魔的な願いを 第二夜『柊火燐は激怒する』

December 22 [Thu], 2011, 0:44
佐々木勇人の家は一般的に仲の良い家庭を築いていた、普通の家庭だった。
両親と勇人、一下の妹の綾子あやこが居て、普通のアパートに住む特に言う事は何も無い、普通の家族。
平凡で平淡で平和だった。
だったのだ。
水滴が落ちる音が反響する音が煩い。
肌寒さを感じた俺はゆっくりと目を開いた。
天井はタイル等ではなく、冷たそうな土の壁だった。
どうやら何処かの洞穴の中のようだ。
やっと目が覚めたみたいね洞穴に反響して通りの良い女の子の声が聞こえる。
声の方を見ると太刀で戦っていた女の子がそこには居た。
お前っ、くぅッ立ち上がった途端、目の前が眩む。
はぁ。
急に立からよ、魔力切れてるんだから大人しくしてなさいよね魔力、確かに今の俺は魔力が切れている。
初めて聞く言葉なのだが、何故だかすんなりと頭の中では理解をしていた。
それでアンタ、私の質問に答えてなかったわね親の仇を見るような視線を向け少女はフラく俺の胸倉を掴み上げた。
な、なんだよだァかァらァなんで私を助けたのかって聞いてンのよこっちはと、長髪の少女は火の様にガーっと捲くし立てる。
それを見て、俺は。
え、いや、その女の子が傷付くのが許せなかっただけだなんて照れくさそうに答えてしまったのがいけなかった。
は俺の答えに毒気を抜かれたらしく、少女は石化した。
洞窟内の温度がサーッと下がっていくのを感じた。
アンタ、バカじゃないの怒鳴られた。
音の単位ってデシベルって言うんだっけなんて頭の中でぼんやりと考えながら、反響する怒鳴り声を俺はシャカリキ☆女子校生真正面から受ける事になった。
アンタがどんな願いがあるか知らないけど、この戦いに生き残れるのは一人よ一人私を助けてる暇があったら勝った方の寝首を掻く事を考えなさいよねっうぐっ全く持ってその通りなのだ。
なのだが、俺にも理由があると言えばあるから、黙って聞いてられなかった。
む、俺が納得出来なかった。
理由はそれだけで十分だろ俺は俺の為に動いたんだ、お前にどうこう言われる筋合いはないぞ。
それに助けられて言う事じゃないぞ、それこっちだって多少なりとは頭にきていたので反撃してみる。
助けられってアンタが勝手に出て来たんでしょうアイツの固有能力には驚いたけど、私だってまだっと、もう良いわ急に溜め息をいて少女の火が収まったが、まだ睨まれている。
む、なんだよ堪らず睨み返すと少女は少し慌てて、俯いてから。
まぁ、結果的には助けられたからその、ぁりがとぅ具体的に言うと頬を赤に染め、言葉尻弱く、上目遣いで少女はそう告げる。
な反則だ。
こんな鮮やかなカウンターじゃ俺の完敗である。
、あう顔が火照っていくのを感じて俺も俯く。
ちょっと黙らないでよ。
間が持たないじゃない理不尽に起こられた気がする。
ぅ、あ、すまん。
えぇとじゃあ自己紹介から、俺の名前は佐々木勇人。
そっちはあぁ、もう分かった私の負けよ負け。
カリン柊火燐ひいらぎかりんお、おう。
よろしくな柊ほんっとに調子狂うわねぇアンタ後ろ頭を掻いて俺をにらむ柊。
そこに。
へぇほんならあだ名はヒカリンで決定やねぇ第三者の声が反響した。
ッ魔装ッ瞬時に飛び退いて、火燐の手に太刀が握られる。
戦っている時は良く見えなかったが、近くで見るとその太刀の刀身は黒く、鍔の無い綺麗な黒刀だった。
ぅおっとっと、いきなりかいなっ魔装っやる気満々の火燐を見て、慌てて自らの武器を呼び出す。
声の主はミット帽を被った俺よりもやや大柄な青年で、その手に持った黄色い長槍を油断なく構えた。
はぁっ裂帛の怒号を上げ、火燐はミット帽の槍使いへと踏み込む。
気張り過ぎやでっ踏み込みに合わせて、退き黄槍連突き。
狭い洞穴では大きく横に避ける事適わず。
迎撃のタイミングは完璧されど、その内の一突きすら火燐に当たる事は無く、火燐の太刀に防がれる。
しかも、火燐はその迎撃に怯んだ様子も無く、更に間合いを詰めるように前進する。
お、おぉぉバックステップを刻み槍を繰り出すが、突き故に太刀で軌道を逸らされるだけで致命傷には至らない。
中心を突けば姿勢を低く踏み込んでくる。
槍と刀のリーチ差を物ともせずに火燐は疾走する。
少しず距離は埋まっていくが。
っと、あんま調子に乗んなやっ剣戟を打ち鳴らす二人は洞穴を抜けた。
遮る壁が無くなった瞬間、横槍が回る。
槍は突く為の武器に非ずその長さを活かした薙ぎ払いとの組み合わせこそが槍本来の威力を発揮するのだ。
突きによる点の攻撃から一転して線の攻撃、しかも狙いは足元足払い。
そうらよッ虚を突いた足払いは流石の火燐も反応出来ず、足を払われる否、払われる足が消失しては足払いは成立しない。
なんやて直感で上へと跳んだのか何にせよ、目下の足払いは避けた。
後はがら空きの頭に振り下ろすだけだ。
食ぅらぁえぇぇぇしかし、満を持しての一撃の前にミット帽の槍使いは驚愕ではなく歓喜に口を歪ませる。
嘘を吐かねばくッ魔装開放。
悪魔に与えられし武器の固有能力が今開放される。
仏になれぬ瞬間足払いを空振った黄槍が消失し、跳んだ火燐が居る上空へと真っ直ぐ伸びる。
そん、なッ、気付いた時には既に何もかもが遅い火燐は空中で身動きが取れないまま腹部を串刺しにサレル。
歓喜の表情のまま槍を持ミット帽はニヤいたまま、一丁、上がりやペロりと舌なめずりをして言い捨てる。
目の前で、女の子が串刺しに。
それは夢のような、白昼夢のような現実味の無い現実で、それを見ている事しか出来なかった俺の感情はどす黒く曇っていく。
おまえあなに、やってやがンだっ爆ぜる。
右手に握り締めた曲剣を鞘から引き抜く。
雷音ッ電撃を孕んだ曲剣が耳を劈く雷鳴を轟かせる筈だった。
虚しく空振る曲剣。
それもその筈、悪魔に与えられし武器は魔力を消費し、言霊によって発動する。
即ち、魔力が無いのでは発動すらしない。
、なんでなんや、魔力切れかい。
ほんなら黙ってそこで見ときぃ、ヒカリンが消えるトコぉなァ槍を軽快に構え直す唖然とした表情のまま火燐が倒れる待て。
手の甲、悪魔の紋章へと狙いを定めて火燐は苦痛に顔を歪めてマテ。
まぁ、初見殺しやったけど、勝ちは勝ちやモンなぁ言って、槍を突き出す何とか握った黒太刀で防御を。
だから待てっってんだろ雷同激情に駆られ、俺は二目の魔装を解放した。
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