はてさて 

February 11 [Sun], 2007, 17:32
3、4年前まで使っていたヤプース
そのヤプースから、サービスを終了する旨のメールが来た。
ヤプースとの出会いは憧れの人が使っていたのをマネした、それだけ。
(その人のあの日記も消えてしまうのね

記事が消えるのもヤプースが使えなくなるのも別に大したこととは思われなかったけど、
なんとなく過去の日記を読み返してみた。
そしたらその頃の自分にしか抱けなかった感情がその頃の自分だけの言葉で書かれていて、正直、消せないと思った。
貴重な記録。せっかくだからヤプログにインポートして残しとこう!
ということになったのでした。

というか、日記を書くきっかけになったあの人の日記をなんとか残せないものだろうか
とても素敵な日記だったのになあ
今でもコッソリ読んでるの

涙担当 

July 11 [Sun], 2004, 4:29
部屋に雨の匂いが充満し、じきにぱたぱたと窓を叩く音。
僕は窓を閉めてエアコンのリモコンを探した。
スイッチを押す時以外、その存在を忘れ去られるリモコン。
使ったらそのへんに放り出してしまうからいつも探すはめになる。
またありえない所にあった。本棚。
溜め息をついた時、携帯が鳴った。


彼女が泣く原因はいつも同じで、僕はいつもの居酒屋で彼女の愚痴を聞く。
向かい合って、彼女が口にする不安を片っ端から解消していくのが、僕の仕事。
それに関してもう僕は堂に入っていて、たいがいのことは即答で片付けられる。
彼女の方もそれで納得する。
内容に意味なんか無いからだ。
その証拠に彼女は同じ悩みを1ヵ月おいて繰り返したりする。
ただ、僕に慰められることが必要なんだと思う。

僕は彼女の腫れた瞼やテーブルの上の無防備な指を見る。
首のところで揺れるピアスとか鎖骨の線とか。
そういうのを見ていると息が苦しくなる。
何年経ってもこんな風だ。
最初からずっとこうだ。お互い彼氏彼女ができても変わらない。

「ごめんね」
と最後に彼女は必ず言う。
僕にはわかる。
彼女はこんな風な僕らの関係が一方的すぎると罪悪感を感じている。
そしてそう思いつつも、いつ呼び出しても僕が出てきて話を聞くこと、僕が決して彼女を拒否しないと確認することで自分の中の何かを慰めている。
そういう傲慢さもまじった「ごめん」。

「謝ることじゃない」
と僕は言う。
それは本音だ。
僕にだって彼女の愚痴を聞くこの会が必要だから。
彼女の涙を拭うのは僕だけの仕事で、それを思うと優越感がどこかに灯る。
それは彼氏に対してなのかもしれないし、彼女自身に対してなのかもしれない。
インディージョーンズとかでありそうな、洞窟の奥の祭壇か何かの炎が壁にちらちら映っている感じ。
この先に何かあるんだという高揚と怖れ。


帰り道、いつものように僕は彼女を家まで送る。
雨は上がっていて湿った涼しい風が僕らの髪を揺らした。
僕はふざけて傘を差して彼女と相合傘した。
彼女は最初呆れていたが、僕の傘の穴を見つけて笑った。
「ここから星が見えるよ」
彼女はそう言って立ち止まったまま傘の穴から空を見ていた。
僕は彼女を抱きしめたかった。
そうしてもいいような雰囲気だった。
でもそうしなかった。


僕はどこまでも涙担当でしかいられないと思った。

やば 

May 16 [Sun], 2004, 2:33
もしかして
私は
メールを待ってる?


それだけは嫌っ
そんなのだめだっ

4月28日 

May 06 [Thu], 2004, 0:37
一人でいるのは気楽だし好きだけど
ずっと一人でいると、本当に体が透明になっていってしまう気がする。
そのまま空気にでもなれたらもっと楽なのかもしれない。

だけど人以外のものになるつもりは、今のところない。


行く春や鳥蹄き魚の目に泪

じめん5 

May 02 [Sun], 2004, 2:40
どうして生まれてきたんだろう。
どうして辛いことがあるんだろう。
アカネは死ぬことばかり考えていた。
世界は灰色のグラデーションだけでできていて
どんな音も四角い箱の中で虚ろにこだまし、アカネの耳には届かなかった。

忠也の部屋の帰り、電車の中で見た空が、生まれたばかりのようなみずみずしい空色で
開店したばかりの花屋は美しい香りと色の溢れる輝かしい家に思えた。
そんな世界に心底驚いた。
そして朝ご飯の味噌汁の匂いで、台所に立つ忠也の背筋を思い出した。
窓から入る朝日の逆光で黒く浮かんで見えた後姿。
話す時に指を組む癖。


すべての朝は忠也から明けて、すべての夜は忠也を最後に降りるのだ。
平凡な忠也の個性すべてが誰よりも特別で、それが磨かれようが損なわれようが
アカネにとっての忠也はなにひとつ変わらず忠也だった。


「忠也についての全部を愛してるよ」
その小さな呟きはしかし、すぐ隣にいる忠也の耳に届いた。
顔をアカネの方に向けると、その目には涙が溜まっていた。
「忠也は地面なんだよ」
瞬きと一緒に涙がこぼれる。
「その上に雪が積もっても、海に沈んでも、花が咲いても
その全部を愛せるよ」
そう言ってアカネは忠也の胸に顔をうずめた。

じめん4 

May 02 [Sun], 2004, 2:38
「どうして?」

ドアを開けて目の前に立っていたアカネを見つけて、
そのアカネが当たり前みたいに部屋に上がって忠也のソファに座り
「これ」と言って突き出したのは、
2週間前に彼女がこの部屋から持ち出したのと同じ金額のお金だった。
ばかみたいにアカネの前に突っ立っていた忠也が、やっと言えた言葉。
「どうして?」
どうして戻ってきた?

アカネは少し恥ずかしそうに微笑んで
「それ、盗んだんじゃないよ。ちゃんと働いたお金だよ」
と言った。
実家(といっても実の家ではないけど)の花屋で手伝いをして貰った金だった。


帰ってきてごめんなさいと言ったアカネに、義理の両親は涙を流した。
元より上手くいかなかった原因はアカネの閉じた心にあったため、
両親とは今はぎこちないなりに、なんとかやれている。
学校にも毎日通っている。
そして家業を手伝ったり、こうして忠也の部屋に入り浸っている。

そのように、曲がりなりにも普通の生活に適合できているのを
アカネは忠也のお陰だと思っていた。
忠也の部屋にいた時、彼は優しかった。
アカネは無口にしていたので、忠也は殆ど何も聞かず、自分の話をした。
自分の国籍のこと、学校のこと、小さい頃のこと。
その穏やかな口調や真っ直ぐで誠実的な考え方や、アカネに対する真摯な態度に
いつも安心していられた。
アカネは誰かに心を開くのが怖かった。
何かに期待をして、裏切られるのが怖かった。
アカネが忠也の金を持って家を出る時、彼が起きていたのを知っていた。
泣きながら電車に乗った。

じめん3 

May 02 [Sun], 2004, 1:57
バイトを終えてファミレスを出ると、すぐ脇の路肩に華奢な女の子が座り込んでいた。
膝の上に顎を乗せてぼんやりと前の地面を眺めていた。

普通の時間だったらきっと忠也も素通りしたことだろう。
しかしそれは深夜の3時だった。
そのあたりは人通りも少ないし、痴漢が出るとか引ったくり事件だとか、
割と物騒な印象だった。
だから一応、声をかけた。
気分が悪いのかもしれない。

すんなり付いて来たので、もっと不安になった。
変な男につかまらなくてよかった。


アカネがそのことを「会わなかったら死んでいた」と言うのは大げさだと、忠也は思う。
誰だって家に帰る金がなくなって困っている高校生がいたら手を差し伸べるだろう。
別に自分でなくても誰かが助けていたのだ。
だから忠也は、それを言われると少し、寂しくなる。

「でもあたしを助けてくれたのは忠也なんだよ」
とアカネは言う。
「あたしは誰かが誰かを助けるっていうのは、そういうものだと思うの。
『誰でもそうした』としても、実際そうした人が大切なの」
真剣な目で見つめられると忠也の心臓が、音が外に聞こえそうな程運動し始める。
「じゃあ違う誰かとこうしていたかもしれないんだ、アカネは」
忠也が言うと、アカネは溜息をついた。
「そうじゃないってば」
そして仰向けに寝転がった。

じめん2 

May 02 [Sun], 2004, 1:11
忠也は日本人ではなかった。
両親はそれを必死で隠し、使う苗字も日本人らしい偽名、
今まで通った学校でも日本人という事になっていた。
生まれた時から日本で育って日本語しか話せず
国籍のある国のことは周りの日本人程度の知識しかない。
それにずっと違和感を持っていた。

だから高校を卒業してからは隠さないと決めた。
そして静かに差別を受けながら生きてきた。


アカネはバイト先、ファミレスの客だった。
24時間営業のファミレスは家に帰りたくない時のアカネの避難所だった。
忠也は接客をしないのでその存在を知ったのもアカネを家に入れたもの全て偶然だった。

人と接するのが嫌いな家出高校生には当然のこと、所持金に乏しく
ファミレスにいたところで最低限のものしか口にできないものだから
忠也と出会った時のアカネはひどい有様だった。
ガリガリで目はギラギラで、その上他人に始終ビクビクしていて、
まるで捕われた野生の肉食動物のようだ、と思った。

簡単に言えば、忠也はそんなアカネを拾って何日か家に置いた。
その間もアカネは忠也に心を開かなかったし、もちろん体の関係も無く、
最終的には家にあった現金を持って逃げられた。

それでも、忠也は仕方ないと思った。
ぽつぽつとした話の中から、アカネの現状をなんとなく分かっていたし
誠心誠意尽くしたがアカネの信用を得られなかったんだと、そう思った。
がっかりもしたけれど。

じめん 

May 02 [Sun], 2004, 0:00
部屋の中はテレビのあかりだけ。
ベッドに面した壁がその光に照らされてぱっぱっと色を変えるのを、
忠也はぼんやりと眺めていた。

そのすぐ傍にアカネの穏やかな呼吸が聞こえる。
忠也の首に腕を巻きつけて、頬を肩の上に載せている。

アカネは白い指先で忠也の鎖骨や耳や瞼をの形を確かめた。
そして忠也の目をじっと覗きこむ。
「どうしてだろう」
「ん?」
「どうして、ぜんぶが特別に思えるのかなあ
この目が忠也の目だってこと、切り離しても特別に思える。
って、切り離して考えることなんて出来ないのかもしれないけど」
そう言ってアカネはまた忠也の目を覗き込んだり前髪を上げたり、
下唇を親指でめくったり、頬に口づけたり、、、

忠也も同じことは思ったが、それはアカネが他の女の子より綺麗で、
そうして自分の体を触ったり目を覗き込む仕草も、
アカネという総体を愛しているという事実を差し引いても
誰が見ても魅力的なひとつひとつだと思うから、
彼女のように不思議に感じたことは無かった。

「どうしてアカネは僕なんかが良いと思うの?」
「またそれ?」
アカネは子供に諭すように笑顔で答える。
「あたしは忠也に会わなかったら、死んでた」


アカネは孤児だった。
施設で育ち、それでも引き取ってくれる先が見つかったまでは良かったのだが
その家庭で上手くいかず、家出を繰り返した。
自然、学校でも浮いた存在になってしまい、自分の居場所を見出せないでいた。

ひかり 

April 22 [Thu], 2004, 0:52
嘘みたいにぴったりはまって
だから嘘なんじゃないかと思う。

たくさんの見えない糸の中から
自分と繋がるわずかだけを見つけて
それだけで特別と思ってるんだきっと。

わかってるから自分に嘘をついてるんだ。

でもその嘘の中では
それは本当に起こってるんだから
素直に喜びに浸ります。
それでいいんだ自己満足なんだいつも。



テレビ消して私のことだけを見ていてよ
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