第1話 プロローグ@ 

2008年11月21日(金) 17時02分
小学生になった僕は憂鬱な気分で入学式の朝を迎えた。

普通の小学1年生なら小躍りでもしてる朝だけど、
僕には苦痛の始まりでしかないように思えた。

両親は離婚し、僕は母さんと母さんのお父さん・・・。
つまり、僕のじぃじと一緒に暮らしてるんだ。
おばあちゃんは、母さんが小さい頃に死んじゃったんだって。

母さんはバリバリのキャリアウーマン。
僕を生んで1ヶ月とちょっとで復職したんだって。
父さんにはそれが理解できなくて、辛くて離婚しちゃったんだってさ。

仕事の忙しい母さんが僕を保育園に迎えに来ることはほとんどない・・・。
でもいいんだ!!
だって、僕の保育園のお迎えはじぃじが来てくれるんだもん!

じぃじとの帰り道は大好き♪

夏の暑い日は、
「母さんには内緒だぞ」って言って
アイスを買ってくれるし、
冬の寒い日は、肉まんを買ってくれるんだ!

春には桜並木まで散歩して帰って、
秋にはとんぼと追いかけっこ♪

じぃじと過ごす楽しい時間

それなのに・・・
そんな大好きな時間が、母さんの昇進とともに消えようとしている。

友達と離れるのは別に寂しくない。
でも、じぃじと離れるのはやだ。

母さんの帰りを待ちながら
じぃじと一緒に作るご飯
じぃじと一緒に入るお風呂
じぃじのあったかい手
大きなその手で頭を撫でられると
心がふぅ〜って温かくなるんだ。

その大好きなものが全部なくなっちゃう・・・





「トモ〜!
 起きてるんでしょ?
 さっさと支度して出てらっしゃい
 朝ごはんとっくにできてるのよ〜」



母さんなんて僕の気持ちいっこも分かんないくせに
なんだよ・・・。

結局僕は母さんと一緒に
今まで住んでいた街の隣街に引っ越した。

ノロノロとベッドから出て
入学式に着ていく、洋服に着替えた。
紺色のスーツに赤のネクタイ
白いシャツに、白い靴下

そして・・・
じぃじが買ってくれたランドセル。



「これ背負ってけば、じぃじといつも一緒だ!」


泣き疲れ、不貞寝してる僕の頭の上に
ランドセルを置きながらじぃじの言った言葉。

そんな事は本当は嘘だって分かってるけど
じぃじの悲しい顔をこれ以上見たくなかったから
僕は「そうだね」と言って笑ってみせた。





バタンッ!!




「トモ!!
 ・・・・
 なんだ、起きてるじゃない・・・
 早くキッチンにいらっしゃい」


「うん・・・」

「今日ね、じぃじが入学式来てくれるって!」

「うん・・・。」

「あら?知ってたの?」

「昨日、電話で話した」

「そう!でね・・・」

「母さんが来れないからでしょ?」

「あぁ・・・ うん、そうなの」

「いいよ。いつものことだもん」

「うん・・・ ごめんね・・・」

「別に。じぃじ来るし」

「うん。そうだね・・・。
 ・・・・・・・
 さ!!ご飯食べちゃお!!」


「うん・・・。」



本当は、いつでも母さんに来て欲しいんだ、僕は・・・。
でもわがまま言っちゃいけないって分かってるから
いつもしょうがないって諦めるんだ。



「学校までは、お母さんと一緒に行こうね」

「・・・うん!」
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