眞賢でももそっと
2006年05月11日(木) 0時20分
轍は森を行く。凹凸の多い道はそれを跳ね上げ、或いは泥濘へと誘った。不気味に翠掛かった濃霧の立ち込める森である。その中程にある湖畔へと、俥は辿り着く。
その車内より、まろび出る者があった。二つの黒をその身に宿す、男である。見た所、二十半ばか、若しくはより高いのか。兎角、若く見せる顔立ちである。彼は文字通りまろぶように御者台から転げ落ちると、諸足を絡ませ車内に腕(かいな)を突っ込んだ。
その車内より、まろび出る者があった。二つの黒をその身に宿す、男である。見た所、二十半ばか、若しくはより高いのか。兎角、若く見せる顔立ちである。彼は文字通りまろぶように御者台から転げ落ちると、諸足を絡ませ車内に腕(かいな)を突っ込んだ。
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