後半に興味のある方は別館の更新をご期待下さい。本編でも充分酷いと評判ですが、それ以上に酷い事になる事は間違いないです。ええ。

Sein Beichte (3)

2009年12月19日(土) 20時05分
どうせなら、一気にイヴからクリスマス当日にかけて発表すればよかった……と今更ながら思わなくもない、五周年記念とルカさん誕祝いを兼ねた企画小説第3弾でございます。

一応、このエントリーでお話は一区切り。時間と脳内の余裕があれば、リバ視点で殿下の話を書くかもしれませんが、年内は厳しいかも。
正直、やはりターンでない時だと筆がのりきらないです(汗)。初期の改稿案ではもっと色々付け加えるはずだったんだがなぁ。
すまん、ルカさん……

(1)、(2)とお付き合い頂いた方は、『続きを読む』からどうぞ。

Sein Beichte (2)

2009年12月18日(金) 0時15分
『最近サイト上で影が薄いルカさんをヨイショしようぜ!!!』というコンセプトのもと始まりました、ちょっとしたキャラ紹介も兼ねている企画小説の第2弾でございます。

それにしてもおかしい……久々に(をい)設定を読み返したら、普通にカッコイイキャラなのに……どうしてルカさんのターンはこないんだ???
凄く自分で自分が不思議だよ……!!!

興味のある方は毎度御馴染み、『続きを読む』からお願い致します。

Sein Beichte (1)

2009年12月17日(木) 12時18分
そろそろ(ありがたくも)創作系作品を目当てに来訪して下さっている皆様の温かくも痛い視線を感じ始めたので、五周年記念とルカさん誕にあわせる形で短編の連載をちょろっと始めたいと思います。

オフで以前『出す出す』と言ったまま、軽くサギ状態になりかけていたブツの改稿版です。とはいえ、オンでは未公開だったので一応新作扱いになりますかしら。
時間軸はしばらく前にこちらのブログで連載していたお題小説と同じ設定になっていますが、連載を未読の方でもそれなりに読める仕様になっているのではないかな……と。
(その関係でオンで読むには多少苦行な改行タイミング)

『エンハイ』、『ウルカヌス』両作品の主人公によるクロスオーバーネタです。
興味のある方は、『続きを読む』からどうぞ。

Lineage of darkness

2009年10月02日(金) 21時48分
 ──侮ってはいけない、彼もまた夜魔の王なのだから。

◆◆◆
 
 手順は完璧のはずだった。
 問題など起こるはずもなかった。
 なのに何故、自分は息も絶え絶えになりながら、石畳の上を駆けているのだろう……?

 夜の帳が降りた街角。月明かりに照らされて石畳の上に伸びる影が一つ。

 複雑に入り組んだ迷路のような路地は、昼間であれば人通りが絶える事もないが、今はしんと静まり返った夜気に、彼の靴音だけがせわしなく反響している。
 男はまだ弾数に余裕のある銃や大振の軍用ナイフ等を懐にしのばせながらも、その事をすっかり失念してしいるようで、ただ本能が命じるまま、必死に両足を動かしていた。
 
 男がその身に帯びていたもの──いずれも強力な、人ならざる者を狩り出す為にしつらえた特殊な装備。
 一つ一つが窮地において頼りになる物騒極まりない代物ばかりがそろっている──はずだった。
 
 だが、どうだろう。『奴』にはどれもこれも、何一つまともに届きすらしない。
 苛立ちが焦りに、そして焦りが恐怖へと変わるのに、それほど時間は必要としなかった。
 そして静かな怒りを湛えて自分を見返す瞳の色が、金色へと変じるのを見て取った時、ようやく彼は気がついた。
 自分がとんでもない化け物に対して、喧嘩を売りつけてしまった事に。

「ちくしょう……ちくしょう……っ」

 いくら自分に悪態をついても、既に遅い。
 今はただ、この場を抜け出す事だけを考えなければ。
 相棒はもういない。
 自分を救えるのは、自分だけだ。

 破裂しそうに痛む肺に流れ込んでくるのは、潮気の混じった空気。
 狩人──在野の退魔師である彼と相棒は、いつものように滞りなく獲物をしとめた後、この水の都・ベネチアで一時の休息を得るつもりだった。

 そんなたまたま立ち寄った街で、たまたま耳にした情報。
 この運河に抱かれた城砦都市に、吸血鬼が潜んでいるらしい、と。
 
 吸血鬼は地属性の魔物である。故に、その魔力の源である大地とのやりとりを遮る流水の存在を苦手としている。
 最初は何かの冗談かと思ったが……
 上手くいけば、直前の仕事など問題にならないほどの金額が懐に入ってくるかもしれない。
 つい欲を出してしまったのが、全ての間違いだった。
 気がつけば、罠に嵌めたつもりが罠にはめられ、狩る立場が狩られる側に逆転していた。

 金色の瞳。
 それは噂を確かに裏付ける吸血鬼が持つ特徴の一つ。
 ──そう、奴等の中でも飛びぬけて上級の眷属にのみ発現するはずの。
 千年以上吸血鬼共と戦い続けている教皇庁の記録にすら、滅多に登場する事は無い、伝説の中に隠れ住む夜魔の王達。
 その途方も無い連中の内の誰かが、今、自分のすぐ背後を追ってきているのだ。

 ──走れ!走れ!走れ!とにかく走れ!

 この後の角を右へ抜ければ、船が停めてある場所に出る。
 そうすれば逃げ切れる──!

 一瞬、脳裏を過ぎった安堵の予兆に、緊張の糸が切れたのか、足元がもつれた。
 宙に投げ出される肢体。
 それでもとっさに受身をとったのはさすがと言えたが、転がった石畳にはねた水飛沫と、それが着衣に染み込んでいく不快な感触に気がつくと、彼の思考は一瞬で凍りついた。

「これ以上、どこへ逃げようというのですか?狩人よ」

 月輪を思わせる玲瓏とした声が、間近に聞こえた。
 
 咄嗟に銃を構え、跳ね起きた男の視線の先に立っていたのは、およそ荒事専門の彼とは縁も所縁もなさそうに見える、場違いなほど整った容姿に瀟洒な衣装を纏った青年だった。
 月明かりに柔らかな光を弾く金髪に、色素の薄いすべらかな頬──しかるべき場所に現れれば、誰もが視線をよせずにはいられないような、造物主に愛された美貌の持ち主は、人ならざる者の証である金色に光る瞳を男に向けて、静かに問うた。

「貴方方はいつでも神の代行者を気取り、我々を裁こうとしますが──今宵、この街の平和を乱した罪は、貴方方にこそある。
 この街は私の城。城の内で眠る者を守るのは主が務め。
 故に、私は貴方方の罪を問い、それに対する償いを求める」
「黙れ吸血鬼!神の教えに背き、土に帰る事も出来ない呪われた化け物め。貴様らに神を語られる覚えはない!」

 男の構えた銃口が吼える。闇夜にマズルフラッシュが立て続けに閃く。大口径のそれが吐き出す弾は、一発で目の前の綺麗な顔を吹き飛ばせる程の凶悪な威力を誇っていたが、正面から放たれる鋼の牙を、青年は避けようともしなかった。
 かと言って、その弾が彼を傷つける事も無い。そのことごとくが彼の血肉を抉る寸前で、失速し、力を失って石畳へと転がり落ちる。
 課せられた役目を果たせず、ただ硝煙の匂いを道連れに骸となって散らばる弾丸には、白く霜が降りていた。
 

神はいずこに(3)−3

2009年09月01日(火) 8時07分
とうとう9月になっちゃいましたねぇ……(黄昏の眼差し)とはいえ、まだ気候的にはしばらく暑い日が続きそうですが。

気をとりなおして。

体調が回復に向かうにつれ、案の定退屈になりつつある入院生活における暇潰しの為、意外な早さで更新再開となった外伝小説その3の巻になります。

携帯からの更新故、読みにくい部分が多々あるかとは思いますが、それでも良いと言って下さる方は、以下お付き合い頂ければ幸いです。



↓ ↓ ↓ ↓ ↓



「そうだ、貴様があの娘を汚し……殺したのだ……!」


 それは予想を超える者からの、途方もない糾弾だった。
 確かに自らの進軍が遅れた事により、結果としてジャンヌ救出がより困難になってしまった事について、責任を感じないジルでも無かったが、本来、それは決して彼だけが負うものでもない。
 国の境を越えた様々な者達による政治的な利害関係が複雑に絡み合った当世の事情は、貴族とて宮廷にあっては一介の武人として使われる身に過ぎない彼の手には余るものであった。

 それでもなお、ジルの罪を問うというならば、それこそ今、彼に断罪の剣を落とさんとしているシャルルもまた等しく裁かれるべきではないのか?

「………………畏れながら陛下」

 数奇な流れを見せる運命の波に翻弄されつつも、表明だけであれ、何とか平静を取り戻してみせたジルの精神的鍛練は、流石と言えたかもしれない。

「イングランド軍が実に周到かつ気鋭揃いであったとはいえ、乙女の奪還が叶わなかったのは、無念ながら、この私の不徳がなすところであるのは、明白の事実。
 しかしながら、ここにおられる貴方様が、真に我らが頂くシャルル七世陛下であるとおっしゃるならば、どうか臣の問いにも答えて頂きたい。
 そこまで乙女の身を案じておられたならば、陛下、何故に乙女が苦戦の折、コンピエーニュから求められたであろう増援をお許しにならなかったのです」

 髪の色艶も褪せ、かつての栄光からは見る影もなく窶れた姿でありながらも、その張りのある声と凛とした立ち居振る舞いは、在りし日の栄光の地位を容易に想起させる事が出来た。

 ただ、そんな見る者によっては感動すら覚えるであろう忠義の礼も、激情にかられる青年の目には、滑稽の余り、より腹立たしさを増長させるものとしか移らなかったようである。
 己をランスへと導いた忠臣を、まるで路傍の石でも見るような眼差しで見遣るのみの王に代わり彼の望みに答えたのは、ここまでその存在を顧みられずにいたジルの叔父であった。

「陛下は元来、無駄な血が流れる事を好まぬ。
 要所であるオルレアンを取り戻し、ランスでの戴冠を果たした以上、これより後は、憎らしい仇敵ではあるが、イングランドとも和解の道を探っていく事を望んでおられた──」

 もっともらしい内容をもっともらしい口調で告げる侍従長の言葉を鵜呑みにする程、ジルの判断力も衰えてはいない。
 いらぬ場面で口を挟んでは、真実の行方をくらますのはドゥ・ラ・トレモイユの得意とするところであったから、侍従長がさらに言葉をつごうとする前に、すかさず忠勤の騎士は鋼刃めいた視線を声の主へと飛ばす。

「叔父上、私は陛下に問うているのですが」

「……私の言葉は常に陛下の言葉に等しいものだと心得ているがね。男爵よ」
 前線にあって敵兵を怯えさせる鋭い眼光を向けられて、多少たじろぐ様子を見せたドゥ・ラ・トレモイユだが、こちらも伊達に宮廷を我が物として利権を貪ってきてはいないのだろう。
 咳ばらい一つで場の流れを再び自分に戻すと、視線によって主の意を受け、その舌は言葉をせき止められる以前より勢いを増したようだった。



↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 



 記事を折りたたむ事も出来ないので、ひとまずはここまで。

神はいずこに(3)−2

2009年08月25日(火) 23時35分
前章とは別の意味でへヴィな展開になってきた外伝小説第1部終章の続編です。

推敲などどこ吹く風、『とにかく書けるところまで書いておこう』という精神で進めておりますので、今回の章は本館収録の際には、大幅な手直しを加える可能性があります。既に(3)−1部分についても、現在までに3回は手を加えていたりする為、今読み返すと、違う部分に気がつく方もいらっしゃるかもしれません。

とりあえず……あえて負の感情を呼び起こすというのはなかなか疲れる作業ですね。
それが今回の内容の全てです。

続きはまた少々間が空いてしまいますが、必ず完結させますので……!お待ち頂けると嬉しいです。
コメント等もありがとうございます。申し訳ありませんが、お返事は帰宅後させて頂きますね(汗)。
では、興味を持って頂いた方は、『続きを読む』からどうぞ。

神はいずこに(3)‐1

2009年08月22日(土) 1時55分
またしてもお久しぶりな更新になります、毎度とんでもないタイミングで連載の間が空いてしまう(汗)『ウルカヌスの柩』外伝小説の第1部最終章になります。

──と言いつつ、実際は途中にまだ公開されていない章が残っていたりするので、今回の章が一段落しても、本当の意味では完結とならないのですが(汗)。
しかし悠長に内容を推敲していると、いつまで経っても話が完結しないので、今はとりあえず書ける部分から書けるだけ書いておきたいと思います。千里の道も一歩から。

果たして、今となっては連載当初から読んで下さっていた方がどれだけ残っているか、かなり怪しいものですが、お付き合い頂ける方は『続きを読む』からお願い致します。

今回、危険描写は一切ありませんが、元帥が可哀想なのは相変わらずです……

それはいつかあった、遠い未来の話

2009年04月15日(水) 22時07分
──これはどこかの世界が辿った歴史の一部なのかもしれないし、誰かの枕元で囁かれた夢の切れ端に過ぎないのかも知れない。

そう、これは長い長い時間の中で創られていった神話。
遠い遠い世界から伝わる御伽噺だ。

信じるも信じないも君次第。
だから僕はただ語るとしよう。

──昔、ある世界に三人の神様がいた。
神様達が見守る世界はたくさんの生き物達が住んでいて、それぞれが互いに言い分が違うものだから、いつも争いが絶えなかった。
神様は全ての生き物を愛していたから、なんとか争いを収めようと影から力を尽くしたけれど、それはなかなか叶わなかった。
特に、自分達の姿に似せて創った〈人間〉と呼ばれる生き物の行いを改めるのには、ほとほと手を焼いていた。彼等は欲が深く、『私達こそが世界の主だ』と言って憚らず、他の生き物まで傷つけた。

──どうして彼等には私達の想いが届かないのだろう。あれほど沢山の知恵も授けたのに。

何も変わらないまま季節が巡り続けたある日、世界中を旅していた神様達が再び同じ場所に集まった。
まず一人の神様が口を開いた。
『このような世界を見続けるのは不愉快だ。いっそ全てを滅ぼしてどこか遠くへ行ってしまおう』
また別の神様はこう言った。
『滅ぼしてしまうのはいつでも出来る。今一度、世界に我等の法を敷き、意に沿うよう作り変えよう』
最後に残った神様は二人の意見を聞いてしばらく考えた後、こう言った。
『……私はもう少し世界に時間を与えてやりたいと思う。もし、子供達が己の愚かさを改めて、真に王冠を頂くに相応しいものが現れたとしたら、喜んで我が手を離れた世界を見送ることとしよう』
そして、世界にはただ一人の神様だけが残る事になった。

誰に理解される事も無く、一人で守る御稜威の玉座。
相変わらず世界は神様を悲しませる事ばかりで、王冠を贈るに値するものは現れない。
しかし恥知らずな人間だけは──『自分こそ王に相応しい』と、神様を玉座から引き摺り下ろし、その手から王冠を奪おうとするもの達だけは、いっこうに後を絶たなかった。

だから、神様の心が休まる時は、まったくなかった。

神様に仕える天使は、そんな神様を側で見ているのが辛くて、もう止めよう、王冠など渡してしまえばいいではないかと、何度も何度も説いて聞かせた。
このままでは、神様が壊れてしまう、と。

だが、決して神様は首を縦に振ろうとしなかった。
それが自分の役目だからと。
ぼろぼろになりながら、それでも微笑んで天使に言う。
『彼等の中にも確かに私の一部があるのだよ。私を信じてついてきてくれるなら、どうか魂を分けた彼等の事も信じてはくれまいか』

天使にとって愛する神様の言葉は絶対で、本来であれば、ただ畏まって受けとるだけのもの。
しかしそうしている間にも、神様の纏う光は弱くなっていく。

だから天使は──

……ああ、残念だがもう時間がきてしまったようだ。

続きが気になるかい?ではもし、またこの場所で僕と君が出会う事があったら、この続きを話すとしよう。
どうしても待ちきれないなら、彼等が一体どうなったのか、少しだけヒントをあげようか。

神様に残された時間はとても少ない。ああ、とてもね。
このままでは間違いなく、天使の目の前で命を落としてしまうだろう。

天使は神様に仕えてはいるが、彼だけでも充分世界を滅ぼせるだけの力を持っている。
彼は神様に拾われた、もともと別の世界の神様だからね。

それと、どうも先立って世界を見捨てた神様の一人が、この世界の様子を見に戻ってきていたようだよ。何だかんだ言って心配だったのかな?世界が?残った神様が?どちらかは分からないけれど。天使はそれに気がついたみたいだね。

……では今度こそ失礼するよ。次に会う時にまで、君なりの物語を考えていておくれ。そうすれば、世界に愉快で悲しい御伽噺がまた一つ増える事だろう。

■■■

最近『エンハイ』はお笑いネタに走り過ぎていたので、軌道修正するのに小話を一つ。そろそろ創作話を進める準備運動を始めなければ……

神様達がそれぞれ誰の比喩表現かは、設定をある程度把握している方であれば、割と分かりやすいんじゃないかと思いますが、語り部は特に誰というキャラではありません、一応(強いて言えばNから始まる伝奇好きの間では有名な某神様っぽい)。
普段はおちゃらけていますが、奴等が本来背負っているものは、結構ヘヴィです。

神はいずこに(番外編)・その4

2009年02月07日(土) 17時07分
前回から少しの間をおきまして公開となりました、リハビリ小説の第4回であります。これで一応お話は一区切りとなりますので、今までの3回と比べると若干ボリュームは多めです。設定の複線もちらほら……

また、これまでだと例によって大層な注意書きがこの後に続くのですが、幸か不幸か、今回は際どい要素は殆ど入らなかったので(期待していた方は申し訳ない・汗)、どなたでもお読み頂ける内容になっております……とはいえ、やはり通読されていないと肝心の内容はサッパリ、だと思いますが。

しかしこの話、ついプレさんの外道ぶりばかりに目がいきがちですが、何気にシャルル陛下も負けないくらい性格悪いですよね……(汗)。普段このサイトで書いている君主キャラは、ほぼ王様としては理想形な人物ばかりなだけに、その悪辣さが際立ちます。
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『かおす本舗』のサイトマスターにして、同名個人サークルの主催者。
本人は物書きだと言い張るが、実際の活動はどちらかと言うと絵描きより。
取り扱いジャンルはギャグからシリアス、少女漫画から青年向けまで幅広く。実年齢と性別が時折不明になる程のあやしい知識量と言動で、人心を惑わすのを得意とするとかしないとか。
ある意味典型的な器用貧乏とも言える。誰か私に売りとネタを下さい。
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