京大生でも1勝29敗――受験エリートを襲う「就活の恐怖」

October 04 [Wed], 2017, 21:43




(プレジデントオンライン)



プレジデントFamily 2013年11月号 掲載

小?中学生の親にとって、わが子の就職活動なんて「まだまだ先の話」だろう。そんなことより、今日勉強をがんばってくれて、来月のテストでいい点を取ってくれて、優秀な学生が集まる大学に進んでくれたら、どれだけ素晴らしいことか。でも、どんな子にだって「その先」がある。待ち受ける現実を覗いておこう。

京大生であるにもかかわらず、就職できない学生がいる――。この情報が飛び込んできたときのプレジデントFamily編集部の反応は「まさか」と「やはり」が混在した複雑なものだった。

「企業がいくら人物本位の採用を標榜(ひょうぼう)しているとはいえ、それは多分に建前である。短期間に多くの学生の中から有能な人材を見いだすためには大学名による選抜がもっとも効率的である。よって京大生が就職戦線で敗れるなんてことはありえない!」

まさか派は強弁する。一方のやはり派はそれを揶揄(やゆ)する。

「いやあ、そうは言っても、いまビジネスの世界でいちばん求められるスキルはコミュニケーション力ですからね。高学歴でも周囲とうまくやれない人って、うちの会社にもいるじゃないですか。やっぱり企業としては、その手の人材は敬遠しますよ、いまどき」

聞いていた筆者の心中は、まナイキ エアマックス-バスケットボールか3割、やはりが7割といったところだった。京都大学は偏差値的なブランド名としては申し分ない。しかしながら、どこか天才と奇人?変人をともに輩出する、学術重視の大学というイメージもある。ヘンクツな研究者然とした学生ならば、就職戦線からはじき飛ばされるということもあるのかもしれない。

この学生に会えるというので、まさか派、やはり派混交の我々取材班は、待ち合わせ場所である大阪に急行した。

■大企業ばかり10社――1次面接で全滅

大阪のとあるレンタル会議室に現れた山中健一郎君(仮名?23歳)は、短髪にクールビズといういでたちのさわやかな青年だった。フケだらけの頭をバリバリとかきながら……という“金田一”的な人物をどこかで想像していた筆者にとっては、1つ目の“意外”だった。

「京都大学の工学部出身です。いまは修士課程で情報解析の研究をしています。スポーツですか? 高校時代には弓道をやっていて、大学に入ってからもずっと武道を続けていました」

文武両道、質実剛健。会話のスタートも申し分ない。またまた意外である。

「大学3年のおととし、就職活動をしたんですが、エントリーシートを10社送って、結果は1次面接で全滅です。で、自分なりに問題点を整理してみたんですが、失敗の原因は主に3つありまして、1つは化学、医学、インフラなどの大企業ばかりを狙ったこと、2つ目は面接の練習を怠っていたこと、3つ目は友達や先輩などからの企業情報の収集をしていなかったこと、です。やはりどこかに『自分は京大生だから』というプライドと慢心があったと反省しています」

説明も理路整然としてわかりやすい。あえて言えば、やや理屈っぽい印象があることと、丁寧すぎる注釈が会話のところどころにはさまれるきらいがあることが気になったが、これも理系出身者共通の傾向で、不採用の理由にはなりそうにない。

だが、山中君本人は「1次面接での敗退」という現実に大きな挫折感を覚えた。

「1次面接は集団面接やグループディスカッションなのですが、“リーダーに必要な要素とは何か”とか“新規事業で店を出すことになったが、どんな業態なら成功するか”など、いろいろなお題が出されて、それに対する自分の考えを面接官に話したり、学生同士でディスカッションしたりするんです。これが自分にはうまくできなかった……。普段からそういうテーマについて考えていなかったということもありますし、自分の考えをきちんと説明できなかったという部分もありました」

山中君は学卒での就職を断念し、修士課程に進学。就職活動へのリベンジを開始した。同時に自分の課題である「面接力」を磨くため、友人の紹介である就職セミナーに参加。そこで知り合ったキャリア?コンサルタントが、株式会社ASキャリア取締役の浅田実果氏(写真左)だった。


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