必然なる再会、偶然の事故 Two 

May 25 [Fri], 2007, 17:14
彼女は、俺に断りもなく紅茶を頼んだ。
「どうせ、今だ苦いの駄目なんでしょ?お子様。」
嫌みったらしく言葉を口に出すが、本心でない事がよくわかる。
多分、俺に気を使ってるんだろうな、と思う。
何せ、今日という日はかけがいのない日だから、だ。
「うるさいな。・・・一応、ブラックじゃなきゃ飲めるっつーの。」
「あらぁ?大分、進歩したみたいね。偉い。偉い。」
今度は、棒読みで。しかも、バカにするように言ってきた。
・・・本心じゃないだろう、な?
少々心配になってきた俺は、眉をひそめてしまう。
これが、俺の癖だ。他にもあるが、今は秘密にしておこう。
それを見た彼女は、小さく吹き出す。
「ばあーか。・・・そんな顔しなくたって、本心じゃないわよ。」
クスクス、と微笑するが今の俺にとっては妖しいだけだ。
だが、気にしていたって仕方がない。
1つ、大きく溜息を漏らすと呟くように唇を動かす。
それが、まず俺にとっての第一歩。
「俺が、今日お前を呼んだ理由・・・分かるだろ?」
「・・・・・・さあ、なんだかサッパリ。」
いきなり切り出した俺に、彼女は動揺しているのだろう。
笑うのをやめ、静かに俺から視線を外し視点を合わせる事もなく外を見始める。
そんな彼女に軽く怒りを覚えるが、今は我慢しておこう。
店に入った時に、運ばれた水を喉を潤す程度に飲む。
「今日で、9年目なんだよ。あいつらの、命日。」
「・・・・・・・・・・。」
「お前だって忘れる訳ないだろ?」
「・・・・・・・・・・。」
「高校に入って、1年目の事だ。忘れる訳ない。」
「・・・・・・・・・・。」
「そして、3年になった時、俺とお前だけがあいつらに――」
「やめてよっ!もう、終わったこと、でしょう。」
俺が最後まで言い終えないうちに、遮られてしまった。
彼女は、大きく肩を揺らして顔を俯かせている。
俺は、ただただ取り乱す彼女を真顔で見つめる。
これも、「「しゅらば」」とかいうのだろうか?
「過去、じゃないの?ねえ。もう、私たちにあの時間は必要、ない!」
「・・・バカじゃねーの?そうやって、いつまでも罪背負ってるつもりかよ。」
「―なっ?!」
「そうだろうが。自分のせい自分のせいって、考えて生きるんだろ。」
俺の言っている事に納得したのか、してないのか、顔を上げて睨んできた。
「俺は、お前を責めてる訳じゃない。ちゃんと、話そうって言ってんだ。」
「・・・・・まえ。」
「あぁ?」
「・・・名前、ちゃんと前みたいに呼んでよ。他人みたいで嫌。」
何を言ってるんだ、こいつは?
名前で呼んでほしいなんて、言うキャラだったっけ?
疑問ばかり残るが、考えても仕方がないので続ける。
「・・・・・・じゃあ、海(うみ)。これで、文句ないだろ。」
こくん、と彼女が首を動かせば一安心する。
果たして俺の差し出した手に、掴んでくれるだろう、か?
答えは、Yesに決まってる。俺の前にいるのは、あの海なんだから、な。

必然なる再会、偶然の事故 One 

May 01 [Tue], 2007, 20:11
がたんっ、ごとんっ、電車の音が店の中にいても聞こえる。
ここは、駅から少し離れた線路沿いにある小さな喫茶店。
ちょっとした休憩には、もってこいの憩いの場所。
あまり、店じたいが派手な外見ではないため客も少ない。
俺にとっては、最高な場所だ。
―平日の昼間から、大の大人がこんな所で何してるかって?
そりゃ、不自然だろうね。
ラフな普段着を着て、テーブルに頬づえついて窓の外を見ているんだから。
端から見たら、リストラ組みだろう。
だけど、違う。
俺は用事があって、この場所に来た。
――今年で、7年になるの、か。
そう思ったと同時に、カランッコロンッと軽快な鈴の音がした。
ふ、とそちらの方に顔を向けると懐かしい、姿が。
「久しぶりね。・・・その様子だと、待ったみたいね?」
「あー・・・そうでもねーよ。色々考えてたら、時間なんてあっという間だし。」
「そう?なら良いの。・・・何か、飲み物頼んでくれても良かったのに。」
「あ、あぁ。そんなの、考えてなかった。」
昔より、大人びたと見える彼女は間違いじゃなかった。
予想通り、しっかりとした雰囲気をかもしだしている。
急いできたのか、少々肩を上下させているのが分かった。
自分の目の前に立たれ、少し退いてしまう。
そして、彼女の言葉に苦笑を零しながら。
「ほら、ここ座れば?立ってるのも、あれだし。」
「ありがとう。・・・にしても、良い雰囲気ね。ここ。」
どうやら、彼女もこの場所を気に入ってくれたようだ。
先ほどとは、うってかわって柔らかい笑みを浮かべる。
指差した席に座れば、ゆっくりと溜息をつき。
「で?・・・私を、呼んだのは、あの事でしょ?」

―そう、俺ら2人は偶然の事故にあい。
そして、不思議な体験をしたんだ。
P R
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