種族違いの恋に5のお題/みのる 

February 02 [Mon], 2009, 21:28
久々に追加。
「種族違いの恋に5のお題」
残るはあとひとつ〜



03.禁忌

柔らかな日の光の差す教会の中は穏やかな静謐に満ち、神に仕える子らを暖かくつつんでいた。


「おめでとう、パム。貴女に更なる神の祝福とお導きがありますように」


「ありがとうございます。司祭様」


胸に下がった新しい聖印の重みに胸がいっぱいになる。
今日、パムはこれまでの実績を認められ正式に「神官」の位を授かった。
沢山の人に助けられて沢山の人に支えられて。
やっと一人前になれたのだ。


「時に、パム」
「はい、なんでしょう?」

式典も終わり出席していた神官たちが帰る中、さりげなく司祭が話しかけてきた。
「あなたと共に居る、悪魔のことですが…」
「……あ」
無意識に体がこわばった。
知られていないはずはないとは思っていたが。やはり、きた。

「なんでも、ずいぶん複雑に繋いでしまっているとか?」
「……はい」
「今の所、大きな実害はないようですが、所詮血を好み暴虐を好む恐ろしい魔性の者。いつ本性を表して暴れだすかはわかりません。充分に気をつけて」
「ですが、サード……彼はそんなことは……」
言いかけて、言葉に詰まった。
彼が「いい悪魔」だとは言わない。
彼の根本はやはり魔の属性にあるもので、主である自分が悲しむと不都合だからその衝動を抑えてくれているだけだとは判っている。
 
でも。

「わかっています、貴女が付いている限りその悪魔の危害は最小限に食い止められているのでしょう」
ですが、と穏やかな顔を引き結んで司祭は続ける。
「彼を信用してはいけません。彼に心を開いてはいけません。悪魔と人が通じ合う事は昔から禁忌とされているのですから」
「…はい。わかりました。司祭様」


◆◇◆

「お。終わったか」

教会を出ると、ばさりと羽の音と共に大柄な男――パムの使い魔・サードが舞い降りた。

「……はい」
「ったく、やっぱり教会ってのは胸糞わりぃぜ」
「……すみません」
「どうした娘」

 
少し先を行く彼が立ち止まって振り返る。

「なにかあったか?」
普通の男の人のような。それでも自分のよりずっと大きな左手が頭に載せられて、かがみ込まれて。目をあわせられる。


 ――彼に心を開いてはいけません。


 ――悪魔と人が心を通わせるのは――



 『禁忌』とわかっていても。




ぼろり、とひとつ。目から涙がこぼれた。





 私はこの手に、守られすぎている。





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追加補足〜
「人と悪魔が通じるのは禁忌」とされてますが、これはあくまで人間側の禁忌なだけで悪魔側は全く気にしてません。
むしろ、惑わして陥落させるのを楽しむ悪魔も居るほどです。セコ(サードの幼馴染)とか淫魔とかその類。
また気に入った人間に無償で手を貸す事もあるようです。(100題の漫画参照)
人間が気にしてるほど悪魔は人間を気にしてないようですよ〜☆基本、フリーダムな連中なのでww


サード抹殺計画にパムが食って掛かるシーンも一瞬書いたけど…バランス悪くなっちゃったので没。
甘々な司祭様になっちゃった。サード黙認しちゃったし。これでええんか…?

フォン×ティエラ話/みのる 

November 22 [Sat], 2008, 11:57
◇フォンの婿入り◇


昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵。
 
この冒険者家業をしていれば、時に知人友人と敵対関係で相対する事になるのは日常茶飯事だ。

 シルフの起こす真空の刃に打ちのめされて倒れる用心棒達の中、まだ屈強にも立ち上がる男の顔を見てフォンは僅かに眉を跳ね上げた。

 男の方もまたフォンに気付くと、驚いたようにあんぐりと口を開けた。


「てめぇは…フォン・シュツール!」
「フン、まさかここで会うとはな。賭博の腕は少しはマシになったか?」
「てめぇに言われたかねえな。まだ生きてやがった事にも驚いたが、まさかマート一家の傘下に下ってるとは。手前らしくもねぇじゃねえか」
「……いや、傘下に下るというか……」

 フォンの顔が歪んだその瞬間、風を切るようにロープが飛んできて、男の身体を一気に纏め上げた。
 それに続くように、通る女性の声が響く。


「ちょっとリーダー、無駄グチ叩いてないでとっとと片付けてよ!こっちは3ヶ月で悪阻きっついんだから!!」


「………むしろ、婿入り?(げんなり)」


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フォン×ティエラ話を書いてみた。
なにげに尻にしかれてるリーダー希望。

ティエラちゃん、妊娠3ヶ月でお仕事(悪徳もぐり潰し)しちゃいけませんww

種族違いの恋に5のお題/みのる 

February 16 [Sat], 2008, 12:10
1.越えられない壁



憎むべきは、この歪んだ羽か。

偉そうにそびえ立つ、あの十字架か。



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素敵なお題を見つけたのでトライしてみました☆
種族違いの恋に5のお題」(1141様)
■ 種族違いの恋に 5 つのお題
01.越えられない壁(コンプリ)
02.何を犠牲にしても(コンプリ)
03.禁忌
04.今だけは(コンプリ)
05.逃げられない

初心に帰るつもりでパム&サードでれっつとらい。

悪魔と神官(見習い)
使い魔とご主人様
チンピラ兄ぃと少女

ふふふふ…いい響きです(変態)
「恋」にすら発展してないような関係ですが、楽しく書かせていただきマス。
コンプリしたら、時機をみてウチのサイトで公開してもよか?

種族違いの恋に5のお題/みのる 

February 16 [Sat], 2008, 12:08
02.何を犠牲にしても


―来るか?一緒に―


呆けた娘をテラスに残し。
逃げ出すように樫の重い扉を閉め切る。
初めて向かい合った一人の「女」としてのあの娘。
気が付いたら、あんなことを口走っていた。


(何やってる)


頭の隅で本能が叫ぶ。

(娘が欲しいのか)

―……

(欲しいなら、手に入れればいい)

(連れて行きたいなら、攫えばいい)

―魔界に連れて行けば、アイツはアイツでなくなる。

(連れて行けないならココでモノにしてしまえ)

―うるさい。

(制約の枷は外れた。力で押し倒してしまえ。たやすい事だ)

―黙れ。

(―娘が欲しいんだろう)

―――…欲しい。


今更だ。


欲望が渦巻く。血も肉も声も全ての表情も、娘の何もかもを奪ってしまいたい。
久しぶりの感覚に猛禽類のような爪を持つ異形の右手が軋む。


(なら、力づくでも手に入れろ。何をためらう)

(何を犠牲にしても、望むものを手に入れるのが悪魔だろう)


―そうだ。



何を犠牲にしても。



―そしてどうなる。



魔界の瘴気に当てられて、魂の歪んだ抜け殻の人形を手に入れるのか。

奪って犯して、裏切られた憎しみと絶望に染まった眼差しを手に入れるのか。



――そんな「モノ」はいらねぇ。



弱っちい癖に、むかつくくらい潔癖で頑固な性格。
すぐに他人の話を鵜呑みにして、いいように解釈するおめでたい思考回路。
少しは強くなったかと思いきや、相変わらず臆病で一人でグルグル悩みやがる行動パターン。
自分じゃ気づいていないようだが、困ると俺の服のすそをつかむ癖。

そして、色気も何もあったもんじゃない緩みきった笑顔。





娘を欲するままに手に入れる代償は、「娘」そのもの。

俺の望むものそのもの。




ひとつ息を吐き、軋む右手をゆっくり開く。
爪が食い込んだ手のひらから血のにおいがにじみ出た。




それなら俺は、この本能を犠牲にしよう。


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Other Story「悪魔の戯言」の直後の話。

意外…というか、むしろやっぱり、サードはへたれですね。
悪魔の癖にー。

パムちゃんの暗黒面は封印w

2008.02.12

種族違いの恋に5のお題/みのる 

February 16 [Sat], 2008, 12:06
04.今だけは


自分の涙が伝う感触で目を覚ます。


夢を見た。


遠い、遠い記憶のおぼろげな夢。
いや、本当に記憶なのかどうかも疑わしい。

両親の夢。

薄い月明かりを背に覗き込み、パムに何かを話しかける。おそらく謝罪の言葉。贖罪の言葉。
その顔は影になって見えなくて。そのシルエットさえも小さくなって去っていく。

―行かないで―

パムの思いは言葉にならず。
二つの影は消えてしまった。


そっと目を開けると、パチパチとはぜる焚き火と毛布にくるまって眠る仲間たちが見えた。
花子に足を乗せられて呻いている忠。焚き火から少し離れた所ですやすやと寝息を立てる織我。
フォンが眠るのは焚き火の反対側で。ティエラは寒いのか毛布を肩まで被って丸くなっている。


そして。


見上げれば、交代で火の番をするサードの背中。
手を伸ばせば触れられる、近い位置。

―行かないで―

夢の中の感情がリフレインしてきて、胸がぐっと苦しくなった。



(―今だけ―)


「起きたのか?」

訝しがるサードが振り返るが眠ったフリで、密かにその背中に擦り寄った。

今はいつもそばにいて、ひ弱い自分を守ってくれているが、それは彼が故郷の魔界に帰るためだ。
いつかは、別離の時が訪れるのは解かっている。


(でも。今だけ、ちょっとだけ―)


背中越しの熱に、甘えてみた。


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パム→サード?
甘いんだか甘くないんだか。

じれったい距離感が好きなんですが。
いかがでしょう。

2008.02.16

蛍乃原(ホタルノハラ)<前> 

August 10 [Fri], 2007, 22:24
「サヤ!」
風に包まれ髪をなびかせる後姿に声を張り上げる。
震えている。多分、普通に声を出せば泣き声に変わってしまうような情けない声。
俺の声に、ゆっくりとサヤが振り向いた。









**********************************
「一ノ瀬」
名前を呼ばれて振り替える。最悪だ。今、とんでもない顔をしてるのに。
「うゎ、そんな顔するなって…」
無茶を言う。
「私のせいで情報を逃したのよ。気にしないほうが無理でしょ?」
ムカつく奴だが宥め透かして、必死に情報を得ようとしてたのに…面倒起こされた挙げ句、そいつに逃げられた。
それも自分の不始末だと言うのだから腹立つやら、情けないやら。お陰でやり場のない負の感情が腹の中を駆け巡っている。
そういう時に、この男は。
月は上弦。「こっちの世界」にも月がある、なんて気持ちが落ち着いてから思えるようになった。
「こっちの世界」に来て一ヶ月くらいはみんなパニックを起こしていて世界に慣れていくだけで精一杯だった。
三人の「王」。
自分達の存在理由。
全てがやっと繋がり始めて、そうしたらますます混乱して。

それともこんなにも混乱しているのは自分だけなのだろうか…?

「何?俺の顔なんかついてる?」
上弦の月を背負った男がこちらに笑いかけた。
真辺優太。
「こっちの世界」に来たうちの一人である。
どうしてこういう時に私を構いたがるのか、よく分からない。
私の性格上、少なくともまだ放っておいてほしいのは今までの経験で知ってるはずだ。
「…別に。何もついてないわよ。…こういう時、私がどうして欲しいか分かってるのに来てるの、あなた。」
自分の失敗なのに、どうしても相手に向けて言葉の切っ先を向けてしまう。
嫌だ、こんな自分。

「そっとしといて欲しい、か?でも、そんな風に抱えてたらストレス満載になっちまうぜ」
突きつけられた言葉に怒りもせず、ニヘラと笑って優太は続ける。
「この前、遙といい場所見つけたんだ。行ってみないか?」

何だかうやむやのうちに一緒に来てしまった。
サクサクと茂った草の上を歩く。目の前には少しだけ大きい背。歩調も変えず、振り向きもせず、ただただその背中だけで私を導く。
――何?この沈黙。
月は森に隠れ、虫の音が静かに響き渡る。私たちの声はその中に混じらない。
コイツが、優太が私を気にかけているのは今に始まったことじゃない。旅が始まって少し経ったころから、いや、下手したら気づかなかっただけで旅が始まる前からそうだったのかもしれない。
いつだったか「妹みたいで心配なんだ」と言われたことがある。
大きなお世話だ。
妹とは何だと、若干の念をこめてその後姿に視線を送るが、振り返る様子は全くない。鈍感なのだ、この男は。
更に草むらを歩いていく。遠かった森はいつのまにか大きくなり、川のせせらぎの音が聞こえ始めた。そして、そこに何かを見つけた。

「蛍…。」

蛍乃原(ホタルノハラ)<中> 

August 10 [Fri], 2007, 22:20
私があっちの世界で住んでたのは何の変哲もない住宅街。蛍の住むような場所ではなかった。どういうものか、知識はあったが本物を見るのは初めてだった。

黄緑色の小さな光が、無数に川辺をゆらゆらと浮かんでいる。
それはまるで闇に浮かんだ幻の中の世界のようで。「この」世界よりももっと非現実的な、幻想的な景色だった。

「綺麗だろ?」

思わず見とれていた私の横に並び、話しかけてくる。
その一言に、私は小さく頷いた。

「少し、見ていかないか?気持ちも落ち着くかもしれねぇし」

笑顔。
ああ、もう。
どうしてこんなときにコイツは笑うのだ。

「…そうね」

空とは正反対に、ココロがもやもやとしてくるのを感じる。
でも、それすら感づかれたくなくて、平静を装って導かれるままその場に腰をかけた。


今度は見上げる形になった、光の夜空。一つ一つは掴もうとすれば無くなってしまいそうに儚い。それでも、そこに自分はあるのだとシグナルを送っている。
届かないかも知れないのに、必死に。

「…一ノ瀬」
空を見上げたまま、優太が隣で呟く。
「ちったぁストレスは解消できたか?」
「…ええ。ありがとう。少し、気分が落ち着いたわ」
「はは…そっか。よかった」
優太は空を仰いでいた顔をこちらに向けて微笑んだ。
「お前は思いつめすぎなんだよ。自分で全部責任背負い込まないで俺達にも少しは分担させてくれよ」
「そう?私、そんな風に振る舞ってた?」
「そうだよ」
少し、悪態を付くような声に私は苦笑を漏らす。誰かと接するとき、防衛線を張っている事を悟られているらしい。
誰かと深く付き合っていこうなんて考えたこともなかった。誰も私のことなんて見ていなかったから。
結局、最後は自分は一人なのだと再確認してしまうのが恐くて、自分から好んで一人でいた。



本当は…自分の気持ちなどとうに分かっていたのに。

「どうした?」
急に黙った私に、疑問を投げ掛けてくる。
答えられない。今、声を出せばきっと震えている。そのままきっと泣いてしまう。
悲しみや怒りと言った明確なものでない感情の高ぶりが込み上げてくる。

「一ノ瀬?」
さらに重ねられる問い掛けに、ぽつりと一言だけ返した。


「恐いの」


本当の自分を見られることも。
それを見られてあなたを裏切ることになるかもしれないことも。
そしてあなたが私を嫌うかもしれないことも。

全部。

「恐い、か…?」

分からない、といった風に繰り返す。それもそうだろう、私の心が読める人でもなければその言葉は唐突過ぎる。

「…よく、分からないど」
彼なりに悩んだのか、少し間があいてから続きをぽつりと語る。



「俺が、お前を守るよ」

蛍乃原(ほたるのはら)<後> 

August 10 [Fri], 2007, 22:10
「俺が、お前を守るよ」

うるさいほどの虫の音も、涼やかなせせらぎの音も、はっきりと切り取ってその言葉だけが耳に響く。


「一ノ瀬に怖いものがあるなら、俺が絶対に守ってみせるよ」

『絶対』なんて軽い言葉、吐かないでほしい。
大嫌いな言葉だ。そんなもの有りはしないと、ずっと思っていたから。

でも。
信じたい。
あれほど嫌いな言葉だったのに、今はその言葉にすがり付きたい。

すぐ横には真剣な顔をした優太の顔。いつの間にか森から顔を出した月光が、青白い光で彼の顔を照らしている。
私も、彼から見えているだろう。
いったいどんな顔をしているのか、恥ずかしくて考えたくもない。
ただ、月光が青い光で本当によかった。太陽の下で見たら…きっと耳まで赤いだろう。

やっぱり、私は優太が…。

今はまだ、言う勇気が無かった。全てを終えて、私に少しでも勇気がついたら…。

「…ありがとう、真辺君」
それだけ口にすると、私は微笑んで彼の手に自分の手を重ねた。

「この旅が終わって、あっちの世界に戻れたら…また蛍は見れるかしら?」
「ん?ああ、俺んちの裏の方の山、チャリで飛ばせば30分くらいのところで見れるぜ。」
「そっかぁ。今度の夏は…あっちの世界で見たいな。…全部終わったら、真辺君の家に遊びに行っても良い?」
「おお、大歓迎。そしたら『あん時は大変だったなぁ〜〜』って思いながら蛍見ような」
優太が、月光の元で太陽のような満面の笑みを浮かべた。

京介の家は優太の家から近いから問題ない。琴子も関東圏に住んでたから週末なら遊びに来れるだろう。遥は一番遠いが、ケータイにつなげればきっと駆けつけてくれるはずだ。
皆でバーベキューでもして、花火をして、一晩じゅう騒ぐのだ。
そこには私もいて、きっと笑っているだろう。

皆がいれば、あちらの世界でもきっと私は笑える。

また、蛍を見に行って、そのときこそ私の気持ちを彼に伝えよう。



**********************************

悲しげな瞳。サヤはあの時一体何を知ってしまったんだろう。
俺にはそれを知る術が無くて、悔しくてたまらなかった。

ごうごうと音がするほど風が流れていく。俺の魔力(ちから)じゃそれを止めることすら出来ない。
その風の中で、時が止まったように静かにサヤがこちらを見ていた。
「まだ間に合う!!!行くな!!!」
嗚咽をこらえて叫ぶ。京介から琴子から遥から、悲壮な視線を感じた。

無駄じゃない、これは無駄なことじゃない。

諦めかける自分を叱咤して、滲んでしまいそうな視線をサヤに注ぐ。

サヤは刺されたように険しく表情を歪めた。何か言いたげに口元がわななく。それでも言葉はない。
「約束しただろ!!?あっちに戻ったら一緒に遊ぼうな、って!!」
言葉なんかまとまらず。気持ちだけが先走る。
「皆呼んで、バーベキューして、花火して…俺、マジで楽しみにしてんだ!!」
勢いに任せて続ける。
「蛍、見に行くんだろ!?俺、バカみたいに行くルートまで考えてたんだぜ!!本当に…」
言ってる途中で言葉がかすれてきた。本格的にヤバイ。涙が出てきて、言葉が続かない。



「…お前と…二人で行きたいんだ」

小さな涙声はサヤに届いたのか。サヤが口を開いた。

「もう、やめて…」
苦しそうな表情で、呟く。
「私は、行かなくてはならないの。…さよなら」
「サヤ!!!」
こちらに視線を残しながらサヤはゆっくりと背中を向ける。

ただ、最後の瞬間、口元だけが静かに動いた。


(ごめんね)


「!!!!」

呼んでも、もう戻らない。
その姿は風の中にかき消された。




*あとがき*
ある意味、去年からの課題を消化しました。
砂吐きそうです。羞恥プレーイです。こんな話を私が書くとはっ!!ww
色々設定作ってすんません。私は「自己尊重の低下したツンデレ」がだいこうぶつなので書いてて楽しかったです。ビバ!アホの子×ツンデレ!!!
サヤの性格ヒン曲げてすんませんでした…

小話/黒 

June 13 [Tue], 2006, 20:46
何をするのも面倒だと、腰をおろした瞬間に、わたしは抗うことをやめたのだ。

とにかく、億劫だった。
だるかった。
体が重い。
思考がまとまらない。
何もかもが面倒で、うつぶせに寝そべったまま意味も無く唸っている。
爪先からは不愉快な痺れが絶えず上がってくる。
腰は重く、時折針で刺されたような鋭い痛みが襲う。
肩は上がらず、滞った血がそこに溜まっているように思えた。

浮遊感は、いつにも増して体を包んでいる。

体の下に敷いた、柔らかさの欠片もない布団は、それでも何もないよりはましだった。
古い畳がちくちくと身体に刺さるよりは、おそらく。
替えの布団なら押入れに入っていたはずだが、何しろ指先を動かすことさえ面倒なのだ。

霞を食べて生きる仙人のごとく、時折吹き込む埃を含んだ風のみを食べる日が続く。
ごくあたりまえの生理現象すら、いつの間にやら縁遠くなった。
仙人になりたいわけでもなく、ただ面倒だというそれだけで、わたしはやはり動かない。
動けないのかもしれないと、ふと思い、忘れる。
たいして違いはしない。
このだるさに、勝るものはない。

このままずっとこうしていれば、近いうちに身体はその機能を停止するだろう。
しかし残念なことに、そうしてたんぱく質の塊になったものは、朽ちてもその先に何かを残すことはできないのだ。
固い布団も、古い畳も、きっとその先を夢見るものではないのだろうから。

ぞわぞわと、虫か何かが這い登ってくるような不快感も、じきに消えるだろう。
まとまらない思考など、本能よりもたやすく眠りに沈む。
いいようもないだるささえ去り、面倒だとすら思わなくなる頃。
どことも知れぬ場所で、何とも知れぬ塊は、柔らかすぎる風に連れられて、さらりと零れていくのだろう。

なんともまた、面倒な話だ。

*************

だるいと思ったら熱出てた。
ついでに胃が気持ち悪い。
またしても胃炎だったらどうしよう。

自爆分UP〜1401*瑚姫* 

February 25 [Sat], 2006, 22:42


今回のチャレンジ事項:
主線の色替え
直書き文字

以上、自爆分でした。