×close #1 

October 25 [Thu], 2007, 7:11

ジンの彼女?遊びにきてんの?
お邪魔してます。でも友達です
そっかーぁ‥ジンは?
ジンはコンビニへ‥

酒臭い息をふきかけながら不気味な笑顔を浮かべて
オヤジの目がすでにラリッてて
これはヤバいと気付いた。

スキをみて逃げようと思ったらうしろからすごい力で引きずり倒された。
頭に激痛がした。

時すでに遅し。

あたしはひたすらジンが帰ってくる前に早く終われと願ってた。
髪も服も乱れっぱなしのままへんな匂いを漂わせて
あたしは無我夢中で裸足で外に飛び出した。
ジンにみつかってないか何度も振り返りながら‥

次の日ジンが近寄ってきて

おまえ‥まさか‥な?

冷静装いながら完全にヒイテて、笑顔を引きつらせてジンは
黙りこくってタバコふかしてたあたしの足元に忘れてきたサンダルをそっと置くと

マジワリイ。

そうつぶやいて教室をものすごい勢いでかけ抜けていった。

鼻で笑ってしまった。

サンダルは近くの公園のごみ箱に捨てた。
空き缶に埋もれて軽い音がした。

三年になってクラス替えが行われて
あたしとジンは1組と5組となり
あれだけ仲のよかった二人は
まったく話をしなくなってしまった。

中庭で新しくできた女友達とバスケしてる姿をみて
嫉妬とかなんとかより「せつない」とゆう感情を初めて知った。

ジンがだいすきだったけど
結局3年間だいすきだったけど
つきあうことはできなかった。



あれさえなければと思ったことがいったいどれだけあったろう。



あたしはあの瞬間、汚れた。

バージンは大好きな人の母親の愛人だった。

×close #2 

November 01 [Thu], 2007, 7:15


17歳。

イカレた少女は
学校をサボりまくってその時間
援交の約束をとりつけては
巧みに相手の目を盗んで金だけとっては脱走劇を繰り広げた。

成功率は高かった。

だけど相手の目を盗めなきゃそれでもいい。
最後までいってもそれは仕方ない。
商売だ、と。

もはやカレシに浮気された少女にとって
なんの抵抗もなんの感情もなかった。

そうしてたくさんの知らないおじさんと情事を繰り返した。

大好きなカレシとは半年間セックスできなかったのに
知らないおじさんとのセックスはなんとも容易だった。


そうやって少女は自分の体を粗末にした。


でも儲けた金で何を買ってもやっても満たされない。
過食が続いた。
トイレと友達になった。

完全に学校では浮いた。
進学校だった学校では担任からも見放された。
悲惨な成績に親は嘆き家族は破滅的だった。

生きる意味が分からなかった。


あるとき少女はテレビをみた。
必死に口座番号を書きとめた。

少女は貯まりに貯まった金をある海外の民間団体に送った。

すると必ずお礼の手紙がくる。

「あなたのおかげで多くの子供の命が救えます。あなたのおかげです」

アナタノオカゲ。

少女にはその言葉が輝いてみえた。


無理矢理買ったブランド物を一切合財売り払って送り続けた。


その言葉のために。
ただその自分だけの言葉が欲しかった。


あまり賢くない少女は
援交で
自分の存在意義を確かめ続けた。

そしてその少女は過食と、リスカをやめることができた。

分かったのだ。
こんな汚れたあたしでも誰かの役にたてる、と。

×close #3 

November 08 [Thu], 2007, 7:18


分かってたんだと思う。
覚醒剤は依存性があるから。
マリファナを愛して病まない人だった。


見たことあるか自然のマリファナ。すげー緑がきれいなんだぜ。


そうゆってあたしに
アニキはマリファナの形したペンダントをくれた。




いいお仕事あるからやんない?
おっさんとお話するだけでいいんだよ。
んでちょっとミテテアゲレバいいんだ。といって
アニキはニヤリと笑った。

何ヲ?と聞くまでもなかった。
異様な環境にいたから少女なりに悟った。

ヤルのだけはヤダよ。

そうゆう話でまとまって、しばらくそうやって
中1にしては多いおこづかいを稼いだ。

それが初めてのアニキとの会話。ヘンな始まりだった。



アニキは世間では有名な族のアタマで
本当にいろんな人に恐れられてたようだけど
でもそれでも少女や弟のジンや仲間にすごくやさしかった。

そのちょっとしたおこづかい稼ぎのときも
襲われそうになったらすぐに助けに来てくれて
その客を出禁にした。いつも見張ってたようだった。

そのうちアニキが
まだ13歳なのにこんなことさせるのよくないよな
そう言ってあたしに土下座した。


別にいいのに。そうゆった少女の頭を撫でた。




それからアニキは
ジンたちと仲間とたくさんの思い出を作ってくれた。

バイクのうしろに乗せてくれたり
ハイになれちゃう薬を教えてくれたり
いろんな闇の話をおもしろおかしく話してくれて
あたしにはまるでホンモノのアニキだった。


英才教育でイイコであるよう育てられた少女が
未知の世界に興味津々でハマッていったのはゆうまでもない。


アニキを慕っていたし信頼してた。
ジンも慕っていたし信頼してた。
みんなに慕われていた。


いろんなことで忙しかったアニキだけど
遊んでくれるときはジンの仲間が必ず全員集合するくらい
最高な時間で貴重な時間だった。




アニキは寝ない人間だった。
アニキは夜の仕事から帰ってくると必ずハッパをやった。
そして日中の仕事に出向く。
まるでリポビタンDのようにそれを扱って立派に仕事を成し遂げる。


だけど昼間の仕事から帰ってくると死んだような顔をして
ようやっと少し眠りにつく。



ジンがそのときのアニキは少し怖いとゆっていた。



ある日。冬の特に寒い日だった。
夕方、ジンのうちに数人でたまってた。
アニキの部屋から少しだけ頂戴して
軽くハッパやってゲームやらなにやらしてた。

そこへアニキが帰ってきた。
すぐに自分の部屋へもどったようだけど
少ししてジンのところへやってきた。


すごい顔だった。


マリファナが足りねえ。ジンおまえ○○いってもらってこい。
そう言って部屋に戻った。

別にキレてたわけじゃない。
冷静だけどどこか怖い言い方だった。

ジンはわかったとうなづくと家をでた。

残った少女たちは少しびくびくしてた。

オレらが少しもらっちゃったからだよね。
謝るべきかな。
どうしよう。

そんなことをしてるうちに
アニキの部屋からものすごい叫び声が聞こえた。

なに?今の
わかんない。いってみよう
やめとこうよ。とゆう少女の直感がはたらいた。
だけど、言えなかった。

部屋から異様なうなり声が漏れていた。


やめてくれ!やめてくれ‥くるな、くるな‥!!


誰かいるのかと思った。
だけど違う。

ただごとじゃないと思った。

どうしたんすか先輩!!!
仲間がドアをあけた。

ただごとじゃなかった。


13歳にはあまりにも衝撃的な光景だった。


アニキはなにかにとりつかれたように
割ったパイプでありえないくらいのすごい力で
全身ズタズタに切り裂いていた。

服が裂かれ
血が吹き出し
肉片が飛び散り

アニキは狂ったように叫び続けていた。


全員で声を失った。
腰抜かしたやつもいた。
目を伏せるやつもいた。
吐いたやつもいた。
叫ぶやつもいた。


だけどあたしは目を離せなくて
見たくないのにその光景を始終、この目でみた。

アニキと目が合った。
舌を出して笑った。

かっこわりーな。とでも言うように。




そのときジンが帰ってきて
あたしは動揺して隠せるわけがないのに
大きく腕を広げて部屋の前に立ちはだかったけど
ジンはただごとじゃないことを察知してあたしを払い除けた。


血の海に沈んだアニキをみたそのジンの顔が
少女にはトドメの一発だった。



だけど涙がでなかった。
あんまりのことで理解の範疇を超えすぎていて
涙腺は完全にカットされた。


少女は警察にいろいろと尋問されながら冷静に思った。


直接見たのがジンじゃなくて。
あたしでよかった、と。

×close #4 

November 15 [Thu], 2007, 7:20


17からありとあらゆるバイトをした。
売春は除いてちゃんとしたバイトの数、たぶんハンパない。
だって留年したくらいですから。

手帳に予定がつまってないと(バイトで)不安になる病、だった。

一日、最高で5つカケモチした。


1:朝6時から9時までコンビニ
2:10時から15時まで秘書事務
3:16時から19時まで塾講師
4:21時から25時まで風俗嬢
5:26時から27時まで知り合いのパブで手伝い

移動中はパソコンでデータ作ってたりしたから6つだ。
1円とか稼ぐ内職もずーとしてた。


寝るヒマも惜しかった。
寝てる時間がもったいないと思ってた。


日によっては
ピンチラ配りだったり
引っ越し屋だったり
パチスロだったり
ラブホの清掃だったり
警備員だったり
キャンペーンガールだったり
チャットのさくらだったり
高級料亭で着物きたり
オートバックスだったり

マックやアンミラだったり
テレフォンセックスは家で課題してるときの片手間に。
日払い登録ももちろんしてたし
客の家政婦みたいのもやった。


5年間続けたのはコンビニと内職と塾講師だった。


おもろかったのはラブホの清掃。
信じられない跡もあったけどあれは不倫だねとか浮気だねとか
あれはありえないねとか売春だねとかゲイだねとか
おばちゃんたちと控え室で妄想を膨らませるのが楽しかった。

やりがいがあったのは塾講師。
小6と中1を担当してたけどホントーに楽しかった。
この子たちのために毎日がんばろうって必死だった。
子供たちの笑顔に救われてた。
巣立ったあともたまに顔だしにきてくれてそのたんびに泣けた。
就職決まらなかったら続けようと思ってた。
それなのに‥‥。
辞めざる負えなかった‥。


なぜそんなにやってたか。

おかしかったんだあのころ。



そんだけやってれば確かに金はあるのに
減るのが怖かったからなんっにも買えなかった。

あるのに、何度も半狂乱に陥った。
日常で必要なものを買うにも心が痛んだ。


残高が一千万切ると不安で仕方なかった。
たった21の分際で。


今もその後遺症は残っているけど。

必死だったんだ。
とにかく。本当に。


「金」だけだった。




この時期のことはまだ少しフタしたいかも。

×close #5 

November 22 [Thu], 2007, 11:58
両家とも先祖代々東大卒。
ちなみに親戚中も東大か京大卒。
そんな二人に育てられた少女。

二人は「普通」の人生を少女も当たり前に歩むと思った。


ところがどうやら違う様子。

小学校に入って少女が日本語を理解しない。
海外暮らしだったからだろうと思った母親は
スーパー教育ママと化して門限を四時とし
少女に日本語を文法から古語までひたすらたたき込んだ。

そのうち数字にも弱いと気付くとひたすら問題集を解かせた。
理数系の血筋なのになんでなのかしらと
母親は何度も嘆き父親にどうしたらいいのと泣きついた。

少女は涙でヨレヨレになった紙の上でひたすら鉛筆を動かした。
毎日決められた勉強スケジュールを泣きながらこなした。

何度も何度も間違えて何度も何度も教えられたけど
全然分からなかった。言ってる意味がさっぱりだった。
最終的にこうだった。
「なんでこんなのがわかんないの!?」と。

それでも嫌われたくなかったからがんばってがんばって
徐々にテストで点数をあげて、99点をとっても叱られた。
「なんで100点じゃないの!?」と。
あゆみでオール4にちらほら5がみえても
「なんでオール5じゃないの!?」と。

門限に少し遅れたりスケジュールをこなさなかったりすると
何度も何度も母親に閉め出された。
何度も何度も父親に襟元をつかまれ持ち上げられ怒鳴られた。


でも少し頭の弱い少女は
それが「普通」なんだと思っていた。

みんなにも四時とゆう門限があって
勉強スケジュールとやらがあって
アニメなんかみちゃいけなくて
毎日4時間勉強して、100点以外は許されなくて
みーんな叱られてるんだと、みーんな同じなんだと
それが「普通」なんだと。

辛かったし毎日泣いてたけど
それは単に勉強がイヤでもっと遊びたいとゆう気持ちで
二人を恨んだことはなかったし
褒められるための努力は惜しまなかった。
二人だって少女のためにイベントはかならず盛大にやってくれて
最大限の愛を少女に注いだ。


5年生の夏、クラスで花火をしようと企画された。
子供たちだけで花火なんて初めて、の少女は舞い上がった。

母親に話した。
「だめ。危ない。スケジュールが乱れるし」

少女は思った。
「みんなもがんばってるだろうからあたしもがんばろう」

少女は花火の日のために
いつもに加えて倍の勉強スケジュールをこなした。

母親は言った。
「そんなことしても無駄よ。危ないから行かせない」

悔しくてたくさん泣いた。
みんなに行けないと告げた。
友達はみんななんともいえない目をしていた。

けれど泣き続けて泣き続けて勉強すらも手につかなくなったら
母親が根負けして30分だけいいと許してくれた。
「先生もいるから」とうそをついたのだ。

念願の花火ができて
しかも夜に友達といるなんて
少女にとって幸せ以外のなにものでもなかった。
ゆうまでもなく時間を忘れた。

そのうち父親がきて突然少女の腕をつかんで怒鳴り散らした。
楽しかった雰囲気が一瞬にして凍り付いた。
叱られて涙で潤んだ目でみえたものは友達のなんともいえない目。

帰ったら母親が泣き叫びながら少女を叱った。
父親も仁王立ちして叱り飛ばし少女にはたまらなくそれが恐怖だった。

少女は時間を守らなかったこと、うそをついたことを
泣きながら二人にひたすら謝り続けた。土下座して謝った。
最終的に反省文と誓約書を書かされてとりあえず許された。



次の日の学校。
登校するなり友達が寄ってたかって「大丈夫?」と聞いてきた。
「○○ちゃんチすごい厳しいよね」
「お父さんあんなに怒るの?」
「花火なんて普通なのに」
「いつも早く帰るのは決められてるからなの?」


少女はそのとき初めて悟った。


今までみてきた友達のなんともいえない目、は
同情の目、であったこと。
あたしはどうやら「普通」ではないこと。

友達に「普通」のことを教えてもらいながら
少女は今までのことを思い返して涙が溢れた。


交換日記を持ち帰ったときはビリビリに破り捨てられた。
恋なんかしてる場合があったら勉強しなさいと。
買ってきたバレンタインチョコはあっけなく捨てられた。
こんなもの買うお金ならおこづかいはあげないと。

確かに「普通」じゃない。

『あたしはママとパパの元に生まれてくるべき子ではなかったんだ』

自分だけ周りと違う、と
自分は愛されてない、と
とにかくなんか「違う」と気付いたとき
少女の中にもっとイイコでいなきゃとゆう気持ちが芽生えた。
それと同時におそらくこのときから憎しみという気持ちをなんとなく知った。



小学校6年生。
一年通して学年1番の座を譲らず卒業。これが精一杯だった。

ようやくこれで褒めてもらえると思った。そう願った。

けれど
先生が母親に少女のことを褒めてくれたときの母親の一言。


「そんな、一番なんてアタリマエなんですよ。
 先生、いろいろとありがとうございました。‥」

頭がマックロになった気がした。

少女は母親と一緒に深々と先生にお辞儀をして
必死に必死に涙をこらえた。


そのマックロの気持ちになってからが
少女の長い長い長い反抗期の始まりだった。

最終的に
親の期待を真っ向からブッた切った形になったのはいうまでもない。

×close #6 

November 29 [Thu], 2007, 12:02
留年中。

フリースクールに短時間ボランティアしてた。

そこで知り合った娘。
バカの一つ覚えみたいにみんなを笑かす娘だった。
名はリンと言った。

たかがボランティアに生徒の生い立ちや事情を知れるわけがなく。
だけど
たまにみせるリンの瞳と
足のいくつものアザと手の吐き蛸
いつでも長袖のリンをみて
その無駄な程の明るさが痛々しかった。


リンと二人で作業してるとき
「バレてるよカラ元気」と言ったら
リンの手が一瞬ピタッと止まってそれでも笑顔を向けて
「ねーさん早くカレシ作んなーもうギリギリだよ年、齢、的、に!」
とあたしをおちょくった。


その夜、携帯が鳴った。公衆電話だった。
名乗りもせず、何も言わず
でもすすり泣きが聞こえた。
すぐにリンだと分かった。


それからほとんどの時間をリンと共にした。
リンが覚醒剤依存症だというのに気付いたのはすぐだった。
でも我慢した。リンから話すのを待った。

しばらくしてリンからあたしに自分のことを話し始めた。

親から暴力を受けたこと。
スキな人に騙されたこと。
親友が事件に巻き込まれて死んだこと。
それから
過食嘔吐からリスカへそして覚醒剤に手がでて抜けられないこと。
早くやめたいこと。
とてつもなく苦しいこと。
たまらなく寂しいこと。
ラクになりたいこと。
なんで人は生きるの?と。


聞いてるうちにあたしも涙が止まらなくなって
強く抱き締めるしかなかった。

一緒に答えを探そう、と。
力になれることならなんでもするから、と。
一人じゃないよ、と。
だから、死ぬのだけはぜったいなしね、と。

本当にいろんなことに手を尽くした。
少しずつリンが心から笑うのが増えていって
あたしは安心した。

そのうち
本人が覚醒剤をやめるためのプログラムに取り組むと決断して
あたしは毎回面会を欠かさなかった。
仲間ができてしかもその中にスキな人ができて
リンの表情がみるみるうちに変わっていって
あたしは本当にこの上なくうれしかった。


だけどあたしの母親がガンに犯されて生死を彷徨って
リンとの面会を毎回というのができなくなってしまった。
そのかわり簡単な手紙を送った。
リンも大丈夫と言ってくれてスキな人もいるしと返してくれた。
すっかり安心してた。


一度だけ夜中に公衆電話から着信があった。
母親の病院にいて気付けなかった。


母親が安定して久々にリンのところへ足を運んだ。
気付いたら一ヵ月近くあいてしまっていた。

リンはプログラムを辞退していた。
携帯に連絡してみてもまだ復帰していない様。
胸騒ぎがした。

すがるようにもう辞めたフリースクールに連絡した。
先生は言いにくくそうに言った。
リンは自殺した、と。


リンはあたしに手紙を遺していた。


おねーちゃん。ごめんなさい。
ホントにごめんなさい。

P R O F I L E
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これが夢であるように
あたしは何杯も何杯も
ブラックコーヒーを飲んだ。

早く目が覚めるように。
早く現実と向き合えるように。