「マリといた夏」

December 28 [Wed], 2005, 23:21


決して悪くはない。悪くはないのだけれど、何が良いかと言われれば、それもまた返答に困る。

主題は、少年時代の不思議な記憶とノスタルジーなのだろうが、それがいまひとつ、全面に伝わってこない。
原因のひとつとして、おそらく、キャラクターデザインが少し平凡すぎるように思う。
背景デザインのシンプルさは雰囲気があって良いのだけれど、そのままにキャラクターもシンプルなので、どうも感情が伝わってこないのだと思う。

加えて、ストーリーの展開もややまどろっこしい。
シンプルなストーリーなのに、どうもテーマがそのままに伝わってこないのは、ストーリー展開のテンポの悪さゆえであろう。
逆に言えば、韓国アニメーションは、表現方法の部分でまだまだ伸び白があると思う。


「マリといた夏 MY BEAUTIFUL GIRL, MARI」
2002年【韓】
鑑賞環境:DVD(字幕)
評価:5点

「コーヒー&シガレッツ」

December 28 [Wed], 2005, 13:05


モノクロの画像の中に、どうしてこうも、色合いのない“コーヒー”の黒と、“煙草”の煙の白が、引き立つのだろう。これが、コーヒーと煙草の魅力なのか?

この映画を観ていると、自分が、コーヒーも煙草も好んでいないことが、とても悔しくなる。

著名な俳優、ミュージシャンたちが、ほとんど本人役で、ただただ何気なくどうでもいいような会話を繰り広げていく。そういう10分そこそこの短編が11本、ひたすら“マイペース”で流れていく。

「なんと退屈な映画」だと、思えるかもしれないが、ちっともそんなことはない。
とても不思議なのだが、苦々しいコーヒーと煙草同様、うわべだけの苦々しいたわいもない会話にどんどん引き込まれていく。

これが、“コーヒー&シガレッツ”の力なのか、と思うと、尚更に羨ましい。

一人二役を何の違和感もなく、演じたケイト・ブランシェットをはじめ、各出演者たちの存在感もそれぞれ抜群で、洒落ている。

この映画は、コーヒーと煙草同様、まさに空いた時間に、何気なく、ゆったりとリラックスして楽しむべき作品だ。
もし嗜好しているのなら、“コーヒー&シガレッツ”を楽しみながら。


「コーヒー&シガレッツ Coffee and Cigarettes」
2003年【米・日・伊】
鑑賞環境:DVD(字幕)
評価:8点

「戦国自衛隊1549」

December 27 [Tue], 2005, 23:42


最近の日本の大型娯楽映画には、以前と比べて随分良い作品が増えてきたのだが、今作の場合は、悪しい日本映画の典型を脱却できていない。
それは、エンターテイメント映画のメッカであるハリウッドに対して、製作予算の絶対的差が生み出すものではなく、それ以前の問題であるように思う。

まず、とにかく演出があまりにチープ。もはや、まともに演技指導しているのかという風にすら感じてしまった。
江口洋介にしても、鈴木京香にしても、それなりに達者な役者のはずである。それなのに、ああも自衛官に見えないのは、どういうわけだ。
もちろん本人たちの役作りの甘さも大いにあるが、全体的に酷い演出が目に付く。特にラストの、意味不明な敬礼シーンなどは、失笑そのものであろう。

次に、映像的な工夫の無さ。(日本映画としては)それなりの製作費を投じて、それなりの大セットなり、CGなりを駆使しているのにもかかわらず、映像に説得力がまるでない。
それは、あとほんの少しの、工夫と繊細さをサボっているからに他ならない。

ちょっといろいろな面で「酷い」映画だった。それにしても、良作だった「亡国のイージス」に対して、今作の方が圧倒的な数でレンタルビデオ店に並んでいるのは、一体どういうわけなのだろう?


「戦国自衛隊1549」
2005年【日】
鑑賞環境:DVD
評価:1点

「バタフライ・エフェクト」

December 27 [Tue], 2005, 22:30


サスペンス映画は大好きで多々観てきたが、この映画ほど、“切なさ”に胸が締め付けられ、涙が溢れそうになった作品はないかもしれない。
予想をはるかに超えたストーリーの完成度の高さに驚嘆する。

自分の日記を読むことによって、過去へ時間を逆行し、数々の「後悔」を訂正していく主人公。このアイデア自体も斬新であるが、それよりも、物語としての完成度と整合性の高さが物凄い。
映画の導入部から、ラストに至るまでの富んだ起伏と、全編通してのバランスの良さは、今までの映画にないオリジナリティを持つほどの秀逸さだと思う。

終始“緊迫感”を保ちつつ、“恐怖”と“緊張”に満ちた謎を散りばめ、見事にそれを消化して見せ、さらに深い愛情による“切なさ”という感情を生む。なんというストーリーテリングだろう。スバラシイ。

映画のジャンル上、ストーリー詳細は控える。
少なくとも僕は、この年の瀬に、これほどまでに素晴らしいサスペンス映画を観ることができたことを幸運に思うと共に、今の今まで観ていなかったことを悔やんだ。


「バタフライ・エフェクト The Butterfly Effect」
2004年【米】
鑑賞環境:DVD
評価:9点

「プリンス&プリンセス」

December 27 [Tue], 2005, 10:56


DVDのジャケットを手に取った時から何となく予感はあったのだけれど、このフランス製アニメーションは良い!さすが、ジブリが推奨するだけのものはあるという感じ。

どういう工程を経ているのかは定かではないが、このアニメーションは、切絵みたいな影絵みたいな何とも不思議なデザインでシンプルに表現される。
そして、“プリンス”と“プリンセス”についての10分ほどのおとぎ話的な短編6本が、とても可愛らしく映し出される。
と、言うと、なんだかとても子供っぽい作品のように聞こえるが、一概にそうではない。

描かれる寓話の時代背景は、中世なり、古代エジプトなり、魔女の住む世界なりととてもファンタジーに溢れているが、その世界観はユーモアを携えつつ、とても辛辣で意味深い。
加えて、作品のあちらこちらにセンスの良さが溢れる“お洒落さ”も、たまらない。

年代を問わず楽しむことができ、それぞれが異なった「面白味」を見出せる優れたアニメーションだと思う。


「プリンス&プリンセス Princes et Princesses」
1999年【仏】
鑑賞環境:DVD(字幕)
評価:8点

「Mr.&Mrs.スミス」

December 26 [Mon], 2005, 19:24


ここのところ、ハリウッドスターが堂々と主役を張るアクション映画というものをあまり見ていなかったので、久しぶりにハリウッドスターらしい存在感が楽しめる映画だった。
ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリーという、いまやハリウッドきってのセクシー俳優らが織り成す激しすぎる“夫婦愛”がスゴイ。

端からストーリー的には期待してなかったけど、とにかく主演2人のセクシーさだけで終始見せる魅せる。“セクシー”と一言で言えば安直に聞こえるが、ただの美男美女が演じているだけでは、これほどに作品全体がその一言で包まれることはない。そこにはやはり、2人の俳優の確固たる能力の高さと存在感が裏付けられている。
加えて、映像センス抜群のアクション描写が、映画世界の疾走に拍車をかける。
特に、ラストの“夫婦タッグ”銃撃シーンは圧巻だった。これもまた、久しぶりに見ごたえがある銃撃シーンだったと思う。

それにしても、今作での共演後、実際に“夫婦”になってしまったブラピ&アンジー。是か非かは置いておいて、現実世界でのこのリアル夫婦は、映画以上にいろいろな意味で迫力があるような気がする。よくある俳優同士の結婚なのに、こんなにも(夫婦像の)想像がつかないのは、僕だけだろうか。


「Mr.&Mrs.スミス Mr.& Mrs.Smith」
2005年【米】
鑑賞環境:映画館
評価:9点

「キング・コング(2005)」

December 22 [Thu], 2005, 19:11


今作は監督ピーター・ジャクソンが端っから公言しているように、オリジナルである1933年版「キング・コング」の完全なるリメイクなわけで、ストーリー、時代背景、登場人物、その他の設定まで、あらゆる面においてオリジナルのそれが忠実に守られている。

ただひとつ、オリジナルに対して、大きな違いがある。
それは、“コング”に対する“感情”である。登場人物の情、製作者の情、観客の情、そしてコング自体の感情。あらゆる面において、コングに対する情で溢れている。

これは、終始「空想冒険活劇」を貫いている1933年版には、実はほとんど見られないファクターである。
オリジナル版では、コングはあくまで“怪物”として描かれ、そのことが結果的に、人間の素のエゴイズムを描き出している。

逆に今作では、そういうコングに対する「感情」がメインに描かれていると言っていいだろう。
そして、そのこと自体は決して問題ではない。今の時代性を考えても、コングをただの「怪物」として描くことは、良識的に不可能だし、むしろ不自然である。

ただ、キング・コングがこれほどまでに、時に愛らしくなるほど動物的で良いのか?という疑問があった。
あれほどに感情豊かに描かれては、そりゃ感情移入するし、お決まりであっても悲劇を迎えれば涙腺がジワリとくる。
それが間違いだとは思わないが、もう少し“キング・コング”としての“怪物性”重視してほしかった。その上で巧く、何故かわいて出る彼に対する“情”を描き出してほしかったと思う。

もちろん、エンターテイメント大作として、その名に恥じるような作品ではない。「ロード・オブ・ザ・リング」で実証済みのクオリティーの高い大スペクタクルを、3時間超という大容量で見せつけられては(長すぎる気もするが)、満足するしかないことは事実。

ただ、そこまで力が入れられるのなら、あと一押しの工夫があってもよかったと思う。長い長い尺に比例するように「大味」な感が拭い去れないことも、また事実。


「キング・コング KING KONG」
2005年【米・ニュージーランド】
鑑賞環境:映画館
評価:7点

「ZOO(2004)」

December 22 [Thu], 2005, 0:13


オムニバス映画は大概評価が難しい。
特に今作のように(同原作と言っても)話がそれぞれバラバラで、作り手も本職がバラバラなクリエーターたちとなると、尚更だ。少しずつでもそれぞれの物語がリンクしていれば、作品として一貫性も出てくるのだが…。なので、各話それぞれの評価をしようと思う。


「カザリとヨーコ」……題材は悪くない。“恐怖”という点では良い意味で趣味の悪さに溢れているし、映像化する意味もあったと思う。しかし結果として、ストーリーにまとまりがないまま終わってしまった気もする。<6点>

「SEVEN ROOMS」……明らかに「CUBE」の類似品。不条理な恐怖を描いたのは分かるが、やはり最終的にもう少し「理由」を描かなければ、物語としての完成度の低さは拭えない。全体的に“汚すぎる”点も個人的にはNG。<4点>

「So-far そ・ふぁー」……これは良かった。斬新なストーリーとして最終的にきっちりと「結末」が描かれていてまとまりがあった。映像的な感覚、小物の使い方(赤いソファー、緑のジュースなど)にもセンスを感じた。あとやはり、しっかりとした役者が揃っていたのが完成度を高めた要因だと思う。<7点>

「陽だまりの詩」……アニメーションであるこの作品が実は一番素晴らしかった。非常に繊細なアニメーションで、とても切なく温かい未来世界が繰り広げられる。「短編」という要素を最も巧く反映したのもこの作品であろう。Good Job!<8点>

「ZOO」……精神的な世界の恐怖を描いているので、中途半端なストーリーを指して一概には否定できない。雰囲気も悪くは無く、アリと言えばアリなのだけれど、正直腑に落ちない部分も大いにある。原作でも表題になっているほどなので、文体ではどう描かれているのか、そういう興味は生まれた。<6点>


という感じで平均をとると6.2点なのだけれど、出来不出来の幅が大きいので結局評価が難しい。


「ZOO」
2004年【日】
鑑賞環境:DVD
評価:6点

「チーム★アメリカ ワールドポリス」

December 21 [Wed], 2005, 1:15


去年公開されるや否や、報道番組でも取り上げられる程に、ダイレクトで遠慮がない国際情勢批判(=アメリカ批判)や実在実名の国家、俳優を名指しで中傷したことが話題になった“人形劇映画”。

どんなものかと思ったが、スゴイ。本当に「限度」というものを、この映画のつくり手達は知らないのだろう。

とにかく、これでもかと繰り広げられる、自国批判、国際情勢批判、人権侵害を無視したブラックジョーク、人形にヤラセ放題の下ネタ・お下劣ネタのオンパレード。
それを、物凄くクオリティの高いパペット操作と精巧なミニチュアで完璧に描き出すのだから、尚更に(当事者にとっては)始末が悪い。

よくもまあ、これほどまでにあらゆる種類の人々を、あからさまに敵にまわすような映画が作れるなと、その大胆すぎる姿勢に感心してしまう。

そして、この完全なる「問題作」を公然と製作し、わりと(実際は知らないが)弊害なく、世界へと公開させてしまう、アメリカという国は、その“病的”な部分も含めて、やはり「強大である」と言わざるを得ないのではないか?

それにしても。こんなにも何もかもが可笑しくて滑稽極まりないのに、これほどまでに「笑えない」映画も初めてだ。
(実際は、終始笑いっぱなしなのだけれど……)


「チーム★アメリカ ワールドポリス TEAM AMERICA: WORLD POLICE」
2004年【米】
鑑賞環境:DVD(字幕)
評価:8点

「男たちの大和 YAMATO」

December 20 [Tue], 2005, 1:04


この映画には、映画の表現としての“巧さ”だとか“工夫”“芸術性”などというものは、全く無い。
どこまでも無骨で、相当に不器用な映画のように見える。

しかし、涙が溢れて、止まらない。

散々描き続けられてきた、戦争映画においてもはや普遍的な描写で、どうしようもなく涙が溢れ出る。
そうして、涙を抑えて、思う。「ああ、この映画には、表現の巧さなんて必要ないのだ」と。

それは、そういった工夫が無くても構わないという意味ではない。おそらく、この映画に携わった人たちは、「映画」における“芸術性”からあえて目をそらし、“事実を語る”ことを重要視したのではないか。

1年ほど前にこの映画の題材を聞いた時、正直今の時代に対してもう「古いんじゃないか」という印象がよぎった。戦後60年という歳月は、確実に「戦争」という事実の経験者を減らし、現代を生きる人々の中のそれを風化させている。
この映画は、まさにそういう人々と、この時代に対し、警鐘を鳴らしているのだと思う。

決して「古く」はなく、今描かれるべき映画なのだ。
そのことを裏付けるように、無骨でありきたりに見えるこの戦争映画が描き出すテーマは、非常に現代向けである。

この作品は、この国が経験した戦争という事実と、そこに携わり生きて死んだ人たちを、“美化”もしなければ“否定”もしない。ただただ、真摯にそのままに描きつける。
「戦争」を経験していない現代人が、むやみにその戦争という事実を一方的な価値観で評することは、あまりに傲慢だ。もはや「戦争」が悪いだの良いだの軽々しく論じて良い時代ではない。

もっと、私たちは、60年前の「事実」を知らなければならない。その努力をまずしなければならない。
だから、生き続けることの意味、語り続けることの意義を、この映画はどこまでも愚直に訴える。


「男たちの大和 YAMATO」
2005年【日】
鑑賞環境:映画館
評価:8点
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映画の善し悪しは、結局、「好き」か「嫌い」かだと思う。 つらつらと語ってみたところで、詰まるところ、それ以上でも以下でもない。 それで良いのだろうと思う。