01.はじめての…… 

July 04 [Wed], 2007, 21:17




 シェゾから嗅ぎおぼえのあるにおいがした。それだけ。











「…何だよ、」

 ほんとうに無意識のうちに鼻を近付けていたみたいで、ぼくの鼻先に銀色の髪がはらりと乗っかった。
 至近距離にぼくの顔があることがそんなに不快なのか、シェゾは眉間に皺をよせて呻いた。


「や、嗅ぎなれないにおいがするなって、思って、」

 そのしかめつらがあんまり苦しくて、胸に刺しこむみたいな痛みをかんじて、ぼくはパタパタと大袈裟に手を振って身を離した。


 …嗅ぎなれないなんてなんて分かりやすい嘘なんだろう。
 分かってた。このふうわりとした香り。これは、


「…あのなあ、お前。試験の範囲が分からないだの言うから見てやってんのに匂いなんかに」

「…なんか。このにおい、百合の花のにおいに似てるね。」

 百合の花なら、あそこに沢山咲いてる。
 町を出て、森を抜けたさきの。


「ん…あぁ、さっきセリリに会ってきたからな」

 渡したいものがあったんだとよ、と言いながら彼がポケットをまさぐる。
 ほら、と彼が差し出した拳を開くと中からは綺麗な色の透き通った小石が出てきた。


「へぇ、綺麗だね」

「そうか?女の考えることは分からん」


 そしておもむろに小石をつまんだ手をぼくの眼の前に持ってきた。


「手、出せ」

「え?」

「綺麗なんだろ、お前にやる」


 澄ました顔で。シェゾはぼくの開いた両手の中に青い綺麗な小石を落とした。良さが分かる奴のとこにある方がいいだろ、なんて言い足して。


「あ、ありがと」

「さ、さっさと勉強をしてくれ」

「…ぼく、ちょっとお茶いれてくるね。」


 これのお礼。と小石を持ち上げて見せてぼくは立ち上がって台所に駆けた。








 紅茶をいれる。シェゾは砂糖もミルクもなしの、レモンを添えたものが好きだ。
 お盆のうえに温めたティカップ、ポット、スライスレモンの入った小瓶を乗せてからぼくはふと忘れ物に気が付く。



 ぼくは流しの下の引き出しから銀のティスプーンを2本出して、流しに青い綺麗な色をした透き通った小石を投げ捨てた。



*********

はじめての「嫉妬」
シェアルというよりもアル→シェ。
セリリはシェゾが好き。
アルルはシェゾが憎いほど好き。

お約束だけどシェゾは鈍感な天然とゆうことで。
P R
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