Myself その15 

March 13 [Sat], 2010, 22:51
そして、最後にたっくんに聞いた。
「俺は、今はまだ興味があることが多すぎて、1つに絞ることができないから、普通科の利端(としはた)高校を受けようと思ってんだ」

たっくんまで、はっきり答えた。
「そうなんだ。…ねぇ、たっくん。僕はどうしたらいいと思う?」
「どうしたんだ?そんな不安そうな顔して」
たっくんは心配してくれた。

「ん…。今日さ、いろんな人に『どこの高校受けたいか決まってる?』って聞いてきたんだ。そしたら、みんなほとんど決まってて、僕はさ、まだ決めかねてるから、すごく取り残された気がして、たまらないんだ…。桜が咲く頃に僕だけ、まだフワフワ漂ってそうで…」
僕は言った。

「そんなことないよ。みんなが少し早いだけだよ。自分のペースでゆっくり決めればいいじゃん。ゆうの行きたい道をさ」
たっくんはアドバイスしてくれた。
でも、僕は気持ちに余裕なんて持てなかった。

Myself その14 

November 29 [Sun], 2009, 22:23
「ひびき、ちょっといい?」
今度はひびきに声をかけた。

「ん、何?」
「ひびきは、どこの高校を受けたいか決まってる?」
「うん。まぁ、俺の場合、将来何やりたいか、今あんまり決まってないから、里院(さとがき)高校くらいに行って、そこでやりたいことを見つけるつもりなんだ。普通科だからな」
ひびきは細かく教えてくれた。

「そうなんだ。ありがと」
そして、僕はとおるを探して歩き出した。

とおるは教室でいた。
「なぁ、とおる。とおるはさ、どこの高校受けたいか、決まってる?」
いきなりの質問にとおるは少し戸惑っていたようだったけど、
「えっ、一応は。俺はさ、野球がやりたいから、城刻(じょうこく)を受けようと思ってんだ。ほら、あそこって野球部が有名だろ!」
と、しっかり答えてくれた。

「そうなんだ。サンキュ」
僕はそう言って歩き出した。みんなに聞いているうちに、だんだん落ち込んできた。

Myself その13 

August 17 [Mon], 2009, 23:35
「そうなんだ。ありがとう」
僕は、これだけ言って歩き出した。
「えっ、おいちょっと待てよ…」
という、わたるの声を背にして、かおるを探していた。

「かおる、かおる!」
僕はかおるを呼び止めた。
「かおるはどこの高校に行きたいか、決まってる?」
僕は、わたるの時と同じ質問をした。

「うん、決めてるよ。俺は秋西(ときにし)を受けようと思ってんだ」
かおるは、ハキハキした口調で答えてくれた。
「そっか、秋川西(ときかわにし)高校か。ありがとう」

僕はまた歩き出した。色んな人にどこの高校を受けるのか聞いてみようと思ったのだった。

Myself その12 

August 06 [Thu], 2009, 21:50
ひじりと同じ高校に行くことができないと分かった。でも、それは僕がどこの高校に行くかが決まったわけではない。

休み時間−−−
「なぁ、ゆう、聞いてんのかよ!」
僕はわたるに呼ばれていた。わたるというのは、たっくんと同じくらい仲がいい友達の、風間渉(かざまわたる)のことだ。

僕は何か深く考え込んでいるような顔をしていたらしい。僕は、わたるの言ったことはほとんど無視して、何も考えずにただ、
「なぁ、わたるってどこの高校行くつもり?」
と聞いた。

「はぁ?」
わたるは聞き返した。けど、
「そーだなぁ、俺は具体的には決まってないけど、工業系に進みたいと思ってんだ。音中(おとなか)工業高校とか。あんまし頭よくないから、レベルが高いところは無理かもしんねぇけど」
わたるは、こんな答えを返してくれた。

Myself その11 

June 28 [Sun], 2009, 19:30
「んっ…。まだ考えてるとこ」
僕はごまかした。
「ゆう君ぐらい頭がよかったら、稜縡にも、余裕で入れるんじゃない?」

ズキッ…

一番言われたくなかったことを言われてしまった。それもひじりに…。
「あたしはね、ここからちょっと遠い女子校に行こうと思ってるんだ。その高校は、デザイン系が有名で、あたしもそっちに進もうかなぁと思ってるの」

ひじりは、一応質問には答えてくれた。しかし、僕はがっかりした。
“デザインか。僕は全然興味ないし、第一女子校に行くのはちょっと…”

「そっか、がんばって」
僕はそう言うと、走って学校まで行った。そして僕は思った。
“彼女と同じ高校へはきっと行けない。彼女とは進みたい方向が違いすぎるから…”

こうなると、もう彼女と同じ高校に行くことに関してはすっぱり諦めがついた。でも、彼女を好きな気持ちは変わらない。
少し気持ちに整理がついた今でも、どこの高校に行くかは決められない。
人に合わせることを意識しすぎた自分がいる。

でも、このとき僕は気づいていなかったが、少なくとも彼女には合わせていない。自分の意思で彼女と違うところに行くべきなんだと思ったことが、僕にとっては大きな進歩だったのだ。

Myself その10 

March 11 [Wed], 2009, 23:35
『どこの高校に進学するか』これは僕にとって、大きな、大変な問題である。自分の中に2人の自分がいる。
1人は『自分の行きたい高校、いい高校に行けよ』と言っている。
もう1人は『いや、人にあれこれ言われないように普通のところに行こうよ』と言っていて、どっちにすればいいか僕には分からなかった。

それに、僕にはもう1個悩みがある。
それは、ひじりのことだ。きっとひじりは僕のことを友達以上には思ってないと思う。
それならせめて、友達のままでいいから同じ高校に行きたい。同じ高校に行けば友達のままでいることができるだろうと僕は考えていた。

そして、次の日−−−

今日も僕は、ひとりで学校への道を歩いていた。
「おはよう、ゆう君」
この前と同じ、ひじりの声だった。
「あ、おはよ」
僕は返した。そして、思い切って高校の話題を振ってみた。

「ひじりってさ、高校はどこ行きたいの?」
「ゆう君はどこ行きたいの?」
逆に聞き返された。一番聞かれたくなかったことを。

Myself その9 

March 07 [Sat], 2009, 20:42
キーンコーンカーンコーン

授業が始まった。みことは相変わらず僕のことを神様のように見てくる。
同じ班の五十嵐晴香(いがらしはるか)はみこととすごく仲がいいのだが、あまりそういう眼で僕を見ない。そういうところは僕としては、ありがたくもあるし、気を遣わなくていいから助かる。

「はい、班をつくって…」
先生は言った。僕は班活動があまり好きではない。
たっくんは気を遣って、あまり“あの事”に触れないようにしてくれるが、みことは
「うちの班はすぐ終わるよねー。なんたって、ゆうがいるもん」
なんて言っている。五十嵐はあまり興味がなさそうだった。

こういう事を言われるたびに僕の心は少しずつ傷が増えていって、ボロボロになってしまうようで怖かった。

Myself その8 

December 06 [Sat], 2008, 23:55
その日の数学の時間−−−
「ねぇ、ゆう。ちょっとここんとこわけ分かんないんだけど…」
みことに言われて僕は細かく説明した。
「やっぱ頼りになるわー。さすがだね、天才!!」
またこの言葉だった。みことは、僕の‘事情’を知らなかったのだ…。

そして、期末テストが近づいてきたある日。
「なぁ。おまえ、高校どこ行く?」
とかおるに聞かれた。
僕は中3。高校の話も普通なら友達としたりするが、僕は高校の話をするのも嫌いだ。

「さぁ、まだはっきりとは決めてないけど…」
僕はごまかそうとした。
「まぁ、ゆうほどの頭があれば、どこにでもいけるだろうな。どうせだったら、いいとこ行けよ。稜縡(りょうさい)なんてどうだ?」
かおるは言った。稜縡高校。この近辺、いやおそらく、レベルの高さでは県下1位の高校だ。
「はは…。いけるわけないでしょ。僕がそんな高校に。レベル高いんだから」
僕はそう言ってその場を去った。

僕は「天才」と言われるのと同じくらい「いい高校に行くんだろ」と言われるのも嫌いだった。プレッシャーをかけられる気がして。
“そりゃあ稜縡には行きたいけど、そんなこと決めたらみんなになんて言われるか…。それに僕は調理師の免許を取りたいから、そっちの専門校にも行ってみたい”
頭の中を様々な考えがよぎった。

Myself その7 

October 14 [Tue], 2008, 21:10
「たっくん、おはよう」
僕は同じ班で仲良しの立花巧(たちばなたくみ)に言った。
「おはよう、ゆう」
たっくんはいつもみたいに静かに言った。

テストの順位が発表されてからもう3日が経った。もういい加減、テストのことを言ってくる人もほとんどいなくなっていた。
「大変だったね。お疲れさま」
たっくんは微笑んで言った。
「うん、本当に大変だったよ」
僕は、たっくんの方を見て言った。

「ゆう、おはよ!」
隣の席の岡崎命(おかざきみこと)だった。横に吉村花連(よしむらかれん)もいた。
この2人は相変わらずいろいろ言ってくるのだ。
別に2人のことは嫌いではないけど…。

Myself その6 

October 11 [Sat], 2008, 23:33
僕は、人に「天才じゃん」とか「秀才だなぁ」と頭がいいことを褒められるのをすごく嫌っている。何故そうなったかは、僕自身にも分からない。

僕は昔から、人よりも勉強ができていた。そのことで、友達や先生は僕のことを‘褒めて’くれた。特に、友達は僕を手の届かない『雲の上の存在』みたいに言う。
僕はただ、みんなと同じラインに立ちたかっただけなのに、そのことは言えなかった…。
そして、だんだん「天才」とか「秀才」という言葉を嫌うようになったんだろうと僕は考えている。

人に‘褒められる’ことを嫌う僕にとって、順位と点数がみんなに知らされるこの日が、一番嫌な日なのだ。
そして、この日はこの後もたくさんの人に
「すごいねー。やっぱ、秀才は違うね」
みたいなことを言われた。
僕は本当にこの場から逃げ出したかった…。
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