幸せな結婚生活を手に入れる妻の条件

October 21 [Mon], 2013, 15:14
の心は時折大きな揺れを感じながらどこへ向かうべきかを模索する。 

 やがて佐久間主任が打ち合わせを終えて戻ってくると、再び同僚たちは好奇心に駆られて葵さんの印象を尋ねた。
「大学生の頃から会社に出入りしてるだけあって堂々としたもんだわ。近くで母親を見てればそうなるのかもな」
 珍しく率直に褒める主任を杏子さんが茶化す。
「将来的にはジュラーレを継ぐんですよね。佐久間さん、逆玉狙ったら?」
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 これに同僚たちも次々と乗ってきた。
「常務が舅になったらウチでの出世も夢じゃないっすよ。どっちに行ってもオイシイ話じゃないすか」
「そしたら和久井は捨てられるのか。あんなに愛されてんのに、非情だなあ」
「社長令嬢だもん、そこは和久井チャンもわかってくれるでしょ。『つらいけど、佐久間主任のためにわたしは身を引きます……うっ……(涙)』なんちゃって」
「……てめえら、黙ってれば言いたい放題言いやがって!」
 完全におもちゃにされた主任が今にも暴れ出しそうなのを、藤田さんがどうどう、と押さえた。
 逆玉に乗る佐久間主任。彼の出世のために身を引く和久井南。どっちもなさそうだけどあったら面白いだろうな、などと考えてしまうのは私もWEBの色にすっかり染まっているからだろうか。
 川嶋葵さんと和久井南では、どう見ても我が後輩に勝ち目はない。葵さんがシェットランドシープドッグならば、和久井南はマルチーズの真似をする柴犬といったところか。しかしどう頑張っても柴犬に長い毛は生えないのだ。

「ところでどうして打ち合わせ、突然こっちに来ることになったんですか?」
「この後目黒の取引先に行くんだと。せっかくだから常務に挨拶がてらってことらしい。担当の細井課長は先に出たけど、娘の方はまだ常務の部屋にいるよ」
 杏子さんと佐久間主任の会話を後方に聞きながら、湯飲みを下げるため部署を後にする。打ち合わせ部屋へ至る廊下を曲がると、ちょうど話を聞いたばかりの常務父娘が重役室の並ぶ方向からこちらにやってくるところに出くわした。
「今、お帰りですか?」
「はい、今日はどうもお世話になりました」
 礼を述べる葵さんの隣りで、今は父親の顔をした常務がからかう。
「娘が何か失礼なことを言わなかったかな、越智さん。ジュラーレでは恐れを知らぬ新入社員らしいんだ」
「いやね、お父さん。ちゃんとしてました。ね、越智さん?」
 父娘のやり取りを少し羨ましく思いながら大きくうなずいた。ぶりっ子新入社員とは雲泥の差であろう。
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「そうかそうか――ところで越智さん、瀬尾係長は今日は出張だったよね? まだ戻ってきていないのかな」
「いえ、まだです。何か用事がおありですか? 係長が戻りましたら伝えましょうか?」
「いや、いいんだ。まだなら仕方ない」
 諦めた様子で首を横に振る常務。しかし私は奇妙な思いに駆られた。
 なぜ『仕方ない』のだろう。常務取締役の彼が望めば、係長が戻り次第すぐにでも呼びつけて指示を出すことだってできるのに。後ではなく、どうしても今でないとダメな用事なのだろうか。今――? 
 それって――葵さん?
「お父さん、ここまででいいわ。――越智さん、送っていただけませんか?」
 常務の娘の言葉に何とも言えぬ不自然さを感じた。クライアントである彼女を見送るのは当然私たちWEB事業部がするべき儀礼ではあるが、この場に父親がいるのにあえて私に頼む理由がわからない。
 しかし常務はにこやかに「じゃあ越智さんにお願いしようか」とむしろ喜んで私たちを送り出した。

 隣りを歩く葵さんからフローラルの香りが漂う。ビジネス仕様のスーツに五センチヒールのパンプス。背筋を真っすぐ伸ばして美しく颯爽と足を運ぶ。その姿に賞賛と軽い嫉妬の念を抱きつつ、思考を先ほど中断された地点まで戻してみた。
 常務は達也さんを葵さんに会わせたかったのだろうか。それは彼女がたまたまこちらに来ることになったからついでにといった程度のもので、彼が出張でまだ戻らない
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