Fate/garo 第0話 御伽

May 21 [Mon], 2012, 13:28
光の中から一人の黄金の騎士が現れました。
黄金の騎士はまるでオオカミのようなうなり声を上げると黒い影の一群の中に突進していきました。
黄金の騎士の剣がキラリと光ったかと思うと黒い影はまるで木の葉のように吹き飛んでいきました。
ズドン大きな音をたててホラーの王はたおれました。
黄金騎士が、闇の光を王からとりもどせたのです。
これで、人間はもうホラーにおそわれることはありません。
黄金騎士の戦いは終わったのです。
そして、ボロボロになった黄金の騎士を待っていたものは。
男は暗闇の中で小高い丘の上に立っていた。
黒く日焼けした精悍な顔立ち、その鋭い眼光が見つめる先には広い庭のある荘厳な屋敷が建っている。
それを確認すると男は屋敷に向かって森を一気に駆け抜けていく。
その姿は夜の帳と生い茂る草木によって瞬く間に消えていくものかと思われたがそうはならない。
なぜなら男は汚れ一つ無い真っ白なロングコートを羽織っていたからだ。
そのおかげで彼が走っている間、森から屋敷の庭に至るまでまるで一筋の道のごとく白い軌跡が描かれることとなった。
そう時間も掛かることなく庭へと潜入した男は屋敷に向かって歩き出す。
その時だ。
男は瞬間的に足を止め後方へと下がる。
それと同時に男が歩を進めるはずだった場所に豪華な装飾が施された槍が突き立った。
ほぅ虫けら風情がなかなかにやるではないか声のした方へ男は顔を向ける。
そこには顔こそ見えなかったが輝く黄金色の鎧を纏い傲慢な態度を取る一人の人間が立っていた。
誰の許しを得て面を上げるそんな言葉が聞こえたかと思うと男の視線の先は月明かりに照らされた水面のように空間が波打ち輝き出す。
そしてこんこんと湧き出すかのように現れる美と力を兼ね備えた無数の武器達が黄金に輝く人間の周りを囲む。
幻想的な光景に見蕩れる暇は男に与えられることは無く、空を埋め尽くす剣や矛の数々はその矛先を男の方へと向けて放たれた。
男が槍の攻撃を受けてからここまでの間はほんの数瞬、これで男の串刺し死体が出来上がり決着かと思われた。
命じられるままに襲い来る凶器の雨。
だがそれに対する男の行動は驚くべきものだった。
避ける。
行なったことはそれだけ。
一投を十分な距離を取って避けたかと思えば次の攻撃を紙一重で躱し、そのまま隙間ない刃の群を自らの動きを殺すことなく受け流したかと思えば予想だにしないような攻撃を大窒跳んで自身から外す。
演舞のような美しさすら感じさせる動きは時にその連続的な流れを大きく断ち切るかのように荒っぽく躍動することもあったがそこに無駄は無い。
その全てが相手の攻撃を避けるという結果に帰結している。
さらにこの男、視線は飛び交う武器の軌道を全く見ていない。
暗闇と攻撃による土煙の中で目視すること自体が容易ではないのだが、これには相当の度胸がいる。
なにせ自分を殺そうとするものの動き、目で追うなというほうが難しい。
それが触れるだけで致命傷は免れないなら尚更だ。
つまり男は己の勘と経験則だけを絶対として回避しているということになる。
これは最早達人の域だ。
しかし黄金の甲冑を纏う者の強さも常軌を逸していた。
所有者を飾り立てるかのように出現し続ける武具はその勢いを衰えさせるどころか男を追い詰める為になお一層その数を増やしていく。
これは最早、攻撃というより形を持った暴力と言っていいだろう。
そしてついに増え続ける刃の一つが男の動きを完全に捉えた。
如何なる動作をもってしても回避することは不可能。
命運も尽きたかと思われたその時、男は咄嗟にコートから得物を取り出す。
それはひと振りの剣。
華美な装飾も無ければ鍔も無い、柄から鞘の部分まで全て紅一色の剣だった。
男はそれを鞘から抜くことなく、その腹を使い捻るように身を躱しながら最低限の接触で相手の刃の軌道を変えた。
剣は獲物を捉えること無く地面へと突き刺さる。
体勢を立て直すと男はそのまま目の前に突き立つ剣を足場とし上空へと跳ねた。
助走も無しに一〇メートル近い跳躍、目指す先は屋敷の上に立つ黄金の戦士。
依然、楠木友里激しい攻撃は続くがそれを体捌きと手に持つ剣のみで躱し続ける。
相手を捉えられる距離まで迫ることに成功する男。
迎え撃つ黄金の強者。
二人の間はほぼ零となった男はしゃがむような体勢で剣を地面と垂直になるように顔の前へと出している。
柄に手を掛けているがやはりその刃を抜いてはいない。
対する相手は腕を組み、見下す形で男を見ている。
攻める手こそ止まっているものの、周りに侍らせている武器は全て完全に男を捉えていた。
男は俯いたまま一度息を大きく吐くと手に持つ剣を地へと置きその場に膝を付いた。
お前の勝ちだ殺せ初めて男が言葉を発する。
それは己が処刑の催促だった。
虫けらが、なんの真似だ黄金の戦士は男に声を掛けた。
その声は先程の人を舐めるような飄々としたものから不満や怒気を含んだものに変わっている。
男は質問に答える気はなく姿勢も変えず無言のままだ。
痴れ者が輝く武器に殺気が篭もり力による弾圧は再開される。
男に回避する気配は無く、そのまま凶弾の波に呑まれた。
一夜のほんの一時に行われた激しい攻防戦。
その結末は侵入者の死によって呆気なく幕を閉じた。
こちらを監視していた気配は四つ。
それで間違いない一昨日、最後のサーヴァントキャスターの現界を確認した。
此度の聖杯戦争のサーヴァントは全て揃っている筈だが一人足りないかとある教会、月明かりのなか会話をする三人の男がいた。
枢モフ姿をした成人男性と老人。
そして最初に話したのはつい数時間前に倒れたはずの白いロングコートの男だ。
できれば、全てのマスターに見せておきたかったところだが仕方がない、どちらにせよ大半のマスターを欺くことには成功した若い方の枢モェ呟く。
俺はあのまま死んでも構わなかったのだが男は枢ヲBを見ず悲しげな表情で言葉を吐く。
今はまだその時ではない。
こちらはお前を生かすために令呪を一つ使ってしまったのだ。
その能力、有効に利用させてもらうぞアサシン、いや冴島大河
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