ため息の漏れるような声 

2010年06月22日(火) 22時09分
右ポケットから掴みとった砂、空気中の湿気を吸って直方体に固まった。
そして、それは数秒前に出た本屋の明かりを反射して光っていた。
直方体を指で軽くなぞると片側が黄色く点滅した。着信があったらしい。

 こんなもの握りつぶしてしまいたかった。いや、帰りに自転車で渡った橋の下に流れる川に投げ捨てたかった。携帯は蔦のように人と人とを絡ませる。幾度となく葛藤したが、千切れはすれど成長をやめない植物ということを思い知らされただけだった。脆い繋がりなのに何故、絆を追い求めて、諦めずに再び絡まりを探し伸びるのだろう。
 四方を壁に囲まれた殻の中で安らぎを感じながら、携帯の履歴から電話をかけた。暗い気持ちになるのを抑える気はない。犯罪を犯している人間は心の底からは好きにはなれない。底抜けの同情で優しさが溢れるが、愛情は涙の一滴ほども伝わない。救えない辛さはあるが、抱きしめられない苦しみなんて微塵も……。
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