第1話/桜 

January 22 [Sun], 2006, 15:09
人は誰かのために生まれてくる・・・


誰かがその人の魂を必要としているから生まれてくる・・・


おばあちゃんはそう私に教えてくれた・・・


・・・・・

「じゃあ、源川 遠矢!!」

「はい!!」

私は源川 桜。今は私の大嫌いな数学の時間・・・。
大好きなのは横にいるこいつ・・・

双子の遠矢だけ。

「おい!!桜!」

「なによ!」

「"なによ!"じゃね〜よ。次、お前だぞ」

「へ?」

遠矢に言われて黒板を見ると教科担任がチョークをコツコツと黒板に当てながらお前だよと言わんばかりに私を見ていた

実は順番に答えるということであてていたらしい・・・

「答えろ!!」

「え〜と・・・34」

「正解だ!!でも授業聞けよ!!」

・・・・あ"っもう・・・みんなは"双子なのにこの違い"という目で私を見る・・・


だから・・・嫌なのに!!

第1話/桜2 

January 22 [Sun], 2006, 15:26
・・・

「じゃね。桜」

「うん。ばいばい葉子」

放課後。部活を終え、私は家の前で親友・冴草葉子と別れる

「ただいま」

「あら、お帰り。さぁちゃん。今日はバイト?」

「うんうん。休みだよ」

玄関で出迎えたのは私の母・羽香。

「遠矢は?」

「とぉくん?勉強してるわよ」

「帰宅部はいいよね」

「さぁちゃん。今日もまた、言われたんでしょ?」

「あのばか。しゃべったの?!」

「ううん。お母さんのカンよ」

「じゃあなんでわかんの?」

「それは母だからかな♪」

「えっ・・・」

「もうすぐ18時半だからごはんよ。早く着替えてきて」

「・・・うん」

母の天然パフォーマンスでその場は切り返されてしまった


階段を登り、つきあたりにある自分のへやに入ろうとした時、遠矢に呼び止められた。
相変わらず憎たらしいメガネ野郎である

「桜。お前最近変だろ・・・」

「はぁ?んなわけないでしょ!!」

「おばあちゃんに言われたこと気にしてんじゃ・・・」

「なんのことよ!!」

「双子はどちらかがどちらかを必要としているってことだよ」

「ああ・・・それ」

「俺は完璧だから。お前はいらねぇとか思ってんじゃないだろな」

「あはは。んなわけないでしょ。双子は2人で一つとして生まれてくんだから。あんたが完璧じゃないってことはあたしが一番良く知ってるじゃん」

「なら、いいけどさ・・ごはんだからな。早く着替えろよ」

「うん」

・・・
パタン
私は急いでるそぶりで早々と部屋に入る。

・・・遠矢に言われたことは図星だった・・・

私のおばあちゃんはいわゆる巫女の家系の人で人の生命を語るのだ。

私はおばあちゃんに去年言われたことを気にしていた。

おばあちゃん曰く女は15歳になると魂の縁が分るらしい・・・




第1話/桜3 

January 22 [Sun], 2006, 16:26
・・・・

それはお正月に祖母の家に行った時だった

「桜は今15歳だよね?」

「そうだよ。高校生だけど。歳は15」

「女は15で縁が見えるんだよ」

「えにし?」

「縁。運命ってわかるだろ?」

「うん。運命はわかるよ」

「運命は縁があってこそ成り立つんだよ。赤い糸の伝えもそれからきてんだよ」

「ああ・・小指のやつでしょ。知ってる」

「女は縁が15歳になったら見えるようになるんだよ。つまり、赤い糸がね」

「じゃあ"運命の人"が見えるってこと??」

「それは違うよ。縁って言うのはいろいろあってね、"家族"、"他人"、"魂"で大きく分けられる。まず、家族は血のつながりだね。他人は社会での人との関わり。そして、魂。これを人は宿命とか呼ぶね」

「宿命?」

「逃れられない運命のことだよ。初めからレールが敷かれた列車みたいな感じかね」

「ふぅ〜ん」

「縁はこの3つと関わっていてね、縁によって人はその人生を歩むんだよ。人は前世で必要とされた人のもとに生まれてくるんだ。運命の出会いっていうのはそこで成り立つんだよ」

「じゃあ、おばあちゃんも・・・」

「そうだよ。私はおじいちゃんに必要とされたんだ」

「じゃあ・・・双子の場合は?」

「縁の考えでは前世で深いつながりがあって離れられなかった魂が双子として次の世に生まれることになっている」

「じゃあ・・・あたしは遠矢に必要とされたってこと?」

「そうだね。双子は魂の再建の意味もこめられていてね、双子によって縁は書き換えられているという説もあるんだよ」

・・・

その時私は期待していたのに・・・

遠矢は私を必要としていない・・・

私は・・・

第1話/桜4 

January 22 [Sun], 2006, 16:51
トントン
「桜?ご飯だぞ」

私は遠矢の声で我に返る・・・まだ制服のまだだった。

「開けるぞ」

かちゃ
「遠矢・・・」

「なに泣いてんだよ・・・電気もつけないで・・カーテンも閉めろよ・・」

そう言うと私にティッシュ箱を渡し、カーテンを閉めてくれた

「あのね・・・本当はすっごい気にしてて・・・」

「わかってるよ。俺たち双子だろ。お前が俺のこと分るんだったら俺だって分るんだよ。だから泣くなよ」

「うん・・・」

「気にすんなよ。俺はお前が必要なんだからな。それでいいじゃないか。な。」

「うん」

「あ"っ〜こんなセリフは彼女に言いたかった〜」

遠矢は一人でドアにもたれかかってへこんでいる

「そうだよ!!あたしだって彼氏に言われたかった!!」

「ははは。それだよ。桜。それがお前なんだから」

「おう!!わかったよ」

・・・

その日私は自分の幼い頃の夢を見た

やんちゃな私は遠矢をひっぱって公園に出かけた

いつもは家にいることが好きな遠矢はふだんはおとなしいのに・・・

その日は違っていた。

年上のガキ大将にけんかをうられた私はピンチに陥った・・・

「桜は僕が守る」そう言ってできもしないけんか・・・

もちろん結果は遠矢の負けだが、泣かなかった。

その日私はこの自分と同じ顔の兄弟を始めて双子と認識した・・・

・・・・

「源川!」

「源川桜!」

「はい!」

「桜。頑張れよ」

「おう。まかしとけ」

私はこいつと双子でよかったと思う・・・

第2話/夢 

January 29 [Sun], 2006, 16:23
辺りには霧が立ち込めている

「・・・おい!!聞こえるか?」

誰?聞き覚えのあるような・・・・



・・・
前世の魂は夢の中で記憶を書き換える・・・今の魂の持ち主の未来を案じるように・・・
だから人は見たことがない景色を夢で見ることがある・・・・


・・・・

「ん?」

私が目を開けるとベットの横に遠矢が立っていた


「桜〜起きてるか??今何時だ?」


「う〜ん・・・」

私は眠い目を擦りながら枕元にあるめざましに手を伸ばす


「えっ・・・!?ええ!?」

「今からだと遅刻だぞ」

「も〜どうして起こしてくれなかったのよ!!」

「何言ってんだ。何回も起こしたんだぞ」

「ちょっと!!出て行ってよぉ〜着替えるんだから」

「はぁ?誰も胸なしなんて見ないって」

「お黙り!!」

私は遠矢に向かって枕を投げた

「もぉ・・・いい夢だったのにぃ〜」

・・・あれ??なんの夢だっけ??

・・・・いい夢だったら覚えてるはずなのに・・・・

第2話/夢2 

January 29 [Sun], 2006, 16:25
・・・・

「桜!!」


「なっなによお姉ちゃん…」


「なにボーとしてんのよ」


夕飯の食卓でいつの間にか考えごとをしてしまったらしい


私の向いの席に座っているのは姉の牡丹。
京東中央図書館に勤めている。

「遠矢〜桜がおかし〜い〜」

「なんだよ。姉ぇちゃんその昔のギャルみたいな話かたは・・・今は22世紀だぞ」

「だって昔の文献調べてたらあったんだもん。昔の人は想像力豊かだよね〜ほんと」

「なんか昔の人ってみずかみたいじゃない?」

「どうした?桜、回復か?」

遠矢はからかってくる

「・・・ふと思っただけだよ」

「確かにね。あの子は変だよ。もう8年も一人の人を思い続けてる・・・」


お姉ちゃんは遠いまなざしでそう言った・・・

なんだか私の最近の悩みを悟ったかのように・・・

第2話/夢3 

January 29 [Sun], 2006, 16:27
・・・

「夢?いきなり久しぶりに会ってそんなこと聞くの?桜ちゃん」

次の日・・・日曜日だったのでいとこの小百合を誘ってお茶をした

「だからさぁ〜あんた本読むの好きでしょ?こんなことには詳しいかな・・・って」

「確かに本読むのは好きだけどさぁ・・・夢か・・・ところでどんな夢なの?」

「夢の中の自分は誰かに呼ばれるの霧の中で」

「うんうん・・・」

「聞き覚えがある声なんだけど分らないの」

「・・・う〜ん・・・それはもしかしたら前世の記憶かもね」

「そうなの?」

小百合は人差し指を立て真剣な眼差しで答える

「断定はできないけどね」

「じゃあ・・・私にも彼氏ができるか夢でわかる?」

「えぇ!?なんなのいきなり」

「なんかさ。街とか歩いてるとさ男が寄り付かないのよ遠矢のせいで」

「あはは。それは遠矢ちゃんも同じじゃない?」

「そうかな?」

第2話/夢4 

January 29 [Sun], 2006, 16:29
「まぁ二卵性だからね・・・そっくりな双子じゃないから街ではカップルに見えるんじゃない?」

小百合は「しょうがないんじゃない」とため息をつきながら答えた

「嫌ぁ〜それはぜったい」

「・・・なにがだよ」

「あっ遠矢ちゃん」

いつの間にか遠矢が私の後ろに立っていた

「だから〜遠矢ちゃんはやめろって」

「なんであんたがいんのよ」

「なんでじゃね〜よ。姉ぇちゃんが見てこいってしつけぇんだよ」

「なんで?」

「姉ぇちゃんが桜はなんで悩んでるか当ててみな!!とか言ってきて、しらね〜って答えたら。行ってこいって・・・GPS使ってここに来たんだよ。ほれ」

遠矢は小さな茶色い袋を私に差し出した

「なに?」

「しらね〜よ。姉ぇちゃんが持ってけって」

がさがさ

「なになに?」

小百合は楽しそうに袋を見つめている

「なっ・・・」

中身は本・・・

「なになに・・・「男を捕まえる10個のテク」?」

「なんじゃこれ〜」


「あはは。牡丹さんすごいね」

「ほんとだよ」

「いらんわ〜こんなもん!!」

「なんかおまえ喋りがみずかみたいだぞ」

「えっ・・・」

第3話/子供 

February 05 [Sun], 2006, 15:15
「ねぇ〜桜ちゃん」


「なぁに?遠矢ちゃん」


「桜ちゃんは大きくなったら何になりたいの?」


「えっ〜と。あのね…だよ」



私は将来何になりたかったんだろう…



「桜ちゃん。みてみてw」

私の方を見て「にぃ〜」と抜けた歯を見せるこの子は我が家のお隣りさん"台東(たいとう)家"の長女・智捺(ちなつ)。

6歳になる彼女はいわゆる歯の生え変わり時期。私にいつも見せに来る

「智捺。また抜けたよね」


「うん。ママが大人の第一歩だって。」

無邪気なその瞳は私の幼き頃の記憶をよみがえらせる

・・・・私は何になりたかったんだろう

現在私は高校生・・・"将来"を決めなければならない

・・・

「はぁ?」

「お姉ちゃんは司書さんでしょ?どうして?なりたかったの?」

「そうか。桜も将来の選択か」

姉はそう言って私が大人に近づいた時はいつも頭をなでてくれる

私はこの行為がいつも嬉しい。でも遠矢は13歳のある日拒んだ

・・・

「幼稚なんだよ。桜は」

・・・

「なんで嫌なの?」と聞く私に遠矢はそう言った

・・・私はまだ子供なのか・・・・

第3話/子供2 

February 05 [Sun], 2006, 15:25
・・・・

「ん?」

朝、目が覚めると横に遠矢が眠っていた

「桜ちゃん。おはよう」

むくっと起き上がった私と同じ顔は私に優しく笑いかけた

「起きないと遅刻だよ!!」

枕元にあるアヒルの時計を指差して遠矢は答えた

「どこに?」

「何言ってんの?!幼稚園だよ。ねぼけてちゃだめだよ」

カチャ

「二人とも!!起きた?」

そういいながら姉が起こしにきた

・・・・これは幼き頃の記憶・・・

私が夢を語った頃の記憶

・・・・

「桜ちゃん。桜ちゃん」

気が付くと私は台東家にいた

「どうしたの?智捺」

「智君がね泣きやまないの」

"智君"とは智捺の弟。智也、3歳。今日は両親がいないから子守りを手伝いに来たのだ

「うわ〜ん」

泣きじゃくる智也の姿は幼き日の遠矢にそっくり。
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