悲恋 

January 17 [Wed], 2007, 15:20

友達が、私に恋をした。

友達だよ。

友達だよね?


私の頭にリフレインする、君のメール。

「いい加減気付いてよ笑」

(ねぇ、あのね、気付いてるの。)

ゆっくりと枕に顔をうずめて、流れてくる涙を含ませる。
携帯を握り締めたまま、
どうしたら良いのかわからなくて、

だって、友達でしょ…?

君が私を思う気持ちは、きっと何かの間違いなの。
冷静な私の頭は、それを見抜いてる。
友情と恋愛、混同されやすい二つの違いを、
私はどうして、君に伝えることが出来るだろうか。

大好きな友達。
私は「親友」というポジションに、上り詰められなかった。
だってすでに私には「無二の親友」がいて、
君にもまた、大切な存在があった。

言葉に出したことなど無いけれど、きっと。
時間が歪んだなら、私たちは親友だった。

君が欲しい。

何度もきっと、そう思っていた。
君もきっと、そう思っていたんだ。

だから、「親友」じゃない、「恋人」としての私に手を伸ばしたの。

ねぇ、
私たちは今、難しい所に居るから。
私には君の思いを紐解いて、納得させることなんかできやしないの。

もし君が男なら、
私は流されていたのかもしれない。
否、私は、
君に恋をしていたかもしれない。

私の体に組み込まれた警報が、
頭をガンガンと響かせる。

それでも君を繋ぎ止めたいと思ってしまう。
気持ちに応えることなど出来ないのに。

君を手に入れたい。

その気持ちが、私を動かしている。

投げ捨てたの。 

January 13 [Sat], 2007, 21:14
「甘えたりなんかしたくないのよ。」


彼女は手に持った30センチほどのリボンを弄びながら、
それに話しかけるように呟いた。


「それは俺に、っていう意味で?」


恐怖をも覚えさせるような彼女の雰囲気に後込みながらも、
自分の存在をアピールするかのように大きな声で聞き返した。
こんなことを毎日繰り返して、
もうあれから1年が経とうとしていた。


「家族のこと!」


彼女は怒ったように言い放って振り向いた。


「あ…」


それと同時に、リボンが床に落ちた。



…また沈黙。

参ったな、なんて思いながら、
俺は彼女を刺激しないように、慎重に言葉を選ぶ。



「これ、どっかで見たことあるようなリボンだよな。何だっけ?」


俺がそのリボンを拾おうとすると、

彼女はそれを振り払って強奪した。


「か、関係ないわ!」


「関係ない?…あ、」



彼女はそのリボンを入念にティッシュで拭き、
俺に隠すように丁寧にポケットにしまった。



「ごめん、触ったりなんかしてないよ。つい手が…」

「出て行って!!」



彼女の目には涙がたまっていた。



「もう放り出したいんでしょ!?手に負えないって、そう思ってるんでしょう!?
き、気持ち悪いって…そんなこと、わかってるわよ!1年間も、あ、あなたのお荷物で、
ずっと私は…」


こんなはずじゃなかったんだ。
毎日毎日、こんなことの繰り返しで。


「大丈夫だ、本当に、さっきはごめん。もう大丈夫だ。」


「何が大丈夫なの!?わ、私がどんなに…!」


言葉をさえぎるように、俺の腕が彼女を包んだ。



「いいんだ。わかったよ、あのリボン。…ほら、その、あの子のテディーベア。
ごめんな、気付かなくて。」


俺に顔が見えないようにして、彼女はしばらく、腕の中で震えていた。


「少しずつでいいんだ。俺は逃げない。もちろん、俺のために。
…だって、君を愛しているから。仕方ないだろ?」


彼女は静かに呼吸を繰り返し、搾り出すように言葉を発した。


「…何もかも変わってしまったの。あのこが、リリーが、あ、あ、
もう、いないなんて思えないわ!だけど会えない…ねぇ私、
本当に自分がわからないの…

そうよ、あの子のテディーベアのリボン。
ゴールド先生からいただいた大切なものよ。

でもね、私、進まなくちゃって思ったの。」


彼女は弱い力で俺を押し返した。


「病院にだって通うわ。治したいの。
だって、り、リリーは…リリーの分まで、私が歩かなくちゃ!
それに、あなたに…あなたに甘えたりなんか。そうよ、さっきのは
あなたに言ったの。」


弱弱しく笑う。その表情が、俺の胸を刺す。


「私も…愛してる。迷惑じゃないのなら、そうね。
そうならないために…ぬいぐるみを、


投げ捨てたの。」



彼女は、彼女は、彼女は、
思いを滔々と語る彼女は、
とても愛しくて、繊細で、
壊れてしまった今でも、緑色の瞳は綺麗に揺らいでいた。


「……重かったか?」



ついに泣き崩れた彼女を支えながら、

自分まで声を上げて泣いていた。










(にびいろ/「投げ捨てたの」「……重かったか?」)
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お友達が鬱病なんです。
…ショックでした。

鬱病って、治らないんだって。

戻ってきて。戻ってきて。
だってあんなに、いっしょにわらっていたのに!!















season 

December 21 [Thu], 2006, 13:48



「あーあー、雨降ってきちゃったー。」



見上げる先は、どんよりとした曇り空。そして、重い雲からあふれ出したような雨。


降る前に帰ろうと思ってたのにー、なんて言ってる私を他所に、周助は優雅に紅茶を注いでいる。




「いいんじゃない、たまには。雨が降ったから、って言えば家でご飯食べていく口実に

なるしね。帰りは姉さんが車で送ってくれると思うし。」



「本当!?…でもなぁ、こないだもご馳走になっちゃったし…」



周助の家のご飯は美味しいし、夜まで周助といられるのは嬉しいけど。


でもやっぱ、彼氏の家族の前でご飯食べるのは緊張する。なんて言うかこう、


一挙手一投足が観察されてるような気分になるというか。




私の目が宙をさまよい始めると、周助はいつものようにくすくす笑ってティーカップを二つ


持ち上げ、そのまま窓際まで歩いてきて片方を私に差し出した。


ありがとう、どういたしまして、で周助からティーカップを受け取り、


少し啜った。舌を火傷しそうなほど熱い。でも、このぐらいの熱さが無いと紅茶を飲む意味がない。


だって、冬の紅茶はお風呂と同じで、冷めると美味しくないと思う。



「トスカちゃん、ご飯食べるくらいで緊張してるの?らしくないね。」


「そんなこと!あるけど…でも…」



ちらり、と目線を逸らすと、窓に映った自分と目が合った。


余裕のない、動揺した目。それに対して周助は、余裕たっぷりの優しい目。




「うちに来たときのトスカちゃん、学校と全然雰囲気違うよ。リラックスしていいんだよ?


トスカちゃんがどんな子かなんて、僕の家族はみんなよく知ってるし。僕がいつも話してるから。」



「わぁ、恥ずかし…。」



周助はまた、くすりと笑って私を後ろから包んだ。


あぁ、好きだ。


後ろから抱きしめられるのが、私はたまらなく好きだ。



「紅茶、冷めちゃうよ…。」


「そんなこといって。僕の腕、離さないのはトスカちゃんのほうでしょう?」


「うーん。」



なんか雰囲気で、私もティーカップをコトリと手放し、


少し後ろを向いて触れるだけのキスをする。



ずっと休みなら良いのに。


学校も、周助の部活も。ずっと休みなら。


だけど、周助はテニスを愛してる。大好きだ。


ゲームに恋してる。もともと駆け引きが好きな人だから。



筋肉質な腕をそっと撫でて、周助に寄りかかる。


あぁ、幸せ。




周助が完璧であればあるほど、


その策士さに私は溺れていく。


真っ黒な心。それでいいじゃないか。


私を惹きつけるための闇なら、それはすごく愛しい。




「好きだよ。」














P R
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