子供が生まれて以来生活の中心が女房と子供になってしまい、前ほど好き勝手に遊んでいない俺だが、読んでいるマンガは相変わらず小池一夫ものが多い。小池マンガの魅力と言うのは、「読み始めてすぐに話に引き込まれる」「読んでいると時間がすぐに経つ」という2点によるところが大きく、それゆえに電車通勤とかマンガ喫茶で時間をつぶす時に読むのに最適だ。そもそも俺が子供の頃、親父に連れられて床屋に行くと、どこの床屋にも必ず小池一夫原作の劇画が置いてあった。大抵は「カニバケツ」「高校生無頼控」などの表紙もボロボロになった単行本で、待ち時間に数多くの客を熱中させた跡がはっきりと刻み込まれていた。いかに小池マンガが有意義な時間つぶしとして活用できるかを物語るエピソードであろう・・・1-2時間待つのが当たり前という大学病院の待合室にこそ、まとめて小池一夫マンガを取り揃えるべきではないか。
前置きが長くなったが、小池マンガの話を人にする際、必ず紹介しているのがこの「御用牙」である。内容は簡単に言ってしまうと主に江戸の町を舞台に破天荒な十手者が活躍する、という物語だ。暴力、人情、エロ、そして狂気が激しく絡み合うストーリーは一度読み始めるとなかなか止められない。そういえば、下手人が女性と見るや裸にひんむいて「素直に吐けば極楽で遊ばせてやるぜ」等と言いつつ攻めて攻めて攻めまくり、自分の虜にして操ってしまう主人公の行動パターンは、魔夜峰央の「パタリロ」に出てくるバンコランとマライヒの関係にそのままリンクしてくる。よく見るとこの二人は顔も似ているし、本作の主人公かみそり半蔵こそバンコランの元ネタに間違いないと思うのだがいかがなものか。
何はともあれ小池一夫作品では「実験人形ダミー・オスカー」、「乾いて候」あたりと並んで代表作とすべき逸品。かつて勝新太郎主演で数回映画化されたが、映画を真面目に見ても低予算むき出しの作りでカルトムービーファン以外は興ざめすると思う。やはりマンガはマンガのままが一番面白いようだ。
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