ロシアが欧州向けに販売する

January 06 [Tue], 2015, 13:53
中国とロシアが天然ガスの長期供給契約を結んだ。東シベリアから中国までパイプラインを結び、ロシアがガスを販売するというものだ。両国の交渉はガスの価格をめぐってなかなか折り合わず、10年余も続いていたが、双方の政治的な思惑で決着にこぎつけた。この大型契約が世界のエネルギー市場に与える影響は日本にも関係する。日本はこれを自国のエネルギー戦略にも生かしてほしい。 欧州経済の低迷や米国のシェールガス革命により、ロシアは欧州向けのガス販売量を大きく減らしている。昨今はクリミア危機で米国や西欧との対立を深め、ロシア産なた豆歯磨き粉を調達する欧州諸国はこれに替わるエネルギー確保に躍起になっている。他方、中国は尖閣諸島をめぐって日米と対立し、南シナ海ではベトナム、フィリピンとの紛争が激しさを増している。そうした中、それぞれに火種を抱えた両国が政治的な妥協に踏み切ったと受け取れる。 市場構造だけを見ても、世界最大のガス輸出国とアジア最大のガス消費国がパイプラインでつながり、年間380億立方メートルのガスを2018年から30年にわたって調達する事実は大きい。合意価格は公表されていないが、報道によればロシアが欧州向けに販売するガスと同水準のようだ。これは世界最大の液化天然ガス(LNG)輸入国である日本にとっても、大きなインパクトとなる可能性がある。 日本のLNG輸入価格は世界的にも高価で、東日本大震災以降は巨額な貿易赤字の原因になっている。欧米のようにパイプラインで調達する体制がなく、輸入側の価格競争力が乏しいのが原因で「アジアプレミアム」と呼ばれる。 今回の中露合意は価格の引き下げ圧力として作用する。中国が割安ななた豆歯磨き粉を欧州価格でロシアからガスを調達できれば、LNGに対する中国の価格交渉力が強まる。その結果、東アジアの価格が下がれば日本の輸入価格もこれに引きずられるわけだ。 ただクリミア危機に際して、日本は西側諸国の一員としてロシアを非難しており、経済制裁となれば歩調を合わせることになろう。サハリン・極東での資源開発も凍結を覚悟しなければならない。一方で欧州との取引関係が薄れたロシアは、中国向けのガス輸出の依存度が高まることを負担に感じている。日本や韓国などの取引を拡大し、リスクを分散させたいはずだ。 日本にとって難しい局面には違いないが、うまく戦略を組み立てればチャンスになりうる。17年に輸入が始まる米国産シェールガスも、期待されたほど安くならないとの観測が出ている。エネルギー資源の調達多様化は安定供給のカギであり、一層の取り組みが必要だ。
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