おりじなーるー 

2006年05月13日(土) 20時19分
胃がキリキリと痛む。
むしむしと体に纏わり付く湿気に、込み上げるものを感じる。
唇を噛み締めて、汗の伝う体を横たえた。

「嗚呼。何故」

彼と同じ時に、同じ場所で生まれていたならば。
それならば、私は彼と何か接点を持てただろうか。
10も歳が違う彼は、あたしを子供だと言った。
もしも私が同じ年に生まれていたら。
もしも私が彼と同じ場所に生まれていたら。
そうしたら遠く離れた彼に何か届けられただろうか。
せめて、キモチを伝えて、笑われないだけの何かは残せただろうか。

「こんなに好きなのに」

あふれ出して止まらないIfの話。

「大好き、なのに、なんで?」

汗と混じって涙がこぼれた。
このまま何もしなければ、体は朽ちるだろうか。
たとえ体が枯れたとしても、心は枯れないのだと、分かっていたけれど。
どうしても思う事は止められなかった。
願うことは、祈ることは。止めてしまったら、全てが終わりな気がしたから。

「せめて好きでいることくらい許してよ。早く彼氏作れなんて、言わないで」

もし私が今ここに、両親の元に生まれなければ、彼を好きになんてならなかっただろう。
理解はしていた。だけれど。



「大好き なんだって ばぁ・・・!」



胃がきりきりと痛んだ。
喉がぎゅうぎゅうと圧迫される。
胸と、頭が、泣く事をやめてくれなかった。


それでも夜は明けていく。








すこし前、8つ年上の人を好きになりました。バイト先の人でした。
結構仲良くやっていたけれど、最後に喧嘩をして、そのまま会っていません。
彼は別の支店に配属になったそうです。年上を好きになるのは、辛い、ですよね。

3、十字架に捧げた祈りより 

2006年05月04日(木) 23時49分
違う長さの棒が二本組み合わさって、その上にオジサンがくっついて項垂れている。
そんなものに向かって祈って、何が起こるというの?


言い値のままに売られ、連れて来られた異郷の地。
真っ白な壁、どこか違う空気、ものめずらしそうに向けられる目線。
今まで感じることの無かったものに囲まれ、不安や恐怖で目の前が暗くなる。
そんな時、少女に出会った。彼女の小さな掌には、大きすぎるクルス。
日本語を操ることのできる人間に何度か祈り方を習ったが、覚えられなかった。
覚える気など無かったからだ。

「なぁ、お前はそれに祈ってなんになる?」

今日もまた、一人教会で頭を垂れ、美しい旋律で歌う少女が居た。
自分は仏教を学んでいたから、切支丹の考えは理解できなかった。
祈って、何になる?祈るばかりで全てが上手くいくのなら、全人類が飲まず食わずでただ只管神の前に跪き祈りを捧げ続けるだろう。
しかし、そうしたところで実際、どうなったというのだ?
神を信じ、戦い抜いた者達は、結果、どんな姿で帰ってきた?

「んなもんに祈ってるくらいなら、てめぇを見つめてみろ」

少女は、振り向かない。当然だ。日本語で語りかけているのだから。
この教団において、日本語が分かるものはほんの数名だけ。
こんな、自分より年下の人間に分かるはずが無いのだ。

「そういう事を言わないほうがいいさ。オトナたちは嫌うから。」

3.十字架に捧げた祈りより 

2006年05月04日(木) 20時13分
はっとして振り向くと、そこには白と黒に浮かび上がる、一種異端ともとれる紅色。
龍の鱗を意識しているであろう模様のターバンを巻き、翡翠色の瞳を持っている。
南国の騒がしい鳥のようにも見える男は、漆黒の拘束服を纏い静かに佇んでいた。
口元には、余裕の笑み。

「お前も、エクソシストか」
「ま、そんなとこ。おーい、リナリー!」

くるり、少女が振り返る。満面の笑顔。
にこやかに少年の下へ駆け寄ると、どうしたの?と問いかけた。(それくらいなら、分かる)

「コムイが泣きながら探してたさー。いこ?」

少女の手を引き、少年は笑顔で去っていく。
まるで、自分の存在など元から無かったとでも言うように。

「おい、待てよ!」

唐突に襲い掛かってきた孤独感に体が震える。
呼びかけると少年はにやりとした笑みを貼り付けたまま振り返った。

「ラビ。うちのお姫様を傷つける発言は、気をつけること。殺されちゃうさ」

「それと。たしかにお前の考えは分かるさ。十字架に捧げた祈りなんかより、大事なもんはいっぱいある。だけど、それは口に出しちゃいけない。暗黙の了解、ってやつさ。」

ラビと名乗った(のであろう)少年はゆったりと笑みを形作って、
今度こそ少女と共にさっていった。


まだ世界の意味を理解できていなかった、ほんの小さなころのお話。

またもですが 

2006年05月04日(木) 12時50分
「一日が早いと感じるのは、良い事か悪い事か」

冷えた缶ビール片手に空を見上げた。
必要なのは心を落ち着ける努力・根気。
広がる視界に彼が居ないことなど、寂しく無い。

「今頃、何してるのかね」

きっとどこまでも続く夢の足跡。
彼はそれを追いかけた。
あたしは、踏み出す勇気がなくて、彼の背中を見ていただけだった。
遠くなる背中。
声を掛けても振り向いてくれなかった。
初めこそ声を荒げたけれど、段々と無意味なことなのだと分かって諦めていった。
それが正しかったかどうかなんて、分かりはしない。
だけれど、もう終わってしまったのだ。なにもかも。

「人間の繋がりなんて、脆いものよ」

空に虹がかかり、川が流れて。
いくつもの命が浮んでは、消え。
世界はゆるやかに廻っていく。
不必要なもの・必要なもの、全てを瞬時に天秤にかけ、
ゆられるそれに忠実に従う。

「意味なんて無い」

掴むものも、掴まなければならないものも。
分かってはいたけれど、知ろうとしなかった。
結局、何もかも掴み損ねて、形だけ手を伸ばし、地に伏した。

「悲劇のマドンナ、なんてね」
「それを言うなら悲劇のヒロインでしょ」



だけど、知っていた。
私が立っているかぎり、彼は見向きもしないだろうけれど
私が座り込んだら、倒れたら。彼は何処に居ても飛んできてくれるということを。





卑怯で、ごめんね。
だけど、愛してるの。

ちょっとお題はお休み 

2006年04月28日(金) 20時32分
「桜の精になれたらよかったのに」

彼女は葉だけになった木を見て恨めしそうに呟いた。



「桜の精って、何?」

リアリストな君がそんなロマンチストまがいの事を言うなんて。
鼻で笑いながらジッポーに手を伸ばす。

「現実は常に見つめてますが、たまには夢を見たくもなるわ、だって
「私女の子だから!ですか?」

くつくつと笑う僕にしかめ面の君。

「鬼にでもなるつもり?」
「鬼じゃなくて、精、よ!妖精さん、精霊さん。」
「男を惑わす妖艶な鬼、ってガラじゃないもんな」
「・・・あんた本当にあたしが好きなの?」
「当たり前」

煙草が、ジジ、と音を立てて短くなっていく。
不意に、規則的にゆらゆらと立ち昇っていた煙が、乱れた。

「・・・体に悪いっすよ?」
「いーんですぅ。ど、大人の女に見えます?」

小さくて柔らかい指に、短い煙草を挟んでポーズ。
彼女の指がもっと細く長く、爪が長く色づいていたり、口紅がやらしいくらい真っ赤だったなら、きっとドキリとしたに違いは無いけれど。

「思春期の子が背のびしてワルぶってるっぽく見える」
「・・・あたし今年で何歳だと思ってんの?」
「女性の年齢は忘れて差し上げる主義なので」
「まぁ!ありがたいわ!」

零れた灰を掬い取って、灰皿の中へゴー。
彼女の指から殆ど残っていないフィルターを救い出して、熱を消してやる。

「・・・死んだら桜の下に埋めてもらおうかな」
「そんなに桜が好きなの?」
「うん」
「桜は人の都合で切られちゃうかもよ?」
「・・・そうなんないように、守ってよ」

「やだ」

ふにゃり。だらしないくらい悲しそうに、困ったように歪んだ表情。
そんな顔しないでよ。むしろ僕が泣きたいくらいなのに。

「僕はいつまでも君に縛られるわけにはいかないし、生きてないもんを守るほど暇じゃないんで」
「・・・うそでも、守ったげるよって、言うとこだよ今は」
「僕嘘嫌いだしー」

君はそうやっていつも自己中に思考をめぐらす。
そんな君が大嫌いで、でも世界で一番愛してる。






とりとめのない話。
こんな詩を書いたりしました。

2、貴方の笑顔が、偽りに変わった瞬間 

2006年04月27日(木) 17時50分
昔からよく笑う男だとは思っていたけれど。


目の前を飛び跳ねる赤毛。
太陽の光を浴び、満面の笑顔ではしゃぎ回る。
曇りの無い表情。
切り替わったのは何時だったか。


「ねぇ、ラビ。ちょっと相談に乗ってもらいたいの」

「あぁ、いいぜ、リナリー」


女に向ける柔らかな笑み。


「子供扱いしないでください!」

「あっはーそういうトコがガキなんさ」


年下に向ける悪戯っぽい笑み。


全て、どう見ても、作り物だ。


切り替わったのは、何時だ。
そう思っても、思い出すのは非常に難しい。
だけれど、変わったと、気が付いた瞬間。
視覚を信じなくなった俺は確かに、仮面を貼り付けた音と頬を滑る涙の匂いを感じていた。
その感覚だけは記憶にこびり付いて離れない。
前後の記憶などはとうの昔に消えてしまっているのに。


「前みたいな、馬鹿みたいな顔で笑って見せろよ」


そう言えば、奴は困ったように笑うだろうか。
ならいっそそれでも良い。
ただ見たいのはそう、アイツの本当の顔だけなんだ。







センチメンタルユウちゃん

1、血染めの世界、貴方が望むなら 

2006年04月26日(水) 19時26分
真っ白な洋服を彩る紅。
朝日に照らされる教会に咲いた華。

脳に命じられるがままに、瞳を閉じた。
痛みを堪える方法を、他に知ってなどいなかった。


「終わったか」

「うん」


コツリとブーツが地を痛めつける音がして、振り返るとそこには無表情を崩さない彼がいた。

コツ、コツ、コツ。

近づく度に、地面が呟くように彼の存在を知らせる。
何度も繰り返される単調な音を胸に刻んでいると、丁度真後ろに来たのだろう。
ふわり、と。彼が愛用している石鹸の香りがして、息苦しさを覚えた。


「これが一番手っ取り早い方法だ。」

「うん」

「感傷的になんじゃねぇ。てめぇが嘆いたところで世界は変わりゃしねぇよ」

「そうさね」

「・・・・・・」


熱が空気を伝って感じられる距離にある。
切なさに胸は苦しくなるし、目の前の惨状に目頭も熱くなる。
いっそ、貧血でもおこして倒れてしまえば楽なのに。
頑丈に仕立て上げられた体は些細な願いも叶えてくれない。


「俺は望む」

「・・・・・・なに を?」

「血染めの世界を。AKUMAは俺達に壊されてやっと救われるんだ」

「ユウ は、優しいね」

「・・・・・優しくなんか、無い。自分を正当化したいだけだ。」


ひゅう、と風が吹いて、AKUMAが持っていたペンダントが風化した。
君はどこまでも、馬鹿みたいに優しいよ。
小さな頃からいつだって、感情のよりどころになってくれる。
自分に対して得なんて一つも無いのに。


「ユウが望むなら、俺が世界を血染めにするさ」

「AKUMAのものだけで頼むぞ。人間は余計な感情が厄介だ」

「・・・うん、そだね。人間は守るべき者達だもんな。信じなきゃ」

「・・・誰もそうは言っていない」

「俺にはそう聞こえたんさ」


取り留めの無い会話は続く。
世界が血に染まり続けるかぎり。

本当にまったく 

2006年04月26日(水) 19時22分
いつまで放置しておく気だ!っていう、ね!
いい加減どうするか考えなきゃなぁと思ってたのですが
本家サイトがほぼ更新停止中なのでこちらをちまちまやろうかと。
これを繋げるサイトをどこにするかも考えなきゃなぁ・・・。
ネットの海に放置しておくのもまぁ良いけど折角だからどこかで公開したいし。

お題変更! 

2005年12月05日(月) 19時02分
前に置いておいたお題は本に利用することになったので
お題変更させて頂きますー。
大好きなお友達、桜花さんのサイト+α様より!



1、血染めの世界、貴方が望むなら
2、貴方の笑顔が、偽りに変わった瞬間
3、十字架に捧げた祈りより
4、僕は君に依存する
5、千切れた理性を繋ぎ止めたのは


多分ほとんどらビュだとおもいま・・・!
帰ってくるまであと少しかかりますが、よろしければお待ちくださいな。

5 それが全てだ 

2005年11月22日(火) 19時49分


戦いは終わった。
もう、ここにいる理由は無い。





振り返ると、自分は逃げ出したあの日から何の成長もできていない。
彼がいて、だから何とかやってこられた。
冷たい牢獄のような教団に住まう事も。
死と隣り合わせの日常に打ち勝つ事も。
全ては彼のお陰だった。なのに。


彼の部屋の扉を開く。ギィィと扉が軋む音がして、その小さな部屋の全てをラビの瞳に映し出した。
見えたのは、殺風景を通り越したような部屋。そして、たった一輪咲き誇る、蓮の、花。



「ユウ・・・」



部屋の主の名前を呼ぶ。しかしそれだけで彼が出てきてくれるわけもなく。
そっと扉を閉めた。そして固く、錠を。心の中で、ガチャリという音がして、目の前が色あせた。



「もうこことはさよならだ、ユウ」



彼が、彼との想いが残る部屋を封印して、外へでた。
この教団は明日にでも取り壊しが始まるらしい。
中で生活していた人間は、全員強制退去。
ヴァチカンとしては歴史から葬りたいのだろうが、なんとも理不尽な話だ。
幼少時代から使っていた小さなトランクに金貨が入った袋と、生活用品。胸にはマルボロ。
そして、彼が残した、小さな小さな、白いカルシウム片。




それが、これから長く長く共に生きて行く友。



「That's  all.」     


薄く呟いて、笑った。


それが、それだけがすべてなのだ。

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H.N. 沙耶

漫画と映画と歌をこよなく愛するヲタ。 いつか二胡もやってみたい

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