August 06 [Mon], 2007, 1:00
−お知らせ−
大好評連載中でございました、連続ブログ小説「吸えない・・・」
ですが、作者の都合により休載とさせて頂きます。
作者本人は最後まで書き続けたいと、志願しておりましたが、
周りの取り巻く環境がそうさせてくれない、との事らしいので、
作者が続けられる環境が整うまで、しばらくお待ち下さい。
「吸えない・・・」は必ず帰って来ます。
作者自身がそれを一番望んでおります。
大変申し訳ございません。
編集部より
May 31 [Thu], 2007, 11:00
光一の彼女の美紀の発言に俺は凍り付いていた。
そして、しばらく沈黙が続いた。
「美紀ちゃん、さっきのどういう事?」
俺はしびれを切らして聞いてしまった。
「あの・・・ご家族に何かありませんでしたか?」
少し青ざめた顔で、美紀が俺に聞いてきた。
「え!どうして!?なんで!?」
こればっかりは慌てた。そして驚いた。
母が倒れた事だけは、言っていなかったのだ。
母の事を全て話し終えた頃、光一が強張った表情でこう言った。
「こいつな、なんか変な能力があるみたいなんだ。」
俺はまだ呆然としていた。
「あなたにも、そしてご家族・・いや、まわりにいる人達にも危険があるんです。」
俺が何かしらの欲求を満たそうとした時、例えば、タバコを求める行為が、
人を危めてしまう危険があるらしいのだ。
美紀には、それを見極める能力があるらしい。
「ちょ、ちょっと待てよ!俺が何か悪いことしてるって言うのか!」
大人気なく美紀につっかかってしまった。
「おい!落ち着けよ雄二!」
「そんなの信じられるかよ!なんなんだよこの娘はよ!」
冷静でいられない俺は、思わず本音が出てしまった。
「雄二さん!聞いてください!現にお母さんが・・」
「もういい!帰れ!光一お前も帰れよ!!」
「今日ここに連れて来てほしいと言ったのは美紀なんだよ・・」
「うるせえっ!!帰れって!」
光一と美紀は、黙って帰って行った。
飲み込めない現実に、俺は焦っていたのかもしれない。
そして、受け止めたくはなかった。
俺は、眠っていたらしい。
時計を見ると、夜の十時を少し回っていた。
一階に下りると、父は仕事に出かけたあとだった。
テーブルを見ると、晩御飯が作ってあった。
いつものチャーハンである。
それを、ありがたく頂いた。
食べ終えると、無性にタバコが吸いたくなった。
そして、美紀の言葉を思い出した。
あれは、本当の事だろうか?いや、絶対にウソだ!
でも、母の事もある・・・自分にも危険が・・・
そういえば、自分もひどい目にあっている・・・
そんな自問自答を繰り返しながら、俺は無意識に外に出ている。
体はタバコを求めているらしい。
あの時、ちゃんと美紀の言葉を受け止めていれば・・・
そう思う時が来るのはもうちょっと後になってからである。
二日目、つづく。
May 23 [Wed], 2007, 14:00
光一との約束まで、少し時間がある。
すぐにでもタバコを買いに行きたかったが、外に出るのが恐くなっていた。
なんだろうこの不安感は・・・
これまでの出来事ははたして偶然なのだろうか?
母の事も、もしかして・・・
「それって神のお告げじゃね?」
この言葉がまた頭をよぎる。
自分がタバコを求めるがあまり、どこかになんらかの不幸が起きる・・
そんな矢先、携帯電話が鳴った。
光一からである。
時間が空いたから今から来るとの事だ。
今の自分には、いいタイミングである。
光一は自分の車で来た。
何やら俺に紹介したい相手がいるらしい。
俺の部屋まであがってもらった。
「はじめまして、美紀・・・大野美紀と申します。」
突然の事でかなりビックリした。
光一に彼女ができたらしい。
どうやら、早く俺に紹介したかったらしい。
「あ、どうも木村雄二です。」
簡単に自己紹介をしたが、俺の事は光一からよく聞いていたらしく、
「こうちゃんの同級生なんですよね。」
こ、こうちゃん?
一瞬、吹き出しそうになったが、光一が顔を赤らめているのを見て我慢した。
光一にかわいい恋人ができた。
なぜが自分の事のようにうれしい。
そして、友達を取られた感じでなんだかくやしい。
変な葛藤をしている俺に光一が言った。
「お前、タバコ止めたの?下にも『禁煙』ってあったし。」
「いや、あれは親父がな・・俺は止めてないよ!」
スッと光一の前に灰皿を出した。
「実は俺な、タバコ止めたんだ。」
どうやら彼女がタバコが嫌いらしいのだ。
光一は俺と同じくらいヘビースモーカーだったはず・・
それを彼女が出来たくらいで!!
そう言いたかったが、彼女の微笑みを見て何も言えなかった。
「そうだ光一、ちょっと聞いてくれよ・・・」
今までの事を全部話した。
「それ本当か!?偶然だろそんなの。」
「だって今も、お前からタバコもらおうと思ってたのにさ・・」
ちょっと間を置いて、彼女が口をひらいた。
「それって偶然じゃないと思います・・・」
え?え?どういう事?なんか恐いんですけど!
俺と光一は顔を見合わせた。
二日目、つづく。
May 10 [Thu], 2007, 15:00
びしょ濡れで家へ戻った俺に、父は少しイライラした様子で、
「どうしたんだ?早く着替えて病院行くぞ。」
びしょ濡れになった理由も聞かず、せかすようにそう言った。
自分の部屋で着替えながら、ビショビショの一本も吸っていないタバコと、
濡れて点かなくなったライターをゴミ箱に投げ捨てた。
これでタバコもライターも手元に無い。
こういう時に限って、吸いたい気持ちがさらに強くなる。
父が下で、クラクションを鳴らし催促する。
俺だってムシャクシャしてるのに。
病院に着いて、母の病室を訪れた。
母は少しずつ元気になってきているようで、家の事ばかり心配していた。
「雄二が協力してくれてるから助かってるよ。」
普段はそんな事ひとことも俺には言わない父が照れくさそうに言った。
母に心配させたくないのだろう。
「お父さん、禁煙は続いてる?」
母が父に言ったひとことで、俺は無性にタバコが吸いたくなった。
トイレに行くふりをして、売店へ向かった。
やはり、病院の売店にはタバコなんて売っていない・・・
とりあえず、缶コーヒーを買った。
缶コーヒーを飲み終えた頃、父がやってきた。
「母さんそろそろ夕食だそうだから帰ろう。」
父も二人きりだと何を話していいのかわからないらしい。
軽く頷き、車で家へと向かった。
父には、俺がタバコを吸えていない事は黙っていた。
なぜなら、「そのまま禁煙しろ」と言われそうだからだ。
俺はなぜだか父に頭が上がらない。
小さい頃からである。
父にお願いして車を止めてもらい、タバコを買うという行為をためらっていた。
途中何度も通り過ぎる、タバコの自動販売機を横目に見ながら、
どうやってタバコを吸おうか、そればかり考えていた。
「雄二、夕飯どうする?何を食べたい?」
父が言った言葉で、夜に約束がある事に気づいた。
「俺はいらないや。帰ったら出かけるから。」
今日は、親友の光一と遊ぶ約束をしていた。
「父さん、今日も夜勤だからな。明日も家事やってくな。」
一瞬、母を恨んだ俺は親不孝だろうか?
「わかってるって・・」
少しふてくされながら答えた。
家に着き、俺を下ろして父は買い物に出かけた。
俺は、自分の部屋のソファーに腰を下ろし作戦をたてた。
どうやってタバコとライターを手に入れ、どうやって吸おうか。
隠れてタバコを吸っている中学生みたいな作戦である。
しかし、こんな簡単な事ができないなんて・・・
ああ、とにかくタバコが吸いたい・・・
二日目、つづく。
May 02 [Wed], 2007, 14:00
母が買い物やパートに出る時に使っている自転車でコンビニへ向かう。
コンビニに到着し、自転車を放り捨てるように中へ入った。
「ライター、ライターは・・」
ブツブツとつぶやく声が店員に聞かれようがお構いなしである。
100円ライターを手に取り、レジに向かった。
「おう、木村じゃねぇか。」
店員は高校時代の友人であった。
「よ、よう・・・」
久しぶりの再会は少し照れくさい。
「お前、何ブツブツ言ってたんだ?気持ち悪かったぞ。」
冗談まじりに言ったのだろうが、カチンときていた。
話す事もないので、昨日から全然タバコを吸っていない事を話した。
「それって神のお告げじゃね?」
「ん?どう言う事?」
意味がわからず即座に聞き返した。
「お前はタバコを止めなさい!っていうお告げだよ。」
「何かの宗教にでも入っているのか?」
と言いたかったが、洒落にならなそうなので止めた。
ライターだけ買って、店を後にした。
この辺の路上は全面禁煙なので、近くの公園へと向かった。
愕然とした・・・
公園内も全面禁煙であった。
当然と言えば当然なのかもしれない。
路上がダメなら、公園は良いだろうというのも間違ってる。
いや!間違ってない!喫煙スペースくらいあってもいいだろうに!
昨日から怒ってばっかりだ。
そんな矢先、俺の携帯電話が鳴った。
父からであった。
「そろそろ、母さんの所に行くぞ。」
病院へ行く時間が来ていた。
また自転車にまたがり、家へと向かった。
家に着いたら、お願いしてでも一服させてもらおうと決意していた。
それくらい、吸いたさが限界にきている。
もう少しで家に着こうとしていた時である。
目の前が急に見えなくなってしまい、急ブレーキをかけた。
気づいたら、全身ビショビショである。
「あ、あ、ごめんなさい!ごめんなさい!」
ホースをもった、おじさんが慌てて謝ってきた。
道路に水を撒いていたらしい。
「あのなぁ、おっさん・・・」
俺は怒る気力もなく、呆れてしまっていた。
おじさんが持ってきたタオルで身体を拭いている時に気付いた。
胸のポケットに入れておいたタバコがビショ濡れになっていた。
「それって神のお告げじゃね?」
友人の言葉が頭をよぎる。
これはもう偶然なんかじゃない!
俺は少し怖くなってきていた。
二日目、つづく。
May 01 [Tue], 2007, 11:00
−強制禁煙2日目−
休日は決まって昼過ぎまで寝ているのだが、今日は早くに目が覚めた。
昨日のあわただしさもあったのか、かなりグッスリ眠れた。
俺は昨日から一本しかタバコを吸っていない。
吸いたいのだが、吸えないのである。
俺は、目覚めの一服をしようとタバコを一本取り出した。
そうだ、昨日リビングにライターを置いてきたままであった。
とにかく、一階へとかけ降りた。
父はタクシーの運転手だ。
昨日は俺を家に送り、そのまま夜勤へ向かっていた。
俺がライターを必死で探している時に、父が帰って来た。
「親父、俺のライター知らない?」
「疲れて帰って来ていきなりそれか?そんなの知らんよ・・」
父はあきれ顔でそう言った。
どうしてもタバコが吸いたい俺は、ライターを買いに外に出ようとした。
「雄二、俺は少し寝るな。」
「じゃあ俺は、何か食い物買ってくるよ。」
ライターを買いに行くついでである。
「それなら俺が買ってきたよ。」
コンビニのビニール袋を手渡された。
パンやらおにぎりやらが、たくさん入っている。
「雄二は掃除と洗濯をしてくれないか?」
母が居ないうちは、家事を協力しようと昨日の帰りに話てはいた。
俺はその事を思い出して、しかたなく頷いた。
洗濯機を回しながら、昨日の事を考えていた。
母が倒れた事ではなく、タバコが吸えない事である。
どうして吸いたいのに吸えないのか?
幾つもの偶然の重なりで吸えない事が、今になって不思議に感じていた。
こうしている間にでも一服したいのに・・・
今も吸えない・・・これは偶然じゃないぞ。
掃除機をかけながらも、どこにライターがあるのか探している。
というか、『火』を探している。
ライターでもマッチでもなんでもいい。『火』はないか!
頭の中はそればっかりである。
かなり手間取りながら洗濯と掃除を終えたのが、午後一時を回ったころ。
ドカッとソファーに座り、父が買ってきたパンを食べた。
すぐにでも、ライターを買いに外に出たかったが、疲れてしまっていた。
食べ終わって、沸かしたコーヒーを飲み、タバコの事を思い出した。
「吸いたい・・・」
声に出して言ってしまった。
財布と携帯電話とまだ一本も吸っていないタバコを持って外に出た。
二日目、つづく。
April 26 [Thu], 2007, 14:00
二階の自分部屋に入り、ビールを一気に飲みほし、タバコを咥えた。
あれ?またもやライターが見当たらない。
「さっき、親父の前で吸おうとして置いて来たか・・」
とりあえず、部屋着に着替えて一階へ下りた。
「母さん、その辺にライターなかった?・・・母さん!」
母が苦しそうに床に倒れているではないか。
「母さん!母さん大丈夫!?」
その声を聞いてか、父が裸のままリビングに来た。
父は風呂に入っていたようだ。
「どうした雄二!?」
父の声が震えていた。
「きゅ、救急車!」
父が慌てて電話をとった。
五分くらいで、救急車は到着した。
「雄二も一緒に乗っていけ!俺も後で行く!」
父はビショビショの頭をタオルで拭きながら言った。
一緒に救急車に乗って病院へと向かう。
「母は、母は大丈夫でしょうか!?」
救急隊員へと問いかけた。
「意識もあるから大丈夫でしょう。多分、軽い脳梗塞でしょうね。」
落ち着いた感じで答えた。
「母さん、大丈夫だって。もうちょっとで病院だからね!」
病院に到着し、母はすぐに手術室に入った。
手術室の前で待っていると、父が走ってやって来た。
「母さんどうした!?」
「軽い脳梗塞だろうって。いま手術室に入ってる。」
俺は少し落ち着いてきていた。
この待っている間に一服したいな・・そう脳裏をかすめた。
こんな時に不謹慎だなとも思いながら葛藤していると、手術室のランプが
消えて、先生が出てきた。
「ご家族の方ですか?」
俺達は大きく頷いた。
「大丈夫ですよ。本当に軽い脳梗塞で良かったですよ。」
先生の説明で、俺はさらに安心した。
「雄二、俺は入院の準備をしてくるから、母さんについていてくれ。」
父はまだ少し慌てている。
俺は頷き、父は家へと向かった。
病室で眠る母の横で座って考えていた。
「母さんも苦労してたんだな・・」
ボソッと言った言葉に、母が反応した。
「何言ってるの雄二・・」
母がか細い声で言った。
「母さん!もう大丈夫なの!?」
痛みは少し残っているらしいが、もう大丈夫そうだ。
父が走って病室に入ってきた。
父も母の表情を見て安心している。
「じゃあまた明日くるね。」
そういい残して、病院を後にした。
父が運転する車で家へと向かう。
俺はタバコを吸いたかったが、父にまた言われそうなので我慢していた。
「・・・雄二、母さん大事にしような。」
父が涙声で言った。
俺も少しうるっと来た。
明日は休みなので、父とお見舞いに行く事を決めた。
家に着くと、タバコの事など忘れて、すぐに寝てしまった。
俺も疲れていたのだろう。
二日目へつづく。
April 25 [Wed], 2007, 11:00
会議が終わったのは、定時を一時間も過ぎたところだった。
すぐさま喫煙ルームに向かう。
喫煙ルームの前では、会社の同僚が待っていた。
今日も飲みに行く約束をしていた。
「おう、お待たせ。会議が長引いちゃってさ。」
咥えタバコで喫煙ルームに入ろうとしたが、
「おい、早く行こうや。」
どうしても一服したかったが、三十分も待たせている同僚の顔を立て、
仕方なくタバコをしまい、帰りのしたくをする。
居酒屋に行けば死ぬほど吸えるさ。
そう言い聞かせて、会社を後にした。
いつもの行き着けの居酒屋ではなく、初めて行く居酒屋に到着。
もうひとり来る予定だが、先に店に入っている事にした。
しかし、金曜日の夜なこともあってか店は満員。
禁煙席なら空いているという。
居酒屋に禁煙席なんかあるのか?
疑問に思いつつ、同僚に空くまで待とうと提案した。
「俺は吸わないから、禁煙席でもいいのだけど・・」
そういう奴だ。
自分が良ければそれでいいのだ。
「禁煙席じゃ嫌だ。」というのも俺のワガママだが、ここは譲れない。
「もうひとり来るんだろ?それまで待とうよ。」
少し強い口調で言いくるめた。
そのもうひとりとは、その同僚の友達で俺は面識がない。
今日は同僚が再来月に結婚をするので、結婚式の二次会の打合せを
兼ねている。
十分くらい待ったところで同僚の携帯が鳴った。
今日は都合が悪く来れないとの事らしい。
喫煙席も空かなそうなので、来週にしようと持ちかけた。
同僚もうなずき、店を後にした。
駅の立ち食いソバ屋で夕食を済ませ、コンビニで缶ビールと雑誌を買って、
家へと寂しく帰った。
家では、両親が遅めの夕食をとっていた。
「あら雄二、今日は早いね。ご飯どうする?」
母に要らないと首を振り、缶ビールを開けながら、父に言った。
「親父、また禁煙するんだって?」
そう言いながらも、俺はタバコを咥えた。
「おい雄二!ここで吸うなよ!お前も協力しろ!」
久しぶり怒鳴られた。
母もうなずきながら、俺に二階に行けという目をする。
「また続かないんだろうけどな・・」
そう言い残し、俺は二階へ駆け上がった。
とにかく、とにかくタバコが吸いたい。
一日目、つづく。
April 19 [Thu], 2007, 13:00
駅から急ぎ足で会社に向かう。
大事な会議がある、というのもあるが、どうしてもタバコが吸いたいのである。
会社までの道のりは禁煙地区なのでタバコは吸えない。
いつもよりちょっと早く会社に到着。
すぐにデスクに荷物を置いて、喫煙ルームへ向かった。
もちろん会社内は禁煙である。
喫煙ルームに入る手前に上司に呼び止められた。
「木村くん、もうそろそろ会議始めたいのだが。」
上司の夕方の予定が早まったいらしい。
「ちょっと一服?」
言う暇なくデスクへと戻された。
会議は午前中休みなくずーっと続いた。もちろん禁煙である。
昼のチャイムがきっかけで会議は中断された。
俺は、とにかく急いで喫煙ルームに向かった。
喫煙ルームの入り口のドアになにやら張り紙がある。
『12:00〜13:00まで 清掃中につき使用禁止』
愕然とした。
なにも昼休みに清掃しなくてもいいだろうに。
大きい声で叫びたかった。
そうだ、昼食を買いがてら、近くの公園で吸おう。
コンビニでサンドイッチと缶コーヒーを買って灰皿のある公園に向かう。
やっと一服できる。
タバコを咥え、ライターを探す。
あれ?ない。上着のポケット、ズボンのポケットどこにもない。
デスクの上に置いてきてしまった。
しかたなくコンビニに買いに行った。
公園に小走りで戻りベンチに座ったとたんポツポツと雨が降ってきた。
タバコに火を点けようとした途端・・・一気に土砂降り。
これぞバケツをひっくり返したような雨。
マンガである。
タバコをあきらめ、走って会社に戻った。
結局、一服もできないまま、午後の会議が始まった。
一日目、つづく。
April 10 [Tue], 2007, 14:00
−強制禁煙1日目−
「雄二起きなさい!時間ですよ!」
母が俺を起こす。毎朝の日課だ。
昨日の飲み会でかなり酔っ払ったらしい。
二日酔いで頭が少し痛いが、今日は朝から会社で大事な会議がある。
眠い目をこすり、出かける支度をすませ、タバコに手を伸ばす。
「くそ、空だ。」
俺はヘビースモーカーである。自慢じゃないが一日に二箱は吸う。
クシャっと握ると、一本だけ中にあることに気づいた。
「ラッキー!今日はついてる。」
出掛けの一服を済ませ、一階へ降りていく。
この一本が最後の一本になるなんて、この時は気づいていなっかった。
一階では母がいそいそと朝食の準備をしていた。
「母さん、俺いらねーや。今日は急ぐんだ。」
母はいつものことかと聞いている。
家を出ようとトイレの前を通ると、何やら張り紙が張ってある。
「『禁煙』?また親父か・・」
父は何度も禁煙にチャレンジしてるが一向に成功しない。
「今回は本気みたいだよ。」
母が誇らしげに言った。
どうやら、家にある灰皿やライターは全て捨ててしまったらしい。
本気である。
「母さん、俺の部屋の灰皿は捨てないでよね。」
そう言い残し俺は駅へと急いだ。
駅前の自動販売機でタバコを買おうと財布を見ると一万円札しかない。
しかたなく駅の構内の売店で買おうと駆け上がるとちょうど特急電車が
到着しところだった。
この電車に乗ると余裕で会社に着けるが、タバコを買ってホームで一服し
次の電車に乗ろうと、売店でタバコと缶コーヒーを買った。
ホームの端の喫煙コーナーに行くと灰皿が見当たらない。
張り紙に「健康増進法」がどうとか書いてある。
今日から駅構内も禁煙になったようだ。
不愉快である。
俺は缶コーヒーだけ飲み干して、次の電車に乗った。
一日目、つづく。