蛍の夕べ 

2005年06月04日(土) 23時33分
蛍が放出する光量はその数センチほどの体躯からすればかなりのもので、周りが暗ければ暗いほどに、その儚い光がよりいっそう強く輝いて見える。

僕が神戸に転勤してから3年目。つまりは1年前の初夏に、僕は知人の車に同乗し蛍を見に行った。今まであまり良い想い出の無かったこの街では、それは間違いなくベスト3に入りそうな「良い想い出、記憶」だった。

それは山奥のとある場所で、すっかり暗くなった田園風景と水のせせらぎを背景に、蛙がゲコゲコと鳴き猛っているようなところだった。そこで僕は10年ぶりくらいに蛍の光がそこかしこに群生している光景を目の当たりにしたのだった。

いつか、好きな人が出来たらまた見に来たい。そう思った。

あれから1年が経って、僕は彼女と出会い恋に落ち、そしてまた蛍を見に行くことにした。ただ、以前に行った場所はぜんぜん覚えてないし、しかも僕はどちらかといえば方向音痴なものだから、雑誌に掲載されていた有馬川流域へと車を走らせることにしたのだった。

天候は、、、あまり良くない。小雨気味だし、これでは蛍が飛んでくれない。
せっかく遠くから彼女が来てくれてるんだから、サービスしてくれよ蛍さん。
僕は冷や汗をかきながら、そう願いつつ蛍のいそうなスポットを歩いた。

「あ!そこにいるよ!飛んでる!!飛んでるよ!!」

そこにはゆらゆらと微かな光の線を描きながら飛んでいく一匹の蛍の姿があった。これだった。僕はこれを見たかった。どうしても見せてあげたかった。無邪気に笑う彼女を見られて、僕はそんな瞬間をとてもいとおしく感じていた。

またいつか、見られるだろうか?
その時はまた、サービスしてくれるかな?
そうだといいな。きっとそうだよ。
2005年06月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
最新記事
最新コメント
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:babiron
読者になる
Yapme!一覧
読者になる