孔雀の絵

September 30 [Sun], 2012, 10:41
モンクレール ダウンその日夕方になつて美智子と艶子さんはまた私の室に参りました。二人とも何となくつまらなさうな顔をして居りました。屹度何処かへ遊びに行つたのでせうが、思ふ程満足しなかつたことなのでせう。


案の条二人は先程のことを私に謝まつて、また話をして呉れと熱心に頼むのでした。然し二人の「金の竪琴」は私の手にだけしかないのですから、二人は、私に「はかないそら頼み」をするばかりです。私は、二人を大変に可愛がつて居る者なのですから、どうかして解るやうに然も面白く話し度いと思つてゐるのですが、どうもうまい考へが続かないので弱りました。



私は窓の外を見て居りました。二人は黙つて屏風の孔雀の絵を見て居ります。


やがて艶子さんはマンドリンを持つて来て、では今度は先程のお礼に、と云つてそれを弾いて私に聞かせました。
 


私は「嘆きの谷」の文字を続けながら嬉しく聞き入りました。三人とも晴やかな心になつて面白くいろんな話をしました。小雨は切りに軽くサラサラと窓を打つて居りました。私達は幸福でした、「嘆き」といふことを知らずに居る二人に「嘆くな」といふことを説明する必要はなくなりました。悲しみの曲も決して悲しい涙を誘ひません、咽かへる嬉し涙を覚へさすばかりです。
 
夜は刻々と忘れられたるものゝ如く静かに更けてゆきます――。

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