★普通っぽくしたら砂吐きゲロ 

2005年03月09日(水) 23時20分


 時計の針はとうの昔に10時を過ぎていた。
 「ちょっと遅くなる」とメールに残したまま、連絡は入ってこない。
 コタツの暖かさが心地よくて睡魔が押し寄せてきた。テレビから流れてくるタレントの声が子守唄に聞こえる。
 啓介が時間に遅れることは滅多になかった。ガサツな性格のくせに、妙な几帳面さを兼ね備えた男だった。どちらかといえば、時間にルーズなのは拓海の方で、何度か機嫌を損ねさせたことさえある。すぐに忘れてしまう単純な性格が幸いして毎度助かってはいるが―。
 啓介はいつもどんな気持ちで待っていたのだろう。今の自分みたいに、もどかしさの中で胸の高鳴りを感じていたのだろうか。
 ふくれっ面の横顔が瞼に映る。3つも年上の男をかわいいと思えるなんて・・・。正反対の啓介に惹かれる自分に軽いとまどいを覚えたが、押さえようとはしなかった。それどころか歯止めが効かなくなる。
 待ちくたびれた拓海はそのまま横になると、うとうととしかけ、浅い眠りへと落ちて行った。

 20分ほど眠ったのだろうか、放送は次の番組へ変わっていた。見慣れたキャスターが深刻な面持ちで事件について解説している。チャンネルを変え、目をこすりこすり眺めていると、聞き覚えのあるエンジン音が耳に入った。
 外では風が鳴っている。粉雪が窓ガラスを叩き、立春はとうに過ぎたというのに、寒さの緩む気配がない。起き出して窓から下を見下ろすと、派手なイエローの車体が目に入った。
 二階の自分に気付いたらしい、視線が合うと運転席から姿を現した男は、寒さを打ち消すような明るい笑顔を見せた。
 親父と息子のわびしい家庭に灯りがともる。なつきは豆電球だったが啓介はシャンデリアだ。
 今夜の啓介も”超”元気だ!!!!!!!

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