日本生命さんに応募したら、こちらの演奏会チケットに当選したので、拝聴してきました。
■ラ・プティット・バンド (東京オペラシティ)
個人的な目当ては、「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」
シギスヴァルト・クイケンが復活させた、首からぶら下げるチェロです。
これが鄙びた音色で、良いんです。チェロよりも軽やかな低音パートを、この楽器で実現しています。
同楽団の演奏する「四季」をBSで観てから、ずっと気になっていたコレを、ついに生で拝聴できました。
また、会場に行ってから知ったのですが、バスを担うのもコントラバスではありませんでした。
「バス・ド・ヴィオロン」という、チェロを少々大きくしただけのものを、椅子の上に立てて弾いていました。
通常、バスパートはヘ音記号譜を1オクターブ下げて弾くのですが、記譜どおりの高さで弾いていました。
これらの取り組みにより、軽やかな響きのヴァイオリン・ヴィオラと調和する低音パートが美しく、素晴らしくバランスの良い古楽演奏を楽しむことができました。
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・ブランデンブルク協奏曲 第2番 ヘ長調 BWV1047
<ソリスト>
サラ・クイケン(ヴァイオリン)
バルトルド・クイケン(リコーダー)
尾崎温子(オーボエ)
ジャン=フランソワ・マドゥーフ(トランペット)
なんと、トランペットは「妥協のないバロックトランペット」。
バルブはもちろん、孔もあいてない楽器で、口だけで音程を作って吹いてました。
地面と水平より高めの角度で楽器を構え、腰(横腹?)に手をあてて吹く様は、風呂上りの牛乳みたいでユーモラス。
でも、きっとあの姿勢でいろいろなものを微調整しているんでしょうね。
バルブがあっても、高音域で細かい音符を操るトランペット・ソロは至難。
それを完全に口だけでやるんですから、ものすごい技術だと思います。
(まあ、その完成度はアレでしたが。仕方ないんだと思います。)
・ブランデンブルク協奏曲 第6番 変ロ長調 BWV1051
<ソリスト>
サラ・クイケン(ヴィオラ)
赤津真言(ヴィオラ)
シギスヴァルト・クイケン(ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ)
2番でヴァイオリン・ソロを担当したサラが、ヴィオラに持ち替えて登場。
サラのヴァイオリンは「軽すぎてよく聞こえない」という側面もあるのですが、そんな彼女もヴィオラだと豊かな響きがよく聞こえました。
ヴィオラの方が向いているんじゃないのかな?
いつもtuttiでアンサンブルを支える赤津氏も、積極的なソロが良かったですよ。
若干、音程を外す瞬間もあるけど、それを云々するのはバロックを楽しむ場では無粋というものなのでしょう。
・三重協奏曲 イ短調 BWV1044
<ソリスト>
バルトルド・クイケン(フラウトトラヴェルソ)
シギスヴァルト・クイケン(ヴァイオリン)
バンジャマン・アラール(チェンバロ)
2曲目までスパッラで低音パートをやっていたシギスヴァルトが、ヴァイオリンを携えて登場。いやはや、器用ですね。
しかも、しっかりとした音で、娘:サラよりも よく音が飛んで・・・
なんて思っていたところで、弦が
ブツン!
シギスヴァルトが退場し、弦を張り替え、最初から仕切りなおし。
そうでなくても安定しにくいガット弦。
張り替えたばかりということもあり、だいぶ狂ってしまうのが早いらしく、演奏の合間で何度も調弦を微調整していました。
でも、さすがですね。
出てくる音は狂ってなかったですよ。
プロの至芸です。
曲そのものは好きなものでしたが、なんとなく全体にしっくり来なかったかな。
申し訳ないけど、シギスヴァルトからスパッラを交代した赤津さんの通奏低音は、不可でもないけど良くもなかった。
バロックの音楽の流れは、やはり通奏低音にかかっていますからね。
ここにきて、
「シギスヴァルト、通奏低音うまいよなぁ」と感心してしまいました。
=休憩=
・ブランデンブルク協奏曲 第5番 ニ長調 BWV1050
<ソリスト>
バルトルド・クイケン(フラウトトラヴェルソ)
シギスヴァルト・クイケン(ヴァイオリン)
バンジャマン・アラール(チェンバロ)
休憩を挟んで、超有名曲の第5番。
布陣はBWV1044と同じ。
でも、こちらは素晴らしく楽しい演奏でした。
まず、クイケン兄弟の安定したソロ。
シギスヴァルトの弦・楽器もなじんだらしく、とてもよく鳴っていました。
また、チェンバロも素敵でした。
例のカデンツァも声部がきちんと弾き分けられていて、声部どうしの丁々発止のやりとりが聴こえてきます。
あれは至芸です。
・ブランデンブルク協奏曲 第3番 ト長調 BWV1048
圧巻だったのは、この第3番。
通常のチェロパートは、もちろん スパッラ×3台。
今までtuttiにいた女性がVn1に立ち、日本人女性がVn2、外国人男性がVn3。
ヴィオラは、サラがVa1、外国人女性がVa2、日本人男性がVa3。
スパッラは、一際でかいスパッラをぶら下げたシギスヴァルトを筆頭に、赤津氏と外国人男性が担当。
これにバス・ド・ヴィオロンとチェンバロ。
なんというか・・・
そう、繰り返しになるけど「圧巻」だったのですよ。
「音の洪水」ならぬ「響きの洪水」に包まれる感じ。
スパッラは、チェロのような迫力ではなく、暖かい響きで低音を支えるので、ヴァイオリン・ヴィオラも無理する必要がなく、それぞれの持ち味を生かした響きで、嬉々として演奏してました。
特に目立ったのが、Vn2・Va3の日本人。
とても素晴らしい演奏でした。
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クイケンのアンサンブル、実は私は良いと思ったことがありませんでした。なんというか、「学術的な興味でしかない」「全体のバランスが良くない」というのが、その理由。
しかし、スパッラの登場により、全体のバランスが非常に良くなったように思います。それは、ヴァイオリン・ヴィオラの自由な演奏を許すことにつながり、結果として、全体に良い影響をもたらしたのではないかと思います。
BSで見かけた演奏で知った彼らの変化を、生で確認できる機会をもてたことは、本当に幸いでした。
とても素敵なコンサートでした。