夜市 : 恒川光太郎 

2006年08月05日(土) 12時40分

今宵は夜市が開かれる。
夕闇の迫る空にそう告げたのは、学校蝙蝠だった。


世界の狭間で開かれる夜市では、どんなものでも手に入れることができる。ただし、夜市は取引の場。何か買わなければ元の世界に帰ることは叶わない。
夜市に迷い込んだ幼い少年は才能を買う。手に入れたものの対価は自分の弟だった。

幻想的でもの悲しい世界。シンプルな言葉なのに奥行きが広く感じられるのがすごいと思った。幻想小説に多い装飾過多な甘さはなく、どちらかといえば硬派な印象の文章。すごく好き。
日本ホラー小説大賞、文句なしの大賞受賞だったというのも納得。文庫化されたら購入する予定。手元に置きたい。

巻末に入っている風の古道という短編もすてきだった、個人的には表題作よりこちらのが好みかもしれない。これは、神々の通る道を舞台にした人間と神(お化け?)と放浪者の話。今市子の百鬼夜行抄が好きなら気にいること請け合い。

アコギなのかリッパなのか : 畠中恵 

2006年06月20日(火) 13時48分

「選挙は気力体力時の運!」



元不良・現勤労学生の聖は、ある政治家の事務所で事務員のバイトをして中学生の弟を養っている。だがその仕事内容ときたらトンチキなものばかり。選挙の手伝いなど普通の業務もあるが、主だった仕事は雇い主のお守り。おまけに探偵まがいのこともする。「うちの猫の毛並みがミケやらトラやら変化するんだけど」「秘書が宗教団体に私の絵を寄付しちゃって、取り返して欲しいんだけど」etc…。今日も今日とて弟の養育費のため、聖は西へ東へ奔走する。

気楽に読めておもしろい。読み切りスタイルで書かれてるのであまり時間ないときでも大丈夫。

たいこ持ち : 桜川忠七 

2006年05月30日(火) 13時23分

玉子ほど嫁も夜業のひざを出し

それ以上出したのでは、もうエロではないというのでございます。
玉子ほど、ちらっと見えるところがほんとのお色気なのでございまして、
幕が全部あがったのでは、もう醜うございます。



明治から大正、昭和と吉原に育ち、吉原に学び、吉原に生きた、ひとりの幇間の手記。

“ 粋 ”
色町で重ねた齢の気っ風の良さというのか何というのか…格好良さに溜め息がでてしまう。
今では物語や映画の中にしか見ることの出来ない、古き良き吉原。
其の生きた姿を、この老人の綴る言葉からかいま見ることが出来た。
それに何と言っても語ることがいちいちツボをついてくる。全てに頷けるわけではないし、ちょっと首を傾げてしまう部分もあった。それでも、そうなのよ!と膝を叩きたくなる言葉が多々。遊女が格子の中から長きせるで客の袖を絡めとる仕草なんて最高に色っぽい。


ただ、教室で読んでたら、友人に不思議ちゃん扱いされました。
何故に図書館の本の海の中からこれを拾い上げたのか訳が分からんかったそうな。
ほっとけ。

蛇足。
そうだよ、チラリズムこそが日本のエロの真髄なんだ!!鮮やかな袖から伸びた白い腕や裾からのぞく踝こそ美しい。
でもミニスカートとかトップレスとかも好きなんだ・・・大好きなんだ。なにこのジレンマ。節操なしと呼んでくれ・・・。
昼は処女で夜は娼婦だっけ・・・いいね・・・

蛇足2
母校の男性教師がミニスカートより膝丈スカートに三折りソックスのがそそると言ってた。
ふぇちだな。うむ。
ふぇちずむは大事だよ。大切にしなきゃ。
でも一歩間違うとただの変態。線引きがむずかしいのぅ。
・・・いい先生だったよ。すごい好きな先生だった。でなきゃ私も変態扱いしたかな。


昼は淑女、だし。なんで間違ったんだ・・・昼になったからって処女膜は復元されないぜ。

Daddy Long Legs : 勝田文 

2006年05月13日(土) 20時04分

月に一度の手紙。
これが 私が彼女に与えた唯一の義務である
彼女の名は出井樹という。
まだ会ったことはない。



昭和初期の日本を舞台にした和製あしながおじさん。表題作の他に天馬、パーラー、シンガポールの月、と全て趣の異なる3編が収録されている。天馬は出雲へ新婚旅行にきたカップルの珍道中ファンタジー風味。パーラーはちょっとずれた2人の恋模様。シンガポールの月は…何だろなんかおかしな話、面白い。

絵柄も作風もみんな大好き。とっても可愛い1冊。表題作お目当てで購入したけど他の話もいい感じでうれしい。でもやっぱりあしながおじさんが一等すてき!!正直今まであしながおじさんはあんまり好きじゃなかったんだけど、全ての元凶はジャービスさんにあったんだと気付かされたよ。彼がとんでもなく苦手だったんだ・・・原作も名作劇場もさ・・苦手。千尋ぼっちゃん(勝田判あしながおじさん)は凄く好き。へたれで変人でかっこよくて可愛い。おまけに時代設定が昭和初期。ぎゃん!!衣装も小物も背景も全部かわいい!世界がきらきらしてるよ!

地に埋もれて : あさのあつこ 

2006年04月28日(金) 18時19分

透明な壁に亀裂が入る。そこから、憎悪や欲情が流れ出る。
わたしの知らないわたしが、流れ出る。



二人藤の咲く下で少年はやさしく優枝を掘り起こす。私は死んだの、あなたは神さま、それとも悪魔。少年は白兎と名乗った。彼は優枝に残された時間が七日だと言う、七日経つと彷徨う魂は熟れた果実のように腐っていくのだと。

『透明な旅路と』に次ぐ白兎のシリーズ。前半はピンと張りつめて、でもどこかどろりとした、綺麗で凶々しい雰囲気。後半になるにつれ淡く柔らかな色合いを帯びていく。
あさのさんの文章はやっぱりとても好き、でも話自体としては全作の透明な〜の方が面白かった。というかまさかシリーズ化されるとは思ってなかったからびっくり。これ文庫化されるといいなあ、単行本あんま好みの装丁じゃないし、字が児童書並にでかいんだ。文庫化されたら透明な〜は買うと思う。

子供たちは夜と遊ぶ : 辻村深月 

2006年04月27日(木) 14時52分

ドライバーの先端が、顎の下に触れた。

「右と左」
冷たい声だった。彼が言った。
「どちらか、選んで」

自分は清算を求められているのだと、思った。



狐塚、月子、浅葱、同じ大学に通う彼らの周りで連続殺人事件が発生する。
アイとシータ、愛に渇えた心が巻き起こした悲しいゲーム。すれ違いは事件を止めることが出来ず連鎖に拍車を掛けていく。

話に無理が多い。
面白いことは確かに面白かったんだけど、あまりにこじつけというか無理な帳尻合わせが多くて苦笑した。普通に考えて有り得ないだろうというすれ違いが多発。伏線の隠し方が強引で、読み手にミスリードさせようという魂胆が見え見えなのが少し不快だった。最後まで結末を読ませないのはすごいと思う、これでもう少し引っかけをスマートにやってくれたら嬉しかったんだけど。気持ち良く読みを外させてくれる引っかけは大好きなんで。
残念ながら買いたいとは思えないなぁ。買うなら『冷たい校舎の時は止まる』の方がいい。

機動戦士ガンダム 特別編V めぐりあい宇宙  : アニメ 

2006年04月18日(火) 15時47分

「ララァは賢いな」



このあたりからオヤジ臭さが出てくるのか…シャア顔は幼いのに言動がおっさん。

3部作最終話にてやっとこさアムロが大人に。ガキ臭い立ち居振る舞いが影を潜めてきた。1、2の時はアムロのガキっぽさにものすごく苛ついたんだけど、なんかあれも歳相応の言動だったんだなぁって今になってちょっと思ったりして。

3話の見所は大人世代の恋愛模様。ブライト→ミライ→スレッガー。どろどろね!ミライの婚約者おっぱらって一息ついてたら鳶に油揚げさらわれそうだ。どこまでも報われないブライト。がんばれブライト、最後に笑うのはねちっこさだ。つーか何でミライはスレッガーに惚れたんだ?ビンタ?頬張られて愛に目覚めたの?さっちゃん?ドMなの?
ララァは千年の恋の松田聖子のように画面上をひらひらしてました…分からんキャラだったぜ。

そしてアムロとシャアはやっぱりホモ臭かった…斬り合ったかと思うと抱き合ってたぜ…いや、勢い余ってぶつかり合っただけなんだけど、何故かそこでスローモーション。目と目が合ってこれが恋か状態。何がやりたいサンライズ。

劇場版から逆襲まで見た結論。
多分もうガンダム見ないだろうな。有名作だが性に合わんかった。ってわけで、ガンダム感想これにて終了!

鬼に捧げる夜想曲 : 神津慶次郎 

2006年04月14日(金) 19時10分

両の頬を穿つ、ぬくい雨。まるで母の胎内のように温かな、雨。
そして そこは−…地獄とやらの入口であったのだ。



終戦直後の三月、乙文明は戦友の祝言に出席するため九州の沖合いに浮かぶ孤島へと向かった。しかし晴れやかな婚礼の夜、祝事は凶事へと変わる。清めの儀式のため寺で一夜を過ごした花嫁花婿が、翌朝、祈祷所で血に染まって発見されたのだ。

暴言を吐くようだが二流品。京極夏彦や小野不由美の黒祠の島に触発されて書いたんだろうけど、正直かなり微妙。なぜこれが賞を取るに至ったんだか。10代という作者の年齢が大きいんだろうな。
たしかに掴みは巧いし、小説のタイトルも話に合ってる、各項毎につけられた副題もたいそう魅力的…なんだけどね!どうしようもなく中身が安っぽいんだよ!!言葉が上滑って話がうすっぺらになってる上に、会話・推理・動き、三拍子揃ってぎこちなくて、登場人物に血の通ったものを感じない。おまけに時代考証も甘く、どうにも現代風。終戦直後に拘るのならそれなりの魅せ方をして欲しい。そして第一に、決定打に欠ける。根拠や話に無理が多くてこれじゃ納得に及ばないよ。なまじ他の秀作と似ている分稚拙さが目立つ、テーマ好みだったからもったいないな。

機動戦士ガンダム 特別編U 哀戦士 : アニメ 

2006年04月14日(金) 15時53分

「ブライトさんとミライさんが僕は不必要だっていうんだ…だから船を降りるんだ」



なんだこの拗ねたがきんちょ!!!!つかすごいな…命令違反を怒られて泣いて家出して。しかもガンダム乗り逃げだよ。1番の先鋭機を!なんてガキだ!
「ばかなアムロ…」この台詞が1番感情移入できたよ。
2はカイが活躍してた気がする。カイの顔は結構好き、ネズミ男みたい。うなだれたときの髪型がガクリンぽいしね。てかアムロ顔こゆい…バタくさい。シャア(美形)はそんなに出てこなかったよ。出てきたときに着てた藻ビルスーツは赤いもぐらみたいで超絶ださかっt…

超有名作なのにイマイチ好きになれないのはきっと主要キャラがガキくさく自分勝手にぐだぐだぐだぐだ管巻いてるからか、イライラする。1もいじいじ2もいじいじ3までいじいじしてたらどうしてくれよう…早く脱皮してくれ、頼むよアムロ。正直ガンダムは福井晴敏の∀のが面白かった気がする…っても小説でしか知らないけど。

機動戦士ガンダム 特別編T : アニメ 

2006年04月14日(金) 12時44分

「2度もぶったね!おやじにもぶたれたことないのに!」



言わずと知れた超有名台詞。吹いた。まさかここが起源じゃあるまいな…。劇場版第1作の迷台詞は間違いなくこれだよね、逆襲のシャアは「みんなであたしをいじめるんた!」2、3作が楽しみだ。

ジオン公国軍VS地球連邦軍の戦いの話、らしい。ジオンっていうのは、人口が増えすぎてキャパオーバーした地球から、人口の居住空間(コロニー)へと移住した人たちの中のある集団のこと。で、この戦争はジオンの独立戦争…なのかな(曖昧)

シャアの逆襲で惚れかけたブライトがここでもたいそう男前で危うくクラクラするとこだった。なんか「先輩いぃぃ!!」って叫びたくなるお人柄。若いはずなのにもう既に老成した魅力が。
シャアの「ぼうやだからさ」にもぐっときたけどね…絶対なんかねらってる。シャワーシーンとかほんと何のサービスショット。シャワーシーンはヒソカに限るぜ。てかシャア本人がぼうやに見えるんだけど…いくつ?未成年じゃないの?お酒なんか飲んで!まぁそれはいいとして紅い彗星のシャア?すげえな(笑)派手な二つ名だ。焔の錬金術士みたい。