んで宝石を一粒

August 11 [Tue], 2015, 0:36

「いやいや。あの後、翌朝もう一度見たら花束が置いてあったんだ。あの父親が置いて行ったんだろう。ところがよく見たら花にこんな宝石がくっついてるじゃない」
「それがこれ?」
 ヒョウはその一粒をまじまじと眺めた。フニクラが首をふった。
「いや……これ」
 フニクラは手のひらぐらいの茶巾袋をポケットから出してテーブルの上でさかさにした。
 同じような宝石がばらばら出て来た。
 ヒョウは息をのんだ。
「ホンモノか?」
「さあ。花束の飾りだろ。イミテーションかも知れないけど。置いてっちゃうぐらいだから」
「でもインドの大富豪だもんな」
「そうなんだよ!」
 フニクラは声を大にしてうなずいた。
「モノホンぐらい置いていきそうな気がするだろ?」
「だよな……」
 ヒョウは手のひらにのせて灯りにすかして見たりしていたが、ふとフニクラを見て、
「なんで今まで黙ってたのよ」
「…………」
「…………」
「……忘れてたんだよ」
 ヒョウはフニクラの頭をひっぱたいた。
 さっそくふたりは翌朝宝石を鑑定してもらうことにした。鑑定人に怪しまれるのを恐れてグリコを連れていくことにした。
 三人は久しぶりに街の空気に触れた。
 宝石のいきさつを聞いていなかったグリコは単純にはしゃいでいた。
 宝石店の前でヒョウとフニクラが立ち止まった。ふたりで何かひそひそ話しているのを見て、
「なになに?」
 とグリコは首をつっこんだ。ふたりは急に話をやめて顔をそらした。なにかうさん臭そうなその態度にグリコはピンと来た。
「ここやるの?」
「え? やるって何を?」
 ヒョウが聞き返した。
「宝石強盗」
「バカ!」
 ヒョウはグリコの頭をひっぱたいた。
「お前、ここでこれ鑑定してもらってみてよ」
 そう言ってヒョウはフニクラのポケットに手をつっこだけつまみあげた。そしてグリコの手のひらにのせた。グリコの目がまるくなった。
「なに。どうしたのこれ!」
「いいから、ちょっと見てもらってくれよ」
 不承不承、グリコは店に入って行った。
 しばらくしてグリコは宝石を現金に換えて出てきた。その目はどこか虚ろだった。
「おい! いくらだった?」
 待ち切れずにヒョウはグリコの肩をゆすった。そしてグリコが札束をにぎりしめているのに気づいて奪い取った。
「いくら?」
 フニクラも息せき切ってのぞきこんだ。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:緈諨ˇ棒棒糖゛
読者になる
2015年08月
« 前の月  |  次の月 »
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
最新コメント
ヤプミー!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
http://yaplog.jp/alliedgut/index1_0.rdf