『水滸伝』一曙光の章 

2009年03月06日(金) 18時46分

北方謙三『水滸伝』一曙光の章購入する
 Kaori [2009/3/6] 評価:○

北方謙三氏が描く「水滸伝」の第1巻です。

中国四大奇書の1つ「水滸伝」という物語を元に、北方氏がかなり大胆に物語を構築しなおし、新しい水滸伝を作り出したという感じです。

あくまで私の意見ですが、「水滸伝」を全く知らない人が1冊目に読む本にはあまりよくないかも(笑)

私が愛する魯智深(花和尚)のキャラクターがかなり残念なことになっているので、読むのをやめようかと思ったのですが、まぁ、「別物」と思って読むことにすると、なかなか楽しい!

魯智深は困った人がいると助けずにはいられず、ゴロつきにも慕われて、口よりも先に手が出てしまうような愛すべき人物像だったのが、この本では、さながら思想を説いて中国中巡る宣教師のようです。とにかく、よ〜しゃべる。あまりベラベラしゃべってほしくないのに(笑)

とにかくみんなかっこいい好漢です。梁山泊のランキングで相当下っ端なヤツでも、北方氏の筆にかかるとおそらくかなりかっこよく描いてくれるような雰囲気です。

そう思わせるのが鮑旭(喪門神)のシーン。まるで獣だった鮑旭を王進のご母堂が母の愛で育てなおす話は、1巻で一番好きな部分です。

果たして全巻読破できるか!

『危険な斜面』 

2009年02月14日(土) 21時03分

松本清張『危険な斜面』購入する
 Kaori [2009/2/14] 評価:◎

松本清張の短編小説です。

松本清張というと本格的な長編ミステリーのイメージが強いのですが、私は短編も大好きです。
ほんの半ページ程度で、状況説明と主人公の性格が見事描かれ、物語に唐突に引き込まれる感じがたまらなく好きです。
表題になっている「危険な斜面」は、この短編集の中でも一番面白かったです。
昔の女が、実は自分の勤めている会社の会長の妾だと知った男が、その女を巧みに利用し、出世街道に乗るが・・・。
やりすぎた彼に待ち受けていたのは・・?

松本清張作品に登場するさまざまな「女」。これがまたいいんですよね〜。
私が一番好きなのは、『黒革の手帖』の主人公・元子で、頭がキレて、美しくて、それでいて火のように激しい。いつも最後でやりすぎて、いかにも破滅しそうな危なっかしさの主人公。
この短編に出てくる女性も、みな味がある女性ばかりでよかったです。

表題の『危険な斜面』の他の収録作品は次の通りです。
二階・・・病身の夫が寝ている2階で起こる悲劇。ラストは衝撃的。
巻頭句の女・・・宮部みゆきが編集した松本清張セレクションに収録されていた作品。
失敗・・・張り込み中の刑事に何が起こったのか?女の駆け引きに驚き。
拐帯行・・・自殺するつもりで会社の金を使い込みした男の驚きの結末に注目。かなり面白かったです。
投影・・・大手新聞社から都落ちし、ド田舎の3流紙の記者になった男の話。タイトルは元新聞記者だった清張に投影させたのかな?

どれも面白いのでおすすめです。

『妖怪図巻』 

2008年11月30日(日) 11時22分
京極 夏彦&多田 克己『妖怪図巻』購入する

 Kaori [2008/11/30] 評価:○

『見越し入道、見越した!』と唱える、準備はできている。

子どもの頃、私は小学生向けの小さな「妖怪図鑑」らしきものを持っていました。ぼんやりとしか覚えてませんが、1ページごとにカラーの妖怪1匹と解説がついているものでした。
何度も眺めては読み返したのが、「垢なめ」と「犬神」と「火車」。
とくに、江戸時代の将軍の扮装で顔だけ犬だった「犬神」は、子供心に恐怖でしたね。

ふと最近、もう一度妖怪図鑑でもぼんやり眺めたいなと思い立ち、せっかく妖怪ものならば「京極夏彦だろ」と言うことで、お馴染みの多田克己さんと編集された、この「妖怪図巻」を眺めたわけです。

オールカラーで、しかもかなり横に長い本でしたから、所狭しと並んだ妖怪がとてもよかったです。
最近私が好きな「見越し入道」もあの大きさだと大満足。

残念だったのは、京極夏彦の小説で必ず引用される、鳥山石燕の「画図百鬼夜行」からはほとんど扱いがなかったことでしょうか。よく見ずに買った私が悪かったんだけど・・・。
Amazonの機能の1つ「この商品を見た後に買っているのは?」で、「37%のカスタマーが鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集を購入しています」という表示を見て、納得(笑)
やっぱり鳥山石燕の絵も見たいですよね〜。

ところで、妖怪って本当にいると思いますか?
妖怪に出会うか出会わないかは、その人の心がけ次第です(笑)。家がガタガタと揺れたとき、「あ!鳴屋(やなり)が出た!!」と思うか、「地震?」と思うか、それだけです。
私は見越し入道に出会ってしまったら、いつでも「見越し入道、見越した」と唱える準備ができています。ふふふ

『塗仏の宴』〜宴の支度&宴の始末〜 

2008年11月07日(金) 23時30分
塗仏の宴京極 夏彦『塗仏 の宴 宴の仕度』購入する

 Kaori [2008/10/30] 評価:○
京極堂の憑き物落としシリーズ。
とうとうあまりの厚さに、2冊に分かれたのか。宴の仕度が上巻で、宴の始末が下巻です。 両方あわせると1200ページ。
2冊になってくれてよかった・・・。

さてこの作品のあらすじですが・・・
ある警官が昔勤務した村を訪れたところ、村自体がなくなっていた。地形や家々はそのままあるのに、村の住人 はすっかり別人になっているのである。
その消えた村の名は「へびと村」。
われらが関口巽は、その村の調査を依頼され、伊豆山中を訪れる。その疑惑の村で見たものは・・・??

これまでの京極作品のキャストが大勢出てくるため、今までの作品を読んでないと分かりにくいというか、シリ ーズの中でも登場人物の多さは屈指かも・・・。
京極堂のシリーズに女性の登場人物は少ないイメージがありますが(そうでもないか)、その中でもおそらく人 気が高いと思われる、朱美さん(狂骨の夢に登場)が出てくるのが、ファンとしては嬉しい♪
あの独特の話し方は、色っぽくて大好きですねぇ。

ここからはネタばれ。↓
上巻のラスト、織作茜が殺されて「支度の完了」という言葉で締められています。

いったい誰がこの宴の主催者なのか・・・。気になるところですよねぇ。
上巻だけで6つの妖怪が出てきますが、妖怪「おどろおどろ」と茜のおどろ髪は無理やり感がありますね(笑) 彼女は「殺されてもいい」的な話の流れが、気の毒でした。
そして関口は逮捕されますが、延々と逮捕されっぱなしだし。かわいそうすぎる(笑)
彼はその後大丈夫だったんだろうかと心配になりますが、もう一度作品を読み返してみると、関口が過去を振り 返って「事件に巻き込まれた」と語っているため、無事だったんでしょうね。

下巻はとにかく派手ですね。
木場修の兵隊服での潜伏や、えのさんの乱闘。そして成仙道のどんちゃん騒ぎ(読んでいるだけでイライラする )・・・。
ラストで黒幕の登場に、思わず「誰やねん!」と思い、また上巻から読み返してしまった私です。
そのくらい余計な京極堂の薀蓄が多かったわけで・・・。(笑)
ぜひ一気に読むことをおすすめします。

『鉄鼠の檻』 

2008年08月08日(金) 18時24分
鉄鼠の檻京極 夏彦『鉄鼠の檻』購入する

 Kaori [2008/8/2] 評価:○
京極堂の憑き物落としシリーズの第4作目。
今回は「禅寺」が舞台。 禅宗になじみがない人にとっては、かなり読むのが大変な作品じゃないでしょうか。
偶然にも我が家は臨済宗のお寺の檀家で、大人になってから度々お寺にいくようになったためか、読みながらイメージはつかみやすかったのと、禅宗の歴史が詳しく書かれていたので、興味深く読めました。
ただ、舞台が「寺」と近くの旅館のみというのが、ちょっと寂しい・・・かな。 まぁ「檻」というタイトル通り、私も「寺」から抜け出せなくなって、まさしく檻の中で読み続けるような感覚はありましたが。
ファンとしてちょっと嬉しかったのは、京極堂の妹「敦っちゃん」の内面を垣間見れたことでしょうか。
アホみたいに長い物語の中の、ほんの数行の記述でしたが(笑)、今まで『好奇心旺盛で仕事は完璧!偉大な兄を持つが自分も賢く、凛とした美しさがある敦っちゃん』像でしかなかったのが、ふともらした一言で、突然人間味を帯びたようで嬉しかったです。
これは敦っちゃんファンにしかわからないでしょう(笑)

この作品のあらすじですが・・・
とある山中の謎の寺・明慧寺で、次々と僧侶が殺されていくお話です。
なぜ「謎の寺」なのか。そして犯人はいったい誰なのかが、物語の主軸になっています。
もどかしいのが、物語の冒頭で犯人が死体を前にしゃべっていること。
きぃ〜!あんたは一体誰なの〜!
京極堂シリーズのどの物語の冒頭もとても凝っていますが、『鉄鼠の檻』の冒頭ほどガツーンとくるものはないですねぇ。
『狂骨の夢』の冒頭も大好きですが・・・。
まぁ、京極堂シリーズでは、「犯人」が分かったからと言ってもどうってことないんですよね・・・。
なぜ殺人を犯したのかと、京極堂の憑き物落しを読みたいわけで・・・。
ラストの京極堂の憑き物落しは相変わらずかっこよかったです。陰陽師の黒衣を着て、禅寺に出陣する姿は映像で見れたらさぞかしかっこいいだろうと。
この物語中、ずっと苦悩する京極堂に萌えます(笑)

『狂骨の夢』 

2008年07月12日(土) 19時24分
狂骨の夢京極 夏彦『狂骨の夢』購入する

 Kaori [2008/7/10] 評価:○
京極堂の憑き物落としシリーズの第3作目。
シリーズ2作目の『魍魎の匣』で登場するあの久保竣公の葬儀の話が出てきます。私は本編とはあまり関係のないこの葬儀の話がとても好きです。
荒魂の神・久保竣公。京極堂の語りが素晴らしかったです。

さて、『狂骨の夢』はというと。
ある女が河に浮かんでいるところを、宇田川崇という著名な作家に救出される。その女の名は「朱美」という。
朱美は救出される前の記憶を失くしてしまっていたのだが、宇田川とともに暮らすことにより、徐々に記憶を取り戻していく。
ところが、記憶の中には明らかに「他人の記憶」が混ざっているのである。
行った事もない地名、見たこともない海の記憶、万祝、大漁旗・・・。そして決定的なことを思い出してしまう。
自分の旦那は殺され、首を切り取られた「首なし」死体で発見されたことを・・・。

とにかく『狂骨の夢』は髑髏(ドクロ)にまつわる事件が多発します。
髑髏に人生を狂わされたものたちの物語です。
心理学を少しかじったことがある人には、かなり面白い内容になっていると思いますが、フロイトとユングの区別がつかない私には、かなり厳しかったです(苦笑)
マルクスとベルンシュタインの違いならわかるんだけど・・・。
登場人物の中でも「朱美」は、何ともいえない色っぽさがあって、話し方も艶があり女性からみてもステキです。
朱美のしゃべりかたはよくよく考えてみると事件を解き明かす重要なヒントになっていたんだなと、気付きました。

全体的に木場修がうっとおしかった。
なかなか事件の謎を話してくれない京極にたいして、読者がヤキモキする気持ちを木場修が代弁しているのかもしれないけれど、シリーズ3作目にもなると、読者もその辺のことは分かっているはずだから、いちいちせっつく木場修がウザイ。
「京極がしゃべってるんだから、お前黙っててくれ!」と何度言いたかったことか・・・。

ラストの京極堂の憑き物落しは見事!
この憑き物落しを見たいがために600ページ近くもあっという間に読んでしまうんだな〜。

『姑獲鳥の夏』 

2008年06月25日(水) 1時39分
姑獲鳥(うぶめ)の夏京極 夏彦『姑獲鳥(うぶめ)の夏』購入する

 Kaori [2008/6/24] 評価:◎
京極堂の憑き物落としシリーズの第1作目。
私は小学生のころ妖怪が大好きで、暇さえあれば妖怪の事典のようなものを見てました・・・。
火車とかお犬様が怖くて怖くて・・・。
中学生になったころは興味は男の子のことに集中したため(笑)、妖怪好きはすっかり影を潜めていましたが、社会人になり会社の先輩に『 魍魎の匣』を薦められて依頼、自分が妖怪ファンだったことを思い出しました。

さて、肝心の物語は・・・。
『20箇月もの間子供を身ごもっている女性』のうわさから始まり、しかもその女性の旦那は、ある日密室から「消えてしまった」ということで・・・。
世にも奇怪な事件に巻き込まれていく主人公(と読者)。
後半の京極堂の憑き物落としのシーンは圧巻です。
ただ・・・好みが分かれる本なので、ハマる人は全作品読むでしょうし、この作品を50ページも読み続けられない人もいるようですね。
京極堂の薀蓄なんて、真剣に理解しようと思ったらダメだと思うんですよね。
わかったようで、余計混乱する関口巽のように、読み手も京極堂のペースに巻き込まれながら読んでいけばよいかと。


追記
『姑獲鳥(うぶめ)の夏』は映画化されていまして、当時かなり期待して観に行きました。
ネタバレありですので、ご注意!
とにかく「いしだあゆみ」さんが怖かった・・・(泣)
ホラー映画じゃないのに、いしだあゆみさんのあのシーン(観た人なら誰もがわかるはず)は心臓が止まりそうになります・・・。
頭で思い描いていた「絵」が実際の映像になると、そのイメージとのギャップでがっかりするわけですが、いまいち小説だけでは想像しにくかった「眩暈坂」を目で見れたのは嬉しかったです。
眩暈坂ってあんな風だったのね〜。
あんな分厚い本読めない!という方には、DVDレンタルもおすすめです♪

『分身』 

2008年02月13日(水) 1時16分
東野圭吾『分身』購入する

 Kaori [2008/2/12] 評価:○
あらすじも全く知らないまま手にとった場合は、冒頭の数行で読むか読むまいか決めることがあります。
「もしかしたら私は母に嫌われているんじゃないか・・・」
この冒頭ですでにただならぬ感じがしましたね。

母に嫌われているような気がしながらも、何不自由なく暮らす育ちの良い「鞠子」
そして、歌手を目指しバンド活動をする活発な「双葉」。彼女が母親の反対を押し切ってTV出演をしたことがきっかけに、二人の少女の人生を根底から揺るがす事件へと発展していく。

題材は「おもしろくないはずがない」といったテーマで、ある意味、非現実過ぎるくせに「ありがち」なドラマであるような気がします(笑)
東野圭吾さんの作品を読むのはこれが3冊目なので、まだなんとも言えませんが、登場する女性のキャラクターがいまいち魅力がないのが残念。
主人公は二人の女の子なんだけど、「鞠子」の愛読書である赤毛のアンの引用も少々つまらない感じ。それでも、私は「鞠子」のほうが好きかも。
「双葉」のキャラクターは、「やりすぎ」な感じ。
どちらの女の子も、事件の真相を知ることがメインになりすぎていて、彼女たちの内面などをもっと知りたかったなと思います。 それなりのページ数があるわりには、あまり彼女たちに感情移入できないのはそのせいかもしれません。例えばどちらかの女の子には愛し合う男性がいたりすれば、もっと面白かったろうなーなど、考えてしまいます。
ただ先ほども書いたように、このテーマを扱っておもしろくないはずはないので、果たしてどんな結末が待ち受けているのかと、そればかり気になりました。
そのためラストはちょっと拍子抜け。
それでもテーマはおもしろいので、○。

『砂の器 上・下』 

2008年02月09日(土) 18時18分
松本清張『砂の器 上・下』購入する

 Kaori [2008/2/9] 評価:◎
松本清張の長編本格推理小説です。
随分前に読みましたが、今回また読みたくなり手に取りました。
1つの殺人事件をきっかけに、連続殺人へと発展していくわけですが、たいへんなボリュームにもかかわらず、実は上巻ではまだ犯人すら分かりません。
推理小説には色々な手法がありますが、これはオーソドックス。刑事からの目線で進んでいきます。
犯人が現場に残した唯一の手がかりとなる言葉・・・・・・「カメダ」
果たして「カメダ」とは?
捜査が進むにつれ重要参考人となるべき人物が次々に変死。犯人はどうやって自殺・病死に見せかけたのか。

清張の着眼点に唸らせられます。
テーマは『宿命』。
『人間は背負った宿命から逃れることはできない。』という重いテーマですが、私はこの『宿命』は犯人だけではなく、「今西刑事」にも感じました。
捜査上での「できすぎな偶然」が多い気もしますが、それはきっと今西刑事が事件を解決する宿命だったと思います。(そう思いたい)
それにしても、捜査の空振りも多いため、何か犯人へのつながりのようなものが見えるたびに、刑事と一緒に興奮しますね。脇役の吉村刑事もいい味出しています。
以前ドラマでSMAPの中居君が犯人役を演じたようですが、残念ながら観ていません。
オープニングでピアノを弾いているシーンだけを見て、なんでピアニストが登場するんだ?と驚きましたが・・・。
中居君(←君づけは変か 笑)、は色んな役をこなすとてもいい俳優だと思いますので、そのうちレンタルしようと思います。
最後に一言。ヌーボーグループの関川君。女性はもっと大事にしろ!とても大物の器とは思えないぞー!

『変身』 

2008年01月31日(木) 11時42分
東野圭吾『変身』購入する

 Shiori[2007/3/31] 評価:◎
ドラマで「白夜行」を観て読んでみたいと思っていた作家です。友達が「すごく面白いので読んでみて」とずっと勧めてくれていたことも後押しとなり、古本屋で手に取った本から読んでみることにしました

率直な感想は、「めちゃくちゃおもしろい!!」でした。今までミステリーは、どっぷりと宮部作品に浸かっていたことも原因なのか、そのシビアな物語の展開に息を飲み、次々ページを夢中でめくっていましたこんな感覚は久しぶりかも。"脳移植"の研究チームからの観点と、移植された本人、そしてその周りにいる人々・・・さまざまな視線から話が進んでいくのも面白かったです。あとは、ファンタジーな部分を排除し、事実に基づいたミステリー展開であるところもわくわくする秘訣かもしれません

主人公がどんどん変身していく自分を止めることのできないもどかしさ。その気持ちが文章だけでありありと伝わってきます。最後はあまりに感情移入して、読んでいるこっちが泣いてしまうくらいです

これでも東野ファンのランキングサイトなどを見ると5位以下の作品だなんて信じられない他の作品もぜひ読んでみようと思います


 Kaori[2008/1/31] 評価:◎
一人の青年がいる。虫も殺せぬ弱気な青年。会社では上司の言いなり。趣味は絵画で、愛する彼女を描くことが好きな優しい青年「成瀬純一」。
彼に不慮の事故が襲う。右脳を損傷し、世界初の脳移植手術が行なわれた。
彼の脳には「ある人格」が生まれ始める。そしてその人格が彼自身を侵食していったとしたら・・・。
「脳」はただの臓器の一つなのだろうか。「心」とはなんだろうか。

途中途中に、彼を見守る第3者たちによる手記により、彼の「変身」の様が、冷静につづられていく。
研究の材料として見守る博士。彼を愛する彼女。事件の真相を追う刑事。
主人公が一人称のため、読んでいくにつれどうしても感情移入してしまう。つまり感情が先行して物語に引き込まれるのだが、ところどころに挿入される彼ら第3者の手記により、自分が周りからどう見られているのかを知る。
感情だけじゃなく自分の外観までも形成されていくため、まるで自分自身の物語のように感じる。
あまりの面白さに、ほぼノンストップで読んでしまうのはそのせいなのかもしれない。
自分の変身の様を中断することは出来ない。
徹夜覚悟でどうぞ
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『鉄鼠の檻』 (2008年10月18日)
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