妄執

2006年07月27日(木) 0時21分
必死に、ただ必死に、己が歩んできた道が正しかったのだと、思い込もうとしている。

一般的な中流家庭で、片親ではあったが、祖父が会社を経営していてくれたお陰で金に困ったことはない。けして祖父の援助があったわけではないが、母親の確りとした経済観念と、余分な兄弟がいなかったお陰で、何不自由なく育った。
物心ついたころには自分というものを随分把握していたように思える。
頭の回転が特別いいわけでもなく、一芸に秀でているわけでもない。見目麗しい、わけもなく、平凡に平凡を重ね、唯一の非凡さといえば神経の細さくらいなもので、それも結局なんのメリットどころかデメリットしか生みはしなかった。まあ、神経が細いといっても、それは単なる甘えでしかないのだが、弛緩しきった細い神経はいまだに緩いままだ。
それでも、堅実に、分相応にを言い聞かせて、節目節目に訪れる分岐点で細かな舵をとってきた。
教師も両親も、誰もがお前が正しいと肩を叩いてくれた。
優等生であったわけではない。どちらかと言えな劣等生に近い部類だったはずだ。特別教師に反発したことも、好んで誰かに暴力を振るうことも、無闇やたらに校則を破ってきたわけではないが、厳密にどれも守ってきた覚えはない。納得がいかなえければ教師だろうと何だろうと歯向かっていったし、喧嘩になれば、自衛目的とは言え、拳を握らなかったわけでもない。校則すれすれや殆ど無視していたようなことも多々あった。そんな人間であるから、私は人からはとことん好まれるか、嫌われるか、その二極化した評価しか持っていなかった。
何も持たない曖昧な輪郭の自分が嫌いだった。才能も容姿も家庭も、どれも目立って秀でたものを持たない。虚勢をはって張り詰め、理屈をこねくり回している、そんな弱く惨めな性質である自分が、何度嫌になったのか知れない。鋭敏に喜怒哀楽を表したのは、小ざかしくもその曖昧な輪郭に少しでも色を持たせたい一心だったからだ。
何も持たないなら何も失うものなどないというのに、けして失敗のない道ばかりを選んできた。予測しえる未来を考え、一番失敗のない、正しい道探し選んで、そうしてどこに行きたいのかは、分からなくなってしまった。
正しい道を選ぶことによって、何かを得ている気になっていたのだ。踏み外しそうになる度無難な道へ逃げ、小さくまとまって、それが正しいのだと、必死で口ずさんでいた。

フィクションかノンフィクションか?

2006年07月22日(土) 2時43分
自分は長い間、他人から大事にされること、愛されること、必要とされることが、当然だと思っていた節があった。
その分の努力はしていたつもりだ。
人を魅せる言葉、笑い、タイミング。
万人とは言わずながら、一部の人間であれば、それはひどく簡単だった。
落ちる音が聞こえていた気がする。あぁ、落ちたな、と。
それは専ら好感度に関するものであったが、年齢の高い人間にこそ有効であった気がする。
そんな自惚れが長らくあった。
なぜああも他者からの愛情に固執したのか、恐らく幼少期の虐待に起因するものだとは思うが、もともとの体質やら嗜好であったのやも知れない。
愛が欲しかった。友情や恋情ではなく、愛情が欲しかったのだ。
愛による優越を、自分は身にまとっていたかった。
些細なものでいい。自分が一番である自覚さえもてれば、何も欲しくはなかった。
見栄と虚勢だけが、己を守る唯一の方法であったのだから、それもまた仕方のないものであったのかも知れない。

自分が変わったと思えたのは、一人の人間に出会ってからだ。

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