倉本光平 │ なぜ?全国に広がった牛肉の放射能汚染問題の真相!クローズアップ現代

July 28 [Thu], 2011, 13:18
汚染牛肉、全国1600頭に疑い
 福島第一原発の事故の影響はいったいいつまで続くのか?今度は放射性セシウムを含む稲わらが、肉牛に与えられていた問題では、汚染の疑いがある牛の出荷・流通は1600頭を超えた。福島から遠く離れた三重県では、松阪牛59頭の出荷が判明。汚染された疑いがある牛の流通先は沖縄県を除く46都道府県。ほぼ全国に広がった。
 はじめ、放射線で汚染された、岩手、宮城、福島産の牛肉が、全国に広がったのかと思われた。実態はそうではなかった。国の暫定基準値(1キログラム当たり300ベクレル)を超える放射線セシウムに汚染された、岩手、宮城、福島の稲わらが、全国に流通していたのだ。この稲わらを、えさとして与えられたことが牛肉を汚染した原因だった。
 7月25日NHKクローズアップ現代を見て、牛肉の放射能汚染問題の真相がわかった。牛肉は出荷前に稲わらを食べさせることで。おいしい霜降り肉になる。以前は中国産の稲わらを与えていたが、口蹄疫の問題があり、現在はすべて国内産。東北地方は、牛肉用稲わらの産地になっていた。 



 いま各地で牛肉の買い控えが起き、牛肉の価格は一気に暴落。生産者への影響は深刻だ。原発事故のあと屋外で保管されていた稲わらが危険だという国の通知を知らず、汚染されたわらを購入していた農家は、牛の大量処分を余儀なくされ、廃業の危機に直面。

 安全なえさを与えていた農家も、国の「出荷制限」によって、経営が立ちゆかなくなっている。汚染はどのように拡大し、なぜ防ぐことができなかったのか。そして、被災地の肉牛農家はこれからどうなるのだろうか?

 なぜ稲わらに高濃度放射性セシウムが?
 そもそも、なぜ稲わらが、放射性セシウムを高濃度に含んでいるのであろうか?

 これは放射線物質を含む雨に、わらが何回も濡れたのが原因である。雨はしばらくすると蒸発するが、放射性物質はわらに残る。こうしたことを何回か繰り返して、放射線物質がわらの中に蓄積されたと考えられる。

 例えば、宮城県は登米市と栗原市の合わせて3か所で保管されている稲わらを13日に採取し、放射性物質を測定した。その結果、登米市の稲わらから1キログラム当たり3647ベクレルの放射性セシウムが検出されたことが分かった。これは、水を含んだ状態に換算すると国の目安のおよそ2.7倍に当たる。このほか、栗原市の稲わらから2449ベクレル、登米市の別の稲わらからも1632ベクレルの放射性セシウムが検出され、いずれも国の目安を超えていた。(NHK 7月15日)

 福島県、本宮市の農家が使用していた稲わらからは、1キロ当たり69万ベクレルという高濃度のセシウムが検出された。これは、乾燥する前の水分を含んだ状態に換算すると15万6818ベクレルとなり、国の暫定規制値(1キロ当たり300ベクレル)の522倍に相当する。 ただ、二本松、本宮両市を除く3市1町の各農家が現在飼育中の肉牛の尿を調べたところ、セシウム量は最高で1キロ当たり41ベクレルという低い値だった。(2011/07/18 時事通信)

 放射線牛肉を食べて大丈夫か?
 問題は、放射性セシウムに汚染された牛を食べて危ないのかどうか?そもそも汚染された餌を食べた、牛の体にはどれくらい放射性物質が残るのか?

 福島県南相馬市で検出された稲わらの放射性セシウムは1キロあたり最大約7万5000ベクレルで、そのわらを食べた肉牛からは最大同4350ベクレルの放射性セシウムが検出された。農林水産省によると、IAEA(国際原子力機関)は餌に含まれる放射性セシウムが牛肉に移行する比率(移行係数)について、最大約 0.1 としている。つまり、1キロあたり1万ベクレルの放射性物質を含む餌を毎日1キロ食べ続けた牛からは、最大で同1000ベクレルの放射性セシウムが検出されることになる。ただし、尿などで体外に排出されるため、実際の値はもっと低くなる。

 さて、今回汚染された牛肉を食べた場合どうなるのだろうか?放射線医学総合研究所の資料を基に、放射能の強さを表す単位のベクレルを、人体への影響を表すシーベルトに換算してみよう。例えば、南相馬市から出荷された1キロあたり4350ベクレルの牛肉に含まれる放射性物質の場合、すべてセシウム137(換算係数0.000013)と仮定すると、毎日100グラム食べ続けたとすれば、1カ月で摂取する放射線量は約0.17ミリシーベルトにある。国際放射線防護委員会が示す人工被ばく限度は年間 1ミリシーベルトなので、365日食べ続ければ約 2ミリシーベルトになる計算である。

 したがって、何度か食べた程度では心配はなく、放射線の影響に詳しい東工大の松本義久准教授(放射線生物学)も「今の値ではほとんど影響はない」と話している。ただし、乳幼児は放射性物質の影響を受けやすいので、流通経路の確認をしっかり行い、なるべく内部被ばくのリスクを避けた方がよい。(毎日新聞2011年7月16日)

 農業関係者や専門家に聞くと、主に稲わらを与えているのは、肉牛だけ。乳牛は畜舎の下に敷く、敷きわらというのがあるが、これは、一般的には餌として与えていない。また豚や鳥は、トウモロコシなどの飼料を与えているので、こうした餌の管理をしっかりしていれば、ほかの畜産物には心配ない。

 このままでは牛農家は全滅だ
 このままでは、汚染されていなくても、出荷を制限させられている農家は廃業に追い込まれる。このため、全頭検査を求める声があがっている。しかし、検査機器の数は足りない。国の考えは?

 これは、検査態勢が限界にある中で、検査ができて、安全を確認された牛を計画的に出荷することで、すべての牛を検査しようという考え方である。どのようなものか、大塚厚生労働副大臣に聞いた。

 「上限がある中で全頭検査をやるということはなかなか難しい。しかし、全頭検査するべきだと思っていますから、どのぐらいのペースでできるかということは、一定の制約がありますので、全頭検査をして出せる量というのは今までの出荷数よりも少し下がる可能性がある。」

 「その下がった状態を生産者にも消費者にも受け入れていただいて、いわば出荷制限ではなくて、計画出荷という形に変えていると。安全な牛だけを市場に流通させるような仕組みを作っていかなくてはいけないと思っている。」

 厚生労働省は、出荷停止をしている地域の牛について、対象にする方針。今の時点では福島県が当てはまる。福島県でも、現在、出荷の適齢期になっている、牛の調査を進めていて、今月中にはどの牛から検査を行うのかの計画を国に示したいとしている。

 こうした計画を踏まえて、国と福島県で協議をして、出荷の再開を検討することにしている。一方で、出荷停止をしていない山形県でもきょう、独自に出荷の牛を半数程度に減らすけれども、すべての牛を検査するという方針を明らかにしている。こうした考え方は、これから広がるものと思われる。(倉本光平
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