梨木作品 2冊

February 19 [Sun], 2012, 12:36
高熱が引いた入院生活後半。
起き上れるようになったので読書がはかどりました。
遅読の私でも、日がな一日読んでいれば
一日一冊読めるものだなと妙に感心もしたのです。

日常生活の中で後回しにされていた小説。
その中で最近精力的にお仕事されている、
梨木香歩さんの作品を2冊続けて読みました。



「僕は、そして僕たちはどう生きるか」
理論社 2011年4月初版


以前にもまして自然志向の強まる彼女の作品。
この本も動植物が物語の中に息づいています。

主人公が14歳、そして冒頭ののどかな雰囲気に、
最初はタイトルの重みに首をかしげていました。
ところが、少年たちのある一日の描写の中で
驚くべき事実が明るみになり…

読み終わる頃には、本の装丁からタイトルから
しげしげと眺め、深い感慨に浸ることになります。
物語自体はすごく淡々としています、それは確か。
そしてそれは、私たちの日常にとても近しいとも言えるのです。





「ピスタチオ」
筑摩書房 2010年10月初版


今までも深められてきた、人の在り方を探求する物語。
前出の小説の一つ前に出版されたお話ですが、
こちらは日常と非日常が絡み合うような魂をも追及する作品。
物語は一人のフリーライターである女性を中心に、
日本とアフリカのウガンダを舞台に思わぬ展開を見せていきます。

エッセイ「渡りの足跡」も併読すると、
彼女の鳥への鋭く深い洞察も相まり面白いです。
アフリカの伝統医の話や紛争の続くウガンダという国(周辺)。
知らなかった現実までが鮮やかに展開するフィクションです。


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thank you for coming!

「わたしを離さないで」

October 23 [Sun], 2011, 21:30


「わたしを離さないで Never Let Me Go」
Kazuo Ishiguro=著 土屋政雄=訳 早川書房(単行本)



いつも素晴らしい一冊をプレゼントしてくれる友人がいて、この本も彼女からの贈り物の一冊。
小説は2006年が初版で、私はもちろん贈られてから数年経ってからやっと読み始めたことになる。
当時から今まで、大変話題になった作品のようで、今年の9月末には映画化されたDVDが発売になったばかりの作品だ。
(これ、たった今アマゾンで知った情報^^;)

正直に言って、ここまで冷静な筆致で平らかに進んでいくお話をこんなに短時間で読み進めたことはないかもしれない。それも翻訳もので。
そのくらい、読者の興味を尽きさせず、ラストまで運んでいく手腕は見事だし、知りたかった謎解きのようなものが明らかになった後、不思議なことに読者である私の意識は既にその謎解きにこだわっていないのだ。すごいと思う。
ゴールであったはずの場所を超えて、私の意識はもっと大きくて深い場所に運ばれていた。

謎、と言ったけれど、読み進めていくにつれ、読み手は物語の奥に背景のように広がる不可思議な世界に気づく。
そして、そのうすらぼんやりした背景を徐々に明らかにしていくわけだけれど、私は今回、意識してネットなどで作品について検索することをやめた。そして、それは私にとってはとてもよかったと思う。
未読の方や映画について知らない方には、是非、未知のままこの本を手に取ってもらいたいと思う。
なので、今回はあえてアマゾンへのリンクは付けなかった。
これは・・・知ってて読んでいたら・・・どうだろう。
これだけの物語だし、素晴らしい翻訳だから魅力は褪せないと思うけど。

誤解を恐れずに言うと、村上春樹さんの小説と似ている、と私は思った。
物語の構成やら語り口やらが似ている、というのではない。
想像の世界を現実の世界に、その境界線を完全に消し去って溶け込ませる能力が。
心がその世界に浸りきっていることに、読者に気づかせないところが。


読み終わって初めて、映画化されていたことを知ったわけだけど。
まずDVDのジャケットにやられた。
私の心の中に焼き付けられていた物語の風景と不思議と重なり合い、なんだか泣きそうになった。
原作と内容が多少異なるのは仕方のないことと割り切り、是非見てみたいと思っている。


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アルケミスト 夢を旅した少年

January 20 [Tue], 2009, 22:36

「アルケミスト 夢を旅した少年」
パウロ・コエーリョ著 / 山川鉱矢+山川亜希子=訳 / 角川文庫



羊飼いの少年サンチャゴが、ピラミッドに眠る宝物の夢を見たことがきっかけで、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向け旅立つところから物語は始まる。

彼の出会う人々、出くわす物事、彼の周りに生じる事象。
すべての物事はやがて彼の中で結ばれ、大いなる魂と一つになる。

物語に浸りながら、すんなりと、この世の単純明快さやそれ故の深淵さを見つめている自分に気づく。

「夢を旅した少年」とは、なるほど。
読み終わって改めて表紙を見ると感心した。
サンチャゴの旅は不思議な夢を見たことから始まった。
でもサンチャゴは実際に旅に出ることにより、夢が夢で終わることはなく、自分を取り巻く宇宙の法則を(裏表紙のあらすじの言葉に代えれば人生の知恵を)身をもって得ていくことになる。

シンプルで率直で、温かくて愛に満ちている。
彼が最後に出会うことになる錬金術師(アルケミスト)だけでなく、彼を導き支えるすべての人物や現象の存在は、そのまま読んでいる私たちへ映り込み、どんなにか心強い心持にしてくれることだろう。
幾度も物語の中で繰り返される「前兆」という言葉。
前兆を受け止められる存在でありたい、と素直に思った。

「何かを強く望めば
宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」
(裏表紙あらすじより、本文の言葉)


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芋たこなんきん

August 31 [Sun], 2008, 0:24

NHK連続テレビ小説「芋たこなんきん」(上下巻)
原案:田辺聖子 脚本:長川千佳子 ノベライズ:丸山智子
講談社/単行本/各¥1,365-



一. 当時ご覧になっていた方、より一層味わい深く楽しめます。

二. 見逃した回が多かった方、まるでテレビを見ているかのように楽しめます。

三. まったく見たことがない方、泣きつ笑いついつの間にか田辺ワールドにハマるでしょう。


かく言う私は、二番でした。
なので、一と三はあくまで読後の想像です。アシカラズ。

初めの頃こそ何とか再放送などを見ていたんですが、忙しさにまぎれ最終回だけ何とか見れた程度。
本当にテンポよく、でもゆったりした間合いもあり、絶妙なドラマでした。

昭和40年代の大阪を舞台にした、田辺聖子さんの自伝的なフィクション。
主人公町子を演じるのは藤山直美さん。
後に町子の夫となる健次郎には國村隼さん。
本当に大好きな俳優さんです。
この二人の掛け合いが、ドラマでは最高で。
夫婦の間で交わされる関西弁のやり取りはとても魅力的でした。

しかし!
このノベライズ本では、そんなあうんの呼吸の掛け合いが息づいています。
かつ、小説ならではの行間に漂う雰囲気もあり。
ドラマや映画の「原作」は読んだことがありましたが、ノベライズ本はほぼ初めて。
なので比較検証できませんが、ノベライズの完成度がとても高いように思います。


町子が嫁いだ健次郎の実家には、舅・姑・小姑の他に、亡くなった妻との間の5人の子供(!)がいた。
一気に九人家族の大所帯に入った町子の、家事、育児、作家活動に奮闘する毎日。
そこで次々と巻き起こるハプニングに、明るく逞しくぶつかっていく彼女の愛すべき姿がある。
それと交差するように、戦前の町子の少女時代も描かれ・・・


人と人との愛のある結びつき、家族との心通い合う時間。
日常の何気ない風景の中に、懐かしくほのぼのと心温まる情景が広がる素晴らしい作品です。
田辺さんという人は、つくづく人を愛している方だと強く感じました。

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livedoorブログ(旧DRECOM)「青色図書館」よりお引っ越ししてきました。
ゆったり更新で、ささやかな感動を言葉に乗せます。
日本語の言葉を出来るだけ大切に、丁寧に綴っていきたいなぁと思っています。

2009年7月から始めたヨーガ療法士の養成講座もとうとう今年卒業!自分の健やかさを求めてスタートしましたが、今は指導も出来るよう頑張っています♪

現在は両親と弟と暮らしながら、妹とその子ゆづ(甥)との生活も楽しんでいる、探究心旺盛な毎日です^^
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