「本当に生きた日」城山三郎 新潮文庫 

February 14 [Tue], 2012, 16:02
全国飲食店の情報サイト「食べログ」や「ぐるなび」を利用したことがある人は多いでしょう。


私もよく利用しています。



我が家の近所に2年ほど前にできた居酒屋。


黒で決めたクールな作りの店舗、散歩の途中で見つけて、帰宅後、「食べログ」で検索してみたところ口コミでの評価もとてもよかったので後日夫と2人で訪れました。



こんな風に書くときっともうおわかりと思いますけど、出る品出る品、何の工夫もなく主婦の私の方がまだましというものばかり、さすがに夫も呆れて2度と行かないと決心して帰りました。



あんな内容では近々撤退するだろうなと通りかかるたびに眺めても潰れた様子もなく、ある日などは学生の集まりか何かで道路まで学生たちが溢れかえっていました。



七不思議!というか私たちの舌がおかしいのか??



そして最近「食べログ」サイトへの意図的投稿で人気ランキングを操作する不正業者が調べただけで39業者もいることが判明したというニュースが流れて納得!



一方「ぐるなび」では掲載約50万店のうち約10万店が月額1万〜数十万円の加盟料を支払ってサイト内に公式サイトを掲載しているそうです。



料金が高いとトップページの特集などに多く出ることができるそうですが、「やらせの可能性が排除しきれない」のでお客の評価には左右されない仕組みにしているといいます。



プロより頼りにされるようになった口コミが肥大化しコントロールできなくなった結果である、と専門家は解説していますが、そのノーコン状態の隙間に入り込む商売上手の悪徳業者も中々のものですね。




感心する場合ではないんですけど、魚心あれば水心というところでしょうか。






さて本日は城山三郎氏著『本当に生きた日』をご紹介します。



著者が旅立たれてもうすぐ5年になろうとしています。



本書は今から25年以上前に琉球新報ほか地方紙に連載されたものを没後の2007年5月に追悼出版ということで単行本として刊行されたものです。



この作品が上梓されたのが男女雇用機会均等法が施行された昭和61年であったことから、著者がそういったことを作品のテーマに盛り込んだのは容易に肯けます。



「一男一女の母であり貞淑な妻である38歳の素子に突然訪れた転機―それは女性実業家として名を馳せつつある高校時代の同級生、ルミからもたらされた『経済的自立』の誘いだった。
ルミとともにビジネスの世界に足を踏み入れ、その魅力に自分自身も変わっていく素子だったが…。
男女雇用機会均等法が公布された翌年、女性の幸せをテーマに紡がれた幻の長編小説」




城山三郎という名前に惹かれて手に取った本書ですが・・・・あれっ、という意外感、違和感が最後まで尾を引いた作品でした。



政財界で活躍した人にスポットを当て、当時の世相とともにその生き様を鋭く、温かく描く経済小説の大家との認識から大きく外れた内容、また内容だけでなく筆致も何となく焦点が定まらないような感じを受けたのは私だけでしょうか?



著者にしては珍しく主人公に女性を据え、その女性の視線で物語を進めていることにその一因があるような気がしました。



女性をヒロインに据え、その視線で作品を描く男性作家の方はたくさんいらっしゃいますが、その代表格の渡辺淳一氏に言及すると、著者独自のデフォルメされた女性観での造形が違和感どころか嫌悪感を感じさせられることが多々あります(私に限ってですが)。




本書に戻りますが、そこに原因があるかどうか定かではないものの、主人公・素子や友人・ルミの造形が画一的で物語の進行も予定調和的で冗長な感じを受けました。



昭和61年というとバブルの足音が近づきつつあるという時代背景を鑑みると、友人に誘われたとはいえ一主婦がビジネスの世界に参画しようとする浮き足立った雰囲気にも納得できます。



このような主婦の危なっかしいチャレンジの物語ですが、その中でも時として城山氏の本領を発揮するようなビジネスに関する表現…友人・ルミを通して語られるビジネス界での成功を導くアイテムとして挙げたMNN…引き立ててくれる後援者の意のM(メンター)、人脈の意のN(ネットワーク)、話題性の意のN(ニュー スバリュー)などを読むと本来の城山氏に会えたような安心感が戻りました。



全体的には25年以上前に男性の目を通して描かれた作品という感じでしたが、ともあれ女性の家庭での役割や女性にとって人生の充実とは何かなどに一石を投じた作品ではありました。
  • URL:http://yaplog.jp/ashy_ashy/archive/690
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ひろひさん

☆コメントありがとうございます。

私が察するにきっとご兄弟で味覚障害があるのではないかと推察します。

>グルメ情報はレストランや居酒屋の場所やメニューを知るためのものと考えるべきでしょう。人の舌なんか当てにできません。

弟子の意見に賛成するのは忍びないのですがまったくその通りです!
我が家でも私の味覚は最上級に属するほど微妙な味も見分けられる確かな舌を持っているのですが、夫はというとどんなまずい料理を与えても黙々と食べるところを見るとかなりの味覚音痴であろうと思われますが、本人は自分こそ最上の舌の持ち主と思っているフシがあります。
フランス人も鈍感な舌で東京の高級割烹でトレビア〜ン(意味はわかりませんけどついフランス語だとこれが出てきました。フランス語でしょ?)などと肩をすくめながらミシュランえんま帖に★を並べているんでしょうね。

>いつぞやは失礼なことを書きましたが、デッキ以外にもテレビ、エアコン、空気清浄機、冷蔵庫、掃除機、ドライヤーなどなど、パナソニックをひろひはかなり使っております^^;

いつ失礼なことがあったのか記憶にありませんけどまねした電器をご愛用とのこと、どうせどこかのメーカーからこっそり技術を盗んだものにちがいありません。
これは元社員の夫が言っていることなので確実です。
February 19 [Sun], 2012, 19:22
紫苑さん

☆コメントありがとうございます。

このように気温の変動が激しいとついていくのに大変ですね。
お互い冬篭りで自愛して春を待ちましょうね。

そうですね。
100%信じているわけではありませんがまったく予備知識がないとき何かよりどころはないかとつい検索します。
お店そのものが発信する情報より口コミのほうが的確と思いますが、その口コミも操作されているとなると何を信じていいのか。
今回裏で操作する業者さんたちは請け負ったお店がお金を払うことでお店にとって売り上げにつながる好意的なコメントを書くというものでしたが、紫苑さんの知り合いのお店のように逆バージョンもあるはずですものね。
気に入らない同業者を心無い口コミで潰すということも可能だと思うと恐ろしいですね。
February 19 [Sun], 2012, 19:09
ひろひ
元々グルメの口コミなんかは信用に値するようなものではありません。
ブログにも書きましたが、この頃長兄は味覚障害があるんじゃないかと思われます。
美味しいフレンチの店があるというので、連れて行ってもらったのですが、まずいというか胃にもたれるというか、帰ってすぐ消化剤を飲みました。
こちらに味覚障害があるのかもしれませんね。
グルメ情報はレストランや居酒屋の場所やメニューを知るためのものと考えるべきでしょう。
人の舌なんか当てにできません。

電化製品の口コミもあって、粗悪なDVDに強いデッキはパナソニックが一番だったので我家の新しい録画再生デッキは全てパナソニックです。
東芝日立で再生できなくてもパナソニックは再生します。
いつぞやは失礼なことを書きましたが、デッキ以外にもテレビ、エアコン、空気清浄機、冷蔵庫、掃除機、ドライヤーなどなど、パナソニックをひろひはかなり使っております^^;
February 19 [Sun], 2012, 15:36
春は名のみ、身を切る様な風の冷たさですが、体調はいかがですか?
私は 気温が低く湿度が高い日は じんわりと骨が痛みます。薬を飲む程では有りませんが 身体の中が何か教えてくれている様な感じです。こんなときは 身体を温めて 湯たんぽを足元に入れて 眠る事にしています。

ネットが普及して 便利になりましたが、書かれている様に 心を痛める事も増えました。地元のお店:老舗を調べて見た時、以外にも心ないコメントがあって。お料理や器は素晴らしく、経営者もスタッフも長い付き合いでよく知っているので、ネットの功罪を痛感しました。それで 京都などでは 一見さんお断りの風習が有るのでしょうね。お店側にしても 迷惑な話です。知らない所で いい加減な事を書かれて。
あくまでも 参考という程度にしておくというのが賢明でしょうが、まったく予備知識がないと 頼りますね。そう言う心理につけ込んだ業者が出るのも しかたないですが。

どんな作家さんも 得意分野が有り、全ての作品に全力投球 と言う訳に行かないでしょうが、ある程度の高みに名前が出ている方でも ええっ!?とがっかりする作品って ありますよね。作家さん自身 その事に煩悶しておられるのかもしれないなぁ〜って 思う事にしました。以前 書かせていただいたWジュンイチ氏など。。。

今年は 梅の開花が遅れています。ご自愛下さい。
February 19 [Sun], 2012, 13:15
トコさん

☆コメントありがとうございます。
ご紹介いただいたURLを拝見してきました〜。
過去に拝見したはずなのに『本書を読んだ段階でもすっかり忘れて思い出しませんでした。
富に記憶力減退という感じで先が思いやられます。
トコさんのレビュー、あらすじをしっかり書いていらっしゃるのでとても読みやすいなと感じました。
私はあらすじを細かく追って書くのが苦痛です。
February 15 [Wed], 2012, 20:18
侘び助椿さん

☆再度のコメントを本当にありがとうございます。
やらせのニュースが流れる前から口コミ情報で買った商品がさほどでもなかったりホテルも疑問点いっぱいだったりという経験があります。
ネット情報は玉石混じっていることは十分踏まえているつもりですがついついよりどころとして頼ってしまうところがあります。

城山三郎さん、侘び助椿さんのお墨付きをいただいてますます安心して尊敬できます。
藤沢周平さん、吉村昭さん、城山三郎さんのお三方にはそういう共通点がありそうですね。
作家の作品と人となりは関係ないといいますが、いろんな情報やご自身のエッセイなどから見え隠れする人柄も私にとって重要です。
編集者にすべての資料を集めさせたり、出版社におんぶに抱っこで取材旅行と称して家族も同伴して旅行したり出版社の付けで銀座で飲み食いするという作家さんは知った時点で興ざめしてしまいます。
こういうのも文学とは関係ない偏った感じ方と思いますがつい批判心を抱いてしまう偏狭な自分です。

February 15 [Wed], 2012, 20:12
トコ
「本当に生きた日」のブログ、見つかりました。2008,7,19日にあらすじだけ書いています。「読書 5册」の中の一冊です。★マークのやり方がいまだ分からないので、URLを書きます。
  http://ttfuji.exblog.jp/7318575/
 
 よろしかったら覗いてください。
February 15 [Wed], 2012, 19:44
トコ
私のパソコンも、動きがのろく、もしかしたら風前の灯火かもしれません。デスククリーンアップとデフラグを続けてやってみました。空き領域は沢山あるのに、重たいのはなぜでしょう、とひとりごと言ってます。

城山氏の「本当に生きた日」、私も読みました。題名を見たとき、確か読んだ気がするけれど、どういう内容だったかしら、と思い浮かびませんでした。レビューを読んで、思い出しました。どこかに簡単な感想かあらすじが書いているはずですので、探してみますね。
February 15 [Wed], 2012, 19:10
侘び助椿。
 いえいえ。私はVINさんの世間知らずを指摘した訳ではないのです。だれしも初めての店に行くときは何らかの情報が必要です。グルナビに限らずどんな情報でも活用するのは理の当然です。情報を得ることは最小限の必要事項でしょう。グルナビを生かしている方もいるでしょうし、私はグルナビよりも実際にその店に行った方の一次情報の方を信用しているというだけの違いです。グルナビもやらせだけでなく、いい情報、本当の気持ち、情報も多いと思います。
 城山三郎の直木賞受賞作を「総会屋金城」と書いたのは「総会屋錦城」の誤りでした。
城山三郎は信じていい作家だと思います。本当に信じることができる作家は多くはないですね。
 私はVINさんが前のレビューで紹介された北森氏の作品を読んでみようと思っています。
 明日、図書館化かブック・オフに行ってみるつもりです。

 パソコンが正常に作動することを願っています。
February 15 [Wed], 2012, 18:23
侘び助椿さん

☆コメントありがとうございます。

食べ物の店だけでなくホテルや旅館など、ネット商品などかなり口コミに頼っている私ですけどこれも世間知らずのなせる業なんでしょうね。
侘び助椿さんのように行きつけの居酒屋があれば安心ですけど、娘たちが帰省したときくらいしか利用しないのでなかなか行きつけができません。
城山三郎さんや藤沢周平さんの作品、しっかり網羅されている侘び助椿さんと違って乏しい読書暦からのレビューなので読み込みも浅くて恥ずかしい限りです。
好きな作家さんといわれるだけあって藤沢さんも城山さんもよく読まれているのですね。
ご紹介してくださる対結城昌治談でも文壇の裏話、とても興味深く拝見しています。
お二人の評価が高い結城昌治さんは名前は知っているものの作品は読んだことがなく今度目にしたら読んでみたいと思いました。
それにしても佐高さんの紙芝居云々の司馬さんへのコメント潔いほど辛口ですね。

風前の灯状態の自分のパソコンで上述のようなことを昨夜書いてコメント送信したのですが、今日見たら反映されていなかったのでがっくり、再び打つ気がなえていました。
今夫のパソコンを借りて打っていますが、風前のわずかなともし火もついに消えてしまいました
February 15 [Wed], 2012, 15:57
侘び助椿。
 グルナビで意図的な書き込みをする業者がいることはかなり以前からして指摘されていたことですね。私は居酒屋大好き、というより、外で飲むときは居酒屋以外はめったにいかないのですが、グルナビに左右されることはまずありません。

 さて、城山三郎。「本当に生きた日」は未読ですが、私は直木賞を受賞した「総会屋金城」をはじめ、「官僚たちの夏」「毎日が日曜日」「秀吉と武吉」「役員室午後三時」「粗にして野だが卑ではない「無所属時間で生きる」などをそれぞれリアルタイムで読んでいます。城山は好きな作家です。
 余談ですが先日読んだ佐高信と高橋敏夫の対談「藤沢周平と山本周五郎」で、佐高が「城山は山本周五郎のファンだった」と発言していることで、またひときわ城山への親近感が増しました。佐高は生前の城山と気が合って、何回も対談しているので、直接聞いた話でしょう。そしてこの対談で二人とも城山や結城昌治を非常に高く評価しています。城山も結城も戦争体験があるのですね。城山は名古屋の少年飛行隊?でしたか。
 また、城山や結城と同じ昭和2年生まれの吉村昭は司馬遼太郎賞を選考段階で断っているのですね。佐高によれば「格が違うよ。紙芝居と一緒にされちゃ困るよ、と」。もちろん吉村が直接言ったことではなく、佐高流の解釈なのですが、正鵠を射ていると私は思います。
February 15 [Wed], 2012, 6:27
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平凡な日々を過ごせる幸せを実感できる年齢になった平凡な主婦、子どもたちも自立して夫と2人のスタート地点に戻っています。 「今日がいちばんいい日」を心に刻みながら他の人々のさまざまな人生を読書の窓から覗く楽しみを味わっています。
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