今週の防災格言<496> 岸上克己 (社会運動家・ジャーナリスト)
2017.06.26 [Mon] 07:00


『 地震のときは、左程とも思わず、
 帰途、路傍に算を乱した潰家や
 将棋倒しになった商店をみて、
 初めて大地震と知った 』


岸上克己(1873〜1962 / 社会運動家・新聞記者 埼玉県浦和町名誉助役)

格言は、著書『香摘文抄(1940年)』より。

埼玉県会議員選挙の準備に忙殺されているさなか、関東大震災(1923年9月1日)が発生した。原文では―――

《 前日候補者成田昌平君が、地盤割の事で田中君(※田中千代松 / 衆議院議員・立憲民政党)と衝突し、引退を表明して帰家したのでそれを引張り出すために自動車で大和田町に赴き、町役場で渡辺町長と会見中に(地震に)出合ったのだが、その時は左程とも思わず、続いて成田君と共に大畑理右衛門君や飯倉晋五郎君を訪問して帰って来たのだったが、宗岡村(※現志木市)で路傍に算を乱した潰家を見、県庁下で将棋倒しになった商店を見て、初めて大地震と知り、武蔵会館に帰れば土蔵が崩れたといって鈴木君(※鈴木治三郎)の宅から迎いの者が来ていた。 》

―――とあり、結局、県会議員選挙は翌年まで延期となった。

埼玉県内では家屋全壊5,766棟、半壊4,203棟、212人が亡くなり、399人が重軽傷を負った、と著者の覚書にあるが、「内務省叙説」のデータでは、埼玉県の死者280人、行方不明者36人で、別の記録「大正震災誌」では、死者217人、住家全壊4,713棟、とある。いずれにせよ、県内で200人以上が亡くなる大災害だった。

埼玉県内の被害の特徴は、川口町や芝村(川口市)や六辻村(浦和市=現さいたま市)を中心とした北足立郡南部、粕壁町(春日部市)を中心とした南埼玉郡南部、幸手町(幸手市)を中心とした北葛飾郡中部で大きな被害となった一方で、地理的に台地が多い大和田町や朝霞市では住家被害もほとんどなく死傷者も皆無だったという。

このように地震は、沖積地といった地盤のやわらかい場所ではよく揺れ、台地のようなしっかりした場所は揺れにくいとされる。

岸上は、地震発生時に被害のなかった大和田町にいたので「左程」とは揺れを感じず、大和田町から浦和へと自動車で南下して帰る道すがらで倒壊した建物を見つけて《 初めて大地震だったと知った 》。

日本全国の土地の揺れやすさの指標「地盤増幅率」はネットにある様々なサイトから無料で調べることができるので、自宅等をチェックすることをお勧めする。

地震ハザードカルテ(住所を入力し[診断]ボタンでチェックできる)
http://www.j-shis.bosai.go.jp/labs/karte/

朝日新聞デジタル>揺れやすい地盤([住所検索]で候補を選択)
http://www.asahi.com/special/saigai_jiban/

パナソニック>地盤増幅率提供サイト
http://www2.panasonic.biz/es/densetsu/ha/mansion_ha/earthquake/jiban/index.php

※地盤チェックできるサイトは他にもいろいろあります。


岸上克己(きしがみ かつみ / 筆名は岸上香摘)は、明治・大正・昭和にかけて労働運動、社会運動、新聞記者として活躍した社会運動の先駆者として知られる人物。

明治6(1873)年11月28日、宇都宮藩士・岸上(きしのうえ)家の四男として宇都宮一条町(栃木県宇都宮市)に生まれる。兄に漢学者・岸上質軒(しっけん 本名:操 / 1860〜1907)がいる。
6歳にして西小学校に上がり、毎年県から表彰されるほど成績優秀であったが、10歳で極度の吃音となり、それを学校の教諭にからかわれて以来登校拒否児童となり、12歳で故郷をでて独学で学んだという。

明治30(1897)年頃に労働運動に傾倒、活版工同志懇話会の創立にかかわり、活版工組合を組織した。明治33(1900)年、片山潜(1859〜1933)の「労働世界」にて文筆業に身を投じ、幸徳秋水(1871〜1911)、木下尚江
(1869〜1937)、堺利彦(1871〜1933)、安部磯雄(1865〜1949)ら社会主義者らと交友。かといって本人は社会主義者でもなく、マルクス主義でも無政府主義でもなかったという。

後に埼玉県会議員の仲間からは

《 社会主義者の同志からは新聞記者らしからざる新聞記者として好愛され、党からは党員ならざる党員幹部員ならざる幹部員として待遇され、各種の運動に参画する珍しい存在であった 》

と評されている。

明治35(1902)年、普選運動にかかわり、普通選挙の実現のために新聞記者となることを志し、明治36(1903)年、幸徳秋水、横山源之助(1871〜1915)の紹介で毎日新聞社に入社。社会問題や労働問題の担当記者となった。そのかたわら「平民新聞」「光」「新紀元」などへ寄稿、また、角田竹冷らの俳句雑誌「木太刀(きだち)」に詩句も投稿している。
明治39(1906)年に埼玉県北足立郡浦和町(後の浦和市岸町)に移り住み、新聞記者として「埼玉毎日新聞」「埼玉日日新聞」「武蔵新聞」などの主筆をつとめ、40以上の新聞雑誌に関係するなど、以降は埼玉県下のジャーナリズム界の重鎮として活躍した。

大正12(1923)年の関東大震災を経て、大正14(1925)年から浦和町会議員、翌15(1926)年には浦和名誉助役に就任し、埼玉県民政派の参謀として政論活動を行い、埼玉県政では商業学校、職業紹介所、塵芥(ゴミ)燃却場、公営住宅などの新設に尽力。戦後も浦和市選挙管理委員などを歴任した。
昭和15(1940)年、67歳で《 言論の自由なき操觚界、闘志を失った政党に小生の存在は無意義と心得たるが故 》として政界と文壇から引退して隠棲し、昭和37(1962)年6月21日死去。88歳。


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<防災格言編集主幹 平井 拝>

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今週の防災格言<495> 猪瀬直樹 (作家・元東京都知事)
2017.06.19 [Mon] 07:00


『 防災は"備え"が大事。
 ソフトもハードもね。 』


猪瀬直樹(1946〜 / 作家・政治家 東京都知事(第18代))

曰く―――。

《 東日本大震災の時、西麻布の個人事務所の10万冊に及ぶ蔵書は崩れることなく無事だった。「日頃の備えこそ最大の防災」と述べる。

行政が行う防災のためのインフラ整備以外でも、重要なのが住民ひとりひとり 内面/肉体的 な "備え" だ。

例えば子どもの頃から消防意識やリーダーシップを高める防災少年団や海洋少年団といった活動を充実させることもそのひとつだ。

そして忘れてはないないのは、普段から体を鍛え、災害時に気力、体力とも充実させておくことだ。 》

格言は「モノ・マガジン情報号9-16 No.699(2013年9月2日 株式会社ワールドフォトプレス)」インタビュー記事より。


猪瀬直樹(いのせ なおき)氏は、長野県長野市出身のノンフィクション作家。

信州大学教育学部附属長野小・中学校、長野県長野高等学校を経て、1970(昭和45)年、信州大学人文学部経済学科を卒業。その後上京して、結婚、中野区沼袋や横浜で暮らす。1972(昭和47)年、25歳で明治大学大学院に進学し、政治学者・橋川文三に師事し政治学(日本政治思想史)を学ぶ。1975(昭和50)年、修士課程修了。
1979(昭和54)年から本格的に雑誌記事を書くなど作家活動を始め、1983(昭和58)年「天皇の影法師」でノンフイクション作家としてデビュー。
1987(昭和62)年「ミカドの肖像」で第18回大宅壮一ノンフィクション賞、ジャポニスム学会特別賞を受賞。1996(平成8)年「日本国の研究」で、文藝春秋読者賞を受賞。
2001(平成13)年、小泉内閣の行政改革担当大臣の諮問機関・行政改革断行評議会委員となり、翌2002(平成14)年には道路関係四公団民営化推進委員会委員に就任し、日本道路公団の民営化の中心人物として活躍。2007(平成19)年からは、石原慎太郎東京都知事の下で副知事を務め、石原知事退任に伴う後継指名を受け、2012(平成24)年12月の東京都知事選挙に出馬。日本の選挙における最多得票記録となる433万8936票を獲得し、初の戦後生まれの東京都知事となった。2020年オリンピックの東京招致を成功させたが、徳洲会グループからの資金提供問題により、2013(平成25)年12月に都知事を辞任することになった。
東京大学大学院人文社会系研究科客員教授(2001年〜2009年)、国際日本文化研究センター客員教授(2001年〜2003年)、東京工業大学世界文明センター特任教授(2006年〜)、財団法人日本文明研究所所長(2015年〜)などを歴任。


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 政治家・与謝野馨(2017.05.29 防災格言)
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 東京都知事 後藤新平(2010.04.26 防災格言)
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 神奈川県知事 安河内麻吉(関東大震災時の神奈川県知事)(2008.04.28 防災格言)
 兵庫県知事 服部一三(2008.07.21 防災格言)
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 作家 柳田邦夫(2010.10.04 防災格言)
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<防災格言編集主幹 平井 拝>

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今週の防災格言<494> 高橋裕 (河川工学者 東京大学名誉教授)
2017.06.12 [Mon] 07:00


『 下水道があふれる恐れがあるため、
 豪雨の時、風呂の栓を抜いたらダメですよ。
 みんなで意識すれば、
 これも立派な水害対策になる。 』


高橋 裕(1927〜 / 河川工学者 東京大学名誉教授)

高橋 裕(たかはし ゆたか)博士は《 河川の改修は下流に水を集中させ、かえって大洪水を招き、堤防やダムだけでは水害はなくせない 》との持論を1971(昭和46)年に発表し、森林の保全など流域全体で進める現行の治水対策「総合治水」を提唱した河川工学者。

「水」に関する国際的な権威であり、水害の他にも、水質汚染問題、水不足問題、地球温暖化や環境問題など水が関わる多くの問題についての提言も行われ、特に、河川行政に住民が参加する必要性についての訴えは、1997(平成9)年の河川法改正にも反映された。

1927(昭和2)年1月28日、静岡県生まれ。
実父は、戦後全国のミカン園の復興に尽力し「柑橘の父」と呼ばれた園芸技師・高橋郁郎(1892〜1981 / 日本園芸農協連合会(日園蓮)設立者)。妹に高橋百合子(愛知県立看護短期大学名誉教授)がいる。

死者・行方不明者1,930人を出した1947(昭和22)年のカスリーン台風を契機に《 水害をなくすことが戦後復興の第一歩 》との思いから研究者の道を志したという。
旧制静岡高校を経て、東京大学第二工学部土木工学科へ進学。東大で河川学者・安芸皎一(あき こういち)に師事し、1950(昭和25)年、東京大学第二工学部土木工学科を卒業。1955(昭和30)年、東京大学大学院研究奨学生課程修了。その後、東京大学工学部専任講師となり、1961(昭和36)年助教授、1968(昭和43)年教授に就任。1987(昭和62)年、東大を退官し名誉教授。同年、芝浦工業大学工学部教授(1987年〜1998年)、国際連合大学上席学術顧問(2000年〜2010年)、日仏工業技術会会長を歴任された。

主な受賞歴に、ネパール王国ゴルカ・ダクシン・バフ勲章(1978年)、フランス共和国教育功労賞シュバリエ賞(1981年)、土木学会最高賞功績賞(1998年)、国際水資源学会最高栄誉賞(2000年)、瑞宝中綬章叙勲(2007年)、第31回日本国際賞(2015年)など。

2015(平成27)年4月21日の日本国際賞受賞記念講演では、

《 現在、IT(情報)技術、計測技術、写真などの進歩によって、河川の現象は理解しやすくなった。しかし、そのために川の現象を肉眼で、五感を通して見る感覚が衰えていないか、少々心配している。 》

―――と述べられている。

格言は讀賣新聞(2015(平成27)年2月18日号)「顔」より。


日本国際賞受賞記念講演(2015年)の映像


■「高橋裕」「洪水・水害」に関連する防災格言内の主な記事
 川合茂(河川工学者 舞鶴工業高等専門学校名誉教授)(2011.08.15 防災格言)
 及川舜一(元岩手県一関市市町 カスリーン台風とアイオン台風の大水害)(2015.09.14 防災格言)
 松野友(岐阜県本巣郡穂積町町長 日本初の女性村長)(2015.03.02 防災格言)
 奥貫友山(利根川・荒川水害である寛保大水害時の慈善家)(2010.4.5 防災格言)
 幸田文(随筆家・小説家 代表作『崩れ』『流れる』)(2015.05.11 防災格言)
 桑原幹根(愛知県知事)(2014.09.15 防災格言)
 廣井悠 (都市工学者)(2012.03.12 防災格言)
 大隈重信 (佐賀藩士・早稲田大学創立者)(2010.09.27 防災格言)
 下田歌子 (歌人・実践女子学園創始者)(2009.12.14 防災格言)
 平生釟三郎 (川崎重工業社長)(2009.11.02 防災格言)
 山下重民 (明治のジャーナリスト 風俗画報編集長)(2008.09.22 防災格言)
 吉田茂 (政治家)(2008.05.05 防災格言)
 脇水鉄五郎(地質学者・日本地質学会会長)(2011.07.18 防災格言)
 谷崎潤一郎 (作家)(2014.12.08 防災格言)
 矢野顕子 (シンガーソングライター ハリケーン・サンディ水害)(2016.10.17 防災格言)
 森田正光(お天気キャスター)(2017.06.05 防災格言)
 利根川改修工事に見る水害の歴史(2010.2.26 店長コラム)
 利根川の洪水想定 首都圏で死者4,500〜6,300人(2010.3.5 店長コラム)
 小田原評定(水俣土石流災害)(2006.1.29 店長コラム)
 豪雨そして土砂災害。その犠牲者はいつも老人ホーム(2010.7.20 店長コラム)











<防災格言編集主幹 平井 拝>

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今週の防災格言<493> 森田正光 (お天気キャスター ウェザーマップ代表取締役)
2017.06.05 [Mon] 07:00


『 私たちが目指してきた「安心で便利な暮らし」が、
 どうも人々の想像力、危険を察知する能力を
 摘み取っているような気がしてなりません。 』


森田正光(1950〜 / お天気キャスター (株)ウェザーマップ代表取締役)

格言は著書『理不尽な気象(講談社+α新書 2007年)』の「防災意識の低下が怖い」より。

2007(平成19)年9月7日、神奈川県小田原市付近に上陸した台風9号は、関東地方の山沿いに500〜700ミリの大雨を降らせ、東京・神奈川の境の多摩川が増水、住宅街に水が迫ったため、一時、避難勧告も出されることになった。

曰く―――。

《 いくら予報精度が上がっても、それをちゃんと活用できないと災害を未然に防ぐことはできないのです。今回の台風では「台風が離れて行っても、大きな河川はまだ増水する恐れがある」と警告していたにもかかわらず、神奈川県でカヤックの転覆事故が発生してしまいました。防げたはずの事故が起きてしまったのは、本当に残念で仕方ありません。世田谷区では、もっと深刻な実態が明らかになりました。避難勧告が出たのに、多くの区民が避難しなかったのです。

9月6日夜から多摩川の水位が上昇したため、区は7日午前5時12分、多摩川周辺の740世帯、1490人に避難準備情報を発令、二子玉川小学校に避難所を設置しました。そして午前6時20分、多摩川が避難判断水位を超えたため避難勧告が発令されました。ところが、広報車や地元FM放送が避難を呼びかけたのに、避難したのはわずか4世帯6人しかいなかったそうです。

これを受けて世田谷区長は会見を開き「区民は勧告に応えてほしい。災害が来てからでは遅い」と苦言を呈しました。今回は結果的に被害が出なかったものの、多摩川の状況次第、あるいはあと少しでも雨量が多かったら、1484人が被害に遭っていた可能性もあったのです。

ひと昔前に比べると、確かに人的被害は少なくなりました。しかしこれは、過去の大きな災害による、さまざまな犠牲と教訓の上に成り立っているのです。今、当たり前のものとして寄りかかっている「安全」が、想定以上の事態を前に脆くも崩れてしまい、再び大水が押し寄せてくることくらい自覚するべきだと思います。 》


森田正光(もりた まさみつ)さんは、愛知県名古屋市出身のお天気キャスター(気象予報士)。親しみやすいキャラクターと、斬新な切りロによる天気解説で人気を集め、テレビ、ラジオで多数のレギュラーを持つ。

愛知県立犬山高等学校を卒業後、日本気象協会東海本部に入る。その後、東京本部勤務を経て、1992(平成4)年にフリーのお天気キャスターとなる。同年、気象会社「ウェザーマップ」を設立し代表取締役に就任。
2005(平成17)年には日本生態系協会理事となり、生物多様性に関する広報組織「地球いきもの応援団」のメンバーとして活動している。

■「森田正光」「気象学者」に関連する主な防災格言内の記事
 ジャーナリスト 池上彰(2010.07.19 防災格言)
 ニュースキャスター 筑紫哲也(2009.09.21 防災格言)
 元NHK解説委員 伊藤和明(2009.7.20 防災格言)
 元NHK解説委員 小田貞夫(2009.08.17 防災格言)
 藤原咲平 (気象学者)(2013.10.28 防災格言)
 和達清夫 (物理学者 初代気象庁長官)(2007.12.03 防災格言)
 圓岡平太郎 (中央気象台鹿児島測候所長 口永良部島新岳噴火(1931年)報告書)(2015.06.01 防災格言
 宮澤清治 (気象学者・気象解説者)(2016.09.05 防災格言)
 荒川秀俊 (気象学者)(2016.10.03 防災格言)
 福田矩彦 (気象学者・米ユタ大学名誉教授)(2013.12.09 防災格言)
 竹内均[1] (物理学者)(2010.09.06 防災格言)
 竹内均[2] (物理学者)(2016.04.04 防災格言)
 寺田寅彦[1](物理学者)(2007.11.26 防災格言)
 寺田寅彦[2](物理学者)(2009.03.02 防災格言)
 寺田寅彦[3](物理学者)(2009.10.12 防災格言)
 寺田寅彦[4](物理学者)(2011.06.20 防災格言)
 寺田寅彦[5](物理学者)(2016.08.01 防災格言)

■「洪水・水害」に関連する防災格言内の主な記事
 利根川改修工事に見る水害の歴史(2010.2.26 店長コラム)
 利根川の洪水想定 首都圏で死者4,500〜6,300人(2010.3.5 店長コラム)
 小田原評定(水俣土石流災害)(2006.1.29 店長コラム)
 豪雨そして土砂災害。その犠牲者はいつも老人ホーム(2010.7.20 店長コラム)
 松野友(岐阜県本巣郡穂積町町長 日本初の女性村長)(2015.03.02 防災格言)
 及川舜一(元岩手県一関市市町 カスリーン台風とアイオン台風の大水害)(2015.09.14 防災格言)
 奥貫友山(利根川・荒川水害である寛保大水害時の慈善家)(2010.4.5 防災格言)
 川合茂(河川工学者 舞鶴工業高等専門学校名誉教授)(2011.08.15 防災格言)
 幸田文(随筆家・小説家 代表作『崩れ』『流れる』)(2015.05.11 防災格言)
 桑原幹根(愛知県知事)(2014.09.15 防災格言)
 廣井悠 (都市工学者)(2012.03.12 防災格言)
 大隈重信 (佐賀藩士・早稲田大学創立者)(2010.09.27 防災格言)
 下田歌子 (歌人・実践女子学園創始者)(2009.12.14 防災格言)
 平生釟三郎 (川崎重工業社長)(2009.11.02 防災格言)
 山下重民 (明治のジャーナリスト 風俗画報編集長)(2008.09.22 防災格言)
 吉田茂 (政治家)(2008.05.05 防災格言)
 脇水鉄五郎(地質学者・日本地質学会会長)(2011.07.18 防災格言)
 谷崎潤一郎 (作家)(2014.12.08 防災格言)
 矢野顕子 (シンガーソングライター ハリケーン・サンディ水害)(2016.10.17 防災格言)











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今週の防災格言<492> 与謝野馨 (政治家・衆議院議員(10期) 財務大臣(第11代))
2017.05.29 [Mon] 07:00


『 有事に対応する際に最も重要なことは、
 国民それぞれの信頼と協力です。
 そして、この信頼と協力こそ
 我が国が世界に誇る最大の強みであることを
 我々は一度思い起こすべきです。 』


与謝野馨(1938〜2017 / 政治家・衆議院議員(10期) 財務大臣(第11代))

格言は麻生内閣の経済財政政策担当兼務規制改革担当国務大臣時代の2009(平成21)年1月28日の国会・参議院本会議での所信表明より。

曰く―――。

《 世界の金融資本市場と主要国の実体経済は、まさに歴史的な混乱と危機に直面しています。現在、世界は、文明史から見ても特筆すべき大きな潮流変化の過程にあり、世界的な人口増加が予想される中での環境制約や資源制約の高まり、主要国で急速に進む高齢化、国際金融システムの改革、世界経済の多極化といった、幾つもの大潮流変化が重なり合って、かつてない事態に直面しております。≪中略≫
現在の経済状況は、経済有事とも言ってよいものだと認識しています。有事に対応する際に最も重要なことは、国民それぞれの信頼と協力であります。大震災のような自然災害への対応と変わらないと考えております。そして、この信頼と協力こそ我が国が世界に誇る最大の強みであることを我々は一度思い起こすべきと存じます。 》

与謝野 馨(よさの かおる)は、政界きっての「政策通」として知られ、自民党や民主党などで重要閣僚を歴任した政治家。

1938(昭和13)年8月22日、東京府東京市麹町区(千代田区九段)生れ。
父は外交官の与謝野秀(しげる)で、歌人の与謝野鉄幹・晶子の次男だった。
戦時中は長野県沓掛(中軽井沢)に疎開。1945(昭和20)年4月に軽井沢小学校千ヶ滝分教所に入学し、疎開先で敗戦を迎える。翌1946(昭和21)年に東京(六本木)へと戻り、麻布区立(現港区立)麻布小学校2年生に編入学。麻布中学に進学するが、中学2年のときにエジプト公使となった父親に従い一家はカイロへと転居する。郊外の英国系学校イングリッシュ・スクール・ヘリオポリスに入学し、3年間の寄宿舎生活を送り、1956(昭和31)年に卒業すると、イギリス留学を経て、1957(昭和32)年に帰国。麻布高校に復学した。東大受験に失敗し1年間の予備校生活を経て、東京大学文科I類(法学部)に進学。1963(昭和38)年、東京大学法学部を卒業すると、母親の知己だった政治家・中曽根康弘の紹介で日本原子力発電に入社。1968(昭和43)年に日本原電を退職し中曽根の秘書となった。1976(昭和51)年、自民党公認で第34回衆議院議員総選挙に東京1区から立候補し初当選。選挙では3回落選したが、以来、10回の当選を重ねた。自民党では文相、通産相、官房長官などを歴任し、2008(平成20)年には自民党総裁選に出馬し、麻生太郎や小池百合子らと戦った。2010(平成22)年の選挙では「反民主・非自民」を掲げ、平沼赳夫らと新党「たちあがれ日本」を結党し、自民党を除名された一方で、2011(平成23)年には民主党の菅直人改造内閣の経済財政担当相に就任し、消費税率引き上げを主導した。その後、体調を崩して、一時入院。下咽頭癌の影響で声が出にくくなったこともあり、2012(平成24)年の衆院選に出馬をせず政界引退を表明した。2017(平成29)年、数々の功績により4月30日付で自民復党が発表されたが、同年5月24日、死去したことが報道された。78歳。勲等は旭日大綬章(2013年)。学校法人文化学院院長・理事。


■「政治家」「外交官」に関連する防災格言内の記事
 政治家 菅直人(2010.06.14 防災格言)
 政治家・麻生太郎(2008.01.28 防災格言)
 政治家・中川昭一(2009.10.05 防災格言)
 政治家・安部晋三(2012.09.17 防災格言)
 作家・政治家 石原慎太郎(2013.07.22 防災格言)
 政治家・小泉純一郎(2008.06.02 防災格言)
 政治家・小沢一郎(2010.1.25 防災格言)
 政治家・前原誠司(2011.3.7 防災格言)
 政治家・鳩山由紀夫(2009.8.31 防災格言)
 政治家・村山富市(2007.12.31 防災格言)
 政治家・池端清一(2008.01.07 防災格言)
 実業家・松永安左エ門(2012.08.13 防災格言)
 政治家・浜田幸一(2010.07.26 防災格言)
 政治家・後藤田正晴(2010.11.29 防災格言)
 政治家・渡邉美智雄(2009.02.09 防災格言)
 政治家・佐藤栄作(2008.02.25 防災格言)
 政治家 後藤田正晴(2010.11.29 防災格言)
 政治家・浅沼稲次郎(2008.11.24 防災格言)
 政治家・吉田茂(2008.05.05 防災格言)
 政治家・西村英一(2008.02.11 防災格言)
 依田智治(政治家・元警視庁警備部長)(2007.12.10 防災格言)
 実業家・渋沢栄一(2013.03.18 防災格言)
 水野錬太郎 (官僚政治家 内務大臣)(2016.04.11 防災格言)
 加藤久米四郎 (政治家・政友会 実業家)(2015.10.05 防災格言)
 後藤新平 (政治家)(2010.4.26 防災格言)
 田中正造 (明治初の公害・足尾銅山鉱毒事件を告発した政治家)(2013.11.04 防災格言)
 伊藤宗一郎 (陸軍少尉 政治家・防衛庁長官)(2013.01.07 防災格言)
 結城豊太郎 (銀行家 大蔵大臣・日本銀行総裁(第15代))(2016.12.05 防災格言)
 下村海南(下村宏)(敗戦時の内閣情報局総裁)(2016.6.27 防災格言)
 廣田弘毅 (外交官 極東軍事裁判のA級戦犯として死刑)(2013.05.13 防災格言)
 カール・S・シャウプ (GHQ米税制調査団団長 経済学者)(2013.01.07 防災格言)
 ウィンストン・チャーチル (イギリス首相)(2008.08.18 防災格言)
 キャサリン・サンソム (駐日イギリス外交官夫人)(2013.01.07 防災格言)
 毛沢東 (中華人民共和国の建国の父)(2012.09.24 防災格言)
 ミハイル・ゴルバチョフ (旧ソビエト連邦最後の共産党書記長)(2008.03.24 防災格言)
 ゴードン・ブラウン (英国労働党党首 第74代イギリス首相)(2008.06.23 防災格言)











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今週の防災格言<491> 出口治明 (実業家 ライフネット生命保険会長兼CEO)
2017.05.22 [Mon] 07:00


『 人は未来に何が起こるか予知することはできない。
 東日本大震災やリーマン・ショックなど、
 過去に起きた出来事から教訓を得るしかない。 』


出口治明(1948〜 / 実業家 ライフネット生命保険会長兼CEO)

格言は讀賣新聞(2015(平成27)年6月26日)朝刊「No.2064 教育ルネサンス」より。

高校の歴史教育をめぐり、文部科学省の中央教育審議会で日本史必修化などについて議論が続いているなかで、日本史、世界史をどう位置付けるべきかを識者に聞くインタビュー記事「歴史を学ぶ意味とは?」の質問に対する回答から。


出口治明(でぐち はるあき)氏は、インターネット生保の先駆けとなるライフネット生命保険株式会社を2006(平成18)年に創業し、現在、代表取締役会長兼CEOをつとめる人物。
2017(平成29)年3月15日、次の株主総会(2017年6月)をもって代表取締役会長を退任する旨を発表している。

1948(昭和23)年、三重県津市生れ。三重県立上野高等学校を経て、京都大学法学部を卒業後、1972(昭和47)年に日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部で経営企画を担当し、生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、保険業法の改正等金融制度改革に従事する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、2006(平成18)年同社を退職。東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師、慶應義塾大学講師などを務め、2006(平成18)年に生命保険準備会社を設立し、代表取締役社長に就任。2008(平成20)年の生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社を開業。2013(平成25)年6月より現職。
主な著書に「本物の思考力(小学館新書)」「グローバル時代の必須教養「都市」の世界史(PHP研究所)」「座右の書「貞観政要」中国古典に学ぶ世界最高のリーダー論(KADOKAWA)」「「働き方」の教科書(新潮文庫)」など。

■「実業家」に関連する防災格言内の主な記事
 出口治明 ライフネット生命保険創業者(2017.05.22 防災格言)
 瀬島龍三 伊藤忠商事会長(2017.02.13 防災格言)
 品川正治 日本火災海上保険会長(2016.05.30 防災格言)
 三澤千代治 ミサワホーム創業者(2016.03.28 防災格言)
 小倉昌男 ヤマト運輸会長(2016.02.22 防災格言)
 児島仁 NTT社長(2009.02.16 防災格言)
 関本忠弘 NEC会長(2012.10.01 防災格言)
 坪井東 三井不動産会長(2012.10.15 防災格言)
 若狭得治 全日本空輸名誉会長(2014.08.11 防災格言)
 伊藤淳二 カネボウ会長 日本航空会長(2010.01.18 防災格言)
 堤清二(作家・辻井喬) 元セゾングループ代表(2013.12.02 防災格言)
 福原義春 資生堂名誉会長(2012.01.09 防災格言)
 中内功 ダイエー創業者(2009.09.07 防災格言)
 本田宗一郎 ホンダ創業者(2012.12.31 防災格言)
 秋山富一 住友商事会長(2013.09.02 防災格言)
 渡辺文夫 東京海上火災保険会長(2013.11.25 防災格言)
 加納時男 元東京電力副社長(2008.06.09 防災格言)
 浜口梧陵 ヤマサ醤油第7代目社長(2007.12.24 防災格言)
 領木新一郎 大阪ガス元会長(2008.11.03 防災格言)
 久我徹 博報堂関西支社長(2009.04.06 防災格言)
 平生釟三郎 川崎重工業社長(2009.11.02 防災格言)
 横河民輔 横河グループ創業者(2010.02.08 防災格言)
 ロバート・ボッシュ ボッシュグループ創業者(2011.12.12 防災格言)
 内藤久寛 日本石油会社創設者・初代社長(2014.08.18 防災格言)
 阿部良夫 物理学者・北海タイムス社長(2014.6.30 防災格言)
 松永安左エ門 関西電力・中部電力創業者(2012.08.13 防災格言)
 スティーブ・ジョブズ アップル設立者(2013.9.16 防災格言)
 渋沢栄一 実業家・官僚(2013.03.18 防災格言)
 水上滝太郎 作家・旧明治生命保険会社筆頭専務(2015.07.20 防災格言)
 益田孝 旧三井物産創設者(2015.05.25 防災格言)
 石山賢吉 ダイヤモンド社創業者(2015.02.23 防災格言)
 小倉昌男 ヤマト運輸会長(2016.02.22 防災格言)
 水上滝太郎 小説家・明治生命保険会社筆頭専務(2015.07.20 防災格言)











<防災格言編集主幹 平井 拝>

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今週の防災格言<490> 遠藤勝裕 (日本学生支援機構理事長 元日本銀行神戸支店長)
2017.05.15 [Mon] 07:00


『 「前例がない」との言もよく耳にするが、
 初めての経験なのだから、それは当たり前。
 東京や大阪にとっても決して他人事ではない。 』


遠藤勝裕(1945〜 / 日本学生支援機構理事長 元日本銀行神戸支店長)

格言は読売新聞「論点」(1996(平成8)年3月1日)より。

阪神淡路震災(1995年)から1年余りが経過し、政府による復興委員会も「役割を終え」解散する。
国や企業、個人という幅広い層で、被災地と被災地域外との被害状況に対する認識のギャップといった "温度差" が見られ、世の中では様々な社会的大事件が続発(オーム真理教の地下鉄サリンテロ事件など)している中、被災地のことも時と共に忘れがちとなり、もろもろの要望に対して「なぜ神戸だけ特別扱い?」と冷たい反応も少なくないという現実に対して、

《 復興とは時間との戦いでもあるのに、これでは、復興議論が埋没しかねない 》

という思いを強めた遠藤氏の言葉。


曰く―――。

《 (復興は)当地だけの頑張りではとても無理、中央のみならず全国的な支援や理解が必要であろう。》

《 この一年で被災地の定住人口は約十五万人、流入人口も二千万人減った。これは雇用機会を減らし商業活動等を低迷させ、それがまた人口減少を引き起こすといった悪循環をもたらしており、今(※1996年)もその動きは止まっていない。この解決には経済政策、福祉政策両面での知恵と工夫が必要となろう。 》

兵庫県の法人・個人が震災前の10年間に納めた国税は、全国第5位の17兆円もの規模に上る、という。

阪神復興は、「神戸だからこそ」で、国の神戸への特別な対応(規制緩和や税制優遇措置など制度面の支援や、被災地の人口減少に対する経済・福祉政策)が必要であり、そうすることで税負担能力の高い神戸を元気によみがえらせ、それが結果として税収増の形で必ずや国にとってもプラス(国益)となるはず、と述べている。

《 長年国家に貢献してきた企業や個人がある日突然、奈落の底に突き落とされた。この理不尽な天の仕打ちに対し国が特別な救いの手を差しのべるのは当然で、ここは他地域との比較による「ノー」の論理ではなく、早期再生のための温かな心配り、「イエス」の答えが求められよう。
そうすることは税負担能力の高い当地を元気によみがえらせ、結果として税収増の形で必ずや国にとってもプラスとなるはず、国益になることを付言しておきたい。 》


※平井@防災格言編集主幹の注釈
「阪神・淡路復興委員会」は総理府の審議会で、震災翌年の1996年2月に解散しているものの、ここの復興に対する提言は「阪神・淡路復興対策本部(2000年解散)」へと引き継がれています。


遠藤勝裕(えんどう かつひろ)氏は、日本銀行出身で、現在、日本の奨学金制度を担う独立行政法人・日本学生支援機構(旧日本育英会)理事長をつとめる人物。埼玉県所沢市在住。

戦争末期の1945(昭和20)年、疎開先である山形県米沢市に生れる。小学生から東京に暮し、1968(昭和43)年早稲田大学政経学部卒業後に日本銀行に入行。1990(平成2)年青森支店長、1992(平成4)年考査役、1994(平成6)年神戸支店長、1996(平成8)年電算情報局長、1998(平成10)年日銀を退社。その後、日本証券代行株式会社社長を経て、ときわ総合サービス株式会社社長を歴任、2011(平成23)年から日本学生支援機構理事長として活躍。

日銀神戸支店長時代の1995(平成7)年1月17日の阪神淡路震災では、神戸市灘区の社宅で罹災している。
地震当日から、通常では許されない金融特例措置の数々を独断で行い、日銀の金庫を開放し、被災地域の消費拡大に努めた「傑物」として特に有名な人物である。
神戸支店(年間取り扱い額約6兆円)では金融機関の引き出しが、震災翌日18日から3日間で約1,000億円に達し、火災などで損傷した紙幣取り換え量も半年で1,800件、計8億円に上ったという。

■「遠藤勝裕」に関連する防災格言内の記事
 佐々淳行 (作家・初代内閣安全保障室長)(2008.6.30 防災格言)
 結城豊太郎 (銀行家 大蔵大臣・日本銀行総裁(第15代))(2016.12.05 防災格言)
 渡辺文夫 (東京海上火災保険会長)(2013.11.25 防災格言)
 岡崎洋 (神奈川県知事)(2009.08.10 防災格言)

■「阪神淡路大震災」に関連する防災格言内の記事
 実業家 瀬島龍三 (伊藤忠商事会長)(2017.02.13 防災格言)
 余禄(毎日新聞 1995年1月18日朝刊)より(2016.01.18 防災格言)
 天声人語(朝日新聞 1995年1月27日朝刊)(2009.01.19 防災格言)
 兵庫県知事 貝原俊民(2014.11.01 防災格言)
 牧師 草地賢一(2011.08.29 防災格言)
 FEMA長官 ジェームズ・L・ウィット(2010.01.11 防災格言)
 気象庁長官 和達清夫(2007.12.03 防災格言)
 防衛事務次官 依田智治(2007.12.10 防災格言)
 美智子皇后陛下(2010.10.18 防災格言)
 政治家 後藤田正晴(2010.11.29 防災格言)
 政治家・村山富市(2007.12.31 防災格言)
 政治家・池端清一(2008.01.07 防災格言)
 政治家・鳩山由紀夫(2009.08.31 防災格言)
 東京都知事 鈴木俊一(2008.10.13 防災格言)
 元社団法人・全国産業廃棄物連合会技術部長 高橋壽正(2012.01.16 防災格言)
 建築学者 早川和男(2014.06.16 防災格言)
 作家 司馬遼太郎(2015.01.12 防災格言)
 推理作家 斎藤栄(2014.03.03 防災格言)
 指揮者 朝比奈隆(2014.03.10 防災格言)
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今週の防災格言<489> 藤田和夫[2] (地質学者・大阪市立大学名誉教授)
2017.05.08 [Mon] 07:00


『 時にはキバをむき出しにするが、
 日本の自然を作り出してきたのも活断層だ。
 むやみに恐れるのではなく、
 ふだんから地域の特性を知り、
 いざという時の心構えをたてておくことが大切だ 』


藤田和夫(1919〜2008 / 地質学者 理学博士 大阪市立大学名誉教授)

格言は、編集幹事をした編著書(活断層研究会編)『新編 日本の活断層』(東京大学出版会 1991年)の提言より。


藤田和夫(ふじた かずお)は、日本の断層研究の第一人者として知られる地質学者。大阪市生まれ。専門は構造地質学。青年期より登山と探検に精を出し、数多くのフィールドワークの経験を基に、ネオテクトニクス(第四紀構造地質学)と活断層の先駆的研究を行い、特に近畿地方の特徴的な断層や構造帯を「近畿トライアングル(三角地帯)」と名付け、六甲山の隆起史などをふまえて、早くから「神戸に大地震は起こる」と警告を発した人物。

小学生時代から兵庫県芦屋市で育ち、大阪の北野高校、旧制第三高等学校を経て、1943(昭和18)年に京都帝国大学理学部地質学鉱物学科を卒業。その後2年間の兵役を経て、終戦後の1945(昭和20)年に京都大学に助手として勤務した。1950(昭和25)年、大阪市立大学理工学部地学教室(理学部)助教授となり、1960(昭和35)年に教授に昇進、1983(昭和58)年退職。同年、帝塚山大学教授となり、1990(平成2)年退職。1995(平成7)年の阪神淡路震災(兵庫県南部地震)で自宅が壊れたが、大きな揺れは、地震の前から骨折で入院していたポートアイランドの病院で体験したという。
1987(昭和62)年には大阪に断層研究資料センターを設立すると同時に理事長に就任し、亡くなるまで活断層資料の集積と啓蒙に尽力された。また、日本応用地質学会関西支部長や阪神淡路震災後の兵庫県阪神地域活断層調査委員会委員長などを歴任。2008(平成20)年12月1日に89歳で逝去。

三高時代は山岳部に属し、1940(昭和15)年には梅棹忠夫(うめさお ただお / 1920〜2010 民俗学者・国立民族学博物館名誉教授)ら三高山岳部の仲間3人と朝鮮半島北部の白頭山に遠征し登頂に成功。その後も、北部大興安嶺探検隊(京都帝大)、カラコラム・ヒンズークシ地域学術探検隊(京都大学)、パンジャップ大学合同ヒンズークシ探検隊隊長(京都大学)として学術探検でも活躍されている。
1967(昭和42)年、第22回秩父宮記念学術賞受賞。1993(平成5)年、正四位勲三等旭日中綬賞叙勲。1997(平成9)年、兵庫県科学賞受賞。

写真:公益社団法人 日本地震学会WEBより


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今週の防災格言<488> 秦野章 (元警視総監・参議院議員・法務大臣)
2017.05.01 [Mon] 07:00


『 思い切った対策を
 果敢に実行することが、
 地震対策の場合、とくに必要だ。 』


秦野 章(1911〜2002 / 内務官僚・警視総監 政治家・法務大臣)

曰く―――。

《 思い切った対策を果敢に実行することが、地震対策の場合、とくに必要なんだ。それが民主主義の社会では、なかなかやれない。
考えてみれば、大きな都市政策が行われたのは、日本でいえば戦国時代の大名とか、一種の独裁権力があったときなんだな。
しかし・・・いっぺんに何十万人も死ぬんだよ。大変なことだよ、これは。
ほんとうに、そういう痛い目にあわないと、できないんだろうか。
いや、民主主義の社会だってやれるはずなんだ。ただ、それには歴史の重みってやつを、思い知る必要がある。民主主義を本当に機能させるのは、歴史の重みなんだ。都市政策というと、すぐ空間だけを考えてしまうが、時間の軸で見ることが必要なんだ。 》

格言は災害心理研究会編「地震パニック(昭和55年 サンケイ出版)」より。



秦野章(はたの あきら)は、東大閥の根強い警察官僚にあって、私大(夜間)卒業、刑事課長として拳銃を片手に現場で暴力団摘発に腕をふるい神戸の治安回復に尽力しながら、安保闘争や学生運動が盛んな1960年代に警視庁トップの警視総監となった人物。
「乱世の名総監」と奉られるほどの辣腕をふるった後は、佐藤栄作首相の要請で東京都知事選に立候補(落選)、自由民主党公認候補として政治家(参議院議員)となり法務大臣を歴任した。晩年は、持ち前の歯に衣ぬ着せぬベランメエ口調の政治評論家として活躍した。

1911(明治44)年10月10日、神奈川県藤沢市に生れる。
1929(昭和4)年に父親が経営する製糸工場が倒産し、旧制藤沢中学校を中退。鎌倉の酒屋や横浜の貿易商で働きながら苦学して、旧制日本大学専門部政治科(夜間)を1937(昭和12)年に卒業した。
1939(昭和14)年、高等文官試験に合格し内務省に入省。香川県商工課長、茨城県警警務課長、内務省警保局、大阪府警刑事部長、警視庁刑事部長、警察庁警務局長などを経て、1967(昭和42)年、私大出身者としては初の警視総監に就任し、警視庁トップとして学園紛争や70年安保闘争をめぐる警備で陣頭指揮を執った。
1971(昭和46)年には自民党の要請で東京都知事選に出馬し、美濃部亮吉と争うも100万票を超える大差で落選。1974(昭和49)年の第10回参議院議員選挙で神奈川地方区から出馬し当選、以降、2期12年を務めた。
1982(昭和57)年の第二次中曽根内閣で法相に就任。自民党では無派閥であったが田中角栄元首相に近い立場から、法相時代の「ロッキード裁判(1983年)」では指揮権発動問題やマスコミ非難、田中擁護発言などを行い物議を醸した。1986(昭和61)年7月の選挙で立候補をせず政界を引退。
2002(平成14)年11月6日、腎不全のため死去。91歳。死後、従三位叙位。
台湾大綬景星勲章(1986年)、勲一等瑞宝章受章(1987年)。


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今週の防災格言<487> 渡部昇一 (英語学者・評論家 上智大学名誉教授)
2017.04.24 [Mon] 07:00


『 最大の国難とは、
 日本人のアイデンティティーが
 失われてしまうことである 』


渡部昇一(1930〜2017 / 英語学者・評論家 上智大学名誉教授)

曰く―――。

《 名だたる日本企業の不祥事で、日本の、ひいては日本人の「強み」は失われたという人もいるかもしれない。だが、それは間違っている。アメリカのような大国に影響されるのは島国の日本では当然なことで、日本の歴史をみればずっと海外の影響下にあるのである。

しかし、歴史から鑑みて、長い月日の中で見れば、さざ波のような出来事でしかない。日本の、日本人の「強み」は、海の底に広がる岩盤のように確固とし根付いているのである。

その証拠は、二度にわたって日本を襲った震災の中にみることができる。未曽有の被害を被った東日本大震災の時、人々は混乱なく整然と並び、暴動や略奪行為もほとんど起こらなかった。自分のことより人を慮(おもんばか)る態度に、世界は驚嘆したというニュースをお聞きになったのは皆さんご存知の通りだろう。

そして、2016年4月に発生した熊本地震は、改めて地震災害の恐ろしさを実感させられた。にも関わらず、東日本大震災の時と同様、被災者たちは秩序を保ち自制した避難生活を今でも送っている。厳しい状況におかれても、自分のことばかりではなく、他の被災者を慮り、手を差し伸べているのも変わりはない。

海外では、人種問題から端を発したロサンゼルスの暴動事件のように、いったん世の中が無秩序になったと思えば、民衆は暴徒と化し、店舗や人家を破壊したうえ、金品を強奪するということは普通に起こることなのである。

なぜ、日本人は大震災のような中でも、世界が驚嘆するような秩序を保つことができたのか?≪中略≫

実は、私は日本人というものが、どういう歴史を辿って形成されてきたのかを、日本人自身が理解できていないように思うことがある。 ≪中略≫

日本の皇室は他の国の王朝とは異なる特色をもっている。ほとんどの国は、時代によって王朝は倒され、時には支配者の民族が入れ替わっている。ところが、日本の場合は『古事記』『日本書紀』に示されている通り、神話から始まる皇室が万世一系の流れで現代に受け継がれて連続性をもっているのである。

日本の歴史をみたとき、この万世一系の連続性を考慮しない限り、説明が不可能な史実が日本史には随所に存在していることが本書を読み進めていただければわかるはずである。

近々の例を挙げれば、興味深いことに熊本地震の時、他県から熊本に乗り込んで盗難を働いたごく一部の不届き者に対して、日本全国から憤りの声がいっせいに上がったことである。それはまるで、日本全体がひとつの運命共同体となり、一枚岩で熊本地震に臨もうとしているようであった。

日本人が個別に意識しなくても、古代から途絶えることなく続く歴史が、日本人の骨となり肉となっていて、日本人の矜持を形作っているのである。日本人はこのことを決して忘れてはいけないのである。 》

(著書『決定版 日本人論(扶桑社新書 2016年)』の「まえがき」より)


国の継続には、力ではなく精神的権威こそ重要である―――と著者は考える。また著者は、文明史家アーノルド・J・トインビーやフィリップ・バグビー、マシュー・メルコ、サミュエル・ハンチントン、アーサー・ウエイリー、ライシャワー(駐日アメリカ大使)などの言説『 日本は「一民族一文明」であり、他の文明とは一線を画している 』を紹介しながら、

《 日本人として誇りをもってもらいたいと思うときに、私はいちばん重要だと思うことは、日本が、日本一国だけで一つの文明圏を形作っていることである 》

と述べる。そして、

《 日本だけが持つ「日本語」「皇室」「神社」「日本仏教」という四つの要素が、日本人のアイデンティティーを構成している 》

と論じ、それにより、

《 自然や人や他国と対立せず、拒否せず、排除もせず、それを受け入れて自分の中になじむように収めてしまう知恵が養われた。すべてを受容するというこの知恵は、日本人の体質になっている。すなわち、それが日本人の「強み」なのである 》

と結論している。


渡部昇一(わたなべ しょういち)さんは、保守派の論客として、歴史認識問題や政治を題材に積極的な評論活動を行った山形県鶴岡市出身の英語学者。上智大学名誉教授。
山形県立鶴岡第一高等学校(現山形県立鶴岡南高等学校)、上智大学大学院(西洋文化研究科修士課程)を経て、ドイツのミュンスター大学大学院博士課程修了。その後、オックスフォード大学などの留学を経て、上智大学教授となった。1976(昭和51)年、読書を中心にした独自のライフスタイルを説いた『知的生活の方法』は100万部超のベストセラーとなり、同年『腐敗の時代』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。
たいへんな蔵書家で、その知識は専門の言語学だけにとどまらず、政治、経済、歴史、哲学など多岐にわたった。また「マーフィーの法則」を日本で最初に紹介した人物としても知られる。
2017(平成29)年4月17日、心不全により東京の自宅で死去。86歳。
瑞宝中綬章受勲(2015年)。

写真は日本財団WEBより


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