LIBIDO 2 

September 15 [Thu], 2005, 1:37
ウォッカが好きというわけでは無いし、飲んで楽しむのならばワインの方が良い。
しかし、小さな冷蔵庫の中には必ずスピリタスが入っている。
美味いと思って飲んだ事は一度もない。
夢も見ず、朝になるまで意識を失っているために、ただ必要だから飲むだけだ。
ショットグラスに、少しずつスピリタスを注ぐ。
溢れる直前で注ぐのやめると、雫が描く波紋からツンと鼻につくアルコールの臭いがした。
唇をつければ焼けるように熱くて、ほんの少し飲み込めば目眩がする。
唇も、舌も、喉も、ヒリヒリと熱く渇く。
毎日毎日、同じ事をしている。
仕事を終えて帰ると、シャワーを浴び、着替えて、食事もせずにグラスを手に取る。
気が付いたら朝。
夢など、もう長い間見ていない。夜を感じた事もない。
ただ朝が来て始まり、夜が来ると終わる、そういう日々を繰り返す。
それ以外に平穏でいられる術を知らない。

LIBIDO 1 

September 14 [Wed], 2005, 23:18
重い体を引きずって、アバッキオは浴室の扉を開いた。
空の浴槽を一度のぞき込んで、締まりの悪い蛇口に手をかける。
温い湯が音を立てて浴槽に注ぎ込まれ、ごく小さな飛沫がキラキラと宙に舞う。
飛沫を照らす光を追って窓の外へ目をやると、もう日が高く昇っていることに気がついた。
外は恐らく寒い。ネアポリスの冬はけして優しくはなく、街を平等に冷やし続ける。
なのに。
自分も、部屋も、湿気を帯びて熱く息苦しい。
時々頬にかかる飛沫が熱を奪ってはくれるが、それでも尚熱い。
もしかしたらまだ夢の中に居るのではないだろうか。あまりに現実味を帯びない熱さ。
いつから、こんなにも夢と現の境が曖昧になったのだろう。
浴槽を満たしていく水音を聞きながら、アバッキオはその場に座り込んだ。
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