今週の防災格言<491> 出口治明 (実業家 ライフネット生命保険会長兼CEO)
2017.05.22 [Mon] 07:00


『 人は未来に何が起こるか予知することはできない。
 東日本大震災やリーマン・ショックなど、
 過去に起きた出来事から教訓を得るしかない。 』


出口治明(1948〜 / 実業家 ライフネット生命保険会長兼CEO)

格言は讀賣新聞(2015(平成27)年6月26日)朝刊「No.2064 教育ルネサンス」より。

高校の歴史教育をめぐり、文部科学省の中央教育審議会で日本史必修化などについて議論が続いているなかで、日本史、世界史をどう位置付けるべきかを識者に聞くインタビュー記事「歴史を学ぶ意味とは?」の質問に対する回答から。


出口治明(でぐち はるあき)氏は、インターネット生保の先駆けとなるライフネット生命保険株式会社を2006(平成18)年に創業し、現在、代表取締役会長兼CEOをつとめる人物。
2017(平成29)年3月15日、次の株主総会(2017年6月)をもって代表取締役会長を退任する旨を発表している。

1948(昭和23)年、三重県津市生れ。三重県立上野高等学校を経て、京都大学法学部を卒業後、1972(昭和47)年に日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部で経営企画を担当し、生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、保険業法の改正等金融制度改革に従事する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、2006(平成18)年同社を退職。東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師、慶應義塾大学講師などを務め、2006(平成18)年に生命保険準備会社を設立し、代表取締役社長に就任。2008(平成20)年の生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社を開業。2013(平成25)年6月より現職。
主な著書に「本物の思考力(小学館新書)」「グローバル時代の必須教養「都市」の世界史(PHP研究所)」「座右の書「貞観政要」中国古典に学ぶ世界最高のリーダー論(KADOKAWA)」「「働き方」の教科書(新潮文庫)」など。

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 小倉昌男 ヤマト運輸会長(2016.02.22 防災格言)
 水上滝太郎 小説家・明治生命保険会社筆頭専務(2015.07.20 防災格言)











<防災格言編集主幹 平井 拝>

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今週の防災格言<490> 遠藤勝裕 (日本学生支援機構理事長 元日本銀行神戸支店長)
2017.05.15 [Mon] 07:00


『 「前例がない」との言もよく耳にするが、
 初めての経験なのだから、それは当たり前。
 東京や大阪にとっても決して他人事ではない。 』


遠藤勝裕(1945〜 / 日本学生支援機構理事長 元日本銀行神戸支店長)

格言は読売新聞「論点」(1996(平成8)年3月1日)より。

阪神淡路震災(1995年)から1年余りが経過し、政府による復興委員会も「役割を終え」解散する。
国や企業、個人という幅広い層で、被災地と被災地域外との被害状況に対する認識のギャップといった "温度差" が見られ、世の中では様々な社会的大事件が続発(オーム真理教の地下鉄サリンテロ事件など)している中、被災地のことも時と共に忘れがちとなり、もろもろの要望に対して「なぜ神戸だけ特別扱い?」と冷たい反応も少なくないという現実に対して、

《 復興とは時間との戦いでもあるのに、これでは、復興議論が埋没しかねない 》

という思いを強めた遠藤氏の言葉。


曰く―――。

《 (復興は)当地だけの頑張りではとても無理、中央のみならず全国的な支援や理解が必要であろう。》

《 この一年で被災地の定住人口は約十五万人、流入人口も二千万人減った。これは雇用機会を減らし商業活動等を低迷させ、それがまた人口減少を引き起こすといった悪循環をもたらしており、今(※1996年)もその動きは止まっていない。この解決には経済政策、福祉政策両面での知恵と工夫が必要となろう。 》

兵庫県の法人・個人が震災前の10年間に納めた国税は、全国第5位の17兆円もの規模に上る、という。

阪神復興は、「神戸だからこそ」で、国の神戸への特別な対応(規制緩和や税制優遇措置など制度面の支援や、被災地の人口減少に対する経済・福祉政策)が必要であり、そうすることで税負担能力の高い神戸を元気によみがえらせ、それが結果として税収増の形で必ずや国にとってもプラス(国益)となるはず、と述べている。

《 長年国家に貢献してきた企業や個人がある日突然、奈落の底に突き落とされた。この理不尽な天の仕打ちに対し国が特別な救いの手を差しのべるのは当然で、ここは他地域との比較による「ノー」の論理ではなく、早期再生のための温かな心配り、「イエス」の答えが求められよう。
そうすることは税負担能力の高い当地を元気によみがえらせ、結果として税収増の形で必ずや国にとってもプラスとなるはず、国益になることを付言しておきたい。 》


※平井@防災格言編集主幹の注釈
「阪神・淡路復興委員会」は総理府の審議会で、震災翌年の1996年2月に解散しているものの、ここの復興に対する提言は「阪神・淡路復興対策本部(2000年解散)」へと引き継がれています。


遠藤勝裕(えんどう かつひろ)氏は、日本銀行出身で、現在、日本の奨学金制度を担う独立行政法人・日本学生支援機構(旧日本育英会)理事長をつとめる人物。埼玉県所沢市在住。

戦争末期の1945(昭和20)年、疎開先である山形県米沢市に生れる。小学生から東京に暮し、1968(昭和43)年早稲田大学政経学部卒業後に日本銀行に入行。1990(平成2)年青森支店長、1992(平成4)年考査役、1994(平成6)年神戸支店長、1996(平成8)年電算情報局長、1998(平成10)年日銀を退社。その後、日本証券代行株式会社社長を経て、ときわ総合サービス株式会社社長を歴任、2011(平成23)年から日本学生支援機構理事長として活躍。

日銀神戸支店長時代の1995(平成7)年1月17日の阪神淡路震災では、神戸市灘区の社宅で罹災している。
地震当日から、通常では許されない金融特例措置の数々を独断で行い、日銀の金庫を開放し、被災地域の消費拡大に努めた「傑物」として特に有名な人物である。
神戸支店(年間取り扱い額約6兆円)では金融機関の引き出しが、震災翌日18日から3日間で約1,000億円に達し、火災などで損傷した紙幣取り換え量も半年で1,800件、計8億円に上ったという。

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今週の防災格言<489> 藤田和夫[2] (地質学者・大阪市立大学名誉教授)
2017.05.08 [Mon] 07:00


『 時にはキバをむき出しにするが、
 日本の自然を作り出してきたのも活断層だ。
 むやみに恐れるのではなく、
 ふだんから地域の特性を知り、
 いざという時の心構えをたてておくことが大切だ 』


藤田和夫(1919〜2008 / 地質学者 理学博士 大阪市立大学名誉教授)

格言は、編集幹事をした編著書(活断層研究会編)『新編 日本の活断層』(東京大学出版会 1991年)の提言より。


藤田和夫(ふじた かずお)は、日本の断層研究の第一人者として知られる地質学者。大阪市生まれ。専門は構造地質学。青年期より登山と探検に精を出し、数多くのフィールドワークの経験を基に、ネオテクトニクス(第四紀構造地質学)と活断層の先駆的研究を行い、特に近畿地方の特徴的な断層や構造帯を「近畿トライアングル(三角地帯)」と名付け、六甲山の隆起史などをふまえて、早くから「神戸に大地震は起こる」と警告を発した人物。

小学生時代から兵庫県芦屋市で育ち、大阪の北野高校、旧制第三高等学校を経て、1943(昭和18)年に京都帝国大学理学部地質学鉱物学科を卒業。その後2年間の兵役を経て、終戦後の1945(昭和20)年に京都大学に助手として勤務した。1950(昭和25)年、大阪市立大学理工学部地学教室(理学部)助教授となり、1960(昭和35)年に教授に昇進、1983(昭和58)年退職。同年、帝塚山大学教授となり、1990(平成2)年退職。1995(平成7)年の阪神淡路震災(兵庫県南部地震)で自宅が壊れたが、大きな揺れは、地震の前から骨折で入院していたポートアイランドの病院で体験したという。
1987(昭和62)年には大阪に断層研究資料センターを設立すると同時に理事長に就任し、亡くなるまで活断層資料の集積と啓蒙に尽力された。また、日本応用地質学会関西支部長や阪神淡路震災後の兵庫県阪神地域活断層調査委員会委員長などを歴任。2008(平成20)年12月1日に89歳で逝去。

三高時代は山岳部に属し、1940(昭和15)年には梅棹忠夫(うめさお ただお / 1920〜2010 民俗学者・国立民族学博物館名誉教授)ら三高山岳部の仲間3人と朝鮮半島北部の白頭山に遠征し登頂に成功。その後も、北部大興安嶺探検隊(京都帝大)、カラコラム・ヒンズークシ地域学術探検隊(京都大学)、パンジャップ大学合同ヒンズークシ探検隊隊長(京都大学)として学術探検でも活躍されている。
1967(昭和42)年、第22回秩父宮記念学術賞受賞。1993(平成5)年、正四位勲三等旭日中綬賞叙勲。1997(平成9)年、兵庫県科学賞受賞。

写真:公益社団法人 日本地震学会WEBより


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今週の防災格言<488> 秦野章 (元警視総監・参議院議員・法務大臣)
2017.05.01 [Mon] 07:00


『 思い切った対策を
 果敢に実行することが、
 地震対策の場合、とくに必要だ。 』


秦野 章(1911〜2002 / 内務官僚・警視総監 政治家・法務大臣)

曰く―――。

《 思い切った対策を果敢に実行することが、地震対策の場合、とくに必要なんだ。それが民主主義の社会では、なかなかやれない。
考えてみれば、大きな都市政策が行われたのは、日本でいえば戦国時代の大名とか、一種の独裁権力があったときなんだな。
しかし・・・いっぺんに何十万人も死ぬんだよ。大変なことだよ、これは。
ほんとうに、そういう痛い目にあわないと、できないんだろうか。
いや、民主主義の社会だってやれるはずなんだ。ただ、それには歴史の重みってやつを、思い知る必要がある。民主主義を本当に機能させるのは、歴史の重みなんだ。都市政策というと、すぐ空間だけを考えてしまうが、時間の軸で見ることが必要なんだ。 》

格言は災害心理研究会編「地震パニック(昭和55年 サンケイ出版)」より。



秦野章(はたの あきら)は、東大閥の根強い警察官僚にあって、私大(夜間)卒業、刑事課長として拳銃を片手に現場で暴力団摘発に腕をふるい神戸の治安回復に尽力しながら、安保闘争や学生運動が盛んな1960年代に警視庁トップの警視総監となった人物。
「乱世の名総監」と奉られるほどの辣腕をふるった後は、佐藤栄作首相の要請で東京都知事選に立候補(落選)、自由民主党公認候補として政治家(参議院議員)となり法務大臣を歴任した。晩年は、持ち前の歯に衣ぬ着せぬベランメエ口調の政治評論家として活躍した。

1911(明治44)年10月10日、神奈川県藤沢市に生れる。
1929(昭和4)年に父親が経営する製糸工場が倒産し、旧制藤沢中学校を中退。鎌倉の酒屋や横浜の貿易商で働きながら苦学して、旧制日本大学専門部政治科(夜間)を1937(昭和12)年に卒業した。
1939(昭和14)年、高等文官試験に合格し内務省に入省。香川県商工課長、茨城県警警務課長、内務省警保局、大阪府警刑事部長、警視庁刑事部長、警察庁警務局長などを経て、1967(昭和42)年、私大出身者としては初の警視総監に就任し、警視庁トップとして学園紛争や70年安保闘争をめぐる警備で陣頭指揮を執った。
1971(昭和46)年には自民党の要請で東京都知事選に出馬し、美濃部亮吉と争うも100万票を超える大差で落選。1974(昭和49)年の第10回参議院議員選挙で神奈川地方区から出馬し当選、以降、2期12年を務めた。
1982(昭和57)年の第二次中曽根内閣で法相に就任。自民党では無派閥であったが田中角栄元首相に近い立場から、法相時代の「ロッキード裁判(1983年)」では指揮権発動問題やマスコミ非難、田中擁護発言などを行い物議を醸した。1986(昭和61)年7月の選挙で立候補をせず政界を引退。
2002(平成14)年11月6日、腎不全のため死去。91歳。死後、従三位叙位。
台湾大綬景星勲章(1986年)、勲一等瑞宝章受章(1987年)。


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 佐藤栄作(政治家)(2008.02.25 防災格言)
 小沢一郎(政治家)(2010.1.25 防災格言)
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 水野錬太郎 (官僚政治家 内務大臣)(2016.04.11 防災格言)
 吉田茂(政治家)(2008.05.05 防災格言)
 西村英一(政治家)(2008.02.11 防災格言)
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 石原慎太郎(政治家)(2013.07.22 防災格言)
 小泉純一郎(政治家)(2008.06.02 防災格言)
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<防災格言編集主幹 平井 拝>

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今週の防災格言<487> 渡部昇一 (英語学者・評論家 上智大学名誉教授)
2017.04.24 [Mon] 07:00


『 最大の国難とは、
 日本人のアイデンティティーが
 失われてしまうことである 』


渡部昇一(1930〜2017 / 英語学者・評論家 上智大学名誉教授)

曰く―――。

《 名だたる日本企業の不祥事で、日本の、ひいては日本人の「強み」は失われたという人もいるかもしれない。だが、それは間違っている。アメリカのような大国に影響されるのは島国の日本では当然なことで、日本の歴史をみればずっと海外の影響下にあるのである。

しかし、歴史から鑑みて、長い月日の中で見れば、さざ波のような出来事でしかない。日本の、日本人の「強み」は、海の底に広がる岩盤のように確固とし根付いているのである。

その証拠は、二度にわたって日本を襲った震災の中にみることができる。未曽有の被害を被った東日本大震災の時、人々は混乱なく整然と並び、暴動や略奪行為もほとんど起こらなかった。自分のことより人を慮(おもんばか)る態度に、世界は驚嘆したというニュースをお聞きになったのは皆さんご存知の通りだろう。

そして、2016年4月に発生した熊本地震は、改めて地震災害の恐ろしさを実感させられた。にも関わらず、東日本大震災の時と同様、被災者たちは秩序を保ち自制した避難生活を今でも送っている。厳しい状況におかれても、自分のことばかりではなく、他の被災者を慮り、手を差し伸べているのも変わりはない。

海外では、人種問題から端を発したロサンゼルスの暴動事件のように、いったん世の中が無秩序になったと思えば、民衆は暴徒と化し、店舗や人家を破壊したうえ、金品を強奪するということは普通に起こることなのである。

なぜ、日本人は大震災のような中でも、世界が驚嘆するような秩序を保つことができたのか?≪中略≫

実は、私は日本人というものが、どういう歴史を辿って形成されてきたのかを、日本人自身が理解できていないように思うことがある。 ≪中略≫

日本の皇室は他の国の王朝とは異なる特色をもっている。ほとんどの国は、時代によって王朝は倒され、時には支配者の民族が入れ替わっている。ところが、日本の場合は『古事記』『日本書紀』に示されている通り、神話から始まる皇室が万世一系の流れで現代に受け継がれて連続性をもっているのである。

日本の歴史をみたとき、この万世一系の連続性を考慮しない限り、説明が不可能な史実が日本史には随所に存在していることが本書を読み進めていただければわかるはずである。

近々の例を挙げれば、興味深いことに熊本地震の時、他県から熊本に乗り込んで盗難を働いたごく一部の不届き者に対して、日本全国から憤りの声がいっせいに上がったことである。それはまるで、日本全体がひとつの運命共同体となり、一枚岩で熊本地震に臨もうとしているようであった。

日本人が個別に意識しなくても、古代から途絶えることなく続く歴史が、日本人の骨となり肉となっていて、日本人の矜持を形作っているのである。日本人はこのことを決して忘れてはいけないのである。 》

(著書『決定版 日本人論(扶桑社新書 2016年)』の「まえがき」より)


国の継続には、力ではなく精神的権威こそ重要である―――と著者は考える。また著者は、文明史家アーノルド・J・トインビーやフィリップ・バグビー、マシュー・メルコ、サミュエル・ハンチントン、アーサー・ウエイリー、ライシャワー(駐日アメリカ大使)などの言説『 日本は「一民族一文明」であり、他の文明とは一線を画している 』を紹介しながら、

《 日本人として誇りをもってもらいたいと思うときに、私はいちばん重要だと思うことは、日本が、日本一国だけで一つの文明圏を形作っていることである 》

と述べる。そして、

《 日本だけが持つ「日本語」「皇室」「神社」「日本仏教」という四つの要素が、日本人のアイデンティティーを構成している 》

と論じ、それにより、

《 自然や人や他国と対立せず、拒否せず、排除もせず、それを受け入れて自分の中になじむように収めてしまう知恵が養われた。すべてを受容するというこの知恵は、日本人の体質になっている。すなわち、それが日本人の「強み」なのである 》

と結論している。


渡部昇一(わたなべ しょういち)さんは、保守派の論客として、歴史認識問題や政治を題材に積極的な評論活動を行った山形県鶴岡市出身の英語学者。上智大学名誉教授。
山形県立鶴岡第一高等学校(現山形県立鶴岡南高等学校)、上智大学大学院(西洋文化研究科修士課程)を経て、ドイツのミュンスター大学大学院博士課程修了。その後、オックスフォード大学などの留学を経て、上智大学教授となった。1976(昭和51)年、読書を中心にした独自のライフスタイルを説いた『知的生活の方法』は100万部超のベストセラーとなり、同年『腐敗の時代』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。
たいへんな蔵書家で、その知識は専門の言語学だけにとどまらず、政治、経済、歴史、哲学など多岐にわたった。また「マーフィーの法則」を日本で最初に紹介した人物としても知られる。
2017(平成29)年4月17日、心不全により東京の自宅で死去。86歳。
瑞宝中綬章受勲(2015年)。

写真は日本財団WEBより


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今週の防災格言<486> 宮崎美子 (熊本市出身の女優・タレント)
2017.04.17 [Mon] 07:00


『 ご近所さんのありがたみを実感しました。 』


宮崎美子(1958〜 / 女優・タレント 熊本市出身)

曰く―――。

本震があった4月16日は東京にいました。熊本市に住む両親に電話をかけましたが、つながりませんでした。実家には固定電話しかなかったので、近所の方の携帯に電話をかけ、両親に取り次いでいただき無事を確認できました。ご近所さんのありがたみを実感しました。

讀賣新聞(2016年5月25日朝刊)「被災地を想う(最終回)」より。

宮崎美子(みやざき よしこ)さんは、熊本県熊本市出身のタレント。
本名は宮崎美子。旧芸名は宮ア淑子。ホリプロ所属。
県内でもトップの進学校である大分県立大分上野丘高校、熊本県立熊本高校(編入学)を経て、熊本大学法文学部法学科(現法学部法学科)在学中の1980(昭和55)年に、週刊朝日「篠山紀信があなたを撮ります・キャンパスの春」に応募し、1月25日号の「週刊朝日」の表紙に掲載。
これを機にミノルタ・カメラのテレビCMに抜擢され、これが大反響となり、以後、雑誌やテレビ出演が増え、同年のTBSテレビ小説「元気です!」で主演で本格デビューを果たす。その後は数多くのドラマ・映画・バラエティ番組等に出演中。

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今週の防災格言<485> 田山花袋 (小説家 代表作『蒲団』『田舎教師』など)
2017.04.10 [Mon] 07:00


『 金がありさえすれば先ずい。
 えさえしなければ兎に角安心だ。
 この「兎に角安心」が非常に勢力がある。 』


田山花袋(1872〜1930 / 小説家 代表作『蒲団』『田舎教師』など)

格言は小説『妻(1909年)』より。理想化肌の青年「勤」が、実社会にでて見聞を広め得た感想から。

なお、この青年「勤」は花袋自身のことで、小説『妻』には、花袋の親友である柳田國男が「西」として、国木田独歩は「田邊」として、太田玉茗は「田舎寺の住職・早川貞一」のモデルとして描かれている。


田山花袋(たやま かたい)は、自然主義派の代表的小説家の一人。
1907(明治40)年発表の『蒲団』が、自然主義文学の先駆的作品と評価され、以来旺盛な作家活動を続けた。『野の花』『田舎教師』『東京の三十年』などの小説の他、『日本一周』『古人之遊跡』『南船北馬』『山行水行』などの紀行文や日露戦争の従軍記『第二軍従征日記』、関東大震災のルポタージュ『東京震災記』など優れた作品を残している。

群馬県館林(当時は栃木県)の館林藩の下級藩士の子として生れる。本名は録弥(ろくや)。6つ年上の長兄・田山実(みのる / 1865〜1907)は、1893(明治26)年に文部省の震災予防評議会(旧震災予防調査会)嘱託として日本初となる古地震史料集「大日本地震資料(1904年)」を10年かけて編纂した人物として地震史学分野で著名でもある。
若くして儒学者・吉田陋軒(ろうけん)の休々草堂で漢詩文を学び、和歌や西洋文学にも親しんだ。14歳のとき一家は上京して東京牛込富久町に転居。英語や和歌を学び、西洋文学にも触れ、1890(明治23)年に尾崎紅葉に入門し江見水蔭の指導を受けたが、1902(明治35)年に発表した自然主義的な作品『重右衛門の最後』によって文壇に認められた。
1904(明治37)年、日露戦争が勃発すると従軍し壮絶な記録をつづった。
1906(明治39)年、博文館の『文章世界』の主筆となり、翌年『蒲団』を発表し日本における自然主義文学の地位を築いた。
1923(大正12)年の関東大震災では東京で罹災。様々な惨状を耳にした花袋は、自らの目で何が起きているかを確かめようと、罹災後すぐに壊滅した市街地へと入り、目に飛び込んできた光景を『東京震災記(1924年)』に記している。
晩年は宗教的心境に至り、精神主義的な作品を多く残すも、1928(昭和3)年に脳溢血のため入院。その後、喉頭癌となり1930(昭和5)年5月13日に東京(渋谷区代々木)の自宅で死去。58歳。

「田山花袋」 森田太三郎 画


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今週の防災格言<484> 番匠幸一郎 (元自衛隊陸将・西部方面総監(第35代))
2017.04.03 [Mon] 07:00


『 安全はそれを担保する力と
 備えがなければ維持できない 』


番匠幸一郎(1958〜 / 元自衛隊陸将・西部方面総監(第35代))

格言は櫻井よしこさんのコラム『 サマワ帰国「番匠群長」の笑顔 』
(初出:「週刊新潮」(2004年7月1日号)日本ルネッサンス 第122回)より。

曰く―――。

《 番匠幸一郎第一次イラク復興支援群長率いる部隊が引き揚げるとき、イラクの人々は“涙”で別れを惜しんでくれたという。外国人への敵意と、自衛隊へのこの親しみは一体どこで交叉するのか。
番匠群長が語った。
「それらが混在しているのがイラクなのだと思います。私は日本の自衛官として現地の人々に嘘はつかないこと、誠実さと友好的な態度を全ての基本に置くことを旨としました。が、絶対に油断しないことがそれらの大前提ではありました。我々の派遣されたムサンナ県は比較的安全だと言われていましたが、安全はそれを担保する力と備えがなければ維持出来ませんから」 》


番匠幸一郎(ばんしょう こういちろう)氏は、鹿児島県鹿児島市出身の元陸上自衛官。
1980(昭和55)年、防衛大学校卒。陸上自衛隊富士学校レンジャー課程修了、アメリカ合衆国陸軍戦略大学校(United States Army War College)留学。2005(平成17)年、陸将補。西部方面総監部幕僚副長、陸上幕僚監部防衛部長を経て、2011(平成23)年、陸将に昇任。
陸自第3師団長、陸上幕僚副長(第49代)、西部方面総監(第35代)を歴任し、2015(平成27)年、自衛隊退官。
現在は、政府の国家安全保障局顧問、丸紅株式会社輸送機グループ顧問を務める。

アメリカ合衆国・有志連合軍がイラクへ侵攻したイラク戦争(2003年)では、5月の「大規模戦闘終結宣言」後もイラク国内の治安悪化が問題となった。日本政府は「イラク特措法」に基づいて自衛隊のイラク派遣が決まり、番匠(当時1等陸佐)氏は、2004(平成16)年2月から5月までの期間、第1次イラク復興支援群長としてサマーワに赴任した。 また、2011(平成23)年の東日本大震災では、4月12日まで「日米危機対応チームリーダー」として活躍された。


■「番匠幸一郎」に関連する防災格言内の記事
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 後藤田正晴 (政治家・内閣官房長官・警察官僚)(2010.11.29 防災格言)
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 君塚栄治 (陸上幕僚長 東日本大震災時の東北方面総監)(2016.03.14 防災格言)
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今週の防災格言<483> 魯迅 (中国の作家・思想家)
2017.03.27 [Mon] 07:00


『 絶望の虚妄なることは、
 まさに希望と同じである。 』


魯迅(1881〜1936 / 中国の作家・思想家 代表作「阿Q正伝」「狂人日記」)

格言は散文詩「野草」所収の『希望(1925年1月1日)』より。
(出典:駒田信二訳「集英社ギャラリー「世界の文学」20 中国・アジア・アフリカ」(集英社 1991年))

虚妄(きょもう)は、うそ、・いつわりの意。

中国近代文学の祖・魯迅(ろじん)。
本名は周樹人。字は予才(よさい)。浙江(せっこう)省紹興の出身。
弟に文学者・日本文化研究者の周作人、生物学者の周建人がいる。

中国大陸で、清王朝(1644〜1912年)による封建的な支配が続く時代に魯迅は比較的に富裕な読書人階級の家に生まれた。しかし、少年の頃に祖父が失脚、家は没落し、生活が貧窮したことで、社会の冷たさを体験することになる。
1902年、国費留学生として日本に留学。当初は近代医学を学ぶため、1904年に仙台医学専門学校(現・東北大学医学部)に入学するが、講義中に見た日露戦争のニュース映像に写し出された愚かな中国人たちの姿にショックを受け「中国民衆の愚弱な精神を改造するには医学ではなく文学である」と痛感し、1906年、24歳で医学専門学校を退学し、東京での生活を始めた。帰国後、革命運動に参加したが、のちに学問に没頭し、1912年に中華民国政府が成立すると教育部の事務官の職位に就き北京へと移り住んだ。1918年、魯迅の筆名で処女小説『狂人日記』を発表。『狂人日記』は中国文学で初めての口語体で書かれた小説となる。
以降は多くのペンネームを用いて文筆活動を本格化し、代表作『阿Q正伝』(1921年)や神話時代から清朝末期までの小説史を論じた中国初の小説史『中国小説史略』(1924年)などをはじめ、多くの小説、随筆、評論を発表し、他にも、外国文学の翻訳・紹介にも努めた。また、翻訳、文学史研究などにも大きな功績を残した。
1927年上海へと移り、左翼作家連盟の中心として論陣をはり、文学者としては国民党独裁体制を厳しく批判した。1936年10月19日、持病の喘息の発作により急逝。56歳。葬儀委員会の名簿には、蔡元培、宋慶齢、毛沢東、内山完造、アグネス・スメドレー、茅盾らの名が連なり、六千人以上の人たちが葬儀に訪れたという。


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今週の防災格言<482> 市川森一 (脚本家)
2017.03.20 [Mon] 07:00


『 大地の震動が治まったあとも、
 人心の余震はさらに広がり、
 風評と不信が横行して
 日本中が平常心を失っていった。 』


市川森一(1941〜2011 / 脚本家・劇作家・小説家)

格言は日本経済新聞「日曜日の随想」(2011(平成23)年8月14日朝刊)掲載のエッセイ「古いノートから」より。

曰く―――。

《 大津波襲来という、古代の神話のような、きわめて原始的な異変が、日本の政治も経済も日本人のあらゆる物事への価値観までも、根底から覆してしまった。大地の震動が治まったあとも、人心の余震はさらに広がり、風評と不信が横行して日本中が平常心を失っていった。
均衡を失ったのはメディアも同様だった。動揺が伝播する中で、飛び交う情報の真偽を質(ただ)す術(すべ)もないままに、虚偽も真実もごちゃ混ぜになって垂れ流された。そうこうしながら、ようやくテレビは、被災地の住民を励まし、慰め、元気づけることに自らの存在理由を見出したようで、連日、復興のキャンペーンを張って「ガンバロー」を連呼するようになった。≪中略≫

そうした日本国民の精神力や団結力をもってしても、解決不能な難題を今回の震災はもたらした。

原発事故がそれだった。

どんな文明にも必ず終わりはくる。産業革命以降の大量生産と大量消費、それを支えるエネルギー資源によって築き上げられてきたわれらの物質文明はどんな終わり方をするのか。石炭、石油の枯渇はすでに秒読みに入り、終わりの始まりが警鐘される時期を迎えてもなお人類は――もはや自己を省みることなく――こんどは原発エネルギーに乗り出した。
ヨーロッパ、アメリカに続き、東アジアでも、日本がその潮流に乗り、中国はさらに多くの原発建設に着手しようとしている。その最中での、原発の安全神話の崩壊だった。

新聞・テレビでは今日も、脱原発派と原発依存派の議論がせめぎ合う。そこでは、「人命」と「国益」、「理想」と「現実」が対峙する。

人類の理性は、「原爆」をなくすことなら、あるいは可能にするかもしれない。それは原爆が明らかに非人道的で悲惨な悲劇をもたらす兵器だからだ。一方の「原発」は、人類の「幸福」と結びついている。我らに、いまの快適な生活を犠牲にする覚悟がもてるだろうか。だれもが「幸せになること」を人生の目的に生きている現代である。有史以来、現代ほど人類が幸福を追求することに躍起になっている時代はあるまい。目の前の幸福を棄てて、遠い未来の人類の存続を選択するほどの叡知を神は与えてくれているだろうか。温水洗浄便座に慣れてしまった筆者にはとても後戻りはできそうにない。 》


脚本家の市川森一(いちかわ しんいち)は、子供番組「快獣ブースカ」でデビューし「コメットさん」や「ウルトラマン」シリーズなどで活躍。後にテレビドラマ「傷だらけの天使」、NHK大河ドラマ「黄金の日日」「花の乱」、映画「異人たちとの夏(大林宣彦監督)」などを手掛けた。

1941(昭和16)年、長崎県諫早で代々呉服業を営む裕福な家庭の跡取り息子として生まれる。戦時中の衣料統制で店は休業し、父親の一郎は、海軍大村航空隊の英語教官となり、戦後は市議会議員や俳句誌の主宰者(俳号は青火)などとなった人物。
1947(昭和22)年、市立諫早小学校に入学。小学生時代の10歳の頃に、母親が肺結核で他界。14歳で諫早教会(プロテスタント)で洗礼を受けた。私立鎮西学院中学部、長崎県立諫早高等学校を経て、1959(昭和34)年に日本大学藝術学部映画学科に入学。在学中からテレビ局にアルバイトで出入りしコント番組を執筆。大学卒業後の1966(昭和41)年、25歳の時に円谷プロの特撮番組「快獣ブースカ」第4話「ブースカ月へ行く」で脚本家デビュー。以後は「快獣ブースカ」のメインライターとなり、続く円谷プロのウルトラマン・シリーズ「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」「ウルトラマンA」「コメットさん」など子供向け番組を多数手掛けた。1969(昭和44)年、脚本を担当した「マキちゃん日記」に出演していた女優・柴田美保子と出会い、後に結婚。大人向けドラマの脚本を書くようになり、1974(昭和49)年の大人気ドラマ「傷だらけの天使」のメインライターとなり、脚本家として広く名が知られるようになった。翌1975(昭和50)年には「冬の時刻表」「紙コップのコーヒー」で民間放送連盟優秀賞を初受賞。37歳で大河ドラマ「黄金の日日」の脚本家に抜擢、ドラマは後に戯曲化され大谷竹次郎賞を受賞。1981(昭和56)年の「港町純情シネマ」「チャップリン暗殺計画」で芸術選奨文部大臣新人賞、翌年の「淋しいのはお前だけじゃない」で第一回向田邦子賞を受賞するなど名実ともに売れっ子脚本家となった。他にも芸術選奨文部大臣賞(1988年)、モンテカルロ・テレビ祭最優秀脚本賞(1999年)、初の映画脚本「異人たちとの夏」で日本アカデミー賞最優秀脚本賞(1989年)を受賞。執筆活動の傍ら、1993(平成5)年から2007(平成19)年まで日本テレビの情報番組「ザ・ワイド」のコメンテーターとして出演したほか、ニッポン放送ラジオ「テレフォン人生相談」パーソナリティ(2001年〜2012年)などに出演、2000(平成12)年からは日本放送作家協会理事長(その後会長)を長年にわたって務めた。
2011(平成23)年10月、肺炎のために入院。同年12月10日、肺がんのため70歳で死去。2011(平成23)年には旭日小綬章、中部日本放送小嶋賞、長崎県県民栄誉賞を受賞。


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