夜の女王は陽光の元へ 

February 02 [Wed], 2011, 17:38
ばかなおにんぎょうは、うたう。

繋がれた首輪に下がっている金色のプレートは、あたしが最高品質の”家畜”であることを示している。名付けられることもなくただ平等に事務的な愛を注がれ”餌”を与えられ、教育を施されたあたしたち”家畜”は、牛や豚と同じように競売にかけられる。そこで初めてあたしたちは”本物の愛”と言うものを知るのだと教えられてきた。

「さぁさお次は値打ちモンだ!!闇色の髪に月の色の瞳をした、夜の女王!!」

下品な男の声が耳障りだった。注がれる民衆の遠慮ない視線。

人々は闇を極端に恐れ忌み嫌う。私のこの姿を見て感じのよい表情を浮かべるものなどいなかった。

どうせ私は売れ残って。

いずれ捨てられるのだろう。

その時どよめく声がした。
私を競り落とす者がいたのだ。

信じてもいない神にすがる思いで私は顔を上げた。

優しい人だろうか?私を慈しんでくれるだろうか?可愛がってくれるだろうか?

視線の先にいたのは軍服に身を包んだ金髪の美丈夫。

「買おう。いくらだ?」

私は拘束されていた腕を振り解いて、”主”の元へ走った。
「ありがとうございます!御主人様!!」
パァン!と空気を切る音がした。
「気安く寄るな。下劣な豚め」

世界は終わり、始まりを迎えた。
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