この日記を書くのをさぼってた8月のことを少し。徒然なるままに。
夏以降、トビシワのロージーチーム(でかい餌場につなぐ前)と同じくトビシワのジェニーチームは、餌やり・給水のときにちょいちょい失敗をやらかして大量脱走劇を引き起こしていた。
主として給水用の穴がきちんとふさげてなくて、周囲一面トビシワ、という状況になったのだが、当然見つけ次第、吸虫管で確保→強制送還となる。
ところが、大興奮したトビシワたちを吸虫管で吸って餌場に戻す(巣室からは戻せない)と、たいてい翌日には20〜30匹の死骸が餌場や巣ケース(土押さえのアクリル板と蓋のすきま)に転がることになる。
どうやら、見えない敵(私か?私のことか?あーん?)に向かって毒液(フタフシアリ亜科は蟻酸じゃなくて毒液っていうんだって)を噴射しちゃって自家中毒、ということらしい。
みんな死んじゃうんなら、餌場に戻さずに、えーと、えーと、冷凍庫でアウシュビッツ?的な措置も考えられないこともないのだが、いかに冷酷非道なワタクシといえども、さすがにちょっと、そこまでは、ねぇ。
まあ、この夏そんなことを両チーム合わせて、4回くらいやっちまってしまった。ごめんちゃいねー。
で、その中でも一番おおわらわだったときのこと。
わらわら出てくるアリンコども(たしかこのときはロージーチーム)を、簡易吸虫管(アクリルパイプとビニールチューブの間に不織紙のフィルターをはさんだだけのストレートタイプ吸虫管)で吸いまくっていたのだが、どうやらヤツらは「吸うに追いつく脱走兵なし」という格言を知らないらしく、吸っても吸っても兵が湧いて出てくる。
・・・脱出口を塞ぐのを忘れてたんだね。
でまあ、脱走兵だか斥候だか、当のご本人たちにも分かんなくなってるヒトたちが、机の上、ケース壁面(もちろん外側)、手指のあいだ、そして吸虫管側面(もちろん外側)にもわらわらわらわら群がってる、とまぁ、思いねぇ。
脱出口を塞いだ後、か弱いアタクシにできるのは、もう吸虫管で吸って吸って吸いまくって吸うことだけに決まってるではありませんか。
しかしあれですよ。
側面にアリのたかってる吸虫管を吸う、ってのは、どうもこう、大きな敗北感に打ちひしがれずにはいられない行為なのでありますよ。
短く言うとナミダ目になりながら悲しい戦いを戦っていたわけだが、ロージーチームにはちょっと学のあるワーカーが1匹いたらしい。
先の格言は知らずとも「泣きっ面にアリ」というやつは知っていて、なにか「泣きっ面を見たらアリは何かをしなくてはならない」というような義務感を感じたものらしい。
彼女のターゲットは「泣きっ面」の中でも彼女のポジション=吸虫管側面にもっとも近い部分、すなわち、ワタクシの唇であった。
持てる肺活量のすべてをアリンコ回収に捧げている、このピュアなワタクシの紅き唇を奪ったニクいヤツ。
チクっとしたので唇を触ると1匹くっついていた。
無理に引き剥がすとアゴで唇をはさんだまま頭だけ残りそうなので、だましだまし引き剥がす。
と、みるみるうちに膨らむ唇。
あのー、あれですか、「サクランボの唇」とか、そういう比喩を写実にしようとか、そういうような試みでしょうか。
噛まれたところを中心として、直径1センチくらいが腫れた。
蚊に刺されたって、こんなに腫れるのは相当タチの悪い種類の蚊だろう。
少しの痺れとチクチクするようなジンジンするような痛み。我慢できないほどではないが、何をしてても気になるくらいのレベル。
以前、ウミユスリカさんがおっしゃっていたように思うが、トビシワの攻撃は相手を大アゴでつかまえてから腹を曲げて毒液を噴射、というような手順で行われるらしい。
今回、その攻撃の様子は私の死角で行われたために観察することは叶わなかったが、おそらくそんなふうにやりゃぁがったんだなコンニャロちくしょうめ!
腫れは結局その後1時間くらいで、何事もなかったように引いた。
あー、びっくりした。

【参考】太平洋戦争末期の竹槍を彷彿とさせる
「簡易吸虫管」(長さ:約12cm)
最終的には全回収を果たしたが、焦土作戦に勝者はいないのだった