ラストブルー

August 29 [Thu], 2013, 18:50
3LDKの部屋に引っ越してから、早いものでもう4年が経つ。
二人暮らしにもすっかり慣れた。
まるでそれが始めからあった風景みたいに、隣にはいつだって彼が居る。
けれどそれが当たり前じゃないことも知っているから、1日1日を大切に過ごす気持ちに変わりはなくて。

日の当たる窓際に置かれたパキラに水をやりながら、今夜のメニューは何にしようなどと考えを巡らせる。
今日はバイトもない。
週末に纏めて買い込むのが習慣になっているので、ストックのない物は冷蔵庫にマグネットで留めたメモへ羅列するのがお約束。
自身の数倍は仕事疲れがあるに違いない、彼の負担を増やすこともないだろう。
思い立ったが吉日という言葉もあることだし、先立って買い物を済ませてしまうことにした。

冷蔵庫へ向かって歩く途中、ダイニングテーブルに置いてあるスマートフォンから響いた着信音。
手早くメモを回収した後、歩いた距離を戻って手を伸ばす。
液晶画面をタップし、通話に切り替えたスマートフォンを耳へ宛がった。

「……、ありがとうございます」

時間に換算すれば、ほんの数分程度の会話に過ぎない。
しかしどれだけこの瞬間を、我ながら待ち侘びていたのだろうと思う。
無意識に唇は笑みを湛えてしまうし、頬だって緩みっ放しだ。
彼が今近くに居たなら、一体何事だとからかわれてしまうかもしれない程に。
自分を除いて誰も居ない空間で深く頭を下げ、通話を終えたスマートフォンを右手に握り締めたまま。

「やっと、か。……長かったな。――いや、」

自らの独白を否定するよう、一人ゆったり首を揺らして笑う。
姿勢を元に戻しがてらスマートフォンをすぐさま操作し、国際電話を経由して、遠く離れた地に住む誰かへ。
時差には詳しくない。
たとえ知っていたとしても、お構いなしでこうしたのだろうけれど。

「――…もしもし、」


自転車が緩やかに風を切る。
春晴れの空には真っ白な雲が流れていて、強過ぎない日差しの中、ペダルを目的地までマイペースに漕いでゆく。
今夜は赤飯にしようなんて、単純思考からのメニューを頭の片隅に組み立てながら。

あの瞬間、確かに見た、空の色。
あの色はいつだって、背中を押してくれるから。



「今日からこのクラスを担当することになった、藤間―――」


|ω・`)

August 19 [Mon], 2013, 12:18
お疲れ様でした。
当ブログは、8月いっぱい残っている予定です。

空想SSを2編ほどうpする予定は未定です。
プロフィール
  • ニックネーム:藤間PL
読者になる
2013年08月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新コメント
ヤプミー!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
http://yaplog.jp/bts23/index1_0.rdf