きしきしきしり(ギアス22話後) 

2007年03月25日(日) 18時05分
またも痛々しいユフィの話。22話後。↓の続きかもしれない。



その日は突然訪れた。

「お姉様、あの方は新しい護衛の方?」
あの日の惨劇から数日後。
最初に異変に気付いたのはコーネリアだった。コーネリアが朝、手づから一人隔離された妹に朝食を届けに行った時、ユーフェミアはそう尋ねた。
「新しい護衛?」
何を言っているのかと、コーネリアはユーフェミアの視線の先を追う。そこには、コーネリアの後ろに控えていたギルフォード。
「あの、お名前は?」
お姉様をよろしくお願いいたします。困惑した表情のギルフォードに、ユーフェミアは微笑んで告げた。


「お姉様ったら、いつの間に髪をのばされたの?」

「ダールトン将軍!その顔の傷は……」

あまりに突然だった。
ユーフェミアは、どうやら約七年分の記憶を失ってしまったらしい。
「ねぇお姉様、今日はマリアンヌ様のところへはお行きにならないの?私、ルルーシュとナナリーに会いたいわ」
彼女の中で亡き異母兄妹は顕在で、しきりに会いたがった。
が、故人にまみえることなどできない。とりあえず、彼女らは三人でヨーロッパを見聞のため旅行中ということにした。

「…ユフィ……」
「なぁに?お姉様」
「枢木スザクを、覚えているか?」
「くるるぎ?」
ユーフェミアは首を傾げた。
「さぁ…どなたかしら……」
やはり覚えていないらしい。コーネリアは安堵した。
「でも名前からすると日本人でしょうか……じゃあ、殺さなくっちゃ。お姉様、その人はまさか生きていませんよね?」
が、続く言葉に、表情を固くした。彼女の七年間は消えても、これだけは残ってしまっている。
医者は記憶喪失の原因は強いストレスの可能性があると話した。
何故か日本人を殺さなければと盲信する妹。しかし彼女は日本人である枢木スザクに恋していた。
その矛盾にユーフェミアの心が軋んでいく様子が、手に取るようにわかった。

こうなって良かったのかもしれないと、コーネリアは考え始めていた。
このまま本国で、静かに暮らせば。
「ルルーシュに会ったらね、またチェスを教えてもらうの」
ルルーシュったら、本当に強くなったのよ。きっともうすぐ、シュナイゼルお兄様にも勝てるわ。ユーフェミアは楽しそうに話す。
妹の瞳には、まだ美しかった頃の離宮が映っているようだった。



***********
うぅぅぅ……。(唸)
ちくしょう制作サイドもタチ悪いぜ……19&20話であんなに持ち上げといてここまで落とすか…?
この通りまだまだ22話引きずってます。ずーん。(落)
本当、(きっと無理だけど)ユフィには安らかに暮らせるようになってほしい……。

少女の崩れる音(ギアス22話後) 

2007年03月25日(日) 0時53分
ギアス22話後でコーネリア+ユーフェミア→スザクな感じ。
痛いというより痛々しい妄想です。



予感がした。

コーネリアの背筋を駆け抜けたそれは、予感と言うより勘に近いものだったけれど、予感がした。


愛する妹はもうすぐ、崩壊する。


「お姉様」

真白い壁に囲われた無機質な部屋。燦々と陽の光を取り込む唯一の窓には鉄格子が嵌まっている。この部屋は二階。一階よりも逃げ出すのは困難で、かつ万が一窓から飛び降りたとしても命に別状の無い高さ。
部屋の真ん中の真白のベッドに妹はいた。上半身を起こし、膝の上で組んだ自分の両手を見つめている。
コーネリアが部屋に入ると、ユーフェミアは笑顔を見せた。
「わざわざ、ありがとうございます。お忙しいのに……」
「いや」
コーネリアは短く応じた。
「お姉様」

「日本人は皆、殺しましたか?」

コーネリアは一瞬瞠目し、目を伏せた。その長い睫が震える。
「殺したよ。今日は、ヨコハマのゲットーを襲撃した」
本当はそんなことはしていない。イレブンと言えど、大事な労働力であることに変わりはないのだから。これは、ユーフェミアを満足させるための嘘。
ユーフェミアはあの日以来、おかしくなってしまった。少なくとも、外からはそう見えた。
だがコーネリアには妹が精神に異常をきたしたとは思えなかった。妹はいつもと変わらない、花のように笑い、怒り、泣き、そして笑う。
ただ、

日本人は殺さなければならないと盲信していること以外は。

「何をおっしゃるのですか、お姉様」
何故イレブンを殺すのか。コーネリアが尋ねると、ユーフェミアは微笑んだ。
「日本人を殺すのなんて、当たり前のことですわ。理由なんて、いるの?」
それを聞いた途端、悪寒が走った。
ユーフェミアにとって、雨が降ったら傘をさすことと日本人を見たら殺すことは等しく当然なのだ。

「……お姉様、スザクは、どうしていますか」

ユーフェミアは尋ねた。その声は少し震えていて、コーネリアはそっと添えるようにユーフェミアの手を自分の手で包み込む。
「今はおそらく特派の研究所にいるのだろう」
「生きているのですね」
「生きている」
騎士である枢木スザクですらもユーフェミアにとっては殺す対象たり得るらしかった。
だが、ユーフェミアはスザクが騎士を辞めることを許さなかった。
「スザク」
ユーフェミアは呟く。
「ユフィ……」
「お姉様」
ユーフェミアは目をかっと見開いてコーネリアを見た。大きな瞳の下には落ち窪んだような隈ができていて、酷く痛々しかった。
「お姉様、どうすればいいのかしら」

「すきなのよ、スザク」

「日本人は殺さなくちゃいけないのに」

ユーフェミアは呟く。誰に聞かせるでもなく発せられた言葉たちは、所在無く宙に浮かんだ。

「だいすきなの」

「いっしょにいたい」

「でも殺さなきゃ」

「すき」

「すきよ、スザク」


「どうか、隣に」


「でもあなたをころさなくちゃ」


ふつり。
糸が切れたように突然ユーフェミアは前に倒れ込んだ。コーネリアはそれを抱き留める。
ユーフェミアは眠っていた。すやすやと、幼い頃のように。
コーネリアは妹の体をぎゅうと抱きしめた。
こうなるのは初めてではない。もう何度もこうして、オルゴールのように枢木スザクへの恋を繰り返し、日本人を殺すと繰り返し、突然眠りに落ちる。
ユーフェミアはもうすぐ崩壊する。
コーネリアは予感した。
自分は崩れゆく妹を前にして何もできないのか。
コーネリアは唇を噛み、ユーフェミアを抱きしめる腕の力を強めた。
眠りについたユーフェミアは、どこまでも穏やかな顔をしていた。




************
いやぁ、22話があまりにショックすぎて……。(落)(ずーん)
ああなったユフィを支えられるのはお姉様以外いないと思います。
何でもいいから救いが欲しいです……ギアスには期待するだけ無理な気もするけど。
もう記憶喪失とかそういう安易なのでいいよ。頼むから、ユフィにはスザクの隣で笑ってほしい。

少女のための円舞曲ト短調(シュナネリ) 

2007年02月26日(月) 23時11分
※シュナネリです。捏造注意!




シュナイゼルにとって、コーネリアはたった一人の妹だった。その実、後にユーフェミアが生まれるまでの十一年間。



はたちを越えてしまえばそう差の無い年齢も、幼い頃はかなりのもので、シュナイゼルは妹が小さな足でよたよたて駆けて、自分を追って来てくれるのがひどくうれしかった。

「兄上」
コーネリアは仁王立ちでシュナイゼルを見据えた。その瞳は怒りに満ちみちている。
「どうしたというんだい、コリー」
だがシュナイゼルはその視線を事もなげに受け流す。まだ初等教育を漸く卒えたばかりの少女の眼光など、たいしたものではない。
コーネリアは口惜しそうに唇を噛み締め、目を逸らし苦々し気に口を開いた。
「この度の東ヨーロッパへの遠征……」
その後は唸ったまま、何の言葉も出てこない。
「……何だ」
シュナイゼルは拍子抜けした。
「久し振りの兄の顔がみたいから来たのではないのか」
それならば嬉しかったのに。
コーネリアは内心そんなわけないだろうと悪態をついたが口には出さなかった。もう、それくらいのことは弁えている。
そう、昔とは違って。
「怒っているのか?あの国を潰したことを」
「いえ」
コーネリアは目を合わそうとはしない。
「……、…礼を、と」
「礼?」
そして絞り出すように告げたものは、シュナイゼルの予想から少し外れていた。
「間違いなくコリーは怒っていると思ったんだが」
つい先日までシュナイゼルが征圧の指揮を執っていた国。ブリタニアの友好国(という名の属国)で、国内のレジスタンス勢力が強い国。
その国の王子に、コーネリアは嫁ぐ手筈になっていた。あと数ヶ月も状況に動きがなければ、見合いくらいはさせられていただろう。だがレジスタンスがブリタニア大使館に爆弾テロを仕掛けたことから事態は一気に急転し、シュナイゼルが直々に出向き征圧にあたったのだった。
「お前なら、自分で手を下したかったろうから」
私が出しゃばったことを怒っていると、そう思ったんだが。
すると、コーネリアは小さく呟いた。
「それは私の勝手というものでしょう」
そこまで、もう子供ではありません、と。
それを聞いて、シュナイゼルは眉根をかすかに持ち上げた。

かわいいかわいい妹は、やはりまだ子供だ。
征圧の原因となった爆弾テロの黒幕が、本当はブリタニアであることに、彼女は気付いているのだろうか。

シュナイゼルにとって、コーネリアは長い間たった一人の妹だったのだ。十一年間もの、長い間。
まだ生まれたばかりで数度も顔を合わせていない他の妹達――例えばコーネリアと母を同じくする彼女が溺愛している妹――とは比べものにならないくらい長い時を見てきたのだ。

「そうか。じゃあ何か礼をしてもらおうか」
シュナイゼルは微笑した。
「…何でしょう、兄上」
コーネリアはおそるおそる尋ねる。
シュナイゼルは手を伸ばしコーネリアの左頬に触れた。ぴくり、とコーネリアは頬の筋肉を緊張させる。子供のきめ細やかさを保ったその肌は、まだ誰にも汚されていない。
「シュナイゼルお兄様、と呼んでほしい。昔のように」
「は?」
「愛情をこめて、な」
ウィンクして見せると、コーネリアはみるみるうちに顔を赤くし、シュナイゼルの手を振り払った。
「失礼します!」
あっという間に勢いよくドアは閉まり、シュナイゼルの妹は姿を消してしまった。シュナイゼルは振り払われた手を摩りながら呟く。
「…怒らせてしまったかな?」
まぁ、いいだろう。
「あの子の負い目がこれで消えるわけがないし」
一人くつくつと微苦笑しながら、シュナイゼルはコーネリアが出て行った扉を眺めていた。



*********
相変わらずのオチナッシング。
シュナ殿下はネリ様スキーだとすげぇ萌えるんだけどな。
もう皇族は兄弟姉妹みんな仲良しでいいよ!

ギアス小ネタ 

2007年02月25日(日) 0時27分
※マリアンヌさんと幼ネリア様。捏造要注意!



「……女でも、同じように強くなれるんだな?」



少女が開発中の新型ナイトメアの、つやつやと黒光りする装甲を撫でて呟いた言葉に、マリアンヌは小さく瞠目した。
「マリアンヌでもテストパイロットになれたのだろう?」
肩にかかる程度に揃えられた髪を欝陶しそうに振り払い、少女は紫耀の瞳を向ける。
「…えぇ……ナイトメアフレームは個人の腕力や体力よりも、機械操縦の腕、咄嗟の状況判断、何より機械の性能がものを言いますから」
性能がどれだけ良くても、扱えなくては意味がありませんから、結局はパイロットの能力かもしれませんけど。マリアンヌは続ける。
「男女差は、あまり関係ありませんね」
「…そうか」
少女は頷いた。その紫色が嬉しそうに濃くなるのを見て、マリアンヌは内心ほっとした。彼女の機嫌を損ねたら、冗談抜きで大変なことになる。自分がテストパイロットをやめさせられるどころか、下手をすればこの研究所くらい潰してしまいそうだ。
なぜならこの少女はブリタニアの皇族――第二皇女コーネリア・リ・ブリタニアなのだから。
「はやく実用化できるといいな」
コーネリアはまたナイトメアに目を戻した。その瞳は輝きに満ちている。
「そうしたら、私はこれに乗りたい」
「そう言っていただけて、嬉しいですわ」
コーネリアは最初、彼女の兄である第二皇子に手を引かれ、この研究所に視察に訪れた。
それ以来どうにもマリアンヌに懐いてしまったらしく、ちょくちょく顔を見せるようになった。
「あんたは雰囲気が親しみやすいから」
ラクシャータはそう分析してくれた。
「ポジションは近所の優しいお姉さんってとこじゃない?」
でも彼女にとっての姉なら第一皇女がいる。マリアンヌは反論した。するとラクシャータは笑って答えた。
「いくら姉って言ったって、母親が違うもの。きっとめったに会わないんじゃない?」
悩みとかは、第三者の方が話しやすいしさ。あ、あときっと友達もいないんじゃない?皇族なんてそんなもんよ。
ラクシャータはマリアンヌのさらなる反論を見透かしたように付け加えた。
「ま、あたしらの税金で飯食ってんだからさ。それくらい仕方ないさ」
ラクシャータの意見はこの少女にとってはきついものだ。だがマリアンヌはその深意を汲み取っていた。要するに、ラクシャータはマリアンヌにコーネリアに構ってやってやれと言っているのだ。
何やかんやで、ラクシャータもマリアンヌと同じく面倒見がいいのだ。
たった一人の親友の言を聞き入れ、マリアンヌは毎回研究所の入口で所在なさ気に待っている彼女の護衛に悪いと思いながら、コーネリアの気が済むまで付き合ってやるのだった。
「…もっと、強くなりたいんだ」
突然コーネリアはぽつり、呟いた。
「それは……」
言いかけて、だが口を噤んで黙り込んでしまった。
マリアンヌはそれを無理に聞き出そうとはしなかった。言いたくなければ、それでもいい。
「…開発は順調に進んでいます」
マリアンヌは微笑んだ。
「あと数年しないうちに、実用化されるでしょう」
「本当か?」
「本当になるよう頑張りますから」
小さくガッツポーズしてみせると、コーネリアはおかしそうに笑った。
「楽しみにしている」



**********
ネリ様はきっと幼少時からナイトメアに興味があって、皇妃になる前からマリ妃と親交があったんじゃないかなーという捏造。
某様の描かれる幼ネリア様は本当にかわいらしい。

2/26→明らかに年代におかしなところがあったので直し。やっぱり夜中に書くと眠くてだめだ。

ギアス小ネタ 

2007年02月19日(月) 23時21分
シュナイゼル×マリアンヌです。純度100パーセント捏造要注意!!



「…もう来ないでくださいと、申し上げたはずでしょう」

アリエスの離宮。世俗と隔絶されたこの地。その応接間の一つで、マリアンヌは静かにシュナイゼルに告げた。
「それはいつのことですか」
シュナイゼルは悠々と、ティーカップを持ち上げる。漂うアールグレイの香り。
「一昨日ですわ」
マリアンヌの口調には、窓の外に見える長閑な春の情景に似合わない、微かな怒りが含まれていた。
「おや」
シュナイゼルは微笑んだ。
「私は一昨日は日夜とも自宮に留まっていたことになっていますが」
その言葉に、マリアンヌはシュナイゼルをきっ、と睨みつけた。間に置かれた小さなテーブルの上で、二人の視線が交錯する。
「…あの夜は、あなたがいきなりやってきたのでしょう……!」
「しっ」
シュナイゼルは腕を伸ばし、人差し指でマリアンヌの唇に触れた。マリアンヌは思わず体を固くする。
「外に聞こえるかもしれませんよ?」
マリアンヌは静かに頷いた。だが、シュナイゼルは指を離そうとしない。
「今日はですね、ルルーシュに会いに来たんですよ」
そのまま、シュナイゼルは話し始める。戻されたカップがソーサーに当たり、かちり、音をたてた。
「さすがに三歳にもなると口が達者になりましたね。こちらも張り合いがありますよ。何でも最近はよく、クロヴィスを言い負かしているとか」
笑うシュナイゼルを見て、マリアンヌは内心悔しく思った。このまだ学生の、二十歳にも満たない少年に、自分はどうにも敵わない。
「ルルーシュはさっき疲れて眠り始めてしまったので」
こうして貴女にご挨拶してお暇しようと。シュナイゼルは続ける。
「決して夜這いに来たわけではありませんよ。一昨日のように」
マリアンヌの頬がかぁ、と朱くなった。シュナイゼルは唇から指をずらし、頬を撫でる。
愛おしそうに。
「貴女があの父のものであるのが、僕は気に入らないんです」
シュナイゼルは立ち上がり、テーブルに身を乗り出してマリアンヌに囁く。
「愛しています」
マリアンヌは俯いた。口の端の肉が微かに震える。
「…やめてください……」
その後はよく聞こえなかったが、「ルルーシュ」のその単語だけは妙にはっきりとしていた。
シュナイゼルは少し眉をしかめ、マリアンヌから離れた。
マリアンヌの手をとり、その白い肌に唇を寄せる。
「……今夜、また伺います」
マリアンヌははっとし、怯えたような目になった。シュナイゼルはそれを見て哀しそうに微笑み、名残惜しくマリアンヌの手を離した。
「では、また」
「……もう、本当に来ないでください…」
マリアンヌは呟くように言った。
「あなたを、愛してしまいますから」
その言葉が聞こえているのかいないのか、シュナイゼルは振り返るようなことはしなかった。



*********
マイナー街道大・驀・進☆
つーかマイナーにもほどがあるだろうが!しかも不倫かよ!
シュナ殿下とマリアンヌ妃はたぶん歳そこまで変わらない気がするんだけどどうだろう。妄想かな。妄想だな。
とりあえず今週の木曜まで(短!)シュナナナ親子説プッシュしてみたいと思います。(仮)

ギアス小ネタ 

2007年02月18日(日) 23時42分
ユフィのスザきゅん騎士任命直後。ネリ様はきっと怒り心頭だと思う、そんな妄想。
くだらない上にオチなし。



どがっしゃーん!

「枢木はいるかー!!」
特派研究室の扉が勢いよく開いた。
いや、特派の扉は自動ドアであるから、開いたというのはおかしい。正しくは『横にスライドした』と言うべきなのだろうが、その扉はまごうことなく『ひらいて』いた。こちら側に、はっきりと。
どうやらぶち破ったらしい。
「はい?」
スザクはセシルに教わりながら格闘していた宿題から顔を上げた。直後、目の前の光景に唖然とした。
「……ユフィ?」
思わず彼女の愛称を口にし、慌てて口を塞ぐ。
「皇女殿下にダールトン将軍…一体どうなさったんですか?」
セシルも驚きに目を丸くしている。
ダールトンに横抱きにかかえられ、ユーフェミアは所在なさ気な瞳をスザクに向けた。
「あーあー…派手に壊しちゃって……」
暢気な声が聞こえた。ロイドだ。場の驚きなど全く解せず、扉の心配をしている。
「枢木!」
ダールトンは肩で息をしながらスザクを呼んだ。
「はいっ」
「逃げろ!」
「はい?」
「いいから!」
ダールトンはつかつかと歩みより、ユーフェミアをスザクに押し付けた。
「ダールトン将軍!」
ユーフェミアは地面に降り立ち、ダールトンに訴える。
「すべては私の独断の結果です!私が参ります」
「ナイトメア同士の闘いに飛び込んだらいつ流れ弾で命を落とすかわかりません!」
ダールトンは強い口調でユーフェミアを諌める。
「……えーっ、と…」
傍で聞いているスザクには、何の事やらさっぱりわからない。
「申し訳ありません、スザク。私は行きますからだから……」
「いいから枢木准尉!殿下を連れてここから逃げろ!」
「に、逃げ?」
「あの、」
この場で最も冷静であろうセシルが口を挟んだ。
「一体どうなさったのか、説明していただけないでしょうか?」
セシルの口調に、ダールトンは少し冷静さを取り戻したようだった。咳ばらいを一つして、早口で話し始めた。
「総督が北陸征圧からお帰りになった」
「それで?」
「副総督が枢木を騎士に選んだことを聞くやいなやグロースターに乗り特派を目指した」
「……」
「今はギルフォードが抑えているが長くは持たん。あいつは姫様に本気は出せないからな」
「ですからやはり私が…!」
「あの場に副総督を置いておけば必ず身を張って止めようとなさるでしょう!お怪我では済みません!」
「でも……」
ユーフェミアは後ろを振り返る。ダールトンの後ろに、破られたドア。
と、

どががしゃーん!

壊れたドアがさらに粉砕した。
キシキシという機械音。
マントを纏ったナイトメアが静かに佇んでいた。



**********
くっだらないが書いててたのしカタヨ。
何が書きたかったって、将軍の「あいつは姫様に本気はだせないからな」が書きたかったんですよ。それだけ。
どうもお粗末さまでした。

バレンタインギアス小ネタPART3 

2007年02月16日(金) 20時41分
せっかくのバレンタインPART3。バレンタインの次の日。(もう2日過ぎてるけど)
ロイセシです。



「これをさぁ、昨日作ってくれたら良かったんだよ」
僕もまだ、笑って食べたのに。ロイドは溜め息を吐いた。
目の前で甘い匂いを振り撒いているのは、本日のセシルの差し入れ。にしんと野菜のキッシュ、チョコチップ入りチョコレートソースがけ。
どうして魚と野菜とチョコレートを同居させようという考えが浮かぶのか、ロイドにはわからない。
おそるおそるセシルを見れば、頭上にクエスチョンマークを浮かべている。
「どうして昨日なんですか?」
ロイドはもう一度、溜め息を吐いた。
「今日はどうしてキッシュにしたの」
「友達が実家からにしんが送られてきたからおすそ分けにって、いただいたんです」
実家からにしん。どんな実家だ。
「チョコレートは?」
ぴしり。
突如空気が変わった。
「……ご自分でお考えになったらいかがですか」
にっこり笑うセシルの額には、明らかに青筋が浮いている。
考えろ、と言われロイドは素直に考えた。
数瞬後、
「……セシル君、昨日誰かにチョコあげたけど断られたの?」
「正解です」
セシルの溜め息には、今にもロイドの胸倉を掴みかねないくらいの威圧感があった。
「…言ってくれたら僕が食べたのに」
ぼそり、ロイドは呟く。するとセシルはロイドをきっ、と睨みつけた。さながら蛇に睨まれたカエル。
「まだわからないんですか!」
「何が?」
「このチョコの出処!」
「君でしょ?」
唇を震わせ、セシルはそのまま黙りこくってしまった。
ロイドはもう一度、考える。
十数秒後。
「もしかして昨日、僕にチョコくれたの?」
「あげてません」
セシルは俯く。
「正確には」
「そりゃどゆこと」
「だってロイドさん、昨日はいくら話し掛けても気付かなかったじゃないですか」
そうだったろうか。
ロイドは回想する。昨日は誰からも話し掛けられた記憶が無い。
ロイドは目の前の料理を見る。さめて固まり始めたチョコレートソース。
誰の手にも渡らなかったチョコレートの成れの果て。
「食べる」
ロイドはフォークを手に取った。
「食べるよ。だからさぁ」
ぱくり、一口。途端甘ったるい味と魚臭さが広がる。
「泣かないでよ」
僕は君に泣かれると、すごく困るんだ。ロイドは涙目になりながらセシルに告げた。
「食べながら話さないでください」
セシルは顔を上げた。その表情は柔らかく。
「あと私、泣いてなんかいませんよ」




**********
まだバレンタイン引きずるんかい。
ロイセシはわりと糖度が高くなりがちだ。
ロイドさんの頭の中は7割ランスロットであとの3割はセシルさんだといいなァ。

バレンタインギアス小ネタPART2 

2007年02月14日(水) 23時26分
せっかくのバレンタインPART2。ギルネリですた。




コーネリアが無言で差し出したそれを、ギルフォードは無言で見つめた。
「……」
「……」
流れる沈黙。
数秒後、
「あぁ、全く!」
コーネリアは小さく舌打ちをした。
「貴公にやると言っているのだ。受け取れ」
「はぁ…」
ギルフォードは生返事をする。差し出されているのは、品のいい紅色の紙に包まれた小箱。
「有難うございます」
受け取ってよく見れば、包装は少しひしゃげていた。
「あまり持たないだろうから、早めに食べろ」
「…食べ物なのですか?」
コーネリアは用は済んだというように踵を返し、ソファにどっかりと腰掛けた。
「いいか、それは自室で貴公一人のときに開けろ。誰かに見せたりすれば、即座に殺す」
物騒な言葉をギルフォードに投げつけ、コーネリアは腕を組み瞼を下ろした。無言だが、早く出ていけとオーラが語っている。
「わかりました。…失礼します」
ギルフォードは小箱を懐に仕舞い、コーネリアに一礼した。反応はなかったが、まぁいいだろうと考えてギルフォードは部屋を退出した。
数十秒後、
コーネリアはばたり、とソファに体を倒した。両手で顔を覆う。熱い。
我ながら恥ずかしいことをしたものだ。それもこれも、かわいい妹に乗せられたせい。
あれはあの箱の中身にいつ気付くだろうか。開けても気付かない?そんな気もした。
それならそっちの方が良い。コーネリアは気分を落ち着けるため、大きく息を吐いた。

ギルフォードは言われた通り、自室で小箱を開けた。中身はやはり、チョコレート。
姫様は自分がこの今日の日を知らないとでも思っているのだろうか。そしてこうなることを微かにも期待していないと?
ギルフォードはチョコレートを一粒口に入れた。コーネリアが普段嫌がるミルクチョコレートの甘ったるい味が口いっぱいに広がった。



***********
ネリ様が一人チョコ作りに勤しんでる姿なんて想像できない…!

バレンタインギアス小ネタ 

2007年02月14日(水) 22時59分
せっかく年に一度のバレンタインなので。
スザユフィです。




「スザ、クっ」
「はい」
スザクの目の前でユーフェミアはぶるぶると震えている。呼び出されてからかれこれ10分。
もしかして、調子でも悪いんだろうか。顔もいつもより赤いようだし。
所在無く立ち尽くし、スザクがそんなことを考えはじめた時、ユーフェミアはスザクを呼び、何やら過剰に包装された小箱を突き出した。
突き出したままの姿勢で動かない。受け取れ、ということだろうか。
「有難うございます……」
困惑しながらも受け取る。なんだろう。ことり、揺れた感触では、何か小さいものがいくつか入っているようだ。
ユーフェミアは小箱のなくなった手を胸の前に戻し、指をひっきりなしに組み直している。何かを言う気配も、この場から動く気配もない。ただ視線を少し下にして、指を組み、解き、また組み、また解き。
ちらり。
ユーフェミアがほんの少し視線を上に上げたとき、スザクと目が合った。
瞬間、スザクは突然思い当たった。今日は二月十四日。
バレンタインデーだ。遥か昔にお菓子会社が、どうしても売り上げの落ちる二月のために打ち出した苦肉の策。
スザクは改めて小箱を見る。手の込んだ包装。
「…ありがとう、ユフィ」
思わず口をついた言葉に、ユーフェミアは顔を上げ、やがて柔らかく微笑んだ。



**********
スザユフィはなんかふわふわしててかーいらしくていいなぁ。ユフィがわりと普通の女の子ですから。シャーリーあたりと気が合いそうだ。

ギアス小ネタ 

2007年02月11日(日) 23時24分
ちょっと小ネタ。ネリ→ギルな感じで。むしろ仔ネリだこりゃ。
オチがないっす。



「嫌だ!」
「姫様」
顔を真っ赤にして怒るコーネリアを、ダールトンは諌めた。その口調は呆れているというよりも寧ろ、諦めているといった響きを含んでいる。
「こんなもの…!」
コーネリアは口唇を震わせながら足元を見下ろした。そこには高級そうな厚紙に、茶髪の青年が写っている写真が無駄に大伸ばしにされて貼付けられている。
見合い写真。
それは床に勢いよく叩きつけられた後コーネリアのブーツの踵で二度踏み付けにされ、かなりひしゃげていた。
「こんなものっ……」
写真の中の茶髪の青年は、東ヨーロッパにある某国の王子。

「体のいい人質ではないかっ……!」

某国はブリタニアの侵略に対する抵抗が随分強い。レジスタンス勢力がEUから多額の援助を受けているからだ。
「姫様」
ダールトンは、今度は叱るようにコーネリアを諌めた。
「もし姫様がこのお話をお断りになっても、結局は誰かが参らねばならぬのです」
もしコーネリアが人質となることを拒めば、

幼い弟妹達に飛び火する。

コーネリアの瞼の裏に、まだ幼い妹の姿が浮かんだ。薄紅の髪をなびかせ庭をはねまわるかわいい妹。
ちらり、コーネリアはひしゃげた見合い写真を見遣る。
「でも…」
刹那、花のように笑う妹の姿は瞼の裏から掻き消えた。代わりに浮かび上がってきたのは別の人物。
「でもっ…!」


あれ以外の男の腕に、抱かれるなんて。


「好きな男でも、できましたか」
淡々と問うたダールトンの言葉に、コーネリアは虚を突かれたようにびくり、震え、俯いた。




**********
将軍はネリ様とユフィに幸せになってほしいんだよ。絶対そう思ってるよ。VIVAじいやポジション!
某華麗なる連ドラ見て思い付いた。書くもの漏れなくギル→ネリばっかりな気がするので、たまには気分転換ちっくに。これも十分イケるな!(親指グッ)
17話時点ネリ様とギルが仲良く北陸に行ってるかと思うとそれだけで萌えるヨー。