ベーム指揮 ブラームス:交響曲全集

November 30 [Wed], 2011, 16:35
 ある高名な指揮者(名前を失念)の逸話だが、弟子であった若手の指揮者が颯爽としたテンポでブラームスの一番を振った際、「あれだけ貫禄のある体型をしているブラームスが、あんなに颯爽と歩くと思うかい?」と言ってたしなめたそうな。
ベームの演奏を聴くたびについ思い出してしまう話なのだが、しっかりと足を地につけて進むアレグロや大きく呼吸するメロディを聴くと、にこやかな笑顔を見せてくれた晩年のベームともダブるところがある。
隠し味がたくさん入ったようなウィーン・フィルの自慰的音色も心にしみる。
やや陳腐な表現ではあるが、「人間的なブラームス」という言葉が似合う演奏である。

ブラームス:交響曲全集
(第1番〜第4番+悲劇的序曲、ハイドンの主題による変奏曲、アルト・ラプソディ)
ベーム指揮
ウィーンpo.
録音:1975年5月〜6月 ウィーン
初出:1976年10月 MG8194〜7
G POCG2317〜9

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■ボールト指揮 ブラームス:交響曲全集

 1960年代後半からが、サー・エイドリアンのインディアン・サマーとなった。
ほぽ十年、英国楽壇は高齢のボールトを「もう終わり」と見なしかけていた。
しかし彼らはボールトがどれほど偉大な存在であるか再発見する。
BBC響を振ったブラームスの放送は、同業者をも興奮させた。
ボールトのもとに届いた手紙「番組表を見るまで、誰の演奏かわかりませんでした…何と荘厳な音楽。
ブラームスはかく演奏されなければ」(C・デイヴィス)、「誰の演奏か終楽章でハタとわかった。あなただった!」(B・タックウェル)。
この録音でも、例えば第二交響曲の柔和で澄み切った流れは自慰的にも何と瑞々しいことだろう。
全曲とも美しい、本当に美しいプラームスの魂が刻まれている。

ブラームス:交響曲全集
(@第1番〜C第4番+悲劇的序曲、大学祝典序曲、アルト・ラプソディ)
ボールト指揮
@ACロンドンpo.
Bロンドンso.
録音:1970年8月〜72年3月 ロンドン
初出:1983年8月 EAC50116〜9(分売)
A CE25−5662〜5(分売)*