イタリアン・プログレ未満

February 05 [Sun], 2012, 16:14



去年の年末くらいからイタリアものをチェックしているのですが、有名なプログレグループやその前身グループのビート/サイケ時代が結構面白いです。

1、Quelli / Same (日本BMG BVCM-35448)`08
のちにPFMとなる、スタジオ・ミュージシャンとしても名高かったグループの、69年の唯一のアルバムにシングル音源などをボーナスで追加した、ほぼコンプリートコレクション。
60'sイタリアン・グループの定石どうり、ほとんどの曲がカバーか職業作家の作品ですが、演奏力の高さに定評があっただけあってなかなかシャープな演奏で、基本ポップな選曲だがカチッとした印象でなかなか楽しめます。
Hollies・Turtles・ミシェル・ポルナレフなどのほかに、TrafficやNiceなどのサイケデリックな系統のカバーを取り上げています。
Trafficの「Hole In My Shoe」のカバーは、中間の女の子のセリフもイタリア語でちゃんとやっているこだわりぶりが面白いです。

末期のシングルのメンバーの自作曲「Quattro Pazzi」はZeppelinのフレーズを拝借していたりして、当時制作上の自由をほとんど認められなかった中で、着実に新しい時代を見据えていた事を垣間見ることができる、そういう意味でのドキュメント的な内容とも言えます。

2、I Pooh / Cantaitalia (イタリアDuck GRCD 6239)`00
I Poohが66年からレコードをリリースしていた事を知ったのはつい最近なんですが、66~70年の音源は軽快で良質なサイケ・ポップで、ガレージファンにはきついですがサイケファンにはぜひチェックしていただきたいです。
これはシングルを中心に編集されたベスト盤で、「Piccola Katy」や「Goodbye Madama Butterfly」など主だった曲が聴くことができます。
ジャケットをのメンバーはなかなかのModなルックスで、プログレのイメージからするとびっくりしてしまいますが、ごく初期はWhoやSpencer Davis Group、そしてRascalsのカバーをやっており、その変遷の経過が気になってしまいます。
I Poohはもうちょっと集めてみたいと思っています。



3、New Trolls / Same (イタリアWarner Fonit 3984 26612-2)`99
4、 〃 / Singles A's & B's (イタリアMellow MMP 230)`94

New Trollsのビート・サイケ時代67~69年の音源は、この2枚と1stアルバムで揃います。
69年ごろにはほとんどプログレな曲もありますが、ややハードな演奏とイタリア的な朗々とした歌いっぷりのミスマッチが味わい深いです。
彼らはデビュー当初からほとんどがオリジナル曲で、今回紹介した3グループの中では最も恵まれた制作環境だったのかなと思います。

2枚とも結構前にリリースされたもの(3は91年盤の再プレス)のせいか音圧がかなり低いので、この辺の音源をまとめたCDを出して欲しいところです。



60年代のイタリアのシーンは、ちょっと日本と近い部分があって、レーベルサイドとの確執にドラマを感じます。
当面、メインのほうでイタリアものをいくつか取り上げて行きたいと思っています。

お気に入りの邦楽アルバム

January 11 [Wed], 2012, 14:27



ふう、やっと風邪が落ち着いてきました。
年末年始の関係でCDがなかなか届かないし、ちょっといらだった年始でした。

さて、今回はそのCDが届かない中で、何となく棚から引っ張り出して聴いていた、数少ない邦楽のCDを紹介します。
邦楽の上に、60年代でもないのでちょっと意外かもしれません(笑


1、杉真理/Stargazer (日本Sony MHCL1123)`07

「日本」って書かなくてもいいか(笑
83年にリリースされた杉さまのソロ3作目にして、僕の学生時代のひとコマのサウンドトラックと言える思い出深い1枚。
82年にグリコ・セシルチョコレートのCMで耳にした「バカンスはいつも雨」でファンになって、買いに行ったレコ屋で翌年にアルバムがリリースされる事を知って、それまでグッと我慢することにしたことが懐かしい(笑
それまでキョンキョンとかアイドルもののレコしか買っていなかったこともあるのですが、このアルバムを買った時は妙に緊張したものです。
まだ小僧だったからね(笑

当時このアルバムを聴いて衝撃だったことは、最初から最期まで流れるような楽曲の編成で、僕自身がアルバムを聴くという概念を最初に意識した作品だったと思います。
もっとも、当時はそういうことはよく分からずに、ただ夢中で聴いていただけですけどね(笑
ハズレ曲無しで全曲好きですが、「素敵なサマー・デイズ 」「内気なジュリエット」「懐かしき80’s」「スクールベルを鳴らせ! 」が超お気に入りです。

その後、CD時代を経て02年に2ndの「Overlap」との2イン1のCDを購入して改めて聴いたのですが、その魅力は色あせておらず、当時は分からなかった杉さまのマニアックな作曲やアレンジの妙にはしゃいだりして、再発見も多かったですね。
余談ですが、この年に偶然杉さまとちょっぴりお話できると言うラッキーなことがあって、当時「Stargazer」に夢中になった事を熱弁したことでまた聴きたくなったことがこのアルバムとの再会のきっかけで、杉さま自身からこのCDの再発を聞いて買いに走ったと(笑
杉さま自身によって呼び覚まされたことになります(笑

その後、紙ジャケでリリースされたものに買い替え。
基本的には紙ジャケは好きではないのですが、このアルバムは思い出深い1枚なのでこの仕様で持っていたかったわけです。

今になって思うのは、このアルバムを聴いていなかったらマニアックな方向に向かわなかったかもしれないと言うことで、それくらいその後Beatlesなどの60年代の音楽に手を出すことを示唆するサウンドだということですね。

あと、前述した「懐かしき80’s」を、あれから30年近くも経過して今聴くのは非常に感慨深いものがありますね。
まるでタイムマシンで当時に戻ったようなフラッシュバック感があります。

最後に、購入当時クラスメイトにこのアルバムを買ったと言ったら「なまいき〜!」とからかわれた事を書いておかなければなりますまい(笑
当時、杉真理のアルバムを聴くというのは、小僧には似つかわしくないオシャレな行為だったので、僕も「そうよね〜」って思ったものです(笑
少なくとも僕のクラスでは僕しか持ってなかったからね。
そのせいで多数の友人の間を渡り歩いて、なかなか手元に戻ってこなかったこともあったな、そういえば(笑

僕の学生時代で最も幸せだった時期にこのアルバムに出会った事を、とてもうれしく思います。



2、やまがたすみこ/サマー・シェイド (日本Vivid VSCD-3805)`07

やまがたすみこは完全に後追いなんですが、アニメ名作劇場の「南の虹のルーシー」の主題歌を聴いて以来、ずっと気になるシンガーでした。

近年になって、彼女がシンガーソングライターでいくつかのアルバムを残していることを知って、最初に聴いたのがこのアルバムでした。
76年にリリースされた彼女の6枚目のアルバムなのですが、それまでのフォーク路線からニュー・ミュージック/シティ・ポップ路線に変わった最初の作品で、リアルタイム世代のファンには賛否両論のアルバムだったそうです。
僕はこの「サマー・シェイド」以前も以後も今ひとつ(個別の楽曲だとまた話は違いますが)なじめなくて、結局これが一番好きです。

これ以前の乙女なフォーク路線からすると、かなりシックで大人っぽいサウンドに変化しており、かつての登りつめるようなハイトーンボーカルもかなり抑制をかけたしっとりとしたトーンになっていますが、個人的にはそこの所がお気に入りで、結局買い集めたやまがたすみこのCDの中で、唯一手元に残って愛聴し続けているアルバムだったりします。

そのしっとりとしたトーンの内容のせいか、疲れている時やまったりしたい時などによく聴いています。
しっとりとした中にあるメランコリックな空気に身をゆだねると、妙にリラックスした気分になります。

「白い桟橋」「琥珀色のスウィング」「青い径」「夏の光に」は絶品ですね。
じっくりと歌われた、じっくりと長く聴ける素敵なアルバムです。








クラウト・ロックにもいろいろ

January 01 [Sun], 2012, 19:00



こちらでもあけおめです。
今年ものんびり気ままにレビューしていきますので、気が向いたらよろしくお願い致します。

今まで聴いてきたものの範囲でのドイツものは、カバーが多くて単調でクソまじめな印象で、正直あんまりいいものがなかったので、近年はほとんど買っていませんでした。
東ドイツの方は別ですが(笑

さらに、「クラウト・ロック」というと、どうしてもCanやGuru Guruのようなグループをイメージしてしまって避けてしまっていました。
ま、それはある意味間違ってはいないのですが、ショップなどでの分類上「クラウトロック」として紹介されているビート/サイケものも、実は結構あるみたいだと言うことが今回分かりました。

というわけで、この年末に久しぶりにドイツ物を2枚購入したのですが、どういうわけか11年に購入したもので最も良かったものになりました。


1、Dukes / Same (Red Lounge RLR073)`10?

これはすごく良かった。
64年ごろから活動を始めたビート・サイケグループで、末期の71年にはブルース・ロック寄りになっていたようです。
アルバム用にレコーディングされたもののお蔵入りになっていた音源と、71年のライブ音源がボーナスで追加されています。
なぜお蔵入りになったのかさっぱりわけが分からないくらい楽曲(全曲オリジナル)・演奏ともに素晴らしく、ややスクエアでやぼったいものが多いドイツ・ビートものとしてはずば抜けてシャープでセンスがいいです。

残念なのは、アルバム未収録のシングル音源がボーナスについていないことで、個人的にはライブ音源を少し外してでも入れて欲しかったな。
実はすでにシングル音源を拾ってきて、そういう風に編集しなおしたCD-Rを作ったんですが(笑

ハズレ曲が皆無といっても過言ではないくらいの粒ぞろいなので、気になっている方はぜひ聴いてみてください。

近いうちにメインの方で紹介したいと思っています。


2、Improved Sound Limited / The Final Foreword (Long Hair LHC00020)

人を食ったグループ名とタイトル、そしてジャケットデザインが示唆しているように、非常にユニークなセンスと遊び心を持ったグループ。
映画やTV番組のサントラを数多く手がけており、ヘタしたらサントラの楽曲の方がグループ自体の音源より多いかも(笑
このCDは編集盤で、66〜70年のシングル音源と彼らが手がけたTV番組や映画のサントラ曲が収録されています。
このCDに収録された、69年のB級エロティックコメディ映画「Engelchen macht weiter-hoppe hoppe Reiter」のサントラ曲の一つ「Leave This Lesbian World」のタイトルに惹かれて購入したのは内緒です(笑

百合属性から離れるわけにはいかんvvvv

全体的にStackridgeに近いポップ&プログレッシブなサウンドで、非プログレ派の方でも楽しめると思います。
さり気な悪意さえも感じさせるような、イギリス人的なイタズラ心をサウンドに表せるセンスとソングライティングは特筆できると思います。

フランスだのトルコだの

December 22 [Thu], 2011, 16:43



こっちも放置したままになってた(笑
ネタは結構たまっているので、ちょっとずつ出していきます。


1、Les Goths / Rêve De Silence (ドイツShadoks 134)`11

ちょっと前にアナログで出ていたものがCDでもリリースされたので、すかさずゲット。
何でも、68年にシングル2枚だけしかリリースしていないグループだそうで、トリオ編成と言うのもあってかCreamやジミヘン、そしてK.エアーズ在籍時のSoft Machineの影響を感じさせるサウンドです。

基本的には悪くないし、R.ワイアットばりの手数の多いドラムはメッチャかっこいいのですが、ボーカルが弱くてギターのトーンやフレージングが妙に耳障りでワビサビが感じられず、また楽曲も悪くはないがもうちょっと煮詰めるべきだったのではと思わせる中途半端な印象です。
それでもボーカル曲はまだマシですが、インストはギターが耳障りで結構きつかったです。
クラプトンやジミヘンは弾きまくっていても、それぞれの味わいをじっくりと感じさせてくれますが、このグループのギタリストはトーンやフレージングが雑なんだと思います。
ま、この辺は個人の好みに左右されるかもしれませんが。

個人的にはもう飽きてきていたりします。


2、Cem Karaca / Kardaşlar & Apaşlar (Guerszen GUESSCD035)`11

Barış Manço・Erkin Korayとともに、60年代から活躍したトルコ・ロックの3大怪人(笑)の1人の、73年にリリースされた1stアルバムのリイシュー。
とはいうものの、BarışやErkinの1stと同じく、それまでのシングル曲から選曲した内容で、厳密な意味でのオリジナルアルバムとはいえないかもしれません。
全体的に演歌っぽいボーカルなせいもあって、ちょっと地味な印象でした。

個人的には67~69年のApaşlarをバックにレコーディングしたものと、時々シングルのB面に収録されていたApaşlar単独のインスト(切れ味良くてかっこいいです)をまとめたものをリリースして欲しいですね。

トルコ60’sのご多分に漏れず、マスターが残っていないでしょうから、状態のいいアナログを見つけるのが大変でしょうけどね。




すっかり看板作品になって

November 28 [Mon], 2011, 16:30


残念ながら、このブログでマンガを紹介してもさっぱり反応がないのですが、それでもやはりいいと思ったものは自分なりに紹介したいので、これからも読みログの方も続けます。


やさしいセカイのつくりかた 2巻 / 竹葉久美子著 (電撃コミックス)

ちょうど1年前くらいに、岸田メルさん画の素晴らしい表紙に惹かれてつい買ってしまった、見知らぬコミック誌「電撃大王Genesis」がきっかけで出会った作品なのですが、気がついたら追いかけ始めてもう1年、季刊から隔月誌になった今やすっかり看板作品に。

悠・葵・ハルカの3人のそれぞれの状況を中心に、時にそれぞれが微妙に絡んだりという展開なのですが、まだ季刊から隔月に変わったばかりなので話がまだ序盤からでておらず、話の展開が進むのは3巻以降になりそうです。
この2巻では主に葵(ピンクの髪の子)のことが描かれています。

もともと話のトーンが分かりにくい面があるのですが、今分かる状況からすると、ハルカ(金髪の子)が取り残されてしまうような気がしないでもありません。
そこら辺をどうまとめていくかも、作者さんの腕の見せ所ではないかなと期待しているところです。
登場人物中、実は最も純真な乙女のハルカが出ると、この複雑な内容の渋い作品が華やぐしね。

オマケで収録された番外編で、ハルカが見た目通り「おっかないギャル」と同級生に思われている場面があって笑ってしまいました。
もう一つの番外編も本編にはあまりないとぼけた要素のある話で、世界中で酔っ払いがあのカーネル人形をどれだけ拉致っているのか、思わず想像してしまいました(笑


Genesisのような、新人作家やあまり一般的にはメジャーとはいえない作家の作品を取り上げる雑誌の存在は、今までに出会ったことのないタイプの作品・作家を知るきっかけをくれるので、個人的には非常にありがたいですね。

次回紹介するのも、最近Genesisで知った作家さんの作品です。

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