夢と寝言 2 

August 12 [Sun], 2007, 8:04
昼飯が終わり、午後の授業でも、おかしいことがあった。

化学の時間、先生が気だるい調子で順に名前を読み上げていくとき、
「瑞樹」と言ったところで、女子生徒の「ほーかま」という野次が飛んできたのだ。
先生は無視し次の名前を呼び始めたが、瑞樹の不安に彩られた眼は、ゆらゆらと動いていた。
どこかで女子が小さく笑っている。鈍い僕は、ここに来て初めてこれが俗に言う「イジメ」なんだとわかった。

異変は放課後に決定的になった。工業実験が終わり、鞄を取りに教室へ戻ると、
女子生徒がなにかを取り囲んで、口々に非難している。

なにか、とは、当然瑞樹だったのだが、女子達は「放火魔は死んだ方がいいんだよ!」「ブタ女!」
と、彼女の脛を多くの足で蹴っていた。瑞樹の表情は、前髪で隠れて窺えない。

僕は黙って教室へ足を踏み入れた。彼女達の一瞬の沈黙と動揺があった後、
散り散りになっていった。瑞樹は顔を上げなかった。

夢と寝言 1 

August 11 [Sat], 2007, 13:51
僕は乾燥した校舎に居た。
午前中の授業が終わり、鞄から弁当箱を抜き出す。
僕はいつものグループと机の輪をつくり、談笑していた。

だが、異変に気付いた僕は、楽しそうに話しながらも、教室の一点へ注視していた。
ロッカーの横、教室の端の席。そこで昼飯を食べている女子生徒は、
ショートヘアーの前髪が眼にかかって影を作り、陰気な性質を際立たせている。
確か彼女は、瑞樹という女の子ではなかったか。初顔合わせで自己紹介する時に、
どもってなかなか自分の名前が言えなかった娘だ。

彼女は隣で輪を作っている女グループに、ちらちらと視線を送っていた。
女グループは、そんな彼女の行動に気付いているのかいないのか、相変わらず楽しそうに弁当を突付いている。

ついに我慢できなくなったのか、彼女は決めたようにすっと立ち上がり、
グループへすたすたと向かって行った。仲間に入れてもらうつもりなのだろう。
しかし、やはり、グループは瑞樹に気付いた様子も無く、
笑い声は彼女の申し出を掻き消していた。諦めた瑞樹は席へ戻り、
申し訳なさそうにオレンジのタッパを開けた。
P R
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