ルーベンス ロンドン・ナショナル・ギャラリー

February 26 [Sat], 2011, 0:32
wannkoさんの「女神ケレス」見ました。いやー、画像の載せ方うまくなりましたよ。ルーベンスが本当に良く見える。しかしながら、aleiさんの「日本画のようなルーベンス」は、あんな作品を知っていること自体に驚きました。

sai さんのリヒテンシュタイン美術館には驚いた。リヒテンシュタイン美術館のルーベンスの大目玉は鏡のヴィーナスではなく、連作「ローマの執政官デキウス・ムスの死と勝利」ですよ。

記事 ルーベンス リヒテンシュタイン美術館 ローマの執政官デキウス・ムスの死と勝利

それで、わたくしめも真似をしてロンドン・ナショナル・ギャラリーで決めようかと。二枚の「パリスの審判」はこちらの記事から。

記事 パリスの審判 三女神黄金の林檎を争うこと




High Altarpiece, St Bavo, Ghent 1611-12
Kings Clothar and Dagobert dispute with a Herald
Saint Bavo is received by Saints Amand and Floribert
Three Female Witnesses

なんとオイルスケッチの祭壇画「ゲントの聖バーフ大聖堂」(1611−12)の作品。「聖バーフの修道院入門」(聖バーフの修道院入り)とも言われているのが、聖バーフ大聖堂にあります。


聖バーフの修道院入門 聖バーフ大聖堂
ヘントの司教アントワーヌ・トリーストがルーベンスに依頼したそうです。そのオイルスケッチがロンドン・ナショナル・ギャラリーの祭壇画になるわけです。あのファン・エイク兄弟が描いた「神秘の子羊」があるところです。

中央は聖バーフがサン・ピエトロ教会の階段を上がっているところで、アマンドとフロリベルト修道院長、ヴェネディクト修道女たちがいます。

バーフ(Bavo)はジ・バヴォのことで、もともと大商人か大地主だったそうで、金儲け主義でしたが、バヴォの妻が亡くなると、これまでの生き方を反省し、貧しい人々には財産を、そして聖アマンドにはこのゲントの土地を寄付したそうです。こうして彼は隠修士として生き、633年に亡くなります。死後900年目(12世紀)にして聖人となったわけです。

三枚の作品の左翼が「三人の女性の証人」、右翼は「フランス王クロタールと息子ダゴベルト、ヘラルドとの紛争」を描いています。




Minerva protects Pax from Mars ('Peace and War')
「マルスからパークス(パクス)を守るミネルヴァ (戦争と平和)」は、スペインのフェリペ4世の使節として英国とスペインの平和を主題にしたもので、イギリス王チャールズ1世に献呈された作品。「マルスを退けて平和を守るミネルヴァ」ともいいます。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーではタイトルにパークス、パクス(Pax)としているところをみると神話に登場する平和と秩序の女神で、復讐の女神アレクトがマルスとともに戦争の象徴として描かれているとあります。左には酒神の女司祭、バカントたち。


この中央にいるのが穀物の女神ケレス?と思ったら、これこそ画面真中の中心人物は平和と秩序の擬人像、女神パクス。そしてサテュロスとおもいきや酒と豊穣の神バッコス(ディオニュソス)だという。女神パクスは乳を幼子の口元へと注いでいる姿。この幼子は富裕の神のプルートらしいですよ。

後ろに鎧に身を包んだ知恵の女神ミネルヴァ(アテナ)。天使はメリクリウスの2匹の蛇が巻き付いた杖カドゥケウスを持っています。あるいはメリクリウス自身かもしれません。時々メリクリウスは少年のように描かれるからです。

来る者は口を慎まんことを 我は実りと畑を清めている
古の父祖より伝えられし儀式がかくあるが如く
バッコスよ、来れ そして汝の角より甘き葡萄が下がらんことを
ケレスよ、穂にて額を結びたまえ
聖なる日には大地は休まんことを 農夫は休まんことを
そして鋤を下げて 重労働を休まんことを


バッコス(バッカス)だといわれていますが、なぜサテュロスのように半人半獣に描かれているのかが不思議。女神ケレスはサテュロスの牧神パンと描かれていることもあります。そしてバッコスの馬車をひく豹が描かれています。つまり、バッコスではなくサテュロス。バッコスの側近として豹と共に描かれているのが自然な鑑賞だと思いますがね。

僕はこれをサテュロスとして、女神ケレスの象徴でもある豊饒の角コルヌコピアをもっている姿だと思います。このサテュロスによって、酒神バッコスと穀物の女神ケレスをあらわしているんだと思います。

記事 ルーベンス 女神ケレス

ルーベンス(Rubens)&フランス・スナイデルス(Frans Snyders)の「女神ケレス」を描いた二作品は上記からどうぞ。


この消えかかった女神がマルス側の復讐の女神アレクトなんでしょうか。最初、僕はこの作品のタイトルにある平和と秩序の女神パクス(パークス)だと思ったんですね。それでミネルヴァが彼女を守るために、マルスを遠ざけようとしているのではと。こちらは復讐の女神アレクトです。そして軍神マルス。


この松明を持つ少年は婚姻の神ヒュメーン(ヒュメナイオス)。そして英国の子供たちを描いています。これは子孫繁栄をあらわして、英国の繁栄を描いたものではないでしょうか。オリーヴの輪をもつプットー。

「知恵がマルスを追い払うとき、平和は豊饒とともに祝う」という箴言からルーベンスは作品を描いていったそうです。




The Brazen Serpent 1635-40
「青銅の蛇」はモーセの「民数記」21章4-9に登場します。モーセは青銅で蛇を作り旗ざおの先に掲げたのは、不平の民たちに「燃える蛇」を送り多くの民が死にます。民たちはモーセに詫び、 モーセは一つの青銅の蛇を作り、蛇が人をかんでも、その者が青銅の蛇を仰ぎみると、生きたという話からです。

中央の女性はエレーヌ・フールマンをモデルにしたとあります。蛇が巻き付いてる女性でしょうか。毛皮さんのエレーヌ・フールマンはウィーン美術史美術館です。




The Rape of the Sabine Women
トロイのヘレーネの略奪なんかの主題は有名ですが、この「サビネの略奪」も神話からで、ローマ人がサビーニ族の女性を略奪している場面です。

ルーベンスの「レウキッポスの娘たちの略奪」はアルテ・ピナコテークです。




Samson and Delilah
「サムソンとデリラ」です。聖書からの主題ですが、土師サムソンはイスラエルを裁いていた怪力の持ち主。ご存知のようにレンブラントは「目を潰されるサムソン」を描いています。

これは愛するデリラがサムソンを騙し、力の秘密を4度目にして聞きだしたところ。サムソンはデリラの膝で眠っています。そこに秘密を聞き出したデリラは、ペリシテ人たちと、力の秘密の髪を切っているところです。レンブラントはこのあと、力が無くなったサムソンの目をつぶすペリシテ人を描いてます。




A Roman Triumph 1630
アンドレア・マンテーニャ(Andrea Mantegna)の「シーザーの勝利」が起因になっているルーベンスの「ローマの勝利」です。ジュリアス・シーザー(ガイウス・ユリウス・シーザー)の勝利までの連作を、ルーベンスは1枚の作品としたわけです。

ルーベンスも大作の連作があります。プラド美術館や、先のデキウス・ムスの死と勝利に、なんといってもマリー・ド・メディシスの生涯があります。



左がアンドレア・マンテーニャ(Andrea Mantegna)の「ローマの勝利:象」です。右がルーベンスの「ローマの勝利」の部分になります。




The Miraculous Draught of Fishes 1618-19
ルーベンスの「奇跡の漁り」ですが、メヘレンのデイル河畔の聖母聖堂に所蔵されている三連画「奇跡の漁りの中央パネルのオイルスケッチだと思われます。

キリストの主題はとっても多くルーベンスは描いてますね。びっくりするくらいに。


Mechelen, Church of Our Lady across the river Dijle
メヘレンの祭壇画「奇跡の漁り」 (C)wiki

リヒテンシュタイン美術館には、「聖母被昇天」、「聖パウロの変容」、「キリストの復活」、「キリスト哀悼」、「アッシジの聖フランチェスコと十字架のキリスト」、「キリストの割礼」、ウィーン美術史美術館には、「受胎告知」。この「受胎告知」の大天使ミカエルは、巨匠たちが描いた同じ主題の作品の中で一番の男前です。

アルテ・ピナコテークには「ベツレヘムの嬰児虐殺」、「キリストの埋葬」、「地獄堕ち」、「最後の審判」があります。そしてアントワープ王立美術館には「三位一体」、「聖母の教育」、「キリストとアビラの聖テレサ」、「鸚鵡と聖家族」、「キリストの磔刑」、「マギの礼拝(東方三博士の礼拝)」、「三連画 キリスト哀悼」、「三連画 トマスの懐疑」、「キリスト磔刑」、そして「キリストの洗礼」です。

そしてアントワープ・ノートルダム大聖堂には、「三連画 キリストの復活」、フランダースの犬でおなじみの「祭壇画 キリスト降下」、「祭壇画 十字架昇架」と「聖母被昇天」です。リンク先の記事からは、この三つの三連画(祭壇画)の右翼・左翼も掲載され、さらに解説つき。ボルゲーゼ美術館の「キリスト哀悼」に描かれたマグダラのマリア、とってもかわいいですぞ!




Portrait of Susanna Lunden(?) ('Le Chapeau de Paille')
「シュザンヌ・フールマンの肖像?(麦藁帽子)」は、再婚相手のエレーヌのお姉さん。ロンドン・ナショナル・ギャラリーでは(?)になっています。

肖像画といえば、ダイアナ妃の出身スペンサー家の競売で、ルーベンスの贋作、真作でもめている「司令官の肖像画(武装する司令官の肖像画)」がありました。リンク先の記事にもありましたが、まだ決着はついていないのでしょうか。でもとってもルーベンスな作品。
  • URL:http://yaplog.jp/bauhaus_cat/archive/18
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たいして記事は書いていないので楽チンですが。どうぞよろしく。
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