二代目ロビン、ジェイソン・トッドの死

2008年10月08日(水) 20時10分
「a Death in the family」



ネタバレ注意。あらすじです。











二代目ロビン、ジェイソン・トッドの死については、あまりにも有名なため、あらゆるサイトに詳細が書かれています。

彼の死によってその後のバットマンの物語全体が大きく左右されたことは、以降どのシリーズを読んでも、そこかしこにその影響が回想されることでわかります。


が、いざ本当にその本を手に取ると。


こんなに薄くて、軽い、たった一冊の本。

たったこれだけが、ジェイソンがロビンとして描かれた、現実であり。
たったそれだけの間、バットマンと共に過ごした。

彼の短かすぎる人生そのものを表しているようで、しばらく、読む勇気がありませんでした。



ジェイソンはがっしりして背が高く、生足でもディックのように可愛いくありません(笑)。
父は軽犯罪を犯して収監されたのち失踪。母は病死。
タイヤを盗んで生活していた少年は、なんとバットモービルのタイヤを盗もうとしてバットマンに見つかります。

バットマンはジェイソンの生い立ちを不憫に思い、彼を自宅に住まわせます。

ディックをパートナーとして失ったばかりのブルースは、覚えの早い彼をトレーニングしていると、ディックが帰ってきたようで嬉しかったのだと独白します。
しかし、ジェイソンはディックほど自制心のある子供ではありませんでした。


ゴロツキだったジェイソンの父親は、実はトゥーフェイスに殺されていましたが、バットマンはそれを隠していました。知ればジェイソンが逆上するかと思っていたのです。

ジェイソンは復讐を考えますが、いざトゥーフェイスを前にすると、彼を殴ることもなくあとを法に任せました。

バットマンは、それをジェイソンの成長だと思って満足しましたが、それは大きな勘違いでした。
それから、ジェイソンは心を閉ざしてしまうのです。

ジェイソンは無謀な戦い方をし、平気で銃の前に出るようになってバットマンを困らせました。
「人生はいつもゲームさ」
と言う言葉さえ、本心ではなかったのだと、バットマンは気付いてやれませんでした。



病死した彼の母は実の母ではなく、産みの母が居ることをつきとめた時も、ジェイソンはブルースに黙って中近東とアフリカに居る三人の母親候補を探す旅に出ました。

ブルースはバットマンとしてジョーカーを追っており、二人はイスラエルで同じものを追って出会います。

ジェイソンの母親は医者でした。それ故、ジェイソンの父に捨てられてからも一人で生きてこれたのですが、ジョーカーに脅されて違法の薬を作らされていました。

ジェイソンは母親をジョーカーの魔手から救おうと、自分がロビンであることを明かしますが、母親はジョーカーの側についてしまい、彼が尖った鉄片でジェイソンをめった打ちにするのを黙って見ていました。

が、当然バットマンと繋がりがある女をジョーカーが生かしておくわけがなく。
母親は縛られ、小屋に爆弾を仕掛けられます。


瀕死のジェイソンは力を振り絞り、母親の縄を解きます。母さんだけでも逃げて、と。

育てたわけでもないはずの子供。
見殺しにしようとした子供。
それなのに…、

「あの子は…、私が思っていたよりも、ずっと、ずっと良い子に育ってくれた…

ジェイソンを連れて逃げようとしたけれど、ジョーカーはドアに鍵をかけていたの。それで…あの子は…

私の前に…私を庇って…爆弾の前に体を投げ出して…」

バットマンが焼け跡で彼女を見つけた時、彼女は既に虫の息でした。

「あんないい子…もっと、本当に…母親に愛されなければいけないわ…
彼の…彼の母親に…」

それが、ジェイソンの実の母の最期の言葉でした。


バットマンは焼け跡をさまよいながら、ジェイソンと出会った時のことを思い出していました。
有名なバットモービルのタイヤのエピソードは、そこで初めて語られるのです。



ただ、焼け跡をさまようバットマン。
あまりにも長く、あまりにも悲しい探索。
この時、アメリカではジェイソンの生死が、読者の電話投票で決められていました。
その内訳は、「死」 5,343票、「生」 5,271票。
たった72票という僅差で、ジェイソンは「死」の票が、勝ったのです。




バットマンが彼の体を見つけた時、すでに脈はなく、冷たく、息をしていませんでした。



バットマンにはロビンが必要だった。
でも、ディックは一人しか居ない。
だから、ディックを危険から遠ざけるために、ロビンから降ろしました。
そしてバットマンは二人目のロビンを見つけたのですが、それは大きな間違いでした。


ジェイソンも、一人しか居なかったのです。


ジェイソンの葬儀は、とてもひっそりと行われました。

アルフレッドはブルースに、ディックに連絡をとるかと聞きますが、ブルースは知らせなくて良い、と止めます。
出ていった彼が、帰ってきたかのように思ったブルースは。同じ衣装を着た少年が傍に居れば、彼と同じように心が通っているものだと勘違いしていました。
ジェイソンとブルースが過ごした時間は、ディックとブルースの絆を育てたほどには、長くはなかったのに・・・。

誰も新しいロビンが生まれたことに気付かず、そしてジェイソンという少年が居たことを知らないまま、全ては終わってしまいました。


だが、
奴だけは知っている。

ジョーカー。
奴は、ジェイソンを殺した。
バーバラを半身不随にしただけでは飽き足らず・・・!!


暴走しそうになるバットマンを止めたのは、スーパーマンです。
人間であるバットマンは、スーパーマンを殴っても、彼の拳のほうがイカレてしまいます。

そんなバットマンをスーパーマンは悲しそうに見つめ、ジョーカーの乗ったヘリが爆発した時も、彼はバットマンを助けはしてもジョーカーを探すのには協力してはくれませんでした。

ただ、黙って、復讐心にかられ自暴自棄になるバットマンを、海から助け上げただけでした。




たった一冊の本です。
1940年から1984年まで、ロビンとして様々な本に登場してきたのは、全てディック。
そして、近年はティム。そろそろ、彼も出てきて20年になるというのに、
ジェイソンのロビンとしての人生は、たったの5年あまり。

しかし、この、短いジェイソンの人生が
バットマンの半生を変え、ディックの生き方を変え、ティムを生んだ。

その力に、目を見張らずには居られない。
絵柄も古く、文字が多くて読みにくい、画面も洗練されていない古いコミックで、ドラマは淡々と描かれています。

だけど、泣いた。



ジェイソンは「レッド・フード」というヴィランとなって更に哀しい復活を遂げるのですが、その詳細はまた後日。
本日は、ジェイソン・トッドに黙祷を捧げようと思います…。
  • URL:http://yaplog.jp/batman-robin/archive/30