もし、タイB
July 20 [Wed], 2011, 21:48
本編2
さっそうと自転車で走り出したカナメが見た近所はやはり過去のものだった。
少し大きなスーパーがある場所はまだ畑のままだし、
ファミリーマートがあるはずの場所には坂井プラザがまだ営業している。
通称"さかプラ"はプレステが出ている時代でも、
初代ファミコンのドラクエ3が定価の4500円で売っているディスカウントショップである。
そのまま自転車を走らせると地元で一番大きな交差点、通称アカミチはまだ工事中である。
カナメは、いつ工事が終わったかは思い出せないが10年近く工事をしてたなぁと懐かしがりながら
BOOKS GREENとBOOKS平沢を通り越して踏切が閉まっていたので自転車を止めた。
ここまで来るともう過去にいることに疑いはなくなった。
あとは自然に11年前の自分になり済ませばいいと思ったが心配があった。
カナメは自分が通っていた高校とは違う高校に通うのである。
同じ中学を出たヤツでH越高校に通っていたヤツが思い出せないのである。
そもそも自分が1年何組かも分からないし元々寂しがり屋なので不安になってきたのだ。
とりあえず誰かに電話しようとブレザーの内ポケットに入れたPHSをとりだそうとしたら
生徒手帳も一緒に出てきた。
1年7組30番 三浦 カナメ
ひとまずホッとした。これで学校についても下駄箱や教室を迷わずに済むからだ。
あとはなるようになるものだと思いPHSはとりださずに生徒手帳を内ポケットにしまった。
踏切の遮断機も開きまた走り出した。
灯油配達の仕事で学んだ裏道を駆使しながらH越高校の近くまでくると
真新しいブレザーを着ている人も増えてきた。
カナメは校門の前で自転車をとめて大きく深呼吸をした。
そして心の中で「イイ仲間とラグビーができて、イイ恋もできますように」と言って
自転車を置き場に置いて学校へ入った。
自分のクラスが書いてある下駄箱に行き自分の番号を開けると真新しい内履きが入っている。
ローファーと履き換えて中に入ると親切に教室までの案内表示まである。
さっきの不安も無意味だったと思いながら1年7組の教室に向かった。
そして教室の前に着いた。中はどうやら騒がしくはないが話し声は聞こえる。
ココに入れば望んでいた高校生活が送れる。
そう思うとカナメの心は高鳴った。
そして小さく「ヨシッ!」と言ってカナメは教室に入った。
この時まだカナメは気付いていない。
この教室の中であんなことになるなんて・・・
本編3につづく


