「テルマエ・ロマエ」ビームコミックス1巻

May 10 [Mon], 2010, 2:11
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ヤマザキマリ著
エンターブレイン
ビームコミックス1巻
2009年12月発行

マンガ大賞2010受賞。
世紀を超えた風呂漫画!

主人公ルシウスはローマ帝国の建築家(風呂限定)。
それがひょんなことから現代日本の風呂にワープする力を身につけ、そこで目の当たりにする恐るべき日本の風呂文化を盗んで古代ローマで再現し大ブレイク。
ついには時の皇帝までも顧客にする大建築家に!

シロの感想です。
普段私たちは自分たちがどれだけ文明の恩恵を受けているか意識する機会はなかなかないと思うが、この作品は、風呂という文化について再考するいい機会を提供してくれる。
現代日本の風呂は、程度の差はあれ、高度に文明化している。
薪をくべずともお湯は沸き、少し高級な風呂なら浴室テレビや防水ラジオなどが設置され、入浴剤もさまざまな企業が工夫を凝らして販売している。
また本作では、最新の風呂事情だけでなく、伝統的な日本の風呂文化も紹介されている。温泉地の温泉卵や銭湯のフルーツ牛乳、地熱を利用したオンドルなどなど…。
日本では少し前までは自宅に風呂があるのは一部の金持ちだけだったが、現代は六畳一間のワンルームにもユニットバスがついていて、自分専用の風呂に入れる。外に出れば、昔ながらの銭湯は潰れて数が少なくなっているものの、スーパー銭湯や温泉地の入浴施設は大人気で繁盛しており、日本人の風呂好きは筋金入りだ。
そして古代ローマ人も大の風呂好きである。
作者はこの風呂好きというキーワードで、現代日本と古代ローマという時代も場所も異なる2つの文明を結びつける。そこにあるのは古代ローマへの、そして風呂文化への愛のこもった眼差しだ。

そしてもう一つの要素として見落としてはいけないのが、古代ローマ人ルシウスと、“平たい顔族”現代日本人との異文化交流である。
現代日本人は、突如現れた外国人ルシウスに対して、温かい態度で接し、日本の風呂文化を紹介してくれる。そのお陰でルシウスはその文化を吸収し、古代ローマで発展させることができた。
古来から風呂、浴場というものは人々の交流の場であった。本作でも古代ローマの集団浴場の様子が描かれているが、町の人々が会話をし、ふざけ合い、身も心もスッキリして自宅へ帰っていく。
風呂の文化とは、人々の裸の交流の文化でもある。風呂は浴槽と身体の清浄だけから成るものでなく、さまざまな身分、職種の人間(ときには猿も)が、身につけているものをすべて脱ぎ捨てて裸で向き合う場なのだ。
その風呂文化の大切な要素が、現代日本人と古代ローマ人との交流という形によって描かれているのが、本作の注目すべきところであろう。

古代ローマの歴史的な事柄など難しい要素も入っているが、そこは細く繊細な絵柄とユニークなギャグで簡易に入りこめるようになっており、漫画初心者も、マニアの方々も、楽しく一読できる作品だと思う。
そして読み終わったらあなたもきっと、自分の中の風呂への愛に気付くことだろう。
【猫田シロ】
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どーも、辛口担当のブチでゴザイマス。
一通り読んでまず思ったのは、「食い足りない…」でありました。

確かに、そこかしこに古代ローマの風俗などが自然に紹介されているようで、今まで触れたことのない雰囲気を丁寧に見せていく演出については、中々かとは思いました。んが、しかし、私が不満だったのは、ドラマが希薄なところであります。

主人公:ルシウスが現代日本へタイムスリップ、現代日本人(というより現代のおじちゃん、おばちゃん達)と接触する、というのが物語の主軸なのですが、この全く外見の異なる、しかし風呂という共通の文化を持つ二つの種族が接触!という、結構おいしいシチュエーションなのに、言葉の壁を意識しすぎたか、ルシウスというキャラをあまりに古代ローマ人として自然に描きすぎたのだろうか(ルシウスが平たい顔族(現代日本人)を奴隷扱いして常に上から目線)、交流しようという空気にならない。ドラマが広がらない。日本人の方は一方的に親切なだけ、ルシウスの方は一方的にアイデアを拝借していくだけで、コミュニケーションと言えるような、ましてドラマと言えるような展開はほぼ皆無。

今では常識の樹脂製の洗面器や大きな鏡に驚いたり、壁面に大きく描かれた絵やフルーツ牛乳に衝撃を受けたりと、そういう演出はいいと思うのだが、その展開一辺倒では少々退屈。
SFの基本は短編にあり、という(これはファンタジーかもしれないが)。ワンアイデアでもかまわないが、それをドラマで膨らませることができなければ結局は二流止まりではないか、というのが持論である。ワンピースが面白いのは(もちろん色々な要素があるが)、アイデアを支えるドラマがあるから面白いのだ。

いずれにせよ、ドラマ展開がなければアイデア枯渇は時間の問題かと。
今後の展開(例えば平たい顔族の危機にルシウスが一肌脱ぐ、とか)に期待したい。
【猫田ブチ】
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